監視者の少女   作:シラネ

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辛かった道と更に続く辛さ

あの後、班内自己紹介は終わり、その後のオリエンテーションでは校内見学を行った。入学してからしばらくの間は学校が直ぐに終わり、帰らされる。俺は一人トボトボと帰路に着いていた。

 

「中学になったからって特にやることねぇんだよなぁ……。」

 

本当に何もかもやる気が無くなってしまって、初日から辛かった。

小学校からの付き合いの奴らはほとんどが私立中学などに行ってしまった。

 

「……俺だけだよ。受験に落ちてそのまま気分も堕ちちまった。知ってる奴はいれどもほとんど喋らなかった奴らだし、正直嫌いな奴らばかりだ。」

 

自然と口からため息のように出てくる情けない言葉。

自分で分かっていながら出すしか無かった。

 

「こっからどうすっかな……。」

 

いっそのこと、悪いことでもしようかと、アホな考えまで過った矢先、少し離れた斜め前側に班内の奴がいた。

 

「……白峰?」

 

あいつは昨日と同じで何故か校内放送で生徒会室に呼び出されて残っていたはずの奴だった。

なんで、俺より先にいるんだ?

……考えても仕方ないか。変なことをブツブツと言っている間に抜かされていたんだ。

そう思うことにした。

 

「……そういえば、この先に公園があったな。気疲れしてるみたいだし、寄って休むか。」

 

小4以上になってからは外で遊ぶということがめっきり無くなっていた。少ない親しい友人が日に日に苛立ちを増す俺を見かねて遊びだとかに誘ってくれていたが、俺はほとんど断っていた。ほんの数回だけ行ったが、結局少し遊んだだけで帰るということが大抵だった。……あいつには悪いことしたな。あの時、あいつにはなんて事を……

 

その瞬間、横を少し速いスピードで車が通った。

 

……悪い癖だ。直ぐ何かネガティブな事を考えてしまう。

頭がいつも下を向いている。……前を向こう。

 

前を向くと、その車は公園の少し前まで行っていた。

そして、その瞬間、公園からサッカーボールが飛び出し、同時に小さい男の子も飛び出した。

 

「!あ、危ない!!!」

 

強烈なブレーキ音が鳴る。しかし、子供が飛びだした時の場所と車との距離はほんのわずかしか無かった。

 

 

ドン!!!(パン!!!)

 

重く鈍い音が聞こえた。それと同時に何かが爆発するような音も聞こえた。

 

悪寒がした。

当事者では無いのに冷や汗が出てくる。

目の前で起きた事に恐怖しか無かった。

 

車が止まり、中から慌てた男が出てきた。

 

何故か俺も駆けていた。目の前で起きた事を見てみないふりするわけにはいかないと何故か感じた。

 

足が動くままに公園の目の前に着くと、そこにはものすごい勢いで安否確認する男とワンワン泣きわめく男の子。

そして、倒れ、傷だらけになり、動かない白峰だった。

 

「あ、あ……あ、お願い、します!返事してください!」

 

酷いパニック状態になりながら白峰を揺さぶる男。

 

「何してるんだ!揺さぶるな!直ぐに警察と救急を!」

 

勝手に言葉が出る。

 

「け、けけ、携帯!!!……クソッ!電源がつかない!?」

「……!!!絶対に揺さぶるな!俺以外の奴にAED頼め!お前は声をかけ続けろ!俺は公衆電話から警察と消防に電話する!」

 

言い終わる寸前のところで電話機を探し駆け回る。

丁度俺も携帯を持ち合わせてなかったのだ。

 

「……公衆電話が無い!」

 

昔はあったのだが、撤去されて無くなっていた。

少し遠いがコンビニに行き、事情と場所を伝え、消防と救急に電話してもらった。同時にAEDを確保し、急いで現地に戻った。

 

悪いことに他の人はいなかった。真っ昼間で人気が元々少ない狭い道のため、パニックになった男では応援も呼べなかったらしい。

 

「誰か!!!いませんか!!!人が倒れています!!!……誰か!!!いませんか!!!」

 

俺が大声で叫んでも誰も来ない。

 

「脈は!?」

「みゃ、みゃく……?」

「もう良い!!!どけ!!!」

 

脈拍も確認してなかった……!だが、俺自身もさっきまで死ぬ気走っていたせいでろくに脈なんか測れない。

……仕方がない為、公園の木陰に白峰を移動させ、服の上から心臓マッサージをすることにした。

色々と怖かったのだ。

 

服の上からだと浅いのか一向に反応を示さない。心マを2セットやり、AEDを使おうかと思った時に救急隊か到着した。

 

そこからは直ぐだった。

警察も到着し、救急車は急いで病院へと走っていった。

事情聴取され、男はパトカー内で警官と話し合っていた。

俺と男の子にも女性警官が聞き、どんな状況だったか、家族に連絡はついてるのか、被害者との面識はなど色々、聞かれた。

 

聴取が終わった後、後日警察から連絡が来る可能性があると言われ、解散となった。

 

陽は大きく傾き、沈みかけていた。

太陽を見た瞬間、先ほどの事故の怖さ、目の前で一応知人の命が散ったかもしれないと考えると、目の前が真っ黒になりそうだった。

吐き気まで押し寄せてきた。

必死にこらえ、重い足取りで帰路に着いた。

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