吾輩はホロライブのパーフェクトスタッフである   作:ジョ力

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消えるよ
ハロウィンまでに次の作品を出せるか否か。


30 そのaka消えるよ

 

 

吾輩はパーフェクトスタッフである。

 

今日は納品された3Dモデルが問題なく使えるかを試す作業である。この手の仕事は多角的な視点が必要であり何人かで確認作業をせねばミスや抜けが発生してしまう。これはこれで地味だが重要なのだ。

 

「あの…」

 

チョンチョンと袖を引っ張られる感覚を感じた。

振り向くとそこには目元までしっかり隠れるつば付きキャップを被ったピンク色の妖精がいた。髪の色だけでなくダブついたパーカーを着ておりその色もピンクだ。

 

「あの…」

 

妖精は消え入りそうな声で吾輩の裾を揺らしてきた。

なにか用だろうか?

 

「コラボが…したい…な…と」

 

小さい体を更に縮こまらせ、呟くように喋るあくあさん。

随分前からその要望は聞いているがあれから進展はなかったのだろうか。

 

「コラボはしたけど自分からは誘ってない」

 

帽子の妖精は「へ、へへへ…」と小さく笑っていた。何わろてんねん。進展してないではないか。

 

「あてぃしだけじゃ誘うのが難しくてェ…パーフェクトスタッフさんの力をお借りするしかなくてェ…困ったなァ」

 

どこかのコ◯グ文みたいな喋り方をする奴はしまっちゃおうね。吾輩はピンクコログの首根っこを掴み仮眠室に放り込もうとした。

 

「あー!あ゛ー!!ウソウソ!!切実にコラボ誘いたいんです!!モブさん助けーてー!!」

 

吾輩に運搬されながらも空中で器用にバタつくあくあさん。前にも言ったがメールなりSNSを使って相手に空いてる日程聞けばいいではないか。

 

「それが出来れば…苦労しねぇんだ…」

 

どんどん声が小さくなっていくあくあさん。心なしか体積も小さくなったのではないかと誤認してしまいそうである。

 

「お、今私のこと小さいって思ったか!?」

 

キシャー!!まるで猫のように目を鋭くして威嚇してきたではないか。勘は鋭いようだ。先程の借りてきた猫みたいだったのに急に元気になるあたり情緒が安定してない様子。カルシウム代わりにカリッ◯いわしをあげよう。

 

「え…なに?くれるの?見たことない…ありがとう?」

 

お礼が言えて偉い。しかしどうしたものか。まず誰とコラボするかによって都合の時間や難易度が変わるだろう。

 

「特にこだわりはないけど…私がコラボに誘ったという実績?的なやつがほしい」

 

なるほど。自力ではないが自力で頑張ろうという気概を感じる。手っ取り早くスケジュールを聞けそうなのは、現在事務所にいるホロメンになるか。

スケジュール帳を確認するとゲーマーズに船長が居るはずだ。

 

「え゛ぇもう誘うの?船長誘ったら凄いことになりそうだからゲマズの誰かにしようかな。あてぃし的にはミオしゃ…とか…頑張れば」

 

それでも誘うのに頑張らなければならないらしい。これが陰キャか。もうすでにあくあさんは張り詰めた顔をしている。まだ誘うというスタート地点にすら経ってないのだが大丈夫だろうか。

一先ず仮で誘う相手は決まったので次はコラボの内容である。

 

「ないよう?」

 

キョトンとして首を傾げるあくあさん。コラボをする上で大事なのは内容だ。雑談するのか何かゲームをするのか。ゲームと言っても協力、対戦、タイムアタックとやることや尺、つまり動画時間も考えねばなるまい。基本的に言いだしっぺの法則で提案者が何個か案を出すのが好ましいだろう。

 

「あぇうあ」

 

壊れちゃった。どうやらコラボに誘うという(陰キャにとって?)輝かしい実績の前に気持ちが先行しすぎて何も考えてなかった様子。吾輩の勘がこれは長丁場になると言っている。致し方ないが3Dのモデルやカメラを片付けた。

 

「えーとスマホ、スマホのメモに書き出して」

 

再起動したあくあさんは自分のやりたいことリストを作り始めたようだ。悪くない。

思いついた案はじゃんじゃん書き起こしておくことが重要だ。

 

「うーんap◯x、遊◯大全、他はー…うーん」

 

頑張って書き出しているようだが案がすぐ尽きた様子。しかしここで吾輩があまりアドバイスしても自力感が薄れる。ここは少し放置し彼女に任せるとしよう。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

うんうん唸るあくあさんの横で書類を片付けていると急に裾を引っ張られた。

 

「できた」

 

振り向くと相変わらず目が見えないほどに深くキャップを被ったあくあさんが満足そうにしていた。赤ペン先生(添削)する気はないので次は相手を誘う段階である。

 

「うん。行く!」

 

時間を確認しスケジュール帳を確認。

今ゲーマーズの打ち合わせは終わってる時間だ。吾輩は帰ってしまわないうちに誘いにいくべきだと提案した。

 

「分かった!行ってくる!」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

誘いにいったあくあさんを後ろからこっそり見守っていると早速アクシデントが発生した。

 

「あ、あくたん!こんこんきーつね!あくたんも今終わり?一緒に帰る?」

 

「あくたんこれから私達夕飯食べて行こうかと思ってたんだけどどうする?」

 

「ちなみに焼き肉だよー」

 

「へっへっへ!少し高いお店らしいけど美味しいって!」

 

「…アッ、ワァ…えとあの」

 

上からフブキさん、ミオさん、猫又さん、戌神さんといった形で一斉にエンカウントしてパンクしたあくあさんがいた。

当然だがゲーマーズで会議していたのだから帰る時も用事がない限り一緒になる。

吾輩その旨はあえて教えなかったわけだが。これは彼女の成長の為である。決して面白そうという雑念はないのだ。

 

「えーともしかして私達に何か聞きたいことあった?」

 

「!」

 

あくあさんがワタワタしているとミオさんが気を利かせたのか発言権をあくあさんに譲渡していた。これで皆待ちの体制。素晴らしい気遣い流石ミオさん。さすみお!

 

「ミオちゃん。あー…えー…コラボ…とか?しない?」

 

「コラボ?いいよ?いつにする?」

 

「やった!えーとね。◯◯日とか夜9時頃とか…□□のゲームで対戦とか」

 

「◯◯日?ウチ何も無いからいいよー」

 

━━━━━━━━ 完! ━━━━━━━━━

 

ビューティフォー!これがアニメなら感動のエンディング音が流れていただろう。吾輩も気分良く仕事に戻れるというものだ。

 

「あ、モブさーんAhoy!あくたん見てないー?」

 

おっと折角無事完結しそうだというのにこのまま進めば拗れてしまいそうな人が来た。どうせ私もコラボしようとなるに決まってる。

今は感動の時間に水を差すわけにはいかぬ。すまないが寝ていてもらおう。

 

“さっき更衣室に行きましたよ”

 

「おっとそうなんですね!教えてくれてありがとー!!」

 

どういたしまして。そしておやすみ。

吾輩は後ろを向いた船長に当て身ドスッ!とした。

 

 

「うぐぇ」

 

我ながら完璧な一撃。白目を剥いて倒れてる船長を見下ろしながら満足感に包まれた。何度も経験しているのだ。身体が覚えるという…もの?

はて、吾輩はいつ当て身なぞ受けたのだったか?少し記憶を辿ってもノイズが走りみおーんござるーで思い出せない。

 

気を取り直し、パーフェクトな一撃により気絶した船長は後ほど仮眠室に放り込むとして、今吾輩の中には一抹の不安がふつふつと湧き上がってきた。何か重大な事を見逃しているような。

 

「えー?あくたん私ともコラボしようよー!!」

 

「そうだそうだー!あくあ〜ぼくともコラボしようよ〜」

 

「こおねもー!!」

 

その台詞が後ろから聞こえてくる瞬間分かる不安の正体。当然のことながら船長でなくても人がいる状態で誘えば私も私もと便乗するに決まっている。そのような事になればあくあさんの精神は耐えられるのだろうか?

咄嗟に様子を確認してみる。

 

「アッ…ひ、えと」

 

案の定の勢いに負けたあくあさんはそのまま後退し壁に追い詰められてしまっていた。助け舟を出すべきか迷ったが人は追い詰められたときにこそ成長するという。彼女の成長に期待してここはぐっと我慢して見守るのだ。

 

「あれ?あくたん消えたよ!?」

 

「えー!?今まで居たのに!!」

 

今吾輩はとんでもない恐怖を感じている。遠くからとはいえ瞬きせずに見ていたはずなのにスッとあくあさんは消えたのだ。なんのアクションもない。一瞬でだ。

陰も極まるとこうも恐ろしい技を生み出すのか。吾輩は背筋に氷柱を入れられたかのような不気味さを感じつつその場をあとにした。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

そして仕事しに作業場に戻って来た瞬間の出来事である。

丁度椅子に座った吾輩の裾が引っ張られた。

 

「誘えた!」

 

振り向くとご満悦のあくあさんがそこにはいた。どこから湧いて出たのか。吾輩からすると突然消えて突然現れる少女は恐怖でしかないのだ。

 

「え?なんのこと?気がついたら仮眠室で寝てたから分かんない」

 

まさかのリスポーンした可能性があるようだ。一気に詰められた時のショックで◯んだのかもしれない。しかし

 

「よーし!コラボがんばるぞー!」

 

おー!と一人気合入れてる少女が元気にコラボできそうなので吾輩の仕事は成功したのだろう。

だから謎が残ったとしても良いのだ。

 

“がんばってくださいね”

 

「うん!ありがとー!!流石はパーフェクトスタッフ!!」

 

パーフェクト!良い響きだ。しかし吾輩は思い出した。船長を倒して放置してきたことに。吾輩は船長を回収するためにあくあさんに手を振りながら颯爽と仕事場を後にしたのであった。

 




モブ
パーフェクトスタッフはありとあらゆる仕事を遂行する。例えお悩み相談でも。今回はパーフェクトな仕事ぶりだったと満足気。ただし船長は忘れていた。

あくあ
彼女の目を見てはならない。見てしまえばそのメイド消えるよ。モブと話せるのは帽子を被っていたからである。
無事自分から企画したコラボはできたらしい。多少反省点はあったものの栄光ある前進。
後日モブにお礼としてオムライスを作った。美味しいと言ってもらって満足気。
モブ「米はペチャペチャだったし卵は固めで悲しかったけど時には優しい嘘も必要なのだ」

ゲーマーズ
あくあ消失後
(゚Д゚)ってなった。
その後付近を探したが見つからず
フブキがあ…ありのまま 今起こった事を話すぜ!と言い始め皆が結局混乱状態になった。

船長
何故か仮眠室で寝ていた。最後の記憶はモブさんと会話したような。モブからは突然足がもつれて頭から転んだのだと教わり太腿上げのトレーニングを始めた。健康的でいいね!

みおーんござるー
当て身の犯人。頻度は平均週3回ほど。少しずつモブの耐久力が上がってきて気絶しないのではないかとヒヤヒヤしてる
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