地球さんはLevel Upしました~ありふれてない天職で世界最強~   作:大筒木朱菜

13 / 19
はい、皆さん。お久しぶりです、おはこんばんにちはーーーーーーーーーーーーーーーー。大筒木朱菜です。

リアルが忙しかったり、Vtuberに嵌まったり、ガンプラ製作に逃避したり、執筆済の話を大改訂したりしてたら、いつの間にか2年近く放置してしまってました。

誠に申し訳ないです。取り合えず、改訂済の話までを一気に再投稿します。








※注意事項
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化技能(スキル)と統合され、効果範囲が鉱物系だけでなく物質系全般にまで広がっています。
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=N(ノーマル)。銅色宝箱=R(レア)。銀色宝箱=SR(スーパーレア)。金色宝箱=SSR(スペシャルスーパーレア)。緑、青、赤等の色付き宝箱=UR(ウルトラレア)。虹色宝箱=SE(シークレットレア)になっています。
・無限鳥居ダンジョンの妖精の宿の滞在時間を24時間から48時間に変更。
・本作オリジナルのダンジョン地図が妖精の宿で販売。
・無限鳥居ダンジョン2つ目の山の難易度上昇。(魔物の出現数的な意味で)


第5話(大規模改訂版 2025/08/21)

 

 

 

【視点:命子】

 

 

 

大量の朱の鳥居が立ち並ぶ純和風ダンジョン。私達が参道のようなダンジョン通路を歩いていると、10分も経たない内に魔物は現れた。

 

 

「……あれが魔物?」

「……風見ダンジョンでは1体ずつしか出なかったのに、こっちが4人だからか4体も出て来たね。しかも、内2匹は初見だ」

 

 

現れたのは風見ダンジョンでも遭遇したバネ風船が2体。残りの2体は餅つきの杵を持った兎だ。

 

 

「紫蓮ちゃん。灰王の剣、貸して」

「???」

「滅竜刀を使ったら一刀両断の瞬殺だから、参考にならなくなちゃう」

「ん」

 

 

私が借りる理由を告げると紫蓮ちゃんは納得し、灰王の剣を渡してくれた。

 

 

「それじゃあ、見本を見せるね。………シィィィィ」

 

 

私は(かみなり)の呼吸を使い、1体目のバネ風船―――バネ風船Aを標的に定め、前傾姿勢で抜刀術の構えを取る。そして―――

 

 

「………全集中、雷電型(イカヅチノカタ) 二式〝霹靂一閃〟

 

 

電光石火の速度でバネ風船Aとの間合いを詰め、灰王の剣による斬撃を繰り出す。斬撃を顔面にモロに喰らったバネ風船Aは数m程吹き飛び、私はその隙に次の標的であるバネ風船Bに攻撃を仕掛ける。

 

 

「フゥゥゥゥ………。全集中、繚乱型(リョウランノカタ) 一式〝菖蒲斬り〟!」

 

 

バネ風船Aと1mも離れていないバネ風船Bに、軽く飛び掛かりながら横薙ぎの斬撃を放つ。当然と言うべきか、バネ風船BもAと同じ様に吹き飛んだ。

 

バネ風船は移動速度が遅いので、体勢を整えてから私を自分の間合いに捉えるまで少し時間が掛かる。私はその時間を利用して、杵を持った兎――杵ウサギAに攻撃を仕掛ける。

 

 

「フウウウウ………。全集中、宿儺型(スクナノカタ) 五式〝移流斬り〟

 

 

杵ウサギAに攻撃が当たると、間髪入れずに杵ウサギBへと攻撃を仕掛ける。

 

 

「コォォォォ………。全集中、焔燃型(カグツチノカタ) 二式〝昇り炎天〟!」

 

 

それぞれが別の所に吹き飛んだバネ風船ABと杵ウサギABを一カ所に集められる様、今度は動き回りながら攻撃を仕掛ける。

 

 

「シュゥゥゥゥ…………。全集中、大蛇型(オロチノカタ) 五式〝蜿蜿長蛇(えんえんちょうだ)!」

 

 

一カ所に集まるように力加減をして攻撃すると、私の狙い通りに魔物は一塊となった。そろそろ止めかな。

 

 

「ヒュゥゥゥゥ………。全集中、水龍型(ミズチノカタ) 十式〝滝壺〟!」

 

 

一塊となっている魔物に唐竹の一撃を叩き込むと、4体の魔物は光となって消え、あとには4個の魔石とバネ風船のバネが2個、ウサギの毛皮が2個残された。

 

 

「まぁ、こんな感じかな」

「「「……………」」」

「ハンティングアクションゲームで有名なモン狩りで例えると、バネ風船は小型甲虫種、杵ウサギは獣人種相当だと思うけど、その攻撃力は人間にとって脅威でしかない。だから、絶対に反撃される様な機会を与えちゃ駄目。

魔物は攻撃を受けるとノックバックするから、自分の攻撃範囲に標的を捕捉するまで突っ込んで来るだけのバネ風船みたいな猪突猛進が相手なら、一撃離脱戦法を繰り返すだけでも勝てる筈だよ」

「「「……………………」」」

「………3人とも、私の話を聞いてる?」

「「「………スゴい(デス)(ですわ)!!」」」

 

 

真面目にアドバイスしたのに、3人から何の反応も返って来なかったから、少し怒り気味で問い掛けると、3人は目を輝かせながら、大声で私を称賛(?)してきた。

 

 

「メーコ、バチバチッって電気出しながら瞬間移動したデス。ニャルトの四代目雷光サマが使ってた雷の衣デスか?」

「その次に放たれた木刀の軌跡には、花弁だけでなく菖蒲の香りまでしていましたわ」

「素振りの時よりはっきりとした炎や水が刀身から発生してた。もしかして、魔法剣?」

 

 

続けざまに質問を投げ掛けて来る3人。ささらと紫蓮ちゃんに関しては、鍛錬の時に毎回見せていた筈なんだけど………。

 

まぁ、鍛錬の時は真面目に素振りすることはあっても、戦う時みたいに本気で剣を振ることがないから、素振りだと型ごとに発生する筈のエフェクトが薄かった気もする。

 

 

「別に魔法や忍術は使ってないよ。目にも止まらぬ速さで間合いを詰めただけだから、瞬間移動じゃないよ。

刀身から発生したエフェクトは、全集中の呼吸を使った状態で本気で剣を振るったから、各型の特徴でもある幻が素振りの時よりはっきりと可視できただけだよ」

ゼンシューチューの呼吸って何デス?」

 

 

3人の中で唯一全集中の呼吸を知らないルルに、全集中の呼吸のことを詳しく教えてあげると――――

 

 

「何デスか、それ!?シャーラとシレンもゼンシューチューの呼吸を使えるデスか!!?」

「ぴゃぅ、我等は………」

「私も紫蓮さんも全集中の呼吸をまだ使えませんわ。ですが使える様になる為、持久走でも呼吸を意識して走るようにしていますわ」

「う~、う~……。シャーラとシレンだけズルいデス!メーコ、私にもゼンシューチューの呼吸を教えて欲しいデス!」

「一朝一夕で覚えられるものでもないから、今日中にダンジョンから脱出で来たら、明日にでも呼吸を意識する方法を教えてあげる。

今日中にダンジョンから出られなかったら、このダンジョン内で野宿する時にでも教えてあげる」

「ダンジョンで野宿は嫌デスけど、約束デスよ。メーコ」

 

 

全集中の呼吸を会得する為の基礎中の基礎である肺活量の強化と、意識した呼吸法をルルに教えることを約束させられた私は、正真正銘の全集中の呼吸を見て興奮している3人にこの場からの移動を促し、歩を進めて行く。

 

そして、500mも進まない内に今度は3体の魔物が現れた。どうやら、このダンジョンでは現れる魔物の数が固定されている訳ではないみたいだ。

 

運が良ければ1体の可能性もあるけど、運が悪ければ一度に何体の魔物が現れることになるんだか。流石に百鬼夜行みたいに一度で100体の魔物が現れるとかないよね?

 

………うん。4人相手に100体は絶対にない。多くても精々10体の魔物(バネ風船などの最下級魔物)が現れる程度だろう。

 

閑話休題。3人の記念(?)すべき初魔物は、私がダンジョン界のオルタロスと認定しているバネ風船だ。

 

相手がバネ風船とはいえ、レベル0の3人の場合は一撃受けるだけでも死に兼ねない。少なくとも胴体に直撃を喰らったら、高確率で死ぬ。

 

だから、私はいつでも攻撃できるように魔法待機させたまま、援護の為のベストポジションへと全ての魔導書を移動させておく。

 

事前に決めていた陣形(フォーメーション)だと、ささらと紫蓮ちゃんの2人が最前衛(フロントアタッカー)で、ルルが前衛(ガードウイング)となっていたけど、初魔物が3体ともバネ風船だったので、ルルも最前衛(フロントアタッカー)で応戦することとなった。

 

一般的な成人男性の徒歩速度と同側で近付いて来るバネ風船が3人の間合いに入ると、ささらは〝菖蒲斬り〟のような横薙ぎ、紫蓮ちゃんは〝昇り炎天〟のような逆風、ルルは〝滝壺〟のような唐竹の斬撃を繰り出す。

 

灰王の剣の斬撃(打撃?)をモロに受けたバネ風船は簡単にノックバックし、3人はバネ風船が体勢を整える前に半歩だけ後ずさり、次の攻撃を放つ為の構えを取る。

 

私が事前にアドバイスしておいた一撃離脱戦法で攻撃を繰り返す3人。けど、3人の顔は攻撃をする度に罪悪感に染まったものへと変わっていった。

 

「「「………………」」」

 

 

バネ風船を斃し終えた後、3人が微動だにしなかったので、私は3人が斃したバネ風船のドロップアイテムと魔石を拾いながら、3人に声を掛けた。

 

 

「………やっぱり、戦闘担当は私が務めた方が良さそうだね」

「「「!!?」」」

「魔物は私達に対して殺意を持って襲い掛かってくる。そんな魔物に対して、攻撃することで罪悪感を覚えてしまうなら、3人は戦わない方がいい。その感情がいつか3人の命取りになる」

「命子さん」

「めーちゃん」

「メーコ」

「ダンジョンで生殺与奪の権を魔物に握られたら駄目なんだよ。奪うか奪われるかの瀬戸際に主導権を握れない弱者は、いとも容易く強者に捻じ伏せられる」

「「「……………」」」

 

 

3人の視線を感じながら、私は刃の様に鋭い言葉を続けて口にする。

 

 

「魔物は3人の感情を尊重してくれたりはしない。私も罪悪感に苛まれながら戦うことを強制したくないし、3人が魔物に対する罪悪感を捨てられないなら、魔物と戦うなんて意思を尊重できない」

 

 

心を鬼にして私がそう言い終えると、完全に3人は沈黙してしまった。やっぱり、3人は戦わせない方がいい。

 

カルマ値からも分かるように、3人は善人で優しい。いや、優し過ぎるんだ。その優しさがダンジョンでは命取りになる。

 

 

「(3人の命を守る為にも、ここで戦う意思を折っておかないと―――――)」

 

 

そんなことを考えていると、パチーンと頬を叩く音が凄く大きな音でその場に響いた。

 

バネ風船のドロップアイテムと魔石を拾う為、視線を地面に向けていた私が顔を上げると、3人が両手で自分の頬を叩いている姿が目に入って来た。

 

 

「ッ―――……命子さん、次こそは無様を晒しません。完全勝利をお見せしますわ!」

「……我も」

「ダンジョンがヤキニクコウシャクでも私は大丈夫デシュ」

 

 

私が3人の戦う意思を叩き折ろうとしたことを感じ取ったのか、私が行動に移す前に3人が意思表明をしてきた。

 

真っ直ぐな眼を向けられながら表明された戦う意思。それを誰が叩き折れるだろう?誰が叩き潰せるだろう?

 

 

「そう。じゃあ、問題無しってことで先に進もうか?」

「はい!」

「ん!」

ニャウ(うん)!」

 

 

気合の入った返事が帰って来たので、私達はダンジョン探索を再開した。………ところでルルの言ったヤキニクコウシャクって何?焼肉公爵?それとも焼肉侯爵?鍋奉行の焼肉verかな?

 

―――和製ダンジョンの踏破を始めて数十分。私達4人は30~50m間隔で現れる魔物を、ブッ血斬っては歩を進めるという行動を何度も繰り返している。

 

現れる魔物の数はマチマチで、最下級のバネ風船が3体現れることもあれば、バネ風船と杵ウサギ、魔本が3体1組(スリーマンセル)で現れることもあり、ヤバい時は魔本が5体も現れることがあった。

 

ささらとルル、紫蓮ちゃんの3人は、スポーツ―――格闘技も含めて戦闘経験皆無。柱稽古で太刀筋矯正訓練をしていてもずぶの素人に毛が生えた程度。

 

当然、魔物相手の彼我兵力差を判断することも不可能。故に私の独断でバネ風船の場合は1人で1体を相手して貰い、杵ウサギの場合は2人で1体を相手して貰う形をとって貰っている。

 

出現する魔物がバネ風船1体、杵ウサギ2体、魔本2体の場合は、私が1人で魔本2体と杵ウサギ1体を相手取り、残りを3人が相手するということでもある。

 

魔本が5体現れた時は、完全に私だけが戦う形をとっている。流石に遠距離攻撃ができる魔本の相手を3人にさせるのは、危険度がかなり高いだろうからね。

 

で、私が1人だけで戦う時は見取り稽古も兼ねて、鬼滅流の剣技を色々と見せたりもしていた。

 

(おと)の呼吸―――鈿女型(ウズメノカタ)を使う時は、柄頭が鎖で繋がった二刀―――連鎖刀を使って見せたし、全集中の呼吸の中で唯一女性の使い手が居ないであろう(いわ)の呼吸も、女性が使い易い様にアレンジして、多節棍で実演して見せた。

 

これらの鬼滅流剣技を見せてみて、私は気付いたことがある。まず、ささらは水龍型(ミズチノカタ)繚乱型(リョウランノカタ)大蛇型(オロチノカタ)水波型(ミヅハノカタ)などの技巧型の剣技に興味があるみたいだ。私が水系統の鬼滅流剣技を使うと、ガン見してくる。

 

ルルは保有技能(スキル)が速力強化系だからか、雷電型(イカヅチノカタ)鈿女型(ウズメノカタ)飛天型(ヒテンノカタ)といった速度重視の剣技に興味があるみたいで、私が雷系統の鬼滅流剣技を使うと、キラキラエフェクトを幻視してしまう様な視線を私に向けて来る。

 

紫蓮ちゃんは中二病で、カッコいい自分を見せ付けたい年頃だからか、強者感が半端無い天照型(アマテラスノカタ)炎燃型(カグツチノカタ)土公型(ドコウノカタ)に興味津々だ。

 

発生させるエフェクト的には月詠型(ツクヨミノカタ)も心惹かれる物があるみたいだけど、エフェクトと一撃の破壊力的には炎燃型(カグツチノカタ)、仁王を彷彿とさせる圧倒的強者感では土公型(ドコウノカタ)が勝るみたい。

 

もし、このダンジョンからの脱出に数日の時間を要することになるとするなら、ささらには水系統、ルルには雷系統、紫蓮ちゃんには炎か岩の全集中の呼吸を教える必要があるかも知れない。

 

あと、10~20分でダンジョンに入ってから1時間が経過する。政府から一般公開された情報では、レベル1以上になっている上でダンジョンに入ってから1時間経過すると、ジョブに就くことができる。

 

3人ともレベル1になっているから、ジョブ選択が可能。物理戦闘職に就けば、身体強化の恩恵が得られる可能性もあるし、身体強化の恩恵を得られたなら全集中の呼吸も会得し易くなるかもしれない。

 

自衛隊情報ではジョブ変更も24時間経過すると可能らしいから、ダンジョン脱出に数日かかる場合は、1日置きにジョブ変更を行い、自分に適したジョブを探すこともできる。

 

ちなみに私の場合、他のジョブの適性を獲得してもジョブ変更ができず、大魔導剣聖というジョブに新しい適性ジョブの技能(スキル)が自動的に追加されるみたい。

 

閑話休題。ダンジョンを進んでいて、今の所遭遇する魔物は風見ダンジョンのバネ風船と魔本を除けば、杵ウサギのみ。しかも、前者2体のスペックは変化なし。

 

現時点で把握できている風見ダンジョンとの違いは、一度の戦闘で遭遇する魔物の数が1~5体とランダムに設定されているくらい。

 

政府が設定したダンジョンランクが何段階か分からないけど、もし10段階だとするならこの無限鳥居のランクは1.5といったところかな?

 

少なくとも複数体の魔物が出現する時点で風見ダンジョンより難易度は高い。けど、出現する魔物が最下級だから、魔物を斃すこと自体は難しくも無い。

 

個人的にダンジョンの難易度を評価するなら、モンハンのオルタロスやブナハブラ、アイルー相当の最下級魔物しか出て来ないダンジョンは【ランク1】、ブルファンゴやジャギィ、ジャギィノス相当の魔物が出て来て、漸く【ランク2】って所かな?

 

 

「………(3人を無事に地上まで帰すことを考えると、このまま最下級魔物しか出て来ない方がいい)」

 

 

そんなことを考えながら、3人の援護をしつつダンジョン探索を続けていると、明らかに最下級ではない魔物が現れた。

 

 

「ギギギ、ギギ、ギギギギ」

「「「ひぇっ!!?」」」

「………(ダンジョン初の刃物持ち魔物。ついにジャギィ相当が現れたかな?)」

 

 

抜身の脇差を手にした体長50cmくらいの市松人形が、私達の進行先で待ち伏せる様に佇んでいた。

 

今まで現れていた魔物で装備持ちは杵という鈍器を持った杵ウサギのみだったので、いきなり刃物持ちの魔物が出現したことで、3人は悲鳴を上げ、私は冷静に分析をする。

 

 

「………1体だけだけど、今までの魔物とは格が違う。取り敢えず、私が遠距離攻撃で様子を見るけど、いい?」

「「「…………」」」

 

 

私がそう尋ねると、3人は無言のまま首を千切れそうな勢いで縦に振る。3人の了承を得られたので、私は水の魔導書、雷の魔導書、氷の魔導書、火の魔導書の4冊で魔法攻撃の準備を整える。

 

水の魔導書は単発式水弾。雷の魔導書は「リリ○ルな○は」の〝フォトンランサー・ファランクスシフト〟のような一点集中連射式雷槍。氷の魔導書は〝スティンガーブレイド・エクシキューションシフト〟のような中規模範囲一斉射撃氷刃。火の魔導書は「烈火○炎」の〝崩〟のような単発式巨大炎弾―――と見せかけた無数の炎弾による全周囲攻撃。

 

各魔導書から放たれる魔法攻撃に対して、市松人形はどの様な反応を示し、どんな対応をしてくるのか?見極めさせて貰おうか。

 

 

「水弾!」

 

 

私達に気付き、浮遊しながら成人男性の競歩くらいの速度で近付いて来る市松人形に水弾を放つと、移動速度より素早いバレルロールを彷彿させる動きで、市松人形は水弾をいとも容易く回避して見せた。

 

 

「次!雷槍!!」

 

 

水弾に続き、球体状の雷の発射体(スフィア)から雷槍を一点集中連射で放つと、これも市松人形は連続でバレルロールを行い、回避して見せた。

 

ただ、雷槍の速度が水弾より速かったからか、市松人形の振袖に攻撃が掠ったみたいで、身に付けている着物が所々破けている。

 

 

「次!氷刃!!」

 

 

雷槍の次は無数の氷刃をショットガンの面制圧のように一斉発射する。今までの最下級魔物とは一線を画した回避能力を持つ市松人形も、流石に面制圧攻撃は回避できず、ノックバックで吹き飛んだ。

 

 

「ギ、ギギ」

「おかわりの炎弾だよ!!」

 

 

吹き飛んだ拍子に地面へと叩き付けられた市松人形に、追い打ちで直径2mの炎弾を放つ。

 

 

「ギギ」

 

 

炎弾の速度は水弾と同速である為、いくら大きくても体勢を整えた市松人形なら容易に回避できる。しかし――――

 

 

「量より質だと思った?」

 

 

市松人形が巨大炎弾を回避した瞬間、ホウセンカの種が破裂する様に巨大炎弾が弾け飛び、市松人形の全周囲を無数の炎弾が包囲する。

 

 

「残念、質より量で御挨拶だよ」

 

 

私がそう告げると同時に無数の炎弾が全周囲から市松人形に襲い掛かる。前方から襲い掛かってくる炎弾に対して、市松人形は回避行動を取れたけど、後方や真上、真下、真横からの攻撃は回避ができず、炎弾によるフルボッコで呆気なくドロップアイテムと魔石に姿を変えてしまった。

 

どうから、市松人形は視覚で認識できた攻撃は回避できるけど、視覚外である死角からの攻撃は回避できないみたいだ。

 

この市松人形、スペック的にはジャギィノス相当かな?流石にジョブ無しの3人ではまだ相手をできない魔物だけど、ジョブに就いて連携を取れるようになれば、十二分に対応できる魔物だ。

 

さて、市松人形のドロップアイテムは何かな?……………市松人形が装備してた脇差の刃先?物質鑑定で調べてみると、構成材質はダンジョン産玉鋼というバネ風船のバネ金属より優秀なものだと分かった。

 

脇差刃先のドロップ率がどの位のものか分からないけど、5~6個集めれば脇差1本分にはなりそうだから、強化素材としての使用は今回見送って置こう。

 

………というか、滅竜刀を含む武器を造るなら、やっぱりバネ金属より市松脇差と同じダンジョン産玉鋼で造った方が性能はいいのかな?

 

もし、そうだとするなら武器製造に適したダンジョン由来のファンタジー金属をドロップする魔物とか現れないかな?

 

ミスリルゴーレムとか、オリハルコンゴーレムとか、アダマンタイトゴーレムとか、ヒヒイロカネゴーレムとか。百歩譲って、スチールゴーレムとアイアンゴーレムでもいいや。

 

ダンジョン産の鋼と鉄なら地上産の鋼と鉄より丈夫な可能性が高いし、バネ金属製より多く属性付与ができる滅竜刀を造れる気がする。

 

閑話休題。ドロップアイテムの回収を終えた後、私達はダンジョン探索を再開。市松人形という新しい魔物が現れたことから探索も慎重に行うことになった。

 

そして、探索再開から10分後。参道のようなダンジョン通路の外れ―――不自然な場所に配置された宝箱を発見した。

 

しかも、ただの宝箱ではなく表面が虹色に輝く豪華な造りをした宝箱。ゲームでも見たことのないタイプの宝箱だ。

 

 

「凄く不自然。某国民的RPGで例えると、人喰い箱かミミックの類かな?」

「羊谷命子。某RPGだったらダンジョン内で無防備に配置された宝箱は凄く自然。ファンタジー化した地球さんのダンジョンもまた然り」

「メーコはインパス使えないデスか?」

「インパスは使えないけど、感知技能(スキル)は持ってるから、それで判別しよう」

 

 

宝箱の正体が擬態した魔物の場合、気配感知や魔力感知、熱源感知に引っ掛かる可能性が極めて高い。

 

私は3つの感知技能(スキル)を同時に使用した。その結果、感知技能(スキル)に魔物の反応が引っ掛からなかったので、私は正真正銘の宝箱だと判断した。

 

 

「魔物では無さそう。何か良い物が入ってるかもしれないし、開けてみよう

(ゲームとかなら武器や防具、回復アイテムが入ってるけど、回復手段は再生魔法があるし、武器や防具なら私が製作できるから、装備品の材料でも入ってないかな?)」

 

そんなことを考えながら、念の為に魔法を待機させた魔導書で宝箱を包囲しながら、私は宝箱を開ける。すると、中には金塊ならぬ漆黒の金属塊が十数本も積み重なっていた。

 

 

「鉄棒?」

「木刀より短いデスね。魔物を投げつけるデスか?」

「投擲攻撃はほぼ無効化されるという話では無かったですか?」

 

 

中に入っていた物を見た3人がそれぞれの考察を口にしている間、私は物質鑑定で入っていた物の正体を調べる。

 

 

「…………………これ、ダンジョン産金属―――アダマンタイトだ」

「アダマ、ンタイトって何ですか??」

「ファンタジーゲームに登場する謎金属。作品にもよるけど、武器や防具を作るのに使われることが多い素材」

「詳しいデスね、シレン」

 

 

鑑定の結果、魔法の付与にも適した金属。つまり魔剣を造るのに適してるってことが分かった。しかも、アダマンタイト鋼材の数は日本刀なら十数振りは作れそうな量がある。

 

アダマンタイトを手に入れたので、早速錬成魔法で武器を造りましょう。幸いにもこの周辺には感知技能(スキル)に引っ掛かる魔物はいませんでしたし。

 

………アダマンタイトを手に入れてから20分後。私は錬成魔法生成魔法で7つの滅竜武装を作った。

 

基本となる滅竜武装は光の滅竜魔法のみを付与したシンプルな大刀型滅竜武装――――滅竜刀真打。

 

刀の形状は一般的な打刀で、刀身の長さは70cm。鍔の形状は隅入角形で、笄穴に当たる部分に属性付与がされた魔石(12.5mm)を嵌め込める穴を作り、「Y○IBA」に登場する雷神剣や風神剣みたいに魔石の力を行使できる仕様にした。

 

滅竜刀真打に雷竜の魔石と炎竜の魔石を嵌め込み、市松脇差の刃先で合成強化を行った滅竜刀真打・炎雷。炎竜の魔石を2つ嵌め込んだ滅竜刀真打・緋炎(ひえん)

 

天竜の魔石を2つ嵌め込んだ滅竜刀真打・天津(あまつ)。影竜の魔石を2つ嵌め込んだ滅竜刀真打・黒影(こくえい)

 

基本形態が棍型で、中央部分に鉄竜の魔石を2つ嵌め込んだ長柄武器型滅竜武装――――滅竜棍真打・白龍(はくりゅう)

 

雷炎竜の魔石を1つずつ、合計2つ嵌め込んだ連鎖二刀小太刀型滅竜武装――――滅竜刀真打・爆雷(ばくらい)

 

滅竜刀影打・雷光と同じく宝物庫に仕舞っていた滅竜刀影打シリーズの一部は、錬成魔法でアダ滅竜刀真打シリーズを納める為の鞘に作り直した。

 

滅竜刀影打・炎雷を滅竜刀真打・炎雷の鞘に作り変えたことで、炎雷は刀だけでなく鞘まで放電や発火できる様になった。飛天型(ヒテンノカタ)〝双龍閃〟を使う時とかに凄く便利な機能だ。

 

ささら達のジョブ選択次第で滅竜武装(真打シリーズ)はすぐに日の目を見ることになると思うけど、今の所は使う予定も無いので空間魔法の宝物庫に仕舞っておく。

 

空中に形成された波紋―――宝物庫の出入口に雷光以外の滅竜武装(真打シリーズ)をズブズブと入れていると、複数の視線が私に突き刺さってきた。視線の主はささら、ルル、紫蓮ちゃんの3人だ。

 

 

「……素人に毛が生えた程度の3人に刃物はまだ早いよ。試作品の棍なら別に構わないけど」

 

 

私が3人にそう告げると、ささらとルルはションボリし、紫蓮ちゃんは目を輝かせ始めた。紫蓮ちゃん、剣術より棍術や棒術、杖術に興味があるのかな?

 

私は滅竜武装(真打シリーズ)を全て宝物庫に仕舞うと、改めて滅竜棍影打を取り出して、紫蓮ちゃんに手渡した。

 

 

「羊谷命子」

「多節棍としてじゃなく、棍や棒として振るうなら木刀振るうのと大した違いは無いから、貸してあげる。

ただ、木刀と違って全てが金属製だから、魔物と戦う時は周囲に気を配って、ささらやルルに当てない様にするんだよ」

「ん」

 

 

私が滅竜棍影打を振るう時の注意点を口にすると、紫蓮ちゃんは短い返事をして、初期装備でもあった灰王の剣を自分の宝物庫へと仕舞い込んだ。

 

いつまでもこの場に留まっている訳にもいかないので、私達は早々にダンジョン探索を再開。

 

そして、探索再開から1時間が経過し、ダンジョンに入ってから60体目の魔物を紫蓮ちゃんが滅竜棍影打で斃した瞬間、私はあることを思い出した。

 

 

「………2時間」

「え?」

「命子さん?」

「どーしたデスか、メーコ?」

「私達がダンジョンに入ってから約2時間が経過した。つまり、ささらとルル、紫蓮ちゃんは約1時間前にはジョブチェンジが可能だったということ」

「「「!!?」」」

 

 

私がジョブチェンジのことを伝えると、3人は慌ててステータスの確認を始めた。その時に見えた地球さんステータスは―――――

 

 

 

※ウインドウステータス

有鴨紫蓮(14歳)

 

ジョブ

なし(変更可能)

 

レベル

3

 

カルマ

+1392

 

魔力量

24/24

 

スキル

【生産魔法】

 

称号

【地球さんを祝福した者】

 

 

 

※ウインドウステータス

笹笠ささら(15歳)

 

ジョブ

なし(変更可能)

 

レベル

3

 

カルマ

+1592

 

魔力量

23/23

 

スキル

【防具性能上昇(小)】

 

称号

【地球さんを祝福した者】

 

 

 

※ウインドウステータス

流ルル(15歳)

 

ジョブ

なし(変更可能)

 

レベル

3

 

カルマ

+1755

 

魔力量

24/24

 

スキル

【見習い忍法】

 

称号

【地球さんを祝福した者】

 

 

 

―――――となっていた。某国民的RPGでいえば、始まりの町周辺でレベル上げを始めたばかりの初心者ステータスだ。

 

 

「命子さんの言う通りですわ」

「変更してみる」

ニャウ(うん)!」

 

 

3人はそれぞれにジョブ選択のウインドウを開き、選択できるジョブの確認を始める。3人が選べるジョブの内容は――――

 

 

 

※有鴨紫蓮の場合

・女子中学生

・中二病

・見習い職人

・見習い魔導書士

・見習い戦士

・見習い剣士

・見習い鬼狩り

・見習い棒術士

・見習い棍術士

・見習い槍術士

 

 

 

※流ルルの場合

・女子高生

・猫(っぽい)娘

・見習い戦士

・見習い剣士

・見習い鬼狩り

・見習い棒術士

・見習い忍者

・見習い鬼狩り忍者

・見習いNINJA

・見習いONI狩りNINJA

・隠

・KAKUSHI

 

 

 

※笹笠ささらの場合

・女子高生

・淑女

・見習い戦士

・見習い剣士

・見習い鬼狩り

・見習い武士

・見習い棒術士

・見習い騎士

 

 

 

色々な職業が選択肢として表示された。ジョブ詳細は分からないけど、多分見習い戦士は近接戦闘の総合職なんだろうな。

 

特定武器を装備することで強化補正を受ける技能(スキル)は得られないけど、物攻上昇(微)が得られるとか。

 

見習い剣士、見習い武士、見習い騎士は刀剣装備時 物攻上昇(小)とかが得られるかな?他の近接戦闘職も似た様なものでしょ。

 

見習い忍者系は良く分からないけど、敏捷強化とか反射神経強化とか得られそうな気がする。ってか、忍者とNINJAはどう違うの?忍んでるか、忍んでないかの違いだけとか?

 

見習い鬼狩りは鍛錬無しで全集中の呼吸を得られるんだろうな。けど、ジョブ技能(スキル)でなくても全集中の呼吸は鍛錬次第で会得できるから、自力で会得できる自信があるなら、他のジョブを選んだ方が絶対に良いよね。

 

ちなみに、紫蓮ちゃんのジョブ選択に見習い魔導書士が含まれてるのは、私が譲渡した魔導書で中距離援護攻撃(物理)を地味に行っていたからだと思う。

 

まぁ、何にしても私は3人のジョブ選択に口出しはしない。こういうのは直感で選んだ方が絶対に良いからね。

 




アンケート内容
①【無限鳥居でのささら達のレベリング手段】
・最後まで地道な魔物との戦闘で得られる経験値
・妖精の店での宿泊3日目の夜に昇華魔法と変成魔法で強制レベルアップ



②無限鳥居ダンジョンボスはどれ?
・八岐大蛇幻影体・弱(戦闘能力値:2250?)←3つ首
・八岐大蛇幻影体・狂(戦闘能力値:4250?)←8つ首

無限鳥居ダンジョンボスはどれ?

  • 八岐大蛇幻影体・弱
  • 八岐大蛇幻影体・狂
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。