地球さんはLevel Upしました~ありふれてない天職で世界最強~ 作:大筒木朱菜
リアルが忙しかったり、Vtuberに嵌まったり、ガンプラ製作に逃避したり、執筆済の話を大改訂したりしてたら、いつの間にか2年近く放置してしまってました。
誠に申し訳ないです。取り合えず、改訂済の話までを一気に再投稿します。
※注意事項
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=
・無限鳥居ダンジョンの妖精の宿の滞在時間を24時間から48時間に変更。
・本作オリジナルのダンジョン地図が妖精の宿で販売。
・無限鳥居ダンジョン2つ目の山の難易度上昇。(魔物の出現数的な意味で)
【視点:命子】
地球さんがレベルアップして以降、日課となっている柱稽古の基礎能力向上訓練。いつもは河川敷を走っているんだけど、今日は気分転換に農道を利用している。
河川敷で走る時は柱稽古コミュニティの女子大生さんやインドア兄ちゃんも含まれるんだけど、今日は急遽場所を変更した為、農道を走っているのは私とささら、紫蓮ちゃんの3人だけだ。
全員が給水用のスポーツドリンクや何かあった時の応急治療セットが入ったリュックを背負った状態で走っている。
というか、傍から見れば私が一番目立つと思う。剣道着姿でリュックを背負って、御小遣いで追加購入したのも含めて木刀が3本入った竹刀袋を肩に担いで走っているからね。
リュックを背負ったジャージ姿のささらと紫蓮ちゃんが普通過ぎるから、私の目立ち度は倍ドン倍といったところかもしれない。
ちなみに木刀が増えた理由は、ささらと紫蓮ちゃんが太刀筋矯正訓練で使用している竹刀を持ち替えて貰おうと思ったからだ。
竹刀、木刀、コスプレとかで使用される模造刀(金属製)、本物の刀剣を重さで分かり易く比べると、竹刀<木刀≪≪模造刀≪刀剣となる。
竹刀は竹材を4つ組み合わせた構造で中身が空洞な為、剣術の道具の中では一番軽い。木刀は木材から加工されているとはいえ、中身が空洞という訳ではないので、竹刀より当然重い。
金属製の模造刀は、コスプレ用のものであっても金属が使用されているので、木刀より圧倒的に重い。
ただ金属製模造刀はアルミ、亜鉛、銅などの合金類を素材に作られているから、鋼と鉄を素材にしている本物の刀剣より幾分か軽い。
将来的に魔物が地上に出て来た時、本物の武器を手にしなければならないなら、鍛錬用の道具は使い慣れる度に本物の武器に近い重さのものに変更していくべきだと思って、2人用+予備で新しく木刀を用意したって訳だ。
まぁ、刀剣類に著しく類似した形態、構造を有する硬質性のものを携帯することは銃刀法に抵触するから、金属製模造刀は野外鍛錬で使用できないんだけどね。
野外鍛錬で使用できる刀剣状の道具は木刀が限界。まぁ、2人の為に用意した木刀は、バネ金属と地上金属を物質融合させた上、重力魔法と魂魄魔法を生成魔法で付与した特殊武装だけどね。
使用者の力量と使用目的に合わせて木刀自身の重量が変化する仕様で、最大重量設定は15kg。木刀自身の硬度は建設現場で足場に使われる鉄パイプくらいにしてある。
試合で使ったら大怪我の原因になるけど、個人的な素振り用や実戦での使用を考慮した場合は最高の初心者用武器になると思う。
つまり、私は持久走に向かない剣道着姿で、応急治療キットやスポーツドリンク(2L×2)等が入ったリュックを背負い、総重量が斬馬刀もしくはバスターソードに相当する3本分の木刀を肩に担いで走っていることになる。
これだけの荷物を持って持久走をすれば、それなりの負荷が身体に掛かって、体も鍛えられるんだろうけど、私の場合はステータスのお陰もあって、特に体が鍛えられるといった感じもしない。
「………(ステータスが高過ぎるのも善し悪しだなぁ……)」
そんなことを考えながら持久走を続けていると、私達は数台の工事車両と擦れ違った。
地球さんがレベルアップし、私がダンジョンから生還して以降、風見町で工事車両が走っている光景は下校中でもよく見かけるものとなった。
出現方法は未公開だけど、将来的に魔物が地上に出現することは地球さん自身が公開した確定情報だ。
可能性として考えられるのは、ダンジョン内の魔物が転移渦から溢れ出て来る状態だろうから、発見済みのダンジョン転移渦を囲う様な設備を建設する為、工事業者が派遣されるのは自然な流れだろう。
そして、詳細では無いものの、世界で最も情報を得られているダンジョンのある町ということもあって、風見町には日本中の自衛官や警察官が研修の為、訪れる様になった。
ぶっちゃけ、地球さんがレベルアップするまでの風見町は、東京に近いとはいえ山と河川がある割と一般的な日本の田舎町でしかなかったので、凄い変わり様だと思う。
工事車両と擦れ違ってから暫く経ち、農道の中間にある駐車スペースで小休憩を取りながら、少しずつ変化していく生まれ育った町を眺める。
「………(ダンジョンが一般公開されるようになるとしたら、風見ダンジョンは初心者冒険者向けダンジョンとして活用されるのかな?
もし、そうだとするなら風見町は冒険者を育成する町として発展するだろうし、冒険者学校とかも開校するかもしれない)」
「これから先、風見町は賑やかになっていきそうですわね」
「………政府から風見ダンジョンが【ランク1】に認定されたから、ダンジョンが一般公開されたら、ダンジョンを探索する冒険者のはじまりの町になりそうだね」
風見町を眺めながら考え事をしていた私に、ささらが同じ様に街を眺めながら言葉を掛けてくれたので、私は自分の想像する風見町の未来を口にした。すると――――
「…………冒険者のはじまりの町」
「どうしたの、紫蓮ちゃん?」
「RPGの最初の町みたいな響き。この町で勇者が誕生する前兆かも」
「…………私が言えた義理じゃないけど、中二病が過ぎると思うよ。紫蓮ちゃん」
「ぴゃぅ!?」
「紫蓮さんのお言葉、強ち間違ってないかもしれませんわ。命子さん」
「ささら?」
「この町にはダンジョンから情報を持ち帰った世界初のダンジョン生還者がいるのですもの。勇者や英雄といったジョブに就ける人もきっと現れますわ」
ささらは紫蓮ちゃんの発言を肯定しながら、私に輝く視線を向けてきた。いや、ステータスや
勇者や英雄とは対極の存在だよ。どうせ魔王になるなら、覚醒魔王ではなく真なる魔王になりたいかな?そもそも勇者や英雄、魔王ってジョブなの?どちらかというと称号な気もするんだけど。
閑話休題。軽いお喋りと水分補給で小休憩を終えた私達は、再び走り込みを始めた。
私達の走っている農道の左手は町を眺めることができ、右手には見慣れた風見山を見上げることができる。
「…………(漫画やラノベの創作物だと、山で鍛錬や修業するのが定番だよね。普通に山を登り下りするだけでも鍛錬になりそう)。ねぇ、2人と――――」
「命子さん。あちらに居られるのはルルさんでは?」
私が2人に登山を提案しようとした瞬間、ささらが唐突に私にそんなことを訪ねてきた。ささらの視線の先に目を向けると、そこには確かに見知った姿があった。
見慣れた制服姿ではなく、チェック柄のワイシャツにオーバーオールという牧場主の一人娘を彷彿させる姿ではあったけど、絹の様なロングの金髪に雪のように白い肌、宝石のように輝く青い瞳に170cmの長身を持つ女子は、私の記憶の中にも流ルルしか存在しなかった。
「偏見かもしれないけど、チェック柄のワイシャツにオーバーオールの女の子って、牧場主の一人娘っぽいよね?牛や羊と戯れて、牧羊犬を引き連れてそうなイメージ」
「………ルルさんは陽気な方ですし、確かに似合いそうですわね」
「???……誰?」
「あの子は私とささらのクラスメイトだよ、紫蓮ちゃん」
「この近くに住んでいらっしゃるのでしょうか?」
「どうだろう?散歩でこの辺りまで来た可能性もあるし、土地勘がない場合は迷子の可能性もあり得るかな?念の為、声掛けとこうか」
「確かにキスミアから日本に来られたばかりですし、その方がいいかもしれませんわ」
「………」
ささらとの軽い話し合いで流さんに声を掛けることとなり、念の為紫蓮ちゃんにも視線で尋ねてみると、私とささらの会話から流さんが日本に来て間無しだと理解できたようで、声を掛けることに納得して貰えた。
「流さーん。流ルルさーん。もしくはルル=ナッガーレさーん」
私が病院や市役所での呼び出しみたいな呼び掛けをすると、流さんは私達の方に振り返って、花の咲いた様な笑顔を見せてくれた。
「
「本当、奇遇だね。私達は普段、農道なんて利用しないから、正に奇跡的偶然だよ」
「
猫ちゃんの鳴き真似もとい、キスミア語をガンガン飛ばして来る流さん。日本語の「うん」や「はい」に相当するキスミア語が「ニャウ」で、日本語の「わー」や「きゃー」、「やーん」に相当するキスミア語が「にゃーん」になるみたいなんだけど、キスミアは猫人の国なんだろうか?
いや、可愛いけどね。アニメ版ゲゲゲ○鬼太郎6期の猫娘が現実に現れた様なものだから、可愛いのは理解できるけどね。
「今は鍛錬の基礎である走り込み中だよ」
「
「(ん?今、忍者とか言った?私の聞き間違いかな?)……流さんは何してたの?」
「私のことはルルでいいデスよ。私はニンジャのカクレ里を探してたデス!」
「(聞き間違いじゃなかった!まぁ、ルルは海外暮らしの長いハーフさんだから、忍者が現代日本にもいると思ってるんだろうな)……あのね、ルル―――」
「ル、ルルさん。今の日本―――」
「(紫蓮ちゃん!)」
「(了解!)」
私がルルの夢を壊さない様にオブラートに包んだ現実を教えようとすると、ささらがオブラート無しで現実を叩きつけようとしたので、私は紫蓮ちゃんにささらの発言を妨害するように視線で指示を送った。
紫蓮ちゃんはささらの口を手で覆って発言を妨害。私はささらの発言に続く様に現代日本の忍者について語り始めた。
「ルル。現代日本でも残ってる忍者の隠れ里は、伊駕や甲駕、楓魔といった有名所だけで、風見忍軍みたいな小さい忍者の隠れ里は有名な所に吸収合併されちゃってるんだよ」
「
「
「………その噂、我も聞いたことがある」
「わ、私も聞いたことがありますわ!!」
紫蓮ちゃんが手で口を覆った理由を察したのか、私の法螺話に紫蓮ちゃんだけでなく、ささらまで話を合わせてくれた。
他者に不利益をもたらす嘘―――詐欺行為などの場合、カルマ値が引かれることになるけど、今回の様な人の夢を壊さない為の優しい嘘の場合はカルマ値が下がることがない。
「
「………忍者には会えないけど、隠れ里跡地なら見れるかもしれないよ?まぁ、跡地と言っても元は隠れ里だから、そう簡単に見つからないかもしれないけど」
「………
「これから山に入るなら、私達も一緒に行っていい?登山も良い鍛錬になりそうだし」
私がそう言いながら、ささらと紫蓮ちゃんに事後承諾を得ようと視線を送ると、2人とも私の提案を受け入れて頷いてくれた。
「実は1人で登るのが心細かったデス。だから、メーコとシャーラ、あと―――」
「紫蓮。有鴨紫蓮ちゃん、ね。私の幼馴染で妹分だよ」
「
「あの、ルルさん。私はシャーラではなく、ささらですわ」
「
「いいえ。ささら、ですわ」
「???シャーラ?」
「……キスミア風の発音だと、「ささら」が「シャーラ」になるんじゃない?私も「めいこ」じゃなくて「メーコ」だし、可愛い渾名や愛称だと思って受け入れようよ」
「渾名……。仲の良い友達同士で使われる愛称ですわね!ルルさん、私のことはシャーラで構いませんわ!!」
「???シャーラ、デス!!」
私達はルルと友好を深めた後、ありもしない風見忍軍の隠れ里跡地を探す為、風見山へと登ることになった。
風見山の山道を歩いてる間、私はルルと色んな話をした。まぁ、私からできる話はダンジョン関係と自分の特技や趣味の話だけなんだけどね。
ルルから聞けた話は、キスミアは親日国で純キスミア人でも簡単な日本語なら通じるとか、日本の漫画がキスミア国民に多大な影響を及ぼし、社会現象を起こしたといったものがメインだった。
あと、猫語を彷彿させるキスミア語は日本でも使うべきという、ルル父の
まさか、ルル父も実の娘の口から自分の
そして、登山中に女子中高生4人で猫語もといキスミア語の「ニャウ」と言い合う、萌えを知る者にとって最高の萌えイベントも発生した。
ぶっちゃけ、鍛錬とは思えないほのぼのとした時間を楽しみながら、私達はあっという間に風見山の中腹に存在する桜の木とお社のある場所に辿り着いた。
桜の花は満開で、散り積もった桜の花弁は地面にピンクの絨毯を作り出し、現在進行形で舞い散る桜吹雪と山の神様を祭っていると思しき社が幻想的な光景を生み出している。
もし、風見山に京都の伏目稲荷の万本鳥居みたいに大量の鳥居が存在したら、私達は和風ファンタジーな世界に迷い込んだと勘違いしていたかもしれない。
…………実際に地球さんがレベルアップしたことで、ファンタジー世界そのものは現実化している訳なんだけど……。
取り敢えず、滅多に来ることの無い風見山のお社まで来たんだから、山の神様(仮)に願掛けでもしておこう。
「…………」
「何をしてるデスか、メーコ?」
「願掛け」
「願掛け、ですの?」
「
ルルとささらの質問に答えると、紫蓮ちゃんも私と同じ様にお社様に願掛けを始めた。
「…………」
「紫蓮ちゃん?」
「羊谷命子の身に起こったことが我が身に起こらないという保障は無い。だから、気休めでも我も願掛けしておく」
「そう、ですわね。予期せぬ形でダンジョンに入ってしまう可能性は、前例がある以上私達にもあり得ることですわ」
「シャーラとシレンの言う通りデス。それにダンジョンじゃなくて山でもソウナンしたら大変デス。無事に帰れる様、神サマにお願いしておくデス」
ささらとルルもそう言い終えると、紫蓮ちゃんに続く様に願掛けを始めた。
風見山は山道が整備されているから、流石に中高生4人組が遭難することを心配する必要はないと思うんだけど、願掛けの内容は人それぞれかな。
3人は願掛けを終えると、スマホで写真撮影を始める。紫蓮ちゃんは前にウィンシタをやってると聞いたことがあるけど、ささらとルルもやってるのかな?私はルインしかやってないから良く分からない。
「メーコは写真を撮らないデスか?」
「ん~……、撮った所で家族以外に見せること無いだろうし、写真見せる位なら休日に家族と直接見に来るかな」
「………そういえば、羊谷命子はウィンシタやってない」
「「!!?」」
「
この後、3人の勧めで、色々と教えて貰った上で私もウィンシタを始めることになった。互いにアカウント登録をし合って、自撮りで集合写真を撮り終えると、それぞれが画像をウィンシタに上げた。
これが所謂ウィンシタ映えという奴なんだろうか?その辺りの感覚が私にはよく分からない。
お社正面である程度写メを取り終えると、今度はお社の裏側でウィンシタ映えする絵が撮れるかな、という話になり、私達はお社の裏側へと移動し始める。
この考えと行動がお社に祭られている神様の気に障り、神罰を喰らわされたのか、私達は不運にも桜の花びらの絨毯で隠されていたダンジョンの入口である転移渦を踏んでしまい、ダンジョンへと強制転移させられることとなった。
これが私にとって2回目であり、ささらとルル、紫蓮ちゃんの3人にとっては初めての、そして私達4人
これは所謂神罰というものなんだろうか?風見山にあるお社の裏側で、ウィンシタ映えしそうな画を撮ろうと移動したら、目の前に広がるのは明らかにお社の裏側とは異なる光景。
目の前には兵庫県朝呉市の嶽田城から見渡せる様な見事な雲海と、京都府の伏目稲荷大社の万本鳥居みたいに全てが整然と並んでいる訳ではないけど、大量の立派な朱の鳥居を確認できた。
本来なら私達の後ろ側にある筈のお社と桜の木も消え去り、立っている場所も円形に整備された石畳に変化している。
疑いようのない強制転移。風見山との共通点は満開の桜だけしかない。これが神罰でないとするなら、お社に願掛けしたことで建ってしまったフラグというものだろうか?
しかも、このダンジョンは明らかに現時点で日本政府の確認できている迷宮型とは異なる、建造物の外側―――
転移渦の色が確認できなかったから、ダンジョン難易度は未知数。帰還者0の不帰級ダンジョンの可能性も十二分にあり得る。
私はここまで思考した時点で空間魔法の〝界穿〟でダンジョンからの脱出を試みる。しかし―――――
「!?(〝界穿〟を使おうとすると魔力が霧散する!!?なら、〝界越〟で―――!!!?)」
私が〝界穿〟だけでなく、〝界越〟すら使えないことに驚愕していると、その理由が地球さんに似た声音だけど、やけに事務的というか棒読みな声質で脳内に直接叩き込まれた。
≪告!魔法や
つまり、一度はダンジョン攻略もしくは離脱転移渦を探さなければならないということ。神代魔法だけでなく、概念魔法にすら干渉するとは、地球さんも中々にやりおるわ。
魔法での強制脱出が不能であると理解できた私は、即断即決で空間魔法の宝物庫から滅竜刀・雷光と6属性の魔導書を取り出して装備する。
「命子さん?」
「メーコ?」
「めーちゃん………」
某英雄王がバビロンの宝物庫から宝具を取り出す様な光景を初めて目の当たりにしたささらとルルは呆気にとられた様な顔をし、私がいきなりフル装備したことで不安そうな顔を浮かべる紫蓮ちゃん。
「私達、ダンジョンに強制転移されたみたい」
「こ、ここがダンジョンですの!?」
「想像してたのと違うデス!」
「……………」
「安心して、3人共。私が生きている間は
「「「……………」」」
私が出発点から唯一の先に進めると思しき下り階段に向けて歩を進めながらそう告げると、3人は黙り込んだ。
私と違ってチートではない女子中高生だ。これから我が身に起きることを考えれば、さぞ不安なことだろう。さぞ怖いことだろう。黙してしまうことも仕方ないこと。
私がそんなことを考えていると――――
「………私達が命子さんに全ての責任を押し付けるとお思いですか?」
「ささら?」
「シャーラの言う通りデス。皆で力を合わせてダンジョンから出るデスよ」
「ルル」
「……桃園の誓いならぬ桜園の誓い」
「紫蓮ちゃん」
「それは良いですわ、紫蓮さん!」
「トーエンの誓い?」
「三国志演義で劉備、関羽、張飛が結んだ義兄弟の契りのこと」
「………まぁ、結婚式での死が2人を別つまで、っていうのが一番近い宣言なのかな?
私達4人の姓は違うけど、義姉妹の契約を結んだからには互いに助け合い、生まれた日は違っても死ぬ時は同年同月同日を願う、っていう意思表明だね」
「
「いやいや、ダンジョンに関しては生き急いでる感が半端無い私に3人を巻き込む気は毛頭ないよ。けど、1人より4人で頑張った方が早く脱出できるかもね」
私はそう言い終えると、竹刀袋に入れていた特殊木刀と宝物庫に保管していたネックレスを3人に手渡す。
「羊谷命子、このネックレスは?」
「身体能力とか防御力を向上させる
私が3人に渡したネックレスは改良型ラスト・ゼーレ。付与されている基本効果は所有者の基礎能力向上。
あと、
まぁ、「ありふれ」のラスト・ゼーレとチートメイトが融合して、一刀修羅、金剛が追加されただけのチート系身体能力強化アーティファクトでしかない。
ちなみにアーティファクトの素材はダンジョン産バネ風船のバネだよ。武器にも装飾品にも流用できる万能金属だね。
特殊木刀とラスト・ゼーレ改を装備していれば、無職でもバネ風船程度なら対応できる筈。
「羊谷命子。我、魔導書ある」
「紫蓮ちゃんはジョブ無しだから、魔導書での攻撃方法も中距離遠隔打撃しかないでしょ?接近された時の攻撃方法がないのは危険だと思うよ?」
「…………一理ある。なら、少しだけ木刀を強化したい。改造してもいい?」
「そういえば、紫蓮ちゃんは生産魔法持ちだったね。既に魔改造済みだけど、いいよ。使う素材は何にする?」
「ん。バネ風船のバネで木刀の刀身を補強して、柄に滑り止めとして風船残骸を付けたい」
「……錬成魔法でバネ金属と合成済みだから、木刀自身の硬度は鉄パイプと同等だし、改造するなら柄の滑り止めと西洋剣特有のナックルガードを追加する程度にしておいたら?」
「ん。なら、そうする」
4人で協力してダンジョン探索をすると決めた以上、出発前に現時点でできる限りの準備を整える必要がある為、私は紫蓮ちゃんの意見に同調しつつ改造点のアドバイスを行い、特殊木刀の改造素材を提供した。
「紫蓮ちゃんが武器の改造を行ってる間に私達の戦力確認をしよう。ささらとルルの
「ええ。私の
「
「……魔力値20ってことは、2人とも地球さんがレベルアップした時に祝福したんだね」
地球さんレベルアップした時に祝福した人は、称号と+10の魔力値が得られることが某掲示板でも特定されている確定情報だ。
つまり、この
「ささらの防具性能上昇は分かるけど、ルルの見習い忍法って何ができるの?体術能力向上とか幻術とか忍術が使えるの?」
「水遁忍術が使えるデスよ」
「(水遁忍術!?NAR○TOの〝水遁・水龍弾の術〟とか使えるのかな?いや、見習いだし使えるとしたら〝水遁・水弾の術〟とかかな?)……それ、凄くない?」
「
ルルはそういうと印を組み、地面からショボイ噴水みたいな水を出し始めた。
「……………それ、水遁忍術じゃなくて水芸じゃない?ルルの
「水遁忍術以外にも高速移動がありマース。最初からトップスピードが出せる地味な
「………いやいや!?高速移動の方が水遁もどきより凄い
取り敢えず、全員の
「一番手っ取り早いのは私が
「ありえませんわ!」
「
「なら、
けど、魔物との戦闘で相手にダメージを与えないと、レベルを上げる為の経験値は得られない。
私の場合は魔導書の操作範囲が直線距離で50mはあるけど、紫蓮ちゃんも私と同じとは限らない」
「あの、紫蓮さんが魔導書を使うことを前提に話を進めるのはどうしてですの?」
「ああ。私が最初のダンジョンに入った時、ドロップアイテムで水の魔導書が重複して、紫蓮ちゃんに譲ったんだよ。
だから、紫蓮ちゃんが水の魔導書を装備することを前提で
魔導書から放つ魔法も、ジョブに就くことで使用可能と考えるなら、魔導書でできる攻撃手段は物理打撃のみ。
ジョブ無しでも遠隔操作ができるなら、操作範囲次第で
遠隔操作ができない場合は、柱稽古で太刀筋矯正を受けているささらと紫蓮ちゃんが2人1組の
まぁ、この
遠距離攻撃手段のある私なら後方から全体を見渡すことで、適宜援護射撃ができるだろうし。紫蓮ちゃんの魔導書操作技術次第では
「「…………」」
「ささら?ルル?」
「ッ!だ、大丈夫ですわ!命子さんの考えた
「ワ、私もシャーラと同じデス!」
「???そう?まぁ、魔物との初戦闘は参考にならないかもしれないけど、私が見本戦闘を見せる為、
例えば、ルルが1回の水遁忍術もどきでMPを3消費した訳なんだけど、MPを回復させるのにどれだけの時間が掛かるのか、といった検証だ。
検証結果は1分でMP1回復することが分かった。ソシャゲとかだと、戦闘ポイントを1回復させるのに5分かかるのもあるから、それから考えると回復時間が良心的だよね。
紫蓮ちゃんが特殊木刀の強化を終えると、
ちなみに紫蓮ちゃんが強化した特殊木刀の名称は、製作者である紫蓮ちゃんの希望で灰王の剣となった。
アンケート内容
①【無限鳥居でのささら達のレベリング手段】
・最後まで地道な魔物との戦闘で得られる経験値
・妖精の店での宿泊3日目の夜に昇華魔法と変成魔法で強制レベルアップ
②無限鳥居ダンジョンボスはどれ?
・八岐大蛇幻影体・弱(戦闘能力値:2250?)←3つ首
・八岐大蛇幻影体・狂(戦闘能力値:4250?)←8つ首
無限鳥居ダンジョンボスはどれ?
-
八岐大蛇幻影体・弱
-
八岐大蛇幻影体・狂