憂鬱だ。
何の面白味もない。
新年度になり、今年から中学1年生な俺だが、中学受験競争に敗れ、特に希望も夢も見つからないまま公立中学生になった。
両親は戦争に負けてしまったからにはスッパリと諦めて次のステップを目指そうとか言っているが、小学校4年生から受験勉強を始めて、来る日も来る日も辛い毎日を過ごしてきた俺には解放感よりも絶望感の方が勝っていた。
……全ては俺の自業自得だけど。
発端は3年生の終わり頃に偉人自伝を読み耽っていた時だ。もう誰かも思い出したくないし、毎日が辛すぎてよくは覚えていないが、医者の所を見て、少し興味を持ってしまったのが原因だ。
そこから親に向かって医者になりたいと宣言し、両親は真摯に俺の受験勉強の為に応援してくれたのだが、当の俺が努力を怠ったのだ。ただ、興味を持ってなりたいと言ってから医者になるための道を把握せず、やりたくなかった苦しい勉強ばかりするように、いや、させられるようになった。
4年生から塾に入れられ勉強するようになっては自分なりに自学自習をしようとしたが、ゲームやらなにやらで挫折。課題も親から言われるまでやらず、忘れることも度々あった。
……暗い話ばっかりだな。
他にも色々、受験生としてはあり得ないことをやり続け、俺は新しい制服に身を包み、慣れない教室で担任となった先生の新1年生用の話を聞き流していた。一度、全員分の名前を言って一言添えるような自己紹介を行い、その後は席の位置で決められた班内で自己紹介をすることになった。めんどくさかったので一番最初にする事にした。
「あー、どうも。さっきの自己紹介でも言ったけど俺は
ただの飾り気の無い……いや、無さすぎる自己紹介だと我ながら思う。特に言いたいことも無いから仕方ない。とりあえず、他の4人の自己紹介だけは耳を傾けるとしよう。
「じゃあ、次は私。
ハキハキとしてて笑いながら自己紹介する彼女。正直、そのように言える彼女が羨ましい反面、自分の存在が悲しいと感じた。
俺、ここまでメンタル弱かった……な。うん。
「ボクは
……女子ってこんな元気な奴ばっかだっけ?眩しいんだけど。大分小柄な子だが、元気そのもので羨ましかった。
「えと……僕は
小動物かってほどにビクビクした男子だった。緊張しまくってるけど共感は出来る。
そして、4人の内の最後の奴の自己紹介になった。
他の3人もそいつに注目する中、そいつは班内の全員の顔を確かめつつ紹介を始めた。
「私は白峰理沙。……まぁ、色々心配になりそうというかなっていうか、もう既になってるんけど、とりあえず頑張るよ。よろしく。」
なんか、違和感を感じたのは俺だけだろうか。
「ねぇ、小坂は何か好きなこととか得意なこと、趣味はある?」
「あー、ごめん、趣味とかは無いんだ。強いて言うならゲームぐらいか。まぁでも今は興味無い。」
「そうなんだ……。庄田君は?オススメのゲームとかある?」
「オススメですか……?それならインベーダーハンターやライブスハザードとかですかね?あ、スプラッタ過ぎるかな……?」
「ボクのお父さんがやってるゲームだ!遠目から見ても大分怖かったけど、庄田がやってるならやってみようかな?」
「慣れてくるとだんだん楽しくなりますよ……!」
「今日やってみるよ!白峰は趣味はある?」
「私は特に無い。姉たちの暴走を止めるだけで精一杯の毎日だから。」
「白峰さんって、お姉さんがいたんですね。どんな人なんですか?」
「とりあえず、言うことやること、作り笑顔が気持ち悪い一番上の姉。次に厄介事をいつの間にか抱え込み、それを私にも手伝わせる二番目の姉。」
「大変だねぇ……。」
家族関係のせいで毎日が大変になることは普通にあるだろう。……白峰の姉達がどんな人か説明されてもよくは分からなかったが。