おかしい。間に合ってないではないか。
11月は妙にテンションが乗り切らず、尚且つポケモンが出たのが敗因でした。
吾輩はパーフェクトスタッフである。
今現在、吾輩は仕事どころではない絶望的な状況になっている。
ドンドンドン!!
吾輩が立て籠もりをしている扉を開けてこようとする不届き者に対抗すべく、ゾンビ映画のように扉の前で踏ん張っているところである。なのだが筋力的、体力的な面での問題で風前の灯火といった状態だ。
どうして立て籠もりをしているかは三十分ほど前に遡る。
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今日も今日とて仕事三昧である。しかし仕事が一段落した為固まった身体を解すために立ち上がる。ストレッチをするとボキボキと骨がなるが少し頭が冴える感じがする。
もうひと頑張りだ。と気合を入れつつ、いつものこよりん印の栄養ドリンクを飲む。うん?こんな味だったか…いや、というか身体が痛いような…痛、イタタタタ!
しばらくすると痛みが治まったので、失敗作を寄越したであろうピンクコヨーテに苦情申立をしようと思い部屋の外に出ようとした。
そこで気がつく。なんか視点が低いと。
嫌な予感がしたので机の上にある手鏡を引っ掴んだ。
忘れかけていた10代前半だったであろうの我輩の姿が写っていた。
コナ○君みたいな状況になって混乱はしたもののやることは変わらない。まずはあのピンクコヨーテに突撃インタビューせねばなるまいと決意した。
服が大きくて転びそうになるので袖捲りズボン捲り、ズレないようにクリップでとめる。…これで良し。これでもまだダブつくのは仕方ない。
扉を開けて、さあ行くぞ!ガチャ
「んん?わぁ…ボク迷っちゃったのかな?道わかる?団長が教えてあげよっか!」
“あ、お構いなく。”
思わず扉を締めてしまった。とても目がキラキラしていたノエルさんが話しかけてくれていたが、何か不気味な雰囲気を感じた。一先ず扉を開けられないように押さえておく。
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といった事があり現時点で詰んでいるのである。
「ねー開けてー!ボクぅ迷子なの?」
どうやらノエルさんは吾輩だと気付いてないらしい。だからどうしたという話だが、事情を説明すればこのコナ○君的な状況を理解してくれるだろうか。
ひとまず説明をと声を掛けようとした瞬間、吾輩は天井を見ていた。なんでだ?
「ちょっと駄目じゃん。迷ったならちゃんと大人を頼らないと。」
扉を殴って開けてくる女騎士がいるようだ。タイラントの亜種だろうか。枠ごと粉砕された扉を直すのも吾輩の仕事なんだぞ!
おのれ脳筋騎士め…頼ろうとしたが拳で解を出してくれた銀色の悪魔を睨みつけ、吾輩の社員証を見せつける。この社員証が目に入らぬか!
「モブさんの社員証?というかモブさんがここに居ないの珍しい。基本的にずっといるから仕事の妖精かもって話しがあったんだけど。…ところでボクだめだよ?それは大事なものなんだから!」
妖精扱いだと…?その話は後ほど詳しく問いただすとして、
腰に手を当てたノエルさんにメッ!されてしまった。
…山がデカいなぁ。
さておき、吾輩はモブである。それ以上でもそれ以下でもない。更に言えば仕事の妖精でもない。小人の靴屋でもないのだ。
「んん?そう言われれば喋り方が似てるけど…まさか息子さん!?」
ふっ面白いことを言うものだ。残念ながら吾輩は独身貴族である。
例え若くとも吾輩に似ている人がいればそれは吾輩で確定であろう。我輩というパーフェクトなスタッフはそうは居ないだろうからな。ハハハ
「も、モブさんの口癖は?」
“…口癖?なんだろうか。強いていえば、吾輩はパーフェクトスタッフである。だろうか”
「えー…マジ?パーフェクトとか言ってるし本人?」
信じられないというような顔をしているノエルさんだが、今何の確認をしたというのか。
まぁこれで信じてもらえたであろう。こよりん印の栄養ドリンク飲んだら子供になってしまったのだ。今から話を聞きにいかねばならぬという旨を伝える。
「えー」
吾輩のパーフェクトコミュニケーションにより納得をしてくれたのか、口をぽかーんと開けて驚いている女騎士が完成したが現状は変わっていない。まずはピンクコヨーテのラボに行くとしよう。
「ちょ、ちょっと待って!」
後ろから吾輩の両脇に手を差し込んで持ち上げるノエルさん。止めるのは良いが、猫みたいに持ち上げるのはやめてくれないか?胴が伸びるわけでもないんだ。
「うーん…」
いきなり正面に立ちじっくり見られる。何かあったのだろうか…そうも真面目な顔をされると吾輩の気づかない所で問題が発覚したのだろうか。
「切れ目だけどやる気のなさそうな顔がクールっぽい感じ、声も若いし…ちょっと生意気そうな雰囲気が…うん!良い!!」
“ヒソカかな?なんか背筋にヒヤリとする圧を感じたのですが…”
「ちょっと団長に冷たい台詞を言ってくれないかな?」
“馬鹿言ってないで、早くピンクコヨーテの元へ行きたいので早く降ろせ。”
「うぇへへへへ!」
理解出来ない。まずはこよりさんの所に行く旨を伝えたらノエルさんはニヤニヤし始めた。もう駄目かもしれんね。
「ショタは良い…モブさんでも良いよ!」
良くないし喧嘩を売っているのだろうか。何が「でも良い」だ。
「そのジト目も良い…じゅる…あ、よだれが…」
どうやらこの部屋も危険らしい、目の前に捕食者がいるのだから早めにお暇するとしよう。じたばたしてなんとか陸に足をつけることに成功した。よし逃走の時間だ。
「まぁまぁまぁまぁ待ってよ」
しかしまわりこまれてしまった▼
「今のモブさんは団長も引き剥がせないくらいにひ弱なんだから外は危ないよ!」
大人の状態でもノエルさんの力に勝てる気がしないのは気のせいだろうか。
そんなことを考えているとまた持ち上げられてしまった。とても柔らかい。
「というわけで団長とお話しよう!ね!!」
とてもキラキラした目でノエルさんが提案してくるが却下だ。吾輩としても仕事がなければこのまま喋っておくのも吝かではないのだが。
「このままでも仕事できないの?」
このあとビデオ通話で打ち合わせである。取引先と話すのにこの姿は不味いのだ。更に言えば企画用の資料も出来ていない。
「あー…それは不味いかぁ。うぇーん残念だけどモブさんを戻すしかないのかぁ」
ドバァと泣き始めた騎士。少し前に小説で読んだ騎士も欲求に忠実な者だったが、騎士というのはそういうものだったろうか。
“そういえば外は危険だと言っていたがあれは?”
「あぁ。今この事務所内にholoXの実験で作られたお手伝いロボットが暴れてるからだよ」
全く気付かなかったが社内がそんなことになってたとは。更に目的の人物が原因のような気もする…
うっへりとした気持ちになっているとノエルさんは少し考えたような仕草を見せた。
「まぁ私なら気にせずにholoXの研究室まで行けるよ?」
“そもそも吾輩はholoXの研究室は知らないのですが…こよりさんはダンスレッスン中だったのでは?”
「こよりは手伝いロボが暴走したのを見たら焦った顔で走っていったよ」
元凶に説教せねばならぬ仕事も追加かぁ。
「どうする?連れて行こうか?」
“お願いします。まずは何にせよ、こよりさんに会ってこの体を戻すところからです。”
「よーし。じゃあ地下へレッツゴー!」
この事務所に地下なんて無いはずなのだが…
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「うーん。着いたけど…」
ノエルさんに抱きかかえられて地下まで着いた。周りを確認するとお手伝いロボット達が機能停止していた。…が、こよりさんも地面に倒れて機能停止していた。
近くに誰か立っている。
「あれ…ノエル先輩?どうしたんですかこんなところで」
“待ったかね〜の鷹嶺ルイさんか。なんですかこの地下の施設は。吾輩は知らなかったのですが”
「少し前に作られてたらしいけど…」
「えーと、その抱き上げてる子供はどちら様でしょうか?」
ノエルさん曰く、吾輩の知らないうちに地下施設が出来ていたらしい。摩訶不思議だ。
そしてルイさんや。そこに倒れているこよりさんに小さくされたかもしれないホロライブのパーフェクトスタッフですよ。
「な、なんだってー!?も、モブさんなのかい?」
目が飛び出そうなほど驚いているルイさん。ええ、そうですとも。こんな猫みたいな屈辱的な持たれ方をされているのは吾輩ですとも。
「良いよね!このモブさんも!!」
ちょっとノエルさん…柔らかいもので首が折れそうなので力を弱めてもらっても?キラキラとした目で抱きしめてきおってからに!
アラサーが子供扱いされることはかなり心苦しいことだ。良い勉強になった。
「つまり早く大人に戻りたいからこよりをシバきに来たと。」
“時折ルイさん怖いこと言いますね。まぁ、端的に言うとその通りです。…が、こよりさん気絶してますから後にしますか。”
「あー、ごめんね。こよりの発明したお手伝いロボット調整甘かったから暴走しちゃったらしいから私が先にシバいちゃった。」
“仕方ないですね。では後で吾輩の作業部屋に連れてきてもらえれば。”
「とりあえず仮眠室に放ってきますね。」
颯爽とこよりさんを担いで歩いていくルイさん。うーむ、後ろ姿が格好良い。
「この後どうする?」
“今すぐ解決もできそうな問題ではなさそうですしね。先程搬入系の仕事は他のスタッフに依頼しました。会議も延期してもらってるので、事務作業を進めますかね。”
「つまり急ぎの仕事はないということかな!」
“ノエルさんが壊した扉を直さないといけませんね。”
妙に引っ付いてくるノエルさんは不気味さがある。背筋がずっとゾワゾワするのだ。あまりそういう直感は感じられないはずなのだが…子供になったからだろうか。
「分かった!じゃあ、手伝うからその後ちょっと付き合ってよ。」
“まぁ仕事を手伝ってもらえるならその後くらい付き合いますよ。”
「よーし!頑張ろー!」
相変わらず吾輩を猫のように持ち上げるノエルさん。何故だか取り返しの付かない約束をしたような気がする。不安が積もっていくような感覚だ。
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なんやかんやノエルさんに手伝ってもらいながら壊された扉は直した。我ながら子供姿でもパーフェクトである。
「終わったかな?」
“ええ。パーフェクトな仕事でありました。それで、何を付き合えば良いんですか?”
「じゃあお風呂入ろうか!」
“???????”
「ショタと一緒にお風呂入るのが夢だったんだ〜」
「普通に誘うと捕まるけどモブさんなら問題ないからよろしく!」
いや、よろしくじゃないが待ってくれ身体が浮かされると抵抗が出来ん。おーい!ルイさーん!!助けてー!!
「約束は守ってもらうよ!」
おい待て!服の中を弄るな!!や、やめろー!!アッー!!
その後事務所にはげっそりした顔のモブと満面の笑みを浮かべたノエルがおり、鷹嶺ルイは不思議な顔をしていたのであった。
モブ
団長に襲われた。転生しても赤ん坊から始まるくらいなら何をしてでも自害すると言っていた。
団長
ショタモブで遊んだ。合法という言葉に祈りと感謝を捧げた。事務所はシャワー室しかなかったのが残念で仕方ない。
困ったらゴリ押しパワー
ピンクコヨーテ
良かれと思って作ったお手伝いロボットが暴走して一緒に鎮圧された。
若返りの薬は面白そうだから作ったのか依頼されたから作ったのか…現時点では不明。
鷹
事務所でロボットが暴れてた為ターミネ○ターみたいな状況かと思い元凶を無力化した。
モブの若い頃見てこの人の子供の頃はどんな感じだったのか妄想していた。
「多分あの人はヤンチャなクソガキだったけど、社会の荒波で冷めた大人になったとかいうありがちな過去に違いない。」