女らんまと攻略する異世界地下迷宮   作:RNOVEL

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8.合体激流猛進

 通路の先は広いホールだった。やつざきアニマル、ソルジャーブル。さらにはキマイラロードまでその中にうじゃうじゃひしめいている。剣を打ち合う音、魔法の火が飛んでいる。

 

 ソルジャーブルの剣が戦士ガルザスの鎧を粉々に砕いた。悲鳴と飛び散るモンスターの血、もうメチャクチャだ。盗賊トゾルは敵にやられてしまったのか、もう姿が見えない。

 

「達也! 助けないと!」

 

 そう言われても、この中に飛び込んでいくのは危険すぎる。攻撃魔法の援護も、敵味方がごちゃごちゃでは使えない。そうしている間に魔法使いシルドーがやつざきアニマルの爪に引き裂かれた。

 

「待て! らんま、待て!」

 

 飛び出して行こうとしたらんまの腕をつかんで止めた。

 

 戦士ガルザスも、魔法使いシルドーもその場に倒れた。顔が青い。

 

 オレたちを睨みつけるモンスター軍。

 

「達也、気つけろよ。手加減は無用だ」

「あぁ、もちろん。わかってる」

 

合体激流猛進(がったいげきりゅうもうしん)を使うぞ、いいな?」

 

 高い攻撃力を誇る高レベルのモンスターたちに対しての有効技として、らんまは無差別格闘流㊙︎奥義・合体激流猛進をチョイスした。天道道場が道場破りに襲われたときに、道場破りが繰り出す激流のような攻撃を、この技によって打ち破ることができた。乱馬とあかねの合体技だ。

 

『合体!激流猛進!』

 

 オレとらんまは背中と背中を合わせ、腕を組合い、技名を叫んだ。

 

 

「らんまぁ、いいかぁ。ワン・ツー」

『スリー!』

 

 秒読みと共に高く飛び上がる。

 

「てやぁああ!!」

「つぁあああっ!!!」

 

 モンスター軍の大群に、まるで器械体操の大車輪のようにして突っ込んでいく。防御力と攻撃力を増大させ、やつざきアニマルとソルジャーブルを蹴り飛ばした。

 

 オレとらんまの力。勇者と武闘家の力で蹴り飛ばされたやつざきアニマルとソルジャーブルは壁にその体躯を勢いよく打ち付けられ、ノックアウト。

 

 ここまでは、乱馬とあかねの合体技だ。でも、オレたちは、さらに激流猛進を進化させる。

 

「いくっぜえええ、らんまぁああ!」

 

「おぉおぉおおーー!」

 

 一心同体。愛し合う男女ならではの技だ。

 

 さらに密着度を深め、高く飛び上がる。

 

『らんま&達也、異世界ファンタジー愛の究極奥義ぃ!合体・激流猛進!双龍脚ぅうう!!』

 

 ダブルライダーキックをキマイラロードに放った。

 

 スガドォオオンッ!!

 

 かいしんの一撃。

 

 見事にオレとらんまの異世界ファンタジー愛の究極奥義・合体激流猛進双龍脚が決まり、キマイラローを一撃で仕留めた。

 

「へへへ、どんなもんでぃ♪」

 

 結果的に許嫁であるあかねかららんまを奪う事になってしまい、心苦しく思うこともあった。でも、今、こうして、らんまと力を合わせ、高レベルのモンスターを倒せたことが心底、嬉しかった。死と隣り合わせのダンジョンでも、傍でらんまがいる事がなによりもの幸せだ。絶対に、このダンジョンで生き延びてやる。オレはそう心に誓い直した。

 

 無惨な死体のなかから先行パーティのガルザスたちを引っ張り出す。確かめるまでもなく全員が死んでいた。

 

「仕方ないとはいえ……」

 

 どうにもこうにもやりきれない。この世界じゃ死者蘇生の呪文は存在しない。死んだら、そのままだ。登録証や回復薬を回収した。オレ達には、せめてギルドに報告する事くらいしかできない。

 

「達也……やっぱり、いざ、こうやって、さっきまで生きてた奴らが死ぬとなると怖いな」

 

 珍しくらんまが震えていた。その気持ちはオレにも痛いほどわかる。ガルザスたちはオレたちを裏切ったことにはなるが、それでも、同じ人間だ。生気を失った器を見るだけで、胸が締め付けられるように痛い。

 

 オレは衝動的にらんまを抱きしめた。

 

「らんま……」

「達也……」

 

 らんまは泣いていたかもしれない。ガルザスたちが死んだことへの涙なのか、恐怖への涙なのかは、聞かなかった。

 

 しばらくしてから涙を拭い、また扉の先へと進んだ。

 

 

 オレたちは、このダンジョンを攻略する義務がある。

 

〜つづく〜

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