吾輩はホロライブのパーフェクトスタッフである。
今日の業務は動画編集だ。
フォントの種類や色が見辛くならないか、音声がズレてないかを何度も何度も何度も確認するのだ。
おっと誤字発見。
「ちょっこーん!甘いものもらいに来ました〜♪」
‘’うぎぎ、ここカットしたら前後の会話が分からなくなるじゃないか…でも明らかにライン超えだしウゴゴゴゴ‘’
「あらモブ様しかいないのね。冷蔵庫の中漁らせて貰います」
「チョコレート見〜け!いただきます(超小声)」
‘’仕方があるまい。この辺はオールカットの方向で進めて、後でもう一度確認して調整か‘’
「うぅ…にっがーい!なによこれ〜!」
んぁ?集中して気が付かなかったがこの脳が溶けそうな声は
「ちょっとモブ様!このチョコレートなに〜?」
やはり癒月先生でしたか。
魔界学校の保健医。金色のロングヘアに悪魔の羽を生やしたセクシー系のお姉さんだ。
年齢は吾輩より年上だそうだが幼女だ。悪魔だしそんなこともあるのだろう。なにせ経歴が時空の歪みを生じさせているヤツもいるのだ。一々気にすることではない。
癒月先生が涙目でお菓子の袋を見せつけてくる。
どれどれ
‘’我輩の買ってきた100%カカオチョコレートじゃないですか。‘’
「そんなのただのカカオじゃない!!」
‘’ネットでガンになりにくくなるとかなんとかお試しで買ってみましたが‘’
「ネット情報な上に凄い内容フワッフワ」
力が抜けたかのように猫背になった癒月先生。
ふむ…揺れている。
何がとは言わないが豊かな…善き哉…
「あの〜どこ見てます?」
ジットリとした目で睨み、両手で体を抱きしめる様子で更に強調される宝。
なるほど枯れた土地では見れない宝だ。
ブラボー!オーブラボー!!
素晴らしい!今夜は眠れないな!
その胸で保健医は無理でしょ?
馬鹿野郎俺はいくぞ!!
突如脳内に吹き荒れる電波にどうやら仕事の疲れが出たのだろうと判断。
グッバイ煩悩と叫びながら顔面を机に叩きつけるイヤーー!!
「何事!?」
強かに頭を打ち付けた衝撃で煩悩が吹き飛んだが、大きな星が点いたり消えたりしている。アハハ、大きい...彗星かな。イヤ、違う、違うな。彗星はもっとバーって動くもんな。
「額から血が出てるけど大丈夫?」
‘’すいせいで思い出した。癒月先生唐突ですが、腕が無くなった場合って治せます?‘’
「あちゃーどうやら頭がおかしくなっちゃったのね。可哀想に」
まるで事故で死にかけた人を見るような目だ。
「はーいちょっと瞳孔見るから眩しいですよ〜。暴れないでね〜」
ペンライトをこちらに向けてくる癒月先生。
なるほど。そりゃ学校でこんな保健医いたら毎日仮病使うだろう。誰だってそうする。吾輩だってそうする。
で、結果は。
「あ、駄目みたい」
あぁ、やっぱり今回も駄目だったよ。吾輩は話を聞かないからな。しかしこれでもマシな方だと声を高らかに宣言したい。何故ならもっとキャラの濃いメンバーが沢山いるがゆえに。
「思ったより元気そうだからそのままにしておくわね。それで腕がどうしたの?腕がなくなる予定でもある?」
‘’星街さんとの話(1話参照)で腕を獲られることが確定してまして‘’
「指を獲られる人達は沢山見てきたけど、腕を獲られる人は珍しい」
ゆびゆび〜 どこかの戌神様の声を思い出す。
彼女のリスナーは何事もなく指を捧げるらしい。
あのリスナー達は沢山指を捧げてるからきっとまた生えてくるに違いない。腕がまた生えてくる方法とかないものか。
思考の海から戻ると癒月先生は顎に人指し指を当てて唸っている。
「魔界式で良ければ治せると思うけど、腕じゃなくて触手になったりするかも」
‘’それは改造って言うのでは!?‘’
「魔界って人から見たら異形な方が多いけど私からするとそんなに変なことじゃないわ。だから普通の処置」
「あとはロボ子様に頼んで義手とかはあるかも」
なるほどなるほど。片手だけ異形化か義手か。
どちらもちょっと心が惹かれるものがある。
「あら意外と本気で考えてる?男の子ってそういうの好きね〜」
男の子なら鋼の○金術師やスク○イドを見ていれば憧れるのは当然の理といえよう。
しかし触手。はてさて万人受けするかと言われるとどうだろうか。そういう性癖の持ち主には羨ましがれるだろうが、町中を歩いていれば少なくとも二度見はされるくらいには周囲から浮くだろう。ちなみにどんな見た目になるのだろうか?
「見た目?人それぞれだったりするけど、タコみたいだったりイカみたいだったり植物みたいだったり。様々ね」
手をワキワキニョキニョキする癒月先生。
なるほど。寄生ジョー○ーみたいな物になるのか。
町中で今の触手は間違いなくイカだと言われてしまうかもしれない。
「最初は冗談のつもりで言ったのだけれど…多分長袖に手袋で隠せるかもしれないわね」
ではもし腕が異形なあれこれしてそうなったと仮定して実家に帰ったときの事を考えてみよう。
「親からすると突然息子の手が触手とか義手になってたら大慌てになりそう」
さもありなん。大慌てになるだろう。
我輩のパーフェクト頭脳で予測すると
父上『てめぇ。突然上京すると言って出てきやがって!今更のこのこ戻ってくるとは良い度胸だ!てめぇらコイツを縛って畑の肥やしにしちまいな!』
部下『へい!何だこの触手は!男らしく生きれねぇからこんな貧弱な腕になっちまうんだ!オラァ!!』
吾輩『ぬわー』
‘’ま、こんな感じで迫害されてしまうだろう。
イエス・キリストもビックリな急展開だ‘’
「触手云々ではなくもっと違う所に原因があったと思うのだけれど!?」
‘’よくある家業を継ぐかどうかという話である。‘’
「つまりモブ様の居場所はホロライブしかないのね」
‘’一途なもんで‘’
「となるとホロメンがどういう反応するか考えた方が良いと思うんだけど」
‘’確かにそれもそうだ。濃いメンバーしかいないこの会社のタレント達。腕が触手でもなんの問題も無さそうではないか。海外にメンダコの妖精みたいな人もいたはずだ。‘’
「船長とかどう?」
『あ〜ん触手に襲われちゃいますぅ〜♡』
‘’とか言うに決まってる。
そんなこと言われようものなら怒りのあまりにバイオRe2のG最終形態になる可能性がある。最後は大爆発で吹き飛ぶのもちょっと良い。Gはゴキのことではない。もしゴキだった場合はジョージとか呟くマッチョマンになっていることだろう‘’
「その場合は処分対象になるわね。でも船長なら言いそう。シオン様は?」
『えぇ〜触手とかめっちゃキモいんですけど〜。センス疑うわ〜』
‘’とか言って魔法ぶっ放されそう。えんがちょ‘’
「じゃあ今と変わらないということね」
せやろか?悲しいことにそうかもしれない。
おや?そう考えると扱いが悪い…のか?
「まぁここまで話し広げてなんだけど、私保健医だから手術は無理なんだけどね。」
‘’………え?‘’
「当たり前でしょ〜。そんな専門的なもの保健医に求めないで」
‘’そこは魔界的なブラックさはないんですか‘’
「ない」
なんてことだ。魔界でもルールはあったようだ。つまり王道の義手しか手はないのだ。
「ふわぁ。仮眠室開いてる?私は少し寝ようと思います」
何度も力尽きて棺桶(仮眠室)の常連である吾輩が許可しよう。
どうやら話すことも終わったからか、幼女はおネムのようだ。Aちゃんが仮眠室で力尽きてると思うので起こさないでね。
「はーい。2時間くらいしたら起こしてね。元気になったら帰ろうと思うので〜」
ふらふら〜と奥の仮眠室の方に消えていく癒月先生を見送る。
仮眠にしては長い気がするが良かろう。良い話を聞けたからね。さて、動画編集でもやろうかな。
ガチャァン!!!!
「オラァ!!すいちゃんが〜普通にドアからきたー!」
某ヒーローかと一瞬思ったが、蓋を開けたらサイコパスだったという世の中あるらしい。扉が歪んでるような気がする。後であれも直さなければ…
「モブさーんあっそびーましょー!!」
悪人みたいな顔して言われてうん!遊ぶー!とはなるまい。
寧ろそんなアラサーがいたら事案になりかねない。
つまりここでの行動はいち早く逃走をすることだ。
しかし度重なる激務故に弱った状態で走れば体を痛めてしまうかもしれない。
ここは一つ奥の部屋にある仮眠室に助けを呼ぶのが吉!!
癒月てんてー!!助けてー!!
「うるさい!!」
ゴフッ
吾輩が助けを求めると同時に吾輩に一撃を見舞ったAちゃん。
そうか!先程星街さんが扉を強く叩きつけた騒ぎを聞いて起きてしまったのか。
だが怒られるなら星街さんも一緒だ!そう思い後ろを振り向く。
いない。
「ちょっとモブさん扉どんだけ強く開けたらこんな状態になるんですか」
メガネを外して目頭を抑え呆れたと言わんばかりのポーズをするAちゃん。
‘’ち、ちがうんだ!これは先程星街さんがだな!‘’
「はいはい分かりました。扉直しておいてくださいね。動画編集も今日中でお願いしますよ」
う、うわあぁああ!!!嵌められた!!
その後Aちゃんと無言のままに動画編集を終わらせた。
扉も直した。
癒月さんを起こすのは忘れていた。
気づいたのは翌朝少し仮眠しようとしたときだった。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」
ごめんなさい!!
星街さん
人の悲鳴や慌てふためく姿が好き。
最近ちょうど良く慌てふためくモブさんと標的にした。
計画的な事もなんなくこなす。
癒月てんてー
今回ちょっと休憩のつもりがカカオ食べさせられるわ、起こして貰えないわで酷い目にあった悪魔。いくらでも寝れるって凄い。
Aちゃん
どこまでも被害者。モブさんのヘルプコールで叩き起こされて思考能力低下。癒月てんてーは起きなかった。
モブさん
主人公。完璧の形は常々変わります。色々浅いです。情けなくても頑張ります。
こんな感じで作っていこうか。それでは失踪します。ありがとうございました。