地球さんはLevel Upしました~ありふれてない天職で世界最強~   作:大筒木朱菜

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はい、皆さん。お久しぶりです、おはこんばんにちはーーーーーーーーーーーーーーーー。大筒木朱菜です。

リアルが忙しかったり、Vtuberに嵌まったり、ガンプラ製作に逃避したり、執筆済の話を大改訂したりしてたら、いつの間にか2年近く放置してしまってました。

誠に申し訳ないです。取り合えず、改訂済の話までを一気に再投稿します。








※注意事項
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=N(ノーマル)。銅色宝箱=R(レア)。銀色宝箱=SR(スーパーレア)。金色宝箱=SSR(スペシャルスーパーレア)。緑、青、赤等の色付き宝箱=UR(ウルトラレア)。虹色宝箱=SE(シークレットレア)になっています。
・無限鳥居ダンジョンの妖精の宿の滞在時間を24時間から48時間に変更。
・本作オリジナルのダンジョン地図が妖精の宿で販売。
・無限鳥居ダンジョン2つ目の山の難易度上昇。(魔物の出現数的な意味で)


第2話(大規模改訂版 2025/08/21)

 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

ダンジョン脱出後の検査入院も終え、地球さんがレベルアップしてから4日目。

 

剣術道場に通い始めた小4から日課にしていたのに、1日だけとはいえ検査入院やら聞き取り調査でサボってしまった早朝鍛錬を再開した。

 

いつも通り、私は5:00にパジャマから着慣れた剣道着に着替えると、木刀を腰に差して早朝持久走の為、家族を起こさない様に音を立てずに家を出る。

 

私は自分のステータスがバグってるから、レベルアップが身体に与える影響を検証することができない。

 

けど、地球さんのレベルアップ前とレベルアップ後――――ステータス制度が導入されて、先天的保有技能(スキル)に変化があるかを検証しようと思った。

 

例えば、特殊技能(ユニークスキル)化する前と後で全集中の呼吸の体に与える負担が変化しているか否かとか、そういうことが分かるかもしれない。

 

そんな訳で私は日課としている柱稽古―――基礎体力向上の全集中・常中を使用した持久走(5km)、腕立て伏せ、腹筋、スクワット(各300回)。地獄の柔軟。高速移動の稽古。太刀筋矯正も兼ねた鬼滅流型式素振り稽古(派生→五行→陰陽→天冥の順番で一式~終式まで)で技能(スキル)検証を行っている。

 

技能(スキル)検証ということもあって、太刀筋強制も兼ねた鬼滅流型式素振りには時間が掛かり、月詠型(ツクヨミノカタ)まで完了したのが10:00前くらいだった。

 

まぁ、鬼滅流は派生型式を増やし過ぎちゃったこともあって、時間が掛かるのも仕方がないことだったりする。

 

そして、川原で木刀を使った天照型(アマテラスノカタ)終式〝日ノ神神楽〟までの型式素振りやり終え、天神型(イザナギノカタ)の構えを取ろうとした時、見知らぬ女の子からいきなり声を掛けられた。

 

 

「あの……」

「はい?」

 

 

声を掛けて来たのは軽くウェーブする亜麻色のロングヘアがとても似合ったお嬢様だった。いや、その格好はジャージ姿でお嬢様っぽくは無かったけど。

 

〝透き通る世界〟で見た骨格や筋肉の成長度合から察するに、年齢は私と同じか1つ年上くらい。ただ、胸の大きさに関しては2~3歳年上に見える女の子だった。

 

 

「あなた、昨日もこの川原で木刀を振るっていませんでしたか?」

「はい。自己鍛錬の為に振るっています」

「自己鍛錬?」

「地球さんがレベルアップしたことで世界情勢が変わりました。誰かに守って貰うのではなく、自分や自分の大切な人を守る為には、自分自身が強くならなければいけないと私は思ったので、自己鍛錬を行っています」

「淑女らしい強い意志を持っていらっしゃるのね。尊敬いたしますわ!」

「今までの人生で淑女扱いされたのは初めてです。小学生から剣道やってるんですけど、中学では男子だけでなく女子からも剣鬼(けんき)扱いされてましたから」

剣姫(けんき)ですか?確かに先程の剣技は神楽舞の様でしたし、あなたは凛とした舞姫の様なので似合っていますわ」

「????」

「????」

 

 

剣鬼と舞姫にどんな関係性があるのだろう?もしかして、この子は不思議ちゃん系お嬢様なのかな?そういえば、自己紹介を忘れてた。

 

 

「私の名前は羊谷命子。今年の春から女子高校生になります」

「あら、私と同学年でしたのね」

「同学年?ということは―――」

「私も今年の春から女子校生ですわ。通う学校は風見女学園ですのよ」

「風見女学園?なら、同級生ですね。私も同じ学校に通いますから」

「……凄い偶然ですわ。……あっ、自己紹介を忘れていました。名乗り遅れて申し訳ありませんわ。私の名前は笹笠ささらと申します」

「ご丁寧な挨拶、ありがとうございます。ところで、笹笠さんがジャージ姿なのは日課でジョギングでもしてるんですか?」

「走り始めたのは今日からなのですが、羊谷さんと同じ様に自己鍛錬の為ですわ」

「…………もし、笹笠さんが剣術や剣道に興味があるなら、明日以降で一緒にやってみませんか?」

 

 

何となく手を差し出しながら剣術鍛錬に誘ってみると、笹笠さんは顔を紅潮させながら、唇をムニムニし始めた。そして――――

 

 

「宜しくお願いしますわ」

 

 

そう言いながら私の差し出していた手に握手をしてくれた。うん。高校入学前の春休みなのに、高校の同級生と青春しちゃってるね。

 

その後、笹笠さんの見ている前で天神型(イザナギノカタ)冥神型(イザナミノカタ)の型式鍛錬を続け、鍛錬を終えた後は私も笹笠さんも挨拶をしてからそれぞれの自宅に帰宅した。

 

午前中に笹笠さんと出会い、午後は風見町内にある自衛隊の仮設駐屯地で体力測定を行ったその日の夜。

 

自室で自衛隊から提供されたバネ金属と地上産金属を錬成魔法で合金へと精製する作業を行っていた。

 

精製した合金は全て仮設駐屯地に提供することになっていて、精製報酬として地上産金属を貰える契約になっている。

 

だから、私はダンジョンで造った滅竜刀を地金にし、報酬で貰った地上産金属と合成。鍔と柄もちゃんとしたものを作り、滅竜刀の造り直しをしていたりもする。

 

そんなことをしていると、母さんが来客を迎える声と同時に、階段を凄い勢いで駆けあがる音が私の部屋まで響いてきた。そして、壊れそうな勢いで私の部屋のドアが開けれ、1人の女の子が息を切らせながら現れた。

 

隣家の娘さんで1つ年下の幼馴染。私にとっては思春期最高潮(まっさかり)なもう1人の義姉妹(いもうとぶん)有鴨(ありかも)紫蓮(しれん)だ。

 

紫蓮ちゃんは思春期最高潮(まっさかり)ということもあって、某二刀流の様に黒をこよなく愛し、肌寒くも無い3月下旬から4月上旬であっても黒マフラーと黒コートを愛用し、片目に赤のカラコンを入れる中二病を極めた女の子なのだ。

 

 

「紫蓮ちゃん、お婆ちゃん家は楽しかった?」

 

 

私がいつも通りの笑顔で紫蓮ちゃんに接すると、紫蓮ちゃんは涙を浮かべ、「ぴゃぅ、ぴゃぅ」と泣きながら椅子に座っている私の腰に抱きついて来た。

 

 

「めーちゃん、無事で良かったよぅ……」

 

 

最近は思春期最高潮(まっさかり)で私のこともフルネームでしか呼んでくれなかったのに、今は幼児退行でも起こしたのか、幼少期の呼び方をするので愛しさ万倍だ。

 

 

「ほら、あんまり泣き過ぎると元気一杯な向日葵と太陽に笑われるよ?」

「………太陽は余計では?」

「擬人化って言うのかな?顔が描かれた太陽の中には暑苦しい笑顔を浮かべてるのもいるでしょ?」

 

 

取り敢えず、紫蓮ちゃんが落ち着くまで頭をよしよしと撫でて、落ち着いた後はダンジョンでの話を聞かせてあげた。

 

ついでに所有者認証とでもいうのかな?私以外が触れられないことを伝えた上で、滅竜刀・雷光と魔導書を見せてあげると、紫蓮ちゃんの眠たげな眼は今まで見たことがないほどの輝きを放った。

 

是非とも紫蓮ちゃんのこの目の輝きは維持したい。そう考えた私は、錬成魔法でバネ金属と地上産金属を使った特殊合金製の指輪を製作し、生成魔法で異空間宝物庫のみ使える程度の空間魔法を付与し、紫蓮ちゃんに渡すことにした。

 

あと、重複(ダブ)ってる水の魔導書も渡せないかな?意思を持ち始めてるっぽい水の魔導書にお願いしてみると、水の魔導書2号さんは了承してくれた。

 

私が宝物庫(指輪)と水の魔導書をプレゼントすると、紫蓮ちゃんは餌を貰ったトイプードルみたいにじゃれついて来た。まったく、愛い奴よのぅ。

 

で、私が自己鍛錬を始めたことも話すと、紫蓮ちゃんも気合満々というか、気合万倍みたいな雰囲気で自分もやると言い出し、更に今日は私の部屋に泊まるとまで言い出した。

 

こやつ、私を萌え殺す気か?まぁ、一緒の布団で寝るんだけどね。念の為言っておくと、百合百合な展開などは起こっていない。

 

――――地球さんがレベルアップして5日目。そして、私が自己鍛錬を開始してから3日目の朝。

 

自己鍛錬を始めた2日前から私は5:00に起きることを心掛け、剣道着に着替えると直ぐに家を出ていたけど、今日は出発時間を1時間遅らせます。

 

理由は鍛錬に幼馴染 兼 義姉妹的存在の紫蓮ちゃんが参加することになったからだ。流石に学校で運動部に所属している訳でも無い紫蓮ちゃんを5:00に起こすのは心苦しいのだ。

 

まぁ、紫蓮ちゃんを起こすのは6:00であっても、私が起きるのは5:00なんだけどね。紫蓮ちゃんが寝てる間に着替えを済ませ、家の庭でストレッチと鬼滅流の派生型式の素振りを先に済ませておく為です。

 

………そして、あっという間の1時間が経過。派生型式の素振りを終えた私は紫蓮ちゃんを起こし、笹笠さんと待ち合わせをしているランニングコースの入口へと向かった。

 

移動中に紫蓮ちゃんには笹笠さんも一緒に鍛錬を行うことを、笹笠さんとの出会いを含めて説明したんだけど、人見知りな紫蓮ちゃんは私と2人だけで鍛錬をすると思ってたみたいで、「ぴゃぅ」と可愛い悲鳴を上げていた。

 

ランニングコースの入口に到着すると、まだ笹笠さんの姿が見当たらなかったので、私は走る前にストレッチをすることを紫蓮ちゃんに勧め、私自身も追加のストレッチを始める。

 

ストレッチを始めて10分経った頃に笹笠さんが小走りで、私達のいるランニングコースの入口にやって来た。

 

 

「おはようございますわ!」

「おはよう、笹笠さん。……って、今日から鍛錬仲間になるのに敬語で話したり、苗字で呼ぶのは堅苦しいなぁ。タメ口でいいかな?あと、ささらって呼んでもいい?私は命子でいいから」

「か、構いませんわ!」

 

 

私の提案にあっさりと了承したささらだけど、その後にチラチラと紫蓮に視線を向け始めた。まぁ、紫蓮ちゃんを連れて行くとか言ってなかったから、誰だか気にはなるよね。

 

 

「この子は私の隣の家に住んでる幼馴染で、名前は有鴨紫蓮ちゃん。一緒に鍛錬したいって言ってたから連れて来たんだけど、大丈夫?」

「だ、大丈夫ですわ!」

「紫蓮ちゃん。こちら、さっき説明したこの春から私と同じで風見女学園に通う笹笠ささらさんだよ」

「わ、我は有鴨紫蓮ですけど。よ、よろしくですけど」

「わ、私は笹笠ささらですわ。こちらこそ宜しくお願い致しますわ」

 

 

2人の様子から私は、もしかしたら紫蓮ちゃんもだけでなく、ささらも人見知りし易い性質なのでは?と思ってしまった。

 

自己鍛錬中の私に声を掛けてきたくらいだから、ささらはそれなりにコミニュケーション能力が高いと思ってたし、紫蓮ちゃん相手でも上手く立ち回れると思ったんだけど、予想外の展開だ。

 

コミュ力人並みの私じゃ、ミジンコミュ力の紫蓮ちゃんと人見知り(仮)のささらの緩衝材を務めるには力不足!

 

 

「(何処かに2人の緩衝材を務められる陽キャなコミュ力の化身はいないものか?)」

 

 

そんなことを考えていると、ヘソだしタンクトップ&スパッツ姿の女子大生(仮)さんが小走りで私達の所にやって来た。

 

 

「おはよー。あなた、最近川原でよく木刀振るってる子よね?ここにいるってことは走ったりもするの?もし良かったら、お姉さんも一緒に走っていい?」

 

 

やってきた女子大生さん(仮)は私の求めていた陽キャなコミュ力の化身だった。唐突なメンバー追加にささらと紫蓮ちゃんが許容限界を迎えないか少し心配にはなったけど、これも1つの鍛錬だと思って、私は女子大生さん(仮)の提案を快諾した。

 

そんな訳で朝の持久走は急遽4人でスタート。ささらと紫蓮ちゃん、女子大生さん(仮)は普通に走ってるけど、私は木刀1本と竹刀2本が入った竹刀袋を肩に担いで、全集中・常中の状態で走ってる。

 

持久走を始めたのは2日前からだけど、走る時に使う全集中の呼吸は毎日変化させている。2日前は岩の呼吸だったし、昨日は雷の呼吸。そして、今日は水の呼吸だ。

 

 

「命子さん、変わった息遣いをしますのね」

「ヒュゥゥゥゥ――――呼吸って――――ヒュゥゥゥゥ――――仕方によって――――ヒュゥゥゥゥ――――色々と身体に影響を与えたり――――ヒュゥゥゥゥ――――するんだよ。

一般的に知られてるのは――――ヒュゥゥゥゥ――――ラマーズ法だね。――――ヒュゥゥゥゥ――――私が使ってるのは――――ヒュゥゥゥゥ――――身体能力を向上させる呼吸術――――ヒュゥゥゥゥ――――だけど」

「まぁ!呼吸でそんなことができますの!?」

「うん。――――ヒュゥゥゥゥ――――どれだけ動いても疲れなくなる――――ヒュゥゥゥゥ――――息の仕方があるんだ。――――ヒュゥゥゥゥ――――

正しい呼吸が――――ヒュゥゥゥゥ――――できるようになれば――――ヒュゥゥゥゥ――――夕暮れから明け方まで――――ヒュゥゥゥゥ――――剣を振り続けることもできるし――――ヒュゥゥゥゥ――――毎日フルマラソンを走ることも――――ヒュゥゥゥゥ――――できるようになるよ」

 

 

私が全集中・常中のことを分かり易く説明すると、ささらと紫蓮ちゃんだけでなく、女子大生さん(仮)まで「ほえ~」と感心というか、尊敬みたいな眼差しを向けてきた。

 

 

「それじゃあ、命子ちゃんはその正しい呼吸っていうのが使えるから、ダンジョンから帰って来れたの?」

「――――ヒュゥゥゥゥ――――あっ、お姉さんは私が――――ヒュゥゥゥゥ――――ダンジョン帰還者(サバイバー)って――――ヒュゥゥゥゥ――――知ってたんですね?」

「うん。TVに映って子だし話をしてみたくて、実は声を掛ける機会を狙ってたんだ。で、どうなの?」

「まぁ――――ヒュゥゥゥゥ――――全集中の呼吸――――ヒュゥゥゥゥ――――あっ、私の使ってる呼吸術の――――ヒュゥゥゥゥ――――正式名称なんですけど――――ヒュゥゥゥゥ――――全集中の呼吸が使えたから――――ヒュゥゥゥゥ――――ダンジョンの魔物と戦えたっていうのは――――ヒュゥゥゥゥ――――事実ですね」

「命子さんはTVに出たことがありますの!?」

 

 

この時、大江戸TVのニュースで私のことが報道されていたことを、ささらが知らなかったという事実が判明した。

 

 

「ヒュゥゥゥゥ――――(まぁ、映っている時間は街頭インタビューされる一般人程度の筈だったから、知らなくても仕方がないか)」

 

 

私がそんなことを考えていると、私も予想していなかったことを紫蓮ちゃんがぼそりと呟いた。

 

 

「フォーチューブに羊谷命子が刀を回転させながら納刀する所の動画がかなり出回ってる」

「あっ、それなら私も見たよ。大学でも知らない人がいなくて、ホームセンターで売ってる木の棒で再現しようとした人もいたよ」

「ヒュゥゥゥゥ――――!?フォーチューブで動画拡散とか――――ヒュゥゥゥゥ――――初耳なんですけど、私!!?」

 

 

えっ?あの場のノリでやった胡蝶しのぶモドキな納刀がフォーチューブで拡散されてるとか、肖像権は何やってるの!?

 

………けど、私もフォーチューブで街頭インタビューの放送事故動画とか見たことあるし、文句を言える立場じゃないのかな?

 

納得できる様な納得できない様な、そんな微妙な気持ちに心を揺さぶられる私に、ささらは褒め言葉を口にする。

 

 

「真似する方がいらっしゃるなんて、命子さんはすごい方ですのね」

「ささら、私はそんな大層な人間じゃないよ。長い長い人の歴史のほんの一欠片でしかないんだから」

「…………」

 

 

私とささらが仲良く(?)会話していることに嫉妬したのか、はたまた私の自己評価が低いことに納得いかないのか、紫蓮ちゃんは少しだけ頬を膨らませていた。

 

そして、持久走を終えた私達が女子大生さんと別れ、川原で基礎体力向上の続き―――ささらと紫蓮ちゃんには腕立て伏せ、腹筋、スクワットを各30回ずつしてもらい、地獄の柔軟まで終わると、太刀筋矯正もとい素振り―――ささらと紫蓮ちゃんには竹刀を貸して上げたよ―――へと移行した。

 

そして、いざ素振りを始めようとした瞬間、持久走の時の女子大生さんみたいに追加メンバーが現れた。

 

 

「命子お義姉様!」

 

 

現れたのは小学生女児6人―――小学生女児6人?なんか見た目が男児っぽい子もいるけど、多分ボーイッシュな女児だろう―――で、リーダー(?)っぽいツーサイドアップの女の子が私をお義姉様と呼んできた。

 

 

「………お義姉様なんて呼ばれる日が来るとは思わなかった」

「命子お義姉様、私達も一緒に剣の修行をさせて下さい!」

「「「「「させてください!」」」」」

 

 

自己鍛錬の素振りに参加したいと嘆願する小学生女児6人組。話を聞くと、大江戸TVニュースで放送された私の胡蝶しのぶ風アクションに魅せられ、少し早めの中二病(?)に覚醒してしまったみたい。

 

まぁ、真面目な部分を語ると、他人任せな大人の発言を腑抜けと断じ、自分の身は自分で守るという精神が小学生とは思えない成熟度合だった。

 

 

「その意気や良し!」

「命子さんの言う通りですわ!強くありたいと願うその思い、正しく淑女の精神ですの!皆さん、しっかりと命子さんについて行くのですよ!」

 

 

リーダー女児の話に人見知りの呪縛を消し飛ばされたささらは、私の言葉に続く様に言葉を紡いだ。

 

 

「はい!……ところで、お姉さんは……?」

「彼女は笹笠ささらさん。で、もう1人のお姉さんが有鴨紫蓮さん。2人とも鍛錬仲間で、義兄弟ならぬ義姉妹みたいのものかな?」

 

 

ささらに関しては出会ってまだ2日しか経ってないから、馴れ馴れしいかとも思いつつも小学生女児6人組にそう紹介するが、ささらからは特に否定の言葉は出て来なかった。

 

というか、私の発言にささらは顔を少しだけ赤く染めながら口をムニムニさせていた。

 

 

「そうでしたか。では、ささらお義姉様、紫蓮お義姉様とお呼びしてもいいでしょうか?」

「構いませんわ」

「ん」

 

 

親交を深めたかどうかは分からないけど、取り敢えず馴染むことはできたみたいなので、私は小学生女児達に鍛錬への参加条件を言っておくことにした。

 

 

「学校や家のことをちゃんとする。大怪我する様な無茶はしない。それを守れる子だけ鍛錬に参加なさい」

「「「「「「分かりました、命子お義姉様」」」」」」

 

 

小学生女児達の元気な返事に私は満足し、鍛錬への参加を許した。ただ、この日は小学生が使えそうな棒が無かったので、見取り稽古の重要性を説いた上で、今回は見学だけをさせることにした。

 

ささらと紫蓮ちゃんに関しては、竹刀の握り方から素振りの仕方といった基礎中の基礎を教え、最後に小学生女児達と一緒に私の使う鬼滅流の型式を見学して貰った。

 

鬼滅流の型式を目にしたささらと紫蓮ちゃん、小学生女児達の目は自然豊かなキャンプ地で見上げる星空の様に輝いていた。

 

自己鍛錬もとい柱稽古4日目。今日は第二の稽古である基礎体力向上訓練―――持久走に新たな参加者が現れた。頬のこけたいかにもインドア派といった男の人だ。

 

ある意味予想通りなんだけど、インドア兄ちゃんは持久走1kmで嘔吐してしまい、ヨロヨロと帰っていった。まぁ、この時に女子大生さんが明日も来る様に一喝してたけどね。

 

ちなみに私の行う柱稽古の順番は地獄の柔軟→基礎体力向上→太刀筋矯正→高速移動技術体得→持久力向上(無限打ち込み稽古)→筋力強化となっている。

 

当然、参加者の技量に合わせて難易度を下げる仕様で、現状では太刀筋矯正までしかやってないけどね。

 

前日の女児6人組+私の妹であるモモちゃんを含む小学生集団も入門者仕様の柔軟から参加している。

 

小学生ということもあって、基礎体力向上訓練も持久走1.5km。腕立て伏せ、腹筋、スクワットは各10回と入門者仕様だ。

 

太刀筋矯正訓練で使う獲物は、ささらと紫蓮ちゃんが前日と同じ様に私の持ってきた竹刀を使い、小学生組には私が100均で買った木工用の棒を錬成魔法で加工した簡易木刀を使って貰った。

 

普通なら急に人数が増えたことで木刀が足りなくなる筈なんだけど、素材が100均の壊れ易い棒であることを考慮して、最初から12本買って来ていたことと、自分で棒を持参した子がいたことから、簡易木刀は全員に行き渡った。

 

 

「「「「「「「「「「1!2!3!4!」」」」」」」」」」

 

 

少女達の掛け声が川原に響き渡る中、私は変な癖がつかない様、1人1人に素振りの基礎中の基礎を指導していく。すると、1人の老人が川原に姿を現した。

 

 

「………只者じゃないですね。何者ですか?」

 

 

私達の前に姿を現した老人に対し、私は一流の剣客が放つ裂帛の気合―――剣気を放つ。

 

 

「ほっほっほっ。よもや、その歳でそれほどの剣気を放てるとは、驚かされるわ」

 

 

老人は私の放った剣気を笑って受け流した。この老人、かなりできる。

 

 

「ささら、紫蓮ちゃん。ちょっと竹刀返してくれる?」

「は、はい」

「……ん」

 

 

私は自分の持ってる木刀を預けて、代わりに2本の竹刀を受け取ると、その内の1本を老人に投げ渡した。

 

 

「何処の何方か存じませんが、かなりの使い手とお見受けします。ここは1つお手合わせを願えませんか?」

「よかろう。掛かって来なさい」

 

 

この掛け合いの後、私と老人による川原でのストリートファイトが開始。最終的には体力の差で私が勝てたけど、老人が全盛期だったなら技量の差で負けていたかもしれない。

 

毎日昼過ぎに尋ねている自衛隊の仮設駐屯地で、現役自衛官と竹刀を使った試合をしているからこそ言えることなんだけど、この老人は現役自衛官――尉官より強いと断言できる。

 

そして、この日からこの老人―――サーベル老師も私と一緒に柱稽古―――主に剣術の指南役を務めることになった。

 

柱稽古5日目。前日のことで心が折れたかと思ったインドア兄ちゃんは、今日も基礎体力向上訓練に参加した。

 

ただ今日も持久走1kmで嘔吐し、女子大生さんに活を入れられて帰宅。暫くは同じ光景を目にする気がするけど、このまま心が折れなければ、インドア兄ちゃんは強くなれる気がする。

 

あと、この日も私やささら、紫蓮ちゃんが太刀筋矯正訓練を始める時間になると参加者が増殖していた。しかも、小学生だけでなく高校生まで。ただ、参加者の9割強は女子だったりする。

 

日に日に男子への敷居が高くなっている状態で、4日目に指南役として参戦したサーベル老師と数人の男子小学生にとってはハーレムと言える様な状態だった。

 

柱稽古6日目と7日目。柱稽古の鍛錬メニューに変更なし。変化があったとするなら、川原周辺に住む御隠居さんや専業主婦さんが持て余している時間を利用して鍛錬への参加を始めたことくらい。

 

大人達の役割は子供組へのサポートがメインで、脱水症状防止のスポーツドリンクによる給水サービスや、休憩用設備の設置。

 

子供の使う木の棒の加工やプラスチックゴーグルなどの小学生用防具の購入など、金銭面のサポートまで行ってくれて、本当に頭が上がらなくなった。

 

8日目。自衛隊の風見町仮設駐屯地で、自衛官相手に全集中の呼吸の開示と鬼滅流の型式指南を開始。

 

川原で行われていた柱稽古を入門者仕様だとするなら、これまで自衛隊で行ってた柱稽古は初心者仕様で、今日から自衛隊では柱稽古+鱗滝流育手鍛錬法が始まった。

 

ちなみに初心者仕様の柱稽古は、地獄の柔軟。基礎体力向上でフィールドアスレチックを利用した障害物持久走5km。腕立て伏せ、腹筋、スクワット(各500回)。太刀筋矯正(←ここに鬼滅流型式指南を追加)。高速移動の稽古。無限打ち込み稽古。筋肉強化訓練となっている。

 

自衛官は元から一般人より肺が鍛えられていた上、柱稽古の効果もあって呼吸術を会得できる可能性ありと判断し、私は〝透き通る世界〟で適性呼吸を判別して、各々に適した呼吸法を意識的に行えるように指南した。

 

鱗滝流育手鍛錬法を組み込んだ無限打ち込み稽古では、何人もの成人男性がorz状態になっていた。

 

まぁ、下士官だったとしても戦闘のプロが中学を卒業したばかりの小娘相手に、1対多数で一方的にボコられたら当然の結果なのかもしれない。

 

筋肉強化訓練では丸太3本を担ぐ修行と身の丈以上の大岩を100m押して運ぶ修業を行っている。

 

これも私が実践した時―――私の場合、担ぐ丸太の数が5本で、押して運ぶの大岩が身の丈の倍以上だったこともあって、見ていた自衛官全員は眼球が飛び出しそうな程に目を見開いていた。

 

11日目――私とささらが風見女学園に入学式を迎える3日前。私は全集中の呼吸の存在を一般開示した。

 

呼吸術の指南を受けられるのは、入門者仕様の柱稽古を最後までやり抜いた人限定。鬼滅流の型式指南は太刀筋矯正を突破できた人限定とし、現時点では30名強が及第点で型式指南を受けられる様になっている。

 

ただ、型式指南資格持ちの6割―――18人が型式指南よりも肺活量強化に力を入れる異常事態が現状だったりする訳なんだけど。

 

呼吸術の指南を受けられる資格持ちは0人だから、もしかしたら私の使う呼吸術を見様見真似で使おうとか思ってるのかもしれない。

 

まぁ、体育会系や文化系、自衛官や一般人とか関係なく、全集中の呼吸は一朝一夕や見様見真似で身に付くものでもないんだけどね。

 

………いや、時透無一郎が1ヶ月で鬼殺隊の柱になったことを考えると、才能があれば一朝一夕や見様見真似で身に付く可能性も無きにしも非ず、かな?

 

それはそうと、徐々に組織化しつつあるこの川原の柱稽古。世界中で形成される青空修行道場の元祖となり、私のその鍛錬組織の総師範的な認識をされるとは、この時の私は思ってもみなかったのである。

 

 

 




アンケート内容
①【無限鳥居でのささら達のレベリング手段】
・最後まで地道な魔物との戦闘で得られる経験値
・妖精の店での宿泊3日目の夜に昇華魔法と変成魔法で強制レベルアップ



②無限鳥居ダンジョンボスはどれ?
・八岐大蛇幻影体・弱(戦闘能力値:2250?)←3つ首
・八岐大蛇幻影体・狂(戦闘能力値:4250?)←8つ首

無限鳥居ダンジョンボスはどれ?

  • 八岐大蛇幻影体・弱
  • 八岐大蛇幻影体・狂
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