地球さんはLevel Upしました~ありふれてない天職で世界最強~ 作:大筒木朱菜
リアルが忙しかったり、Vtuberに嵌まったり、ガンプラ製作に逃避したり、執筆済の話を大改訂したりしてたら、いつの間にか2年近く放置してしまってました。
誠に申し訳ないです。取り合えず、改訂済の話までを一気に再投稿します。
※注意事項
・原作設定と異なる点が多々ございますが、原作の平行世界と割り切って読んで頂けると幸いです。
・本作主人公の錬成魔法は地球さんがレベルアップすると同時に合成強化
・本作では原作と異なり、侵入者の可否に関係なく基本的には最初から転移渦の色でダンジョン難易度が固定されています。
なので、主人公が最初に入ったダンジョンは原作風見ダンジョンとほぼ同じとなっているので、その点をご了承ください。
・本作では原作と異なり、無限鳥居ダンジョンの難易度が若干上昇。1つ目の山から魔物が5体以上の編隊で出現することがあります。
・本作で登場するダンジョン宝箱のレア度判別は、普通の木箱=
・無限鳥居ダンジョンの妖精の宿の滞在時間を24時間から48時間に変更。
・本作オリジナルのダンジョン地図が妖精の宿で販売。
・無限鳥居ダンジョン2つ目の山の難易度上昇。(魔物の出現数的な意味で)
【視点:命子】
妖精の宿での宿泊初日深夜帯。ささら達が熟睡している中、私は気配遮断
「ニャニャ?こんな時間帯に何処かへお出かけかニャ?」
「武器と防具の強化素材が欲しいから、ちょっと夜の魔物狩りに行ってきます。他の3人には内緒にして置いて下さい」
「短時間で大量の魔物を狩るなら丁度いいアイテムがあるニャ」
「何?」
「普通ならお勧めできないアイテムだニャ」
猫店長はそう言うと、カウンターの上にトローチくらいの大きさの錠剤を1つ置いた。
「休憩所以外のダンジョン内で砕くと、1時間魔物を引き寄せ続ける撒き餌だニャ。お嬢ちゃん以外の3人には絶対に売らない代物だニャ」
「…………おいくら?」
「元々売り物になるとも思ってなかった代物ニャ。50ギニーでいいニャ。」
「支払いは妖精カードで宜しく」
私が撒き餌を買い終えると、店から出る私を猫店長は何も見てないと言わんばかりに、視線を外してくれた。
妖精の宿から出立した私は、全集中の呼吸を使いながら全速疾走し、1~2分で2つ目の山へと繋がる橋の手前に到着した。
橋の手前には未確認の魔物である火を纏った鼠―――多分、かぐや姫の話に登場する火鼠の皮衣の素材っぽい魔物や手が鎌になった鼬―――多分、鎌鼬の妖怪っぽい魔物が4体ほど確認できた。
「ゴォォォォ………。全集中、
4体の魔物が私に気付くより早く、私は最速でその首を斬り落とす。首を斬り落された魔物は即座にドロップアイテムと魔石に姿を変えた。
ドロップアイテムは火鼠の皮が2つと鎌鼬の皮が1つ、鎌鼬の鎌が1つだった。鎌鼬の鎌は強化素材として即座に錬成魔法で滅竜刀真打・炎雷に物質融合した。
炎雷の強化を終えた所で撒き餌を砕くと、ものの数秒で山の斜面を下る様に魔物が集まって来た。
確認済みの魔物が大半だけど、ミノタウロスのような未確認の魔物―――多分、牛鬼やぬっぺふほふ、大百足も現れた。
撒き餌ということもあって、集まって来た魔物も結構な数だ。パッと見た感じ、20~30体といった所かな?
「ゴォォォォ………。全集中、
撒き餌の効果で魔物が集まってくる時間はたったの1時間。少しでも多くのドロップアイテムを手に入れる為、私は出し惜しみせずに適材適所の呼吸を全力で使い、まずは夜の魔物の中でも雑魚に相当する魔物と相対する。
〝日暈の龍・頭舞い〟独特の流れる様な足運びで雑魚をすれ違い様に斬り捨て、雑魚を駆逐し終えると次は大型の魔物と順番に相対する。まずは昨夜も現れた複数体の
「シィァァァ………。全集中、
「ヒュゥゥゥゥ………。全集中、
〝霹靂一閃〟の踏込による加速から〝水車〟の斬撃へと繋げる混成接続剣技。
「進撃●巨人」のリヴァイ=アッカーマンが無垢の巨人の体を回転斬で斬り刻む様に、私は〝水車一閃〟で大百足の体を斬り裂いて行く。
大百足の体を斬り裂き終えると、その後方から迫って来ていた大蜘蛛に対して間髪入れずに攻撃を仕掛ける。
「炎槍、炎弾!一斉掃射!!」
今更だけど私は自分の周囲に六属性の魔導書を常時浮遊させていて、いつでも魔法を放てるように攻撃待機させていたので、蟲系魔物に対して効果的そうな炎攻撃を大蜘蛛に向かって連続発射する。
炎攻撃は私の予想通り大蜘蛛に対して効果的で、炎槍で地面に張り付けられた大蜘蛛は十数発の炎弾攻撃であっさりとくたばった。
大百足と大蜘蛛を処理し終えると、次はぬっぺふほふが標的だ。見た目は肉の塊。もしかしたら「北斗●拳」のハート様や「るろう●剣心」の夷腕坊みたいに衝撃を吸収する能力を持っているかもしれない。
取り敢えず、剣術で倒せるか試してから、無理そうなら攻撃手段を魔法に変更しよう。
〝塵旋風・削ぎ〟と似た様な性質でありながら、破壊力が段違いな首ごと体を抉り斬る
「コォォォォ………。全集中、
〝煉獄〟が直撃したぬっぺふほふは、「BLE●CH」でバーナーフィンガーを喰らった吉良イヅルみたいになった。
予想では斬撃の威力が少しは減衰される筈だったんだけど、斬った感触は凄く柔らかくなるまで煮こまれたラフテーを斬ったような感じで拍子抜けした。
〝煉獄〟の破壊力が絶大だったのか、それともぬっぺふほふが見た目だけの張りぼてで、実はぬっぺふほふが夜の魔物で紙防御力の最弱雑魚魔物だったのか。
ぬっぺふほふの次は牛鬼が相手だ。全長2m50cm以上の牛鬼は身の丈ほどの大刀―――というよりかは斬馬刀?形状は「NAR●TO」に登場する霧の忍刀七振りに数えられる断刀・首斬り包丁に似た武器を持っている。
見た目の大きさに反して、力任せに振り降ろされる断刀もどきの速度は意外と速く、炎雷で受け止めた一撃も私の足と接地している地面が砕ける威力を有していた。
この牛鬼は私が今まで出会った夜の魔物の中で最強と呼べる存在だ。まぁ、その現時点で最強の魔物の一撃でも私は無傷なんだけどね。
自分で言うのもなんだけど、イメージ的には「るろう●剣心」のvs破軍(乙)の不二戦での比古清十郎と同じくらいの強者感が今の私にはあると思う。
牛鬼は初撃を受け止められると思っていなかったのか、二撃目以降は崩山剣舞と言わんばかりに断刀もどきを闇雲に振り回してきた。
「鬼滅●刃」の竈門炭治郎が上弦の陸である堕姫の帯を捌く様に、私も闇雲に振り下される断刀もどきの攻撃を炎雷で捌き続ける。
そして、捌かれた断刀もどきが勢い余ってその刀身を地面へと減り込ませた瞬間、私は攻勢に出る。
「ホォォォォ………。全集中、
月輪を纏う縦方向に弧を描いた無数の斬撃を放つと、牛鬼はいとも容易く斬り刻まれ、ドロップアイテムと魔石を残してその体を消失させた。
撒き餌のお陰というべきか、私が牛鬼と戦っている間におかわりの魔物が集まっていたみたいで、中にはこれまた初見の全長150cmは有りそうな進化系市松人形が複数体含まれていた。
「………流石に人間大の市松人形はホラーでしかないね」
市松人形(大)が持っている武器は個体ごとに異なっていて、市松人形(小)と同じ脇差の個体もいれば、大刀の個体や薙刀の個体、槍の個体もいた。
市松人形(大)は市松人形(小)と同じ様に浮遊した状態で、一般的な成人男性が全力疾走する位の速度で一斉に襲い掛かって来た。
一対多数での戦闘を得意とする武術の知識が私には複数ある。その1つは飛天御剣流を源流とし、呼吸術と組み合わせた鬼滅流
「シュフゥゥゥゥ………。全集中、
千手型―――源流であり、「刀語」に登場する千刀流はその名の通り千振りの刀―――多人数の武器持ちとの戦闘でその効果を最大限に発揮する奪刀術を基本戦術としている。
そして、本来の〝千刀巡り〟は四季崎記紀が造り出した完成形変体刀・千刀〝
閑話休題。私は向かってくる市松人形(大)の武器を奪い取ると、そのままその武器を使ってカウンター攻撃を仕掛けて返り討ちにした。
カウンター攻撃は全部突き技になったんだけど、確実に相手を仕留める為に
まぁ、槍や薙刀相手のカウンター攻撃は〝虎穿〟というより、どちらかというと〝ブラッディースクライド〟みたいな感じになったけどね。
言い忘れてたけど、市松人形(大)以外に一反木綿や提灯お化けなども現れていた。まぁ、一反木綿や提灯お化けは夜の魔物の中でも弱小に分類される魔物みたいで、瞬殺できたんだけどね。
あっ、一反木綿に関しては倒すのに少しだけコツがいるかも。例えるなら上弦の陸である堕姫の帯みたいな感じだからね。強靭だけどしなやかで斬り難いみたいな?
兎に角、撒き餌を撒いてからの1時間は、それなりに厄介なのから大したことないのまで、色々な魔物を斬り伏せ続けた。
ちなみに厄介な魔物は牛鬼や市松人形(大)のことじゃないよ。出現時はマネキンみたいな姿だったんだけど、対峙した瞬間に私やささら、ルル、紫蓮ちゃんの姿に変化して攻撃してくる魔物だった。
しかも、ささらやルル、紫蓮ちゃんの姿に変化した魔物は、現時点での3人を凌駕する戦闘技術を持っていたんだ。
全集中の呼吸は使ってこなかったけど、3人が使ったことのある繚乱型と土公型、鈿女型の型式剣技は使って来たから、少しだけ驚かされた。
私の姿に化けた魔物も私が無限鳥居に入ってから使った鬼滅流の型式剣技を使って来たからね。まぁ、私の偽者は戦闘能力も戦闘技術も、私の3~4割でしか再現できてなかったけど。
多分、この魔物はダンジョンに入って来た生物の能力を一定数値まで向上させた上で、戦闘技術も一定レベルまで再現できるのかもしれない。
例えば、装備品のバフ込みで呼吸術を使用しないささら達の戦闘能力値を280とした場合、偽物の最大戦闘能力値は750ってところかな?
私は呼吸術や魔法による身体強化抜きで2000くらいが妥当かも?基礎戦闘能力が魔王ハジメだし。
取り敢えず、見た目が仲間に変えて攻撃してくるから、精神的な意味で戦い辛くはあった。
あっ!あと、この魔物は完全に物理近接戦闘型。私がダンジョンに入ってから使った神代魔法を、私の偽物は一切使って来なかったからね。
まぁ、この偽物―――モシャス魔物がダンジョンの生み出した試作品の魔物という可能性もあるから、時間が経てば、私を完全再現できるモシャス魔物が現れる可能性もあるかも知れない。
………自分で言っといてなんだけど、完全再現モシャス魔物はかなりヤバいね。どこぞの戦闘狂なら再現された時点での自分を凌駕すれば問題ないっていうと思うし、私もその意見には同意するけど、私以外の人間が3~4割再現の偽私を相手にするのは結構キツい気がする。
………………まぁ、何はともあれ1時間の間にかなりの魔物が集まってくれたおかげで、かなりの素材が手に入った。妖精の宿に戻ったら、この素材を使って皆の武器や防具を強化しよう。
ちなみに魔物を斃した時に手に入るドロップアイテムをどうやって回収していたかというと、空間魔法を使って回収していました。
夜の魔物狩りを終えた私は妖精の宿に戻ると、1時間で稼いだ魔石を全部買い取って貰った。
「買取金額は〆て8万7,000ギニーになるニャ」
1時間で狩り続けた魔物の数は100体以上。一晩で100人の傭兵を斬り伏せた某傭兵団の100人斬りの斬り込み隊長を上回る偉業だと思うね。
魔石の価値は魔物の強さによって異なるんだと思うけど、買い取って貰った魔石を個別査定して貰った訳でも無いから、詳しい価格差は分からない。
取り敢えず、夜の魔物の魔石の平均買取価格は1体辺り約870ギニー、日本円で6万900円。っていうか、時給609万円とか、危険手当で割高給料だとしても凄い金額だね。
私は遣り難い相手と思うことはあっても、命の危機を感じる敵が居なかっただけに、こんな大金を貰えるとなると金銭感覚が崩壊しそうになるよ。
………まぁ、現時点でのささら達じゃ瞬殺されるとまでは言わなくても、95%以上の確率で殺されそうだから、夜の魔物狩りはお勧めできないかな。
魔石の買取終了後、武器と防具を強化する為の情報――――というか、基礎知識が記された指南書と、素材ごとに得られる強化値が確認できるモノクル型の魔道具を購入。
残金を妖精カードへと入金して貰った後、私は気配遮断
指南書曰く、使用する素材元である魔物の強さで得られる強化値が異なる上、魔物の牙や爪などの素材も金属系武器の強化素材として使えるらしい。
布系防具に魔物の毛皮を組み合わせて強化するのは理解できるけど、金属―――鉱物を利用した武器に魔物の牙や爪を組み合わせて強化するとか、普通なら理解できないよね。完全にモンハンの武器みたいじゃん。
4人分の武器と防具を公平に強化したかった私は、モノクルを使いながら滅竜刀シリーズの強化値を+20まで上げ、死覇装を始めとする防具類一式は強化値+10まで上げた。
宝物庫内に保管していたドロップアイテムの比率が、武器強化素材より防具強化素材の方が多かった為、どうにか防具類一式全てを強化値+10まで上げることができたって感じだった。
ルルが今日中にでも全集中の呼吸を
ちなみに、魔導書系装備には魔本の紙片や提灯お化けの残骸といった紙系素材で強化を行った。
………そういえば、ささらの
少なくとも死覇装を含む全防具の強化値が0の状態で、紫蓮ちゃんとルルがささらの繰り出す杵柄ソード(当然、強化値0)による全力攻撃(
ささらに至っては防具性能上昇(小)が二重に働いてるとはいえ、紫蓮ちゃんやルルの灰王の剣による全力攻撃(当然、
多分、原付と交通事故に遭っても原付側が一方的に損害を被るだけで、ささらは無傷だったりするのかもしれない。
死覇装の限界強化値は+200で、羽織や外套の限界強化値は+250だから、そこまで強化し終えた状態なら、ささらの場合は大型車と交通事故に遭っても無傷な可能性が十二分にあり得るかも?
閑話休題。明日は4時には目を覚まして、1時間で身支度や朝食を終え、5時には店を出てレベリングをする予定だから、現時点で睡眠時間も3時間を切ってるし、やることもやり終えたから早く寝てしまおう。
【視点:ささら】
地上時間AM4:00―――無限鳥居ダンジョンでの日の出まで残り1時間という時間帯にスマホの目覚ましアラームが鳴り出し、私達は目を覚まします。
「………皆さん、おはようございますわ」
「………おはようデス」
「……おはよう」
「おはよう。今日のレベリング、頑張っていこう」
朝の挨拶を交わし終えると、それぞれに身支度を始めます。命子さんの指示で、洗面所を利用する順番は紫蓮さん→私→ルルさん→命子さんに決まりました。
紫蓮さんが洗面所で洗顔と歯磨きなどをしている間、私はダンジョン活動前のストレッチを始め、ルルさんは私の補助。命子さんは全員分の布団を折り畳んで片付け始めます。
紫蓮さんが洗面所から出て来ると、入れ替わりで私が洗面所へと向かい、ルルさんがストレッチを始めて、命子さんがルルさんの補助。
紫蓮さんは命子さんの指示で全集中・常中へと至る為、軽く全集中の呼吸の継続鍛錬を始めます。
あとは洗面所を利用する人の順番で、朝の身支度の役割がスライドしていく形となる訳なんですが、全員が身支度を終えた後、朝食前に4人で話し合い、妖精の宿を含めた休憩所を利用した時の朝の定番行動にすることが決定いたしました。
朝食を取り終え、地上時間AM5:00―――無限鳥居ダンジョンでの日の出時間となって、妖精の宿の外に配置されている灯籠に灯った青白い炎が消えると、私達はレベリングの為に店を発ちます。
朝食を終えてから店を発つまでの間、妖精の宿で購入した迷宮地図(松)に目を通し続けていた命子さんが声を上げます。
「この無限鳥居ダンジョン、時間帯別で魔物の出現率と場所が変動するのかも」
「いきなりどうしたデス、メーコ?」
「昨夜、確認した場所は2つ目の山の麓だったでしょ?」
「ええ」
「今、確認したら…………」
「………2つ目の山であることは変わりないけど、レベリングに適した狩場が中腹寄りになってる」
「往復時間を考えると、レベリングに使える時間が減るから、移動時間を短縮する為にも急ぎで行こう」
「どうやって行くデスか?」
「ルルはライオネルで獣化した上で高速移動を使って走って、ささらと紫蓮ちゃんは全集中の呼吸を使いながら全力疾走ね。じゃあ、行くよ」
命子さんはそう言うや否や、一瞬の内に姿を消してしまいました。
「えっ?」
「め、メーコが消えたデス!?」
「あっ!もう胡麻粒みたいに見える距離まで移動していますわ!!」
「早ッ!!」
「…………これが羊谷命子という陰の実力者の力の一端」
「紫蓮さん、そんなことを言っている場合ではありませんわ。早く追いませんと」
この後、私達は全速力で命子さんを追いかけ、1時間も掛けずに2つ目の山の中腹近くまで辿り着きました。
「「「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ………」」」
ここまで全力疾走していた私達は息を切らしてしまって、呼吸を整えるのに小休止している状態です。
特にルルさんはライオネルの持続時間が10分だけな上、全集中の呼吸が不完全なせいで、朝食で食べた物を今にも戻してしまいそうな状態です。
私達とは真逆に命子さんは息も乱さず、平然としています。私達も全集中の呼吸の錬度を上げれば、命子さんみたいに平然としていられる様になるのでしょうか?
息を整えるのに10分程の時間を費やした後、私達は魔物のいる場所まで移動し始めます。
「……そういえば、この無限鳥居ダンジョンの魔物には縄張り意識でもあるのかな?」
「それは一体どういうことですの?」
「いや、私が最初に入った風見ダンジョンではバネ風船や魔本が徘徊してたけど、この無限鳥居ダンジョンでは私が移動しないと魔物と遭遇することが無かった気がするし、魔物の編成を確認するのに身を隠して様子を見たことがあるけど、徘徊する様子も無かったでしょ?」
「………言われてみれば―――」
「―――そんな気がするデスね」
「それにこの無限鳥居ダンジョンの松地図にも魔物の出現場所が円形の囲いで表示されてるし、無限鳥居ダンジョンでは基本的に魔物の出現、及び活動場所が固定されてるのかも知れないね」
「基本的に、ということは例外もあると命子さんは考えていますの」
命子さんの何気ない発言から私の気になる点を質問してみると、命子さんは苦笑しながら答えてくれました。
「戦闘中に私達が負傷して撤退したら、魔物はどんな行動をすると思う?」
「追撃して来る」
「
「………何語?」
「
命子さんの口から唐突に飛び出したスパイン語に目を白黒させる紫蓮さんと、何語であるか教えてあげるルルさん。
それはさて置き、確かに命子さんの言うことには一理ありますわ。ダンジョンは弱肉強食の世界なのですから、追い打ちを掛けるなんて卑怯卑劣でもなく常識なのかもしれませんわ。
「あと、深夜帯に目を覚ました時、猫店長とダンジョンでの世間話をしたんだけど、ダンジョンには撒き餌ってアイテムが存在するみたい」
「撒き餌、ですか?」
「うん。地上のトローチくらいの大きさの錠剤?みたいなんだけど、それを砕くと1時間も周辺の魔物が餌に群がる蟻みたいにワラワラと寄ってくるみたい」
「「「……………ヒエッ!!」」」
「ダンジョン内の宝箱で手に入る可能性もあるみたいだから、手に入れたとしても砕かない様に気を付けないといけないね」
……つまり、無限鳥居ダンジョンの魔物が縄張りの外で活動する条件は、敵を追撃する場合と撒き餌を使われた場合という訳ですわね。
「……命子さん。ちなみに今の私達が撒き餌を使用した場合、集まる魔物に対処し切れると思いますか?」
「…………松地図を見る限り、狩場予定地の近くに点在する魔物の総数は1km四方の範囲で40体前後。それが集まって来るのに時差があったとしても、今のささら達だったら自殺行為だと思うよ。
あと、撒き餌に魔物のリポップ短縮効果とかがあったら更に最悪だね。99%の確率で蹂躙されるだけだと思う」
「残りの1%は何ですの?」
「漫画やラノベ、アニメ的な展開で生命の危機に瀕した3人が自分の潜在能力を覚醒させて、無双展開に突入する可能性が1%」
「メーコだけなら生き残れるデスか?」
「1時間程度なら100体押し寄せて来ても返り討ちにできる自信はある」
100体の魔物を返り討ちにできると語った命子さんの目には強がりなどの色は一切見えず、自信に満ちたものでした。これが全集中の呼吸を極めている者の貫録というものなのでしょうか?
「そろそろ魔物と遭遇する頃合だから、お喋りも終わりにしようか。今回の狩場は魔物が6体出現して、20分置きにリポップする場所だから、1人2体で1体討伐するのに掛けられる時間は10分くらいだね」
「メーコは魔物狩りに参加しないデスか?」
「今回のレベリングは3人の為のものだからね。私は基本的には不参加。けど、私も試してみたいことがあるから、中・遠距離から援護することもあるし、初見の魔物相手なら普通に参加するかな」
「………少しでも羊谷命子に近付く為、魔物を狩りまくる」
「ですわね」
「
今日の魔物との戦闘に命子さんが基本的に不参加ということで、私達は気を引き締めて戦いの場へと向かうことにしました。
目的地には地図に書かれていた通り、6体の魔物―――杵ウサギが3体、市松人形が2体、魔本が1体待機していました。
「今回、私は戦闘指揮もしないから、3人で頑張ってみて」
「「「ッ!!?」」」
戦闘前に命子さんの急な発言にギョッっとする私達。今まで命子さんが陣形を考えたり、指示を出していたので、驚かずにはいられませんでした。
「…………羊谷命子が指揮をしないなら、指揮者にはささらさんが適任だと思う」
「紫蓮さん?」
「
「ルルさん!?」
「ささらさんはこの
「……………分かりましたわ。では、魔物を斃す順番を決めます。まず、遠距離攻撃が厄介な魔本から倒しましょう。
ライオネルが使えないとはいえ、瞬間的な速度なら3人の中で最速のルルさんが魔本を斃して下さい」
「
「魔本の次に厄介なのは刃物持ちの市松人形です。滅竜武装に装備を切り替えた私と紫蓮さんなら昨日よりも早く倒せると思うので、杵ウサギより先に仕留めましょう。残った杵ウサギは最後に確固撃破」
「了解」
命子さんが不参加な状態で最適と思われる作戦を話すと、ルルさんと紫蓮さんは同意してくれた。
無限鳥居ダンジョンに入って命子さん抜きの初めて戦闘。私達は数回深呼吸をした後、魔物目掛けて一気に駆け出しました。
ルルさんは高速移動と猫の様なしなやかな動きで杵ウサギと市松人形をすり抜け、魔本の所まで向かいます。
私と紫蓮さんも杵ウサギをすり抜けて市松人形の所まで向かい、攻撃を仕掛けます。
「フゥゥゥゥ………。全集中、
「ゴウゴウゴウン………。全集中、
私と紫蓮さんの放った技が市松人形に直撃すると、市松人形がノックバックすると思いきや、市松人形は呆気なく光になり、ドロップアイテムだけを残して消えてしまいました。
「「え?」」
市松人形の呆気なさに思わず呆けてしまう私と紫蓮さん。それがダンジョンでは致命的な隙と油断になり――――
「シャーラ、シレン!杵ウサギが迫ってるデス!!」
杵ウサギに最大の攻撃チャンスを与えてしまうことになってしまいました。背後から迫ってくる杵ウサギの方を振り向くと、杵を振り上げて攻撃準備万端な状態です。
迫ってくる杵に対して私達はそれぞれの鬼滅武装で受け止めようと構えますが、何かがぶつかる音と共に杵ウサギは主武装である杵を取り落としてしまいます。
私の視界に映った杵ウサギの後方には、戦闘に不参加であった命子さんが、アンダースロー投法をし終えた後のような恰好をしています。
命子さんが何かを投げて杵ウサギの杵にぶつけたことで、杵ウサギは杵を取り落とした?けれど、地球さんがレベルアップして以降、投擲物が人体に与える影響は皆無になっている筈。
地上の生物に対してのみ投擲物の影響が無くなっただけで、魔物に対しては投擲攻撃が有効?それとも装備品は身体の一部と認識されないから、投擲攻撃の影響を受ける?
いいえ。そんなことより今は命子さんが作ってくれたチャンスを無駄にしない様にしなければいけません。
「〝スラッシュソード〟!」
「《/b》〝強撃〟《/b》!」
私と紫蓮さんがジョブで得られた
ルルさんと魔本、最後の杵ウサギがどうなっているか視線を向けると、魔本は既に討伐済みで最後の杵ウサギもルルさんに討伐されそうになっていました。
「これでトドメデス。スィィィィィ………。全集中、
ルルさんが斬撃を放つ瞬間、ルルさんの持つ時雨の形状が変化し、杵ウサギは滅多斬りにされてドロップアイテムへと姿を変えました。
時雨を変化させられたということは、ルルさんが全集中の呼吸を会得し、
手放しで喜べることなんですが、その前に私と紫蓮さんは決定的な隙を敵前で晒してしまい、下手をすれば殺されていたかもしれないので、手放しに喜ぶ様な行動もできません。
この様な場合、私は一体どうすればいいのでしょう?教えてください、命子さん!!
アンケート内容
①【無限鳥居でのささら達のレベリング手段】
・最後まで地道な魔物との戦闘で得られる経験値
・妖精の店での宿泊3日目の夜に昇華魔法と変成魔法で強制レベルアップ
②無限鳥居ダンジョンボスはどれ?
・八岐大蛇幻影体・弱(戦闘能力値:2250?)←3つ首
・八岐大蛇幻影体・狂(戦闘能力値:4250?)←8つ首
無限鳥居ダンジョンボスはどれ?
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八岐大蛇幻影体・弱
-
八岐大蛇幻影体・狂