地球さんはLevel Upしました~ありふれてない天職で世界最強~ 作:大筒木朱菜
リアルが忙しかったり、Vtuberに嵌まったり、ガンプラ製作に逃避したり、執筆済の話を大改訂したりしてたら、いつの間にか2年近く放置してしまってました。
誠に申し訳ないです。取り合えず、改訂済の話までを一気に再投稿します。
※注意事項
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=
・無限鳥居ダンジョンの妖精の宿の滞在時間を24時間から48時間に変更。
・本作オリジナルのダンジョン地図が妖精の宿で販売。
・無限鳥居ダンジョン2つ目の山の難易度上昇。(魔物の出現数的な意味で)
【視点:命子】
夜の魔物の調査を終え、皆を起こすことなく休憩所に戻って来れた私は、居間の壁に背中からもたれ掛かり、休憩所を発つ15分前―――5:25までの約2時間、仮眠を取ることにした。
深夜2:00過ぎから約3:30まで夜の魔物狩りを行ってた訳なんだけど、出現した魔物は
一反木綿や狒々、大蜘蛛、提灯お化けetcetcと戦って、木綿布や狒々の毛皮、大蜘蛛の糸、提灯残骸などをドロップアイテムで手に入れた。
これは現時点での私の主観なんだけど、私が遭遇した夜の魔物の中で割に合わない存在は提灯お化けということになるかな。
攻撃を受けてないから攻撃力は分からないけど、こっちから攻撃した時の感覚から確実に耐久力が市松人形以上はある。
なのに、ドロップアイテムはバネ風船の残骸みたいにボロボロの提灯残骸。質感的にはダンジョン産和紙なんだと思うけど、少量が千切れた状態で手に入るだけというショボさ。
多分、錬成魔法の物質融合を使っても、5体分の紙片を使って漸く15cm四方の紙ができる程度だと思う。
で、私的に大当たりの魔物は一反木綿&大蜘蛛。私見だけど、ドロップアイテムの木綿生地は「鬼滅●刃」の上弦の陸・堕姫の帯並の強度としなやかさがあって、蜘蛛糸も「アカメ●斬る!」に登場する糸型帝具・千変万化クローステールの通常の糸並の強度があると思う。
一反木綿を16体、大蜘蛛を2体斃せば、ドロップアイテムで私達4人分の着衣型防具を作り出せる素材が確保できる。まぁ、私が深夜帯に斃せたのは一反木綿が3体で大蜘蛛は1体だったんだけどね。
現時点で私達が身に着けている着衣と物質融合させることで、防御力を向上させることもできるだろうけど、強化素材として使うなら、宝箱でダンジョン産防具を手に入れてからの方がいいと思える。
私が深夜帯にダンジョン探索を行ったことを3人に知られないようにする意図もあったけど、現時点で素材の無駄使いを回避する為、私は全てのドロップアイテムを宝物庫に仕舞っておくことにした。
……起床時間の5:25になると、スマホのアラームが鳴るより早く目を覚まし、私より睡眠時間が多い筈なのに、未だに夢の住人となっている3人を起こす。
全員が目を覚ますと、私の装備品である水の魔導書から出した水で洗顔等の身支度を整え、休憩所を発つ。ダンジョン探索2日目の開始だ。
ダンジョン探索を始めると、初日と同じく30~50m間隔で魔物が現れるんだけど、3人とも昨夜の素振りで武器の扱いのコツでも掴んだのか、バネ風船や杵ウサギ程度なら1対1でも危な気なく勝てる様になっていた。
3人とも魔物との戦闘を終える度、意識しながら行っている呼吸とそれぞれの武器の振り方の改善点を模索し、軽く素振りをし終えてから探索を再開する様になった。
ちなみに3人が呼吸と武器の振り方を模索している間、私は3人の斃した魔物の魔石とドロップアイテムの回収を行っている。
「………3人とも、ダンジョンに入る前―――というよりジョブに就く前とは比べ物にならない速度で強くなってるね」
「……まだ羊谷命子みたいに一撃で魔物を斃せない」
「紫蓮さんの言う通りですわ。私達はそれほど強くなっているとは思えませんわ」
「私達はまだ
「物理的な力を強いっていうなら、戦い方が上手くなってるって言えばいい?客観的に見て、3人とも実戦を経験したとはいえ1日しか経ってないのに、ダンジョンに入る前とは比べ物にならない戦闘技術を身につけてるよ」
「……多分、それはジョブに就いたお陰。武器を振ってると、振り方の改善点が頭に思い浮かぶ」
「紫蓮さんもですか?私も同じですわ。灰王の剣や時雨を振るっていると、命子さんや老師に素振りの指導をされている時と似た様な感覚といえばいいのでしょうか?兎に角、変な癖がつかない様に反省点が見えてくるんです」
「私も同じデス。あと、シャーラとシレンを真似て呼吸を意識してると、もっとスィィィィィと呼吸しなきゃいけないと思ったデス」
「…………皆の様子を昨日から見ていて私なりに考察してたけど、やっぱり物理戦闘系ジョブには武術習熟補正が付くみたいだね」
「………羊谷命子は魔法系と剣士系を両立してるジョブの筈。何で武術習熟補正に気付かなかったの?」
紫蓮ちゃんにそう問われ、ささらとルルも気になるといった視線を向けて来たので、私は軽く溜息を吐きながら自分の地球産ステータスを3人に見せた。
※ウインドウステータス
羊谷命子(15歳)
ジョブ
大魔導剣聖
レベル
*#&%
カルマ
+2350
魔力量
22970/22970
スキル
【錬成師セット】【滅竜魔導士セット】【鬼狩りセット】【神代魔法師セット】【概念魔法師セット】【大魔導書師セット】【雷装術】【爪撃術】【歩法(極)】【視力】【感知術(極)】【隠密術(極)】【身体強化術】【防御術】【耐性(極)】【豪腕】【見取り稽古】【胃酸強化】【先読術】【威圧】【念話】【追跡】【言語理解】
ジョブスキル
【物理戦闘技能適性(極)】【魔法全属性適性(極)】
称号
【バネ風船スレイヤー】
【魔本スレイヤー】
【地球さんを大いに祝福した者】
「私、物心ついた頃から全集中の呼吸が使えた上、小学生の頃から剣道やってたし、ダンジョンに入ったら入ったでその瞬間からレベルがバグって、
「「「……………ファッ!!?」」」
私のステータスを見た3人が面白い驚き声を上げる。紫蓮ちゃん辺りは数秒の無言から「チート乙」とか言ってくると思ったから、その点だけ予想外の反応だった。
「このダンジョンに入った直後、私は皆に「私が生きている間は
このステータスを見れば分かると思うけど、あの発言はステータス的にも皆を守りながらダンジョンから脱出できる自信があったからだよ」
「……………羊谷命子。ダンジョンといえば、階層主やダンジョンマスター的なボスモンスターが存在するのがお約束」
「ゲームとかだとそうだね」
「もし、このダンジョンの脱出方法がボス攻略を絶対条件としていた場合、羊谷命子のステータスでボスモンスターを打倒できる確証があった?」
「確証はないけど、日中の魔物の強さや出現傾向を考え、ダンジョンの最上位等級をSSS、最下位等級をGとするなら、私見だけど日中のダンジョンの難易度はF級かF+級。
ボスモンスターがバネ風船の240倍の強さだったとしても、私にとっては苦戦する程度。私の予想を上回るボスが現れたとしても、差し違える覚悟で挑めば斃せる自信はある」
ちなみにバネ風船の筋力(?)、体力等のスペックをオール50とした場合、240倍はトータスの邪神・エヒトの使徒のスペックと同等のオール12000になる。
流石にエヒトの使徒級が相手となると、普通に相手をする場合は楽勝とはいえなくなる。
戦闘後に気を失うことを前提とした〝一刀羅刹〟を使った上、1対1での戦闘ならエヒトの使徒級が相手でも楽勝だろうけど。
首1本1本がエヒトの使徒級スペックまで魔改造された、真オルクス大迷宮のラスボス・ヒュドラみたいなのが相手だった場合、痣覚醒、〝一刀羅刹〟、〝ドラゴンフォース〟を併用した上、防御と回避を捨てた攻撃特化の差し違える覚悟で戦えば、現時点での私でも斃せる自信はある。
「………命子さんは圧倒的な実力差があるから、私達にもう戦わなくてもいいと仰りたいのでしょうか?」
「え?別にそんなこと言う気はないよ。私がステータス見せたのも、武術習熟補正の影響を受けたことがないって発言を証明する為だったし。
ただ、私との能力差を知ったことが原因で挫折したなら、ダンジョン攻略は全て私に任せて貰った方がいいかもね」
少し険しい顔をしたささらの問いに対し、私はチートなステータスを黙っていたことから嫌われたかもしれないと思いつつ、3人を無事に地上へと帰す為に敢えていけず返答を返した。すると――――
「なら、別に問題ありませんわね」
「ん」
「
チートステータスを黙ってたことやいけずな発言に対して、罵倒から友達関係悪化へと繋がると思いきや、3人とも特に気にした様子もなくいつも通りの態度を取って来た。
「…………3人ともチートステータスについて何か思う所は無いの?」
「ステータスには驚かされましたけど、それ以外は特に何もありませんわ。そもそも、私はステータスを個性の1つだと思っていますので、個性を否定することなんてできませんわ」
「…………私見だけど、地球さんによって齎されたステータスに、我等人間が干渉することなど不可能だと思う」
「
私の問いに、3人は笑顔で答えを返してくれた。流石、初期カルマ値+1000越えでレベルアップした地球さんを祝福するピュアっ子3人娘というべきなのかな?
「それではダンジョン探索を再開しましょう」
「
「ん。どんな強い魔物が現れても、全員で生きて地上に帰れる力を身につける」
3人はそう言い終えると、3人の精神的強さに内心で感動していた私を置いて先に進もうとする。
「ちょっ、市松人形みたいな未確認の強い魔物が現れるかもしれないんだから、不用心に進んだら駄目だよ!石橋は爆破して鉄橋を建設してから渡るくらい慎重でないと!」
「石橋を叩くではなく、爆破ですの?」
「メーコはアグレッシブ、デスね」
「テロ乙」
こうして、私達は笑い合いながらダンジョン探索を再開。魔物との戦いや小休止を挟みながら、6時間掛けて通常ダンジョンの第1層に相当するエリアの山頂に到着すると、昼食も兼ねてお昼休憩を取る。
ちなみに私達は現在いる場所を通常ダンジョンの第1層相当だと判断したのは、山頂から2つ目の山へと繋がる橋を確認することができたからだ。
多分、1つ目の山=第1層で2つ目の山=第2層みたいになってるんだと思う。
「……絶景とはこの光景のことをいうのでしょうね」
「ウィンシタ映えデス!」
「プイッターでも良きかな、待ったなし」
3人が電池の残ってるスマホで写真撮影を始める中、私は昨夜の内に作り置きしておいた杵ウサギの串焼きを宝物庫から取り出す。
宝物庫の中では時間が停止するみたいで、取り出した杵ウサギは焼き立てが維持されていて、とてもジューシーだ。
皆で串焼きを食べ終えると、宝物庫解禁前に使用していたリュックの中に、塩分補給用として塩飴を入れていたので、食後のデザートとして皆で1個ずつ舐める。
「
「
「
「……………」
ボケとツッコミの二刀流であるルルと異なり、基本的にツッコミ属性と思しきささらが、八百万を間違って覚えてるルルにツッコミを入れるかと思いきや、無言を貫いていた。
恐らく、口にものを入れたまま喋るのは淑女としてあるまじきこととし、無言を貫いているのかもしれない。
まぁ、淑女云々関係なく、口にものを入れたまま喋るのは一般常識的にもマナー違反なんだけどね。
無言のささらに釣られて、私と紫蓮ちゃん、ルルも無言となる。そして、一番最初に飴を舐め終えた私が口を開く。
「気休め程度だけど、出発前に願掛けも兼ねて二礼二拍手一礼しとく?」
私が3人に尋ねると、アメが口の中に残っていた3人は無言で頷いてきた。3人が飴を舐め終えると――――
「「「「…………(4人全員が無事に地上へと帰れますように!)」」」」
4人で一緒に願掛けをした。すると、桜の根元が光を発し、ポンッという音と共に宝箱が出現した。しかも、出現したのは羽織や外套を手に入れた緑の宝箱だ。
「………願掛けイベントで出現する宝箱?」
「レベルアップした地球さんを祝福するピュアっ子じゃないと素通りするだろうから、絶対に見逃すイベントだね」
「桜さんのプレゼントデス。何が入ってるデス?」
「私、気になりますわ」
桜の御神木(仮)の粋な計らいに、それぞれが感想を口にし、誰が宝箱を開けるか決める為、視線を合わせる。
すると満場一致で私に視線が集中した。まぁ、今までの宝箱も私が開けてきたから、必然なのかもしれない。
この宝箱が開封者の望むアイテムを必ず手に入れられる特別なものだと理解している私は、ささら達の戦力強化に繋がる道具を望んだ。
「(取り敢えず、攻撃力と防御力、速力、五感の強化の繋がるバフアイテムとかあれば、ダンジョン攻略に役立つよね?
羽織や外套の時みたいに人数分入ってるとは限らないけど、ステータスを全体的に向上させる装備品なら、誰が装備しても問題ない筈)」
私が欲しい道具の効果を大雑把に思い浮かべながら宝箱を開けると、中には1つのベルトが入っていた。
「ベルト?」
「………ベルト」
「ベルトですわね」
「ベルト、デス」
中に入っていたベルトを取り出し、様々な角度から見てみるものの、何処にでもありそうなベルトにしか見えない。
………いや、どこかで見覚えのあるベルトな気もする。どこで見たベルトだろう?私が望んだ効果を持つアイテムで、見覚えがあるということはサブカル系の特殊装備は確定。
けど、ベルト系の特殊装備が搭乗するサブカル作品が中々思い浮かばない。ベルトで印象的な道具といえば、代表格は仮面ライダーの変身ベルトだけど、形状が完全に異なる。
漫画で真っ先に思い浮かぶのは「ダイ●大冒険」に登場するマトリフのベルトだけど、あのベルトには特殊効果なんて存在しない。
マジックアイテム的な物が登場する他作品で瞬間的に思い浮かぶのは、「烈火●炎」、「封神●義」だけどベルト型の道具が登場した記憶がない。
私がベルト型アイテムの記憶をどうにか思い出そうと頭を抱えていると―――
「………取り敢えず、ルルさんが装備してみたらどう?」
「ワ、私デスか!?」
「剣道着姿の命子さんや、ジャージ姿の私や紫蓮さんよりルルさんの方がベルトは似合うと思いますわ」
ささらと紫蓮ちゃんがルルにベルトを装備する様に勧め、ルルも2人の勢いに負けてベルトを装備し始めていた。すると―――
「!!!」
ルルはジョブに就いた時と同じ様にピシャゴーンと身体をビクつかせ、涎を垂らした呆け顔を晒し始めた。この呆け顔、ゆるキャラっぽくて私は好きなんだよね。
で、ベルト型装備の情報をインストールし終えたルルは、正気を取り戻すと同時にベルトの能力を使い始めた。
「………!?(これは!?)」
「あら、とても可愛らしいですわ」
「ん」
「これがこのベルト―――百獣王化・ライオネルの能力デス!!」
ベルトの能力を使ったルルは頭に猫耳を生やし、両腕を漫画に登場する獣人の様な人と獣の中間のものへと変化させていた。
百獣王化・ライオネル。「アカメ●斬る!」に登場する帝国の始皇帝が開発させた帝具と呼ばれる48の超兵器の1つだ。
確か、能力は装着者を半獣化させて身体能力や五感、野生の勘を大幅に向上させる身体強化系だったかな?あと、自己治癒力を爆発的に向上させる奥の手もあった気がする。
「速力強化というより全身体能力強化系のアイテム?」
「
最低でも通常時の5倍って、一体どこの卍解?最大強化値は10倍とかじゃないよね?
「……身体能力が5倍も強化されるのは純粋に凄い」
「紫蓮さんの言う通りですわ。ですが、それ程の恩恵を受けられる以上、何かしらのデメリットもあるのでは?」
「
「ニャルトの主人公が初めて妖獣化した時みたい」
「
「アカメ●斬る!」に登場した百獣王化・ライオネルのデメリットは、長期間使い続けると素材となった超級危険種と装着者が混じり合い、装着者自身が危険種もしくは危険種と人間の中間みたいな存在になってしまうといったもので、使用時間制限なんて無かったと思うけど、地球産の百獣王化・ライオネルは装着者の危険種化という危険性を無くす代わりに使用時間制限が設定されたってことなのかな?
「ルル。その使用時間制限って、1日の内に使える時間が10分だけってこと?」
「そういう訳じゃ無いデスよ。連続使用はできないデスが、10分間使った後に30分の時間を置けば、再使用は可能デス。
使い慣れれば最長で2時間使用できるみたいデスけど、その場合は6時間経たないと再使用できないデス」
「強力な道具に使用時間制限や使用回数制限があるのは王道」
「そうなんですの?」
私の質問に対するルルの返答を聞いた紫蓮ちゃんは、ドヤ顔でサブカル知識を語り、ささらはその説明を不思議そうな顔で聞いていた。
「それじゃあ、今は人獣型を解除しとこうか。魔物との戦闘で使った方がいいだろうし」
「
現時点での最長使用時間が10分だから、魔物と遭遇するまでは温存しておくように伝えると、ルルはあっさりと人獣型を解いてくれた。
ちなみに、これは数日後に判明したことなんだけど、地球産の百獣王化・ライオネルは使用限界時間に近付くにつれて銀のバックルが黒ずんでいき、使用時間が回復するとバックルの元の銀色へと戻る仕様になっていた。
ルルが百獣王化・ライオネルを初装着&初使用したこの時も、人獣型を解くまでに要した時間は約5分だったから、多分ベルトのバックルも半分位黒ずんでたんだと思う。
私だけでなく、ささらや紫蓮ちゃん、装着者のルル自身もバックルの色の変化なんて、全然気付いてなかったけどね。
昼休憩と思わぬ形で手に入れた百獣王化・ライオネルの現状で行える検証を終えた私達は、2つ目の山へと架かる橋のある麓へと下山を始める。
道中では当然魔物と遭遇し、戦闘することがあったけど、その出現率は45%がバネ風船、40%が杵ウサギ、10%が魔本、5%が市松人形となっていて、私が戦闘に参加したのは2回ほど。
殆どささら達3人だけで魔物を斃していたこともあって、3人の戦闘技術や身体能力は私の予想を上回る速度で成長していった。
半獣化状態のルルの攻撃をモロに喰らった杵ウサギは、血反吐撒き散らしながら20mくらい吹き飛んでたしね。
1回の戦闘に要する時間もかなり短縮され、日本の地上時間の15時前には麓へと辿り着くことができた。
2つ目の山へと架かる橋の手前には分かれ道があったので、橋に繋がらない方の道が何処に続いているのかと、念の為に確認しておく。
分かれ道の行き着く先にあったのは、私達が昨夜お世話になった庭付きの平屋建てよりも立派な二階建ての休憩所――――
「………休憩所?いや、でも名物(?)の桜団子を宣伝する
「武器・防具あり、と書いていますわ」
「なんでも屋さん?」
「妖精のお店って看板があるデス」
「それって店主が妖精なの?それとも妖精を売ってる店なの?」
「そ、それは前者だと思いますわ(汗)」
「………後者だと人身売買ならぬ妖精売買でヤバい店になる」
「絶対に前者デス!妖精さんは売り物じゃないデス!!」
「………まぁ、何事も最悪の事態を想定しないとね。ヤバそうな所だったら即撤退で」
私は3人にそう言い終えると、少しだけ警戒しながら暖簾を潜った。するとそこには―――――
「…………!?ようこそ、いらっしゃいませニャ!!」
カウンターと思しき場所に茶を啜っている猫が居て、その猫は私達が入店したことに気付くと即座に接客の挨拶をし始めた。
「……ケット・シー?」
店主が妖精であることも想定はしていたけど、まさか猫妖精だとは思ってっもいなかったので、思わず私の知っている猫妖精の種族名(?)を口にしてしまった。
「ニャニャッ!御嬢さんは物知りだニャ。厳密には違うけど、ニャーはケット・シーと似た様な妖精ニャ」
どうやら、このケット・シーっぽい猫妖精の一人称はニャーみたい。
「御嬢さん達はこのダンジョンで初めてのお客さんだニャ!」
店主の猫妖精はそう告げると同時に、カウンターから取り出したクラッカーを鳴らし、私達を歓迎した。
「ここは武器や防具、お土産を売ってるだけの何でも屋さん?それとも休憩所も兼ねた何でも屋さん?」
「ここは休憩所を兼ねた万屋だニャ。お金を払うことで休憩所として利用できるようになるニャン」
お金。そういえば、昨日宝箱で金貨っぽいのを手に入れた筈。私は宝物庫から金貨を取り出して、猫店長に見せる。
「お金って、この金貨ですか?それとも地上のお金ですか?」
「ダンジョンで使えるお金はこの金貨―――ギニーだけニャ。この中金貨1枚の単位は500ギニーだニャ。地上のお金はダンジョンでは使えないニャン」
「このギニー金貨、宝箱から手に入れた物なんですけど、宝箱以外からギニー金貨を手に入れる方法ってあるんですか?」
「この万屋で魔物の魔石やドロップアイテム、いらない装備品を買取してるから、それでギニーは手に入れられるニャ」
「この休憩所を利用するのにもギニー金貨が必要って言ってたけど、1泊おいくらギニー?」
「ここは休憩所だから1泊じゃなくて1回だニャ。ここの場合、1回48時間で個室のマグロブシの間は1人2000ギニー。
「……金貨1枚が500ギニーなんですよね?仮に私達が雑魚寝部屋を利用するとして、金貨4枚で支払いを済ませた場合、お釣りはどうなるんですか?」
1枚100ギニーの銀貨でもあるの?それともお釣りの400ギニーはチップとして取られちゃうの?
「ギニー金貨の最小単位は100からになってるニャ。1枚100ギニーの小金貨、1枚500ギニーの中金貨、1枚1000ギニーの大金貨の3種類が存在してるニャ。
ギニーには金貨以外に銀貨と銅貨も存在するニャ。1枚1ギニーの銅貨、1枚10ギニーの銀貨だニャ」
成程。ギニー銅貨1枚=10円、ギニー銀貨1枚=100円、ギニー小金貨1枚=1000円、ギニー中金貨1枚=5000円、ギニー大金貨1枚=1万円みたいなもんか。
「けど、ダンジョン内で買い物をするなら、嵩張るギニー貨幣を持ち歩くより、これを持っていた方が支払いも楽だニャ」
猫妖精はそう言いながらカウンター下から1枚のカードを取り出した。
「ニャッニャニャーン!妖精カード!!これは地上でいう所の電子マネーに相当するチャージ式マネーカードだニャ」
おっふ!ファンタジーなダンジョンにもチャージ式マネーカードを導入するとは、流石はやり手な地球さんだ。
「御嬢さん達は初めてのお客さんだから、500ギニーチャージ済みの妖精カードを人数分無料で作ってあげるニャ」
「なんというサービス精神。商人の鏡だ。ありがとうございます、猫店長」
私がお礼を言うと、猫店長は何処からともなく湯呑みを4つ取り出した。妖精カードを貰うって話だったのに、どうして湯呑み?
「これを飲むんだニャ」
………これは妖精カードを4人分作るのに、少し時間が掛かるからお茶でも飲んで待て的な意味なのかな?
けど、湯呑みの中の液体がどう見ても緑茶や番茶、麦茶とは異なる色合い。近い色合いのお茶は蕎麦茶かな?
出された飲み物を口にしないのは失礼だけど、正体不明な液体を口にするのも少し戸惑う。
いや、毒無効
私が湯呑みを手にして謎の液体を飲むべきか否か迷っていると、他の3人が私より先に謎の液体を飲み始めた。
くっ!3人が飲んだ以上、私が飲まないという選択肢はあり得ない!私は覚悟を決め、謎の液体を一気に飲み干した。
「…………………これは鯖節と鰹節、鮪節、昆布から作られた合わせ白出汁?」
「当店で妖精カードを作る為には、この出汁を飲まないといけないニャ。飲み終えたら、「妖精カードよ、出るニャー」と念じるだけで掌からカードが出るようになるニャン」
妖精カードを含む妖精の宿の仕組みを猫店長から教えて貰った後、私は風見ダンジョンから溜めに溜めた低級魔物の魔石を売却した。
中級以上の魔物の魔石は、属性付与の魔石に使えるからキープしたままだけど、低級魔物の魔石だけでも溜め込み過ぎていたこともあって、猫店長には呆れられてしまった。
買取査定をしている猫店長の邪魔になるかとも思ったけど、時間を無駄にしたくない私は猫店長からダンジョン情報を聞き出す。
「ねぇ、猫店長。このダンジョンの帰還用ゲートが何処にあるか分かる?」
「ここの帰還ゲートは最奥のボスモンスターを斃さないと現れないニャ」
「マジ?」
「真剣と書いてマジだニャ」
猫店長の言葉にささら、ルル、紫蓮ちゃんの3人は固まってしまう。
「そのボスって私達でも倒せる?」
「日中に出るボスなら、御嬢さん達の持ってる武器で十分倒せるニャ。ただ――――」
「ただ?」
「まともな防具が羽織と外套だけなのが少し心配な点だニャ」
「この店って防具も売ってるんだよね?店で取り扱ってる最高品質の防具と私達の羽織や外套だと、どっちが防御力高いの?」
「御嬢さん達の羽織と外套は何色の宝箱から手に入れた防具かニャ?」
「緑色に金縁の宝箱だけど?」
「色付きの金縁宝箱に4つとも入ってたのかニャ?」
「そうだね」
「なら、
エピッククラス?何、それ?多分、ダンジョン式のレア度表現なんだろうけど、URとかSSRとは比べ物にならないカッコいい表現方法だ。
「ダンジョンで手に入る装備品やアイテムの最高等級は
そして、御嬢さん達の羽織と外套は第四等級である
うちの店―――というか、他のダンジョンにも存在する妖精の宿でも最高品質装備は、基本的に第六等級である
「基本的に、ということは例外もあるの?」
「御嬢さん達みたいに妖精の宿まで辿り着いた者が、
「………つまり、新品での最高品質は
「そういうことニャ。うちの店で取り扱ってる一番安い初心者用装備は第八等級の
ちなみに御嬢さん達が今着ている地上産の服は、防具としての機能が一切ない普通の服だから、等級をつけた場合、
まぁ、普通に考えたら地上産の一般人が着る服なんて、防具価値が
話の流れでダンジョン産アイテムの等級と宝箱の関係とかも教えて貰えるなら聞いてみよう。
「猫店長との話から宝箱の色で中に入ってるものの等級が判別できることが分かったけど、ダンジョンで手に入るアイテムの品質等級の呼び方と一緒に、どの色の宝箱にどの等級のアイテムが入ってるのかとか、教えて貰えたりしない?」
「虹色宝箱で手に入るのは
緑、青、赤なんかの色付き金縁宝箱は
金色宝箱は
銀色宝箱は
銅色宝箱は
地上の
私の質問に対して、猫店長は算盤で買取り計算を行いながら、私達にも分かり易い捕捉を加えながら説明してくれた。
銅色宝箱なんてあるんだ。この妖精の宿に至るまで間で発見した宝箱は、銅色宝箱以外だったから、銀色宝箱をRアイテムと勘違いしてたよ。
「取り敢えず、店で取り扱っている防具と比べても、御嬢さん達の羽織と外套は圧倒的に性能が高いニャ。
けど、御嬢さん達が着ている地上の服と比べたら、うちで扱っている防具の方が段違いで性能が上だニャ」
「まぁ、品質等級が1ランク違えば、性能も文字通り段違いだろうね。話は変わるけど、魔石の買取金額って、ドロップする魔物によって違ったりするの?」
「多少の違いはあるニャ。昼の魔物の魔石なら1個の最低買取価格は20ギニー、最高買取価格は25ギニーといった所だニャ」
多分、20ギニーはバネ風船で確定だ。25ギニーは魔本か市松人形、もしくは私達がまだ出会ってない魔物ってことになる。
「っと、買取は〆て3万2000ギニーになるニャ。全額妖精カードへの入金でいいかニャ?」
「4等分でお願いできますか?」
「大丈夫ニャ。それじゃあ8000ギニーずつ入金して置くニャ」
取り敢えず、防具一式をこの店で買い揃えるのは確定だ。武器の方はどうだろう?
「この店の既成武器と私達の持ってる武器だと、どっちの方が強い?」
「バネ風船のバネでナックルガードを作ってる木刀はギリギリ
生産魔法だけしか使われてなければ
ニャーの店で売るとしたら535ギニー、買取価格は267.5を四捨五入して268ギニーといった所だニャ」
「買取価格は売値の半値なんだ」
「それが妖精の宿の鉄則なんだニャ。そっちの2人の御嬢さんが持ってる、もう1つの木刀っぽい武器は見た目に反して高性能っぽいから、
「ってことは、この店での時雨の売値は2000ギニーなんだ。この店で2000ギニー前後の武器って、どんなのがあるの?」
「2000ギニーなら大刀サイズのサーベル、1500ギニーなら小太刀や戦闘杖があるニャ」
「等級は?」
「当然、稀少級《レアクラス》だニャ」
「それじゃあ、この武器に値段と等級を付けたらどうなる?」
私はそう言いながら宝物庫に死蔵していた滅竜武装・影打を10振取り出した。
「………これにはダンジョン産の鋼材じゃなくて、バネ風船の金属と地上産の鋼材を組み合わせた合金が使われているニャ。
けど、圧縮されているのか金属密度が高い上、属性付与までされた魔剣と呼べる代物だニャ。
ダンジョン産の鋼材製なら最低でも
「それじゃあ、10振合わせて125万ギニーで買取ってくれる?」
「……いいのかニャ?バネ金属の合金製とはいえ、この武器はうちの店で扱ってる最上級武器より性能が高いニャ」
「アダマンタイトで造った武器があるから、合金製の武器は死蔵してたんだ。だから、買い取ってくれると助かる」
「……………分かったニャ!バネ金属の合金製魔剣10振、〆て125万ギニーで買取るニャ!というか、アダマンタイト製で同系統の魔剣もあるのかニャ?それだったら最低でも1振100万ギニーで買取るニャ」
「アダマンタイト製は数が少ないから売る予定はないよ。それよりもこの店で扱ってる最高品質の防具4人分、その買取金額を使って支払いたいんだけど、金額は足りる?」
「最高品質の防具をフルで揃えても、1人辺りに掛かる費用は5~6万ギニーで24万ギニーもあれば十二分ニャ」
「じゃあ、差額分を4等分にして、妖精カードにチャージしといてくれますか?」
「承ったニャ」
猫店長はそう言い終えると高速で買取作業を終え、滅竜武装・影打を店の奥へと持って行くと、戻って来る時にこの店で取り扱ってる最高品質の防具を4人分の持ってきた。
「これが当店の最高品質の防具―――
漆黒の着物を持ってきたと思ったら、「BLE●CH」に登場する死神の標準装備かい!?けど、この世界に「BLE●CH」という漫画は存在しないから、私以外にツッコミを入れる人間は存在しない。
「一般的な袴タイプ以外に忍者風の刑戦装束も存在するニャ」
刑戦装束は漫画版ではなくアニメ版のチューブトップ風の服が付属したタイプになっている。
………けど、この店で最高品質の防具だっていうし、私達の持ってる羽織や外套と合わせても特に違和感はないだろうから問題ないかな?
アンケート内容
①【無限鳥居でのささら達のレベリング手段】
・最後まで地道な魔物との戦闘で得られる経験値
・妖精の店での宿泊3日目の夜に昇華魔法と変成魔法で強制レベルアップ
②無限鳥居ダンジョンボスはどれ?
・八岐大蛇幻影体・弱(戦闘能力値:2250?)←3つ首
・八岐大蛇幻影体・狂(戦闘能力値:4250?)←8つ首
無限鳥居ダンジョンボスはどれ?
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八岐大蛇幻影体・弱
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八岐大蛇幻影体・狂