吾輩はパーフェクトスタッフである。
本日は午前の部が完了した為、一度机の上を小綺麗にしてから昼休憩にコンビニ飯でもと考えているところである。最近は健康の事を考えて少しでも不衛生な生活を(身体に)許されるために野菜スティックや野菜ジュースを飲んでいる。
パーフェクトスタッフにもなれば健康にも気をつけるのだ。
ガチャ
「おぁよー!モブさん美味しいパン屋へ車出して」
扉が開いたと思い確認すると戌神さんだった。何やらパン屋に行きたいのだとか。敵情視察だろうか?
「ん?てきじょーしさつ?」
おや、微妙に話が噛み合ってないような雰囲気。戌神さん貴女はパン屋ではなかったか?吾輩的に美味しいパン屋の視察に行くものだと思ったのだが。
「……」
“……”
「こまけぇーこたぁ良いんだよ!!美味しいパン食べにいくよー!!」
ぐわし!っと吾輩が座っている椅子ごと持ち上げて走り始める戌神さん。相変わらずパワフルな娘である。それはともかくせめて財布くらい持って行かせてほしいのだ。
「あと車の鍵」
ぽいっと吾輩の乗った椅子ごと放り投げる戌神さん。吾輩は地べたに転がった。そんな様を見てもはよ鍵と財布もってこいと急かしてくるお戌様。もう逃げられないのが分かっているので言われた通りにさっさと鍵と財布を用意して社用車の駐車場へ移動する。
「社用車はいつランボルギーニになる?」
社用車を見ながらそんな事を宣う人がいるとは思わなかった。
多分一生ならないかと。社用車がランボルギーニなぞ聞いたことないな。
「BOO!!モブさん頑張ってよ!!」
無茶仰る。助手席から吠える声を聞き流しながら吾輩はエンジンをかける。で、パン屋さんの場所は?
「こぉねが教えるでな」
あぁそうですか。
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「そご右だでな?」
「おがゆんとご飯食べに行ったんだけどあ!!そご曲がればよかっだ!!」
「ん?間違えだかな?」
「ぶぅるるるるる、あ、そこそこそこ!!そこの旗立ってるとこぉ!!」
戌神さんのナビのもと美味しいパン屋さんとやらに向かっていたのだが、中々のマシンガントークと指示が急に飛んでくるときがあって非常にスリリングな運転となっております。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!通り過ぎたー!!!」
ホロライブの社用車にはピギャーと叫びながら吾輩の襟を引っ掴んで揺すってくるなんちゃってカーナビが君臨している。ちなみに話をちゃんと聞かなくても暴れる。大変である。だから分かったのでちょっと静かにしておいてもらえませんか?イラついてるわけではない。
「まったくモブさんはおっちょこちょいなんだから!!」
イラついてない。
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紆余曲折ありながらも無事パン屋さんへ入店。焼き立てのパンの香ばしい匂いが吾輩達を包んだ。商品ケースがズラッと並びその中に多種多様なパン達が顔を覗かせていた。ちらと戌神さんを見ると目を輝かせて店内を駆けずり回っている。あれは放置し、吾輩は食べたいパンでも選ぶとしよう。
「おぉ。見でこれ!!カワイイワンちゃんのパン!!」
ほほう。カワイイ動物をかたどったパンもあるんだなと笑っていると隣から犬のパンを見ろと吾輩の首根っこを鷲掴みにしてくる戌神さんが現れた。分かったからそれを買うのでもう離してくれないだろうか。
「こぉねはチョコォネとこのオチャパンとかいうの買う!!」
ん、なんて?咄嗟に聞き取れなかったが買うのが決まったようなので会計しても良いと言ったのだろう。満足そうにトレーにポンポンとパンを乗せた犬神さんを見るに合っているはずだ。吾輩はこの犬パンとアンパンを購入するとしよう。
「はやぐぅ!!」
はいはい。腕をブンブン振り回しながら急かしてくる戌神さんを抑えつつ会計を済ませた。店員さんに微笑ましい目で見られてしまった。店員さんからすると戯れてる様に見えるだろうが吾輩が抑えられなければレジの奥へ雪崩込むくらいにはふっ飛ばされるという事実は知らないのだ。
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パンを購入しどこで食べるかと戌神さんと相談した結果、虫が居ないところという結論が出た。避暑処の休憩コーナーにもなっているカフェが近くにあったのでそこへ向かった。
妙なことにメニューに産地直送牛乳があったので戌神さんが喜んで頼んでいた。吾輩はカフェオレにした。
「ンムンム。ふがふがだ!モブさんのはどう?」
こちらもアンパンを食べてみるがモチモチ食感の生地にアンコは塩もそれなりの量が入っているのかしょっぱさが感じられる。しかしこの塩味が甘みを引き立てて丁度いい。戌神さんリサーチの店というだけあってなかなか良き店であった。
では次は犬のパンを食べよう。そのままだと食べにくいので頭と胴体で千切ってから食すとしよう。
「残虐だ!!」
横からキャインと鳴く声が聞こえるが気にせず千切って頭から食べた。中身はカスタードクリームのようでまったりとした甘さ。しかし甘いモノが続いたのでカフェオレを啜り流し込む。うまい!!
横から威嚇してくる戌神さんがいるが吾輩は気にしない。犬の胴体はいちごジャムとマーガリンが入っていた。これもまたアリだ。
「モブさんは犬の頭を毟り取って齧り取るような人だったとは思わながっだ!!」
酷い言われ様である。吾輩は戌神さんが犬を勧めたから食したというのに。
「言い方!!」
首をぐわしを掴まれても吾輩は慣れているのでそのまま犬パンを口の中に押し込んでいく。吾輩がムシャムシャと咀嚼する度に戌神さんがひぎゃー!!と叫んでいる。涙目で吾輩を振り回してくれるが美味しく食べたというのにこうも取り乱すとは。何故勧めたか疑問である。
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「美味しいパンだったね」
最後のお茶パンを食べ終わった戌神さんは先程のいざこざの記憶を消し去ったのかそんなことを宣った。美味しいパンだったのは認めよう。次回も近くを通るなら寄っていきたいところだ。
「次は犬パンを食べよ」
本当に記憶が消し飛んだらしい。その時は是非戌神さんがどう犬パンを食すか見物である。頭から丸齧りか尻の方からか、吾輩の予想は頭からだと思われる。
「おがゆんにも今度教えてあげよう。その時はモブさんにまた運転しでもらうんだ!」
その時は事前に今回の出来事を教えてやるんだ。おかゆさんと一緒に見届人になり、残虐な食べ方をしていたら悲鳴をあげてやるのだ。
「…なんか嫌な予感するからおがゆんと二人でいこ」
戌神さんは耳をパタパタさせてなにかを受信したのか鋭い事を言い始めた。今度おかゆさんにどこから食べたのか確認してもらおう。
そんなことを考えているとそろそろ昼休憩の終わり時間が近くなってきたので戻らねばならない。
「えぇー!もう戻るのー!?」
そりゃ仕事はいつでも溜まり散らかしてるのだ。それに戌神さんもボイスレッスンがあったはずだ。戻りたくないとは言わせない。
「ぴゅーぴゅー」
どこを見ているのか分からない顔で吹けてない口笛をしているが見逃すことはできない。下手に逃げられると厄介なのでむんずと掴み上げて連行するとしよう。
「あー…でもこんなに美味しいパン屋を見っけたんだからのどかちゃんにお土産のパンは買っていったほうがいいと思う!」
さぁ美味しいパン食べて元気出ただろう。今日もバリバリ頑張ろうじゃないか!吾輩が戌神さんに語りかけつつ持ち上げるとそんな事を言い放った。
分からないでもないがこれ以上休憩時間を延ばすのは如何なものかと。
「でもでものどかちゃんの事だからこんなときでも一人で頑張って仕事してるかもしれないよ?美味しいもの買って労うのは先輩スタッフとして大事では!?」
一理ある。確かに最近どうにものどかさんより吾輩の視線がバカなことをしているホロメンを見る目と同じなのが気になっているのだ。好感度が低いとは思いたくないが、ここらで少しポイントを稼いでおくのもいいだろう。
そう納得させた吾輩はもう一度パン屋に急ぐのであった。
「犬パン買お犬パン!買い占めよう!!」
その後パン屋で戌神さんの素晴らしいプッシュにより犬パンの残り3個を保護することになった。流石にそれだけ買っていくのもアレなのでついでにサンドイッチとアンパンを買って帰ったのであった。
事務所に戻ると相変わらず妙な視線で見てくるのどかさんとおかゆさんがいたのでパンを戌神さんと配っていった。
ちなみに戌神さんがプッシュした犬パンはおかゆさんは食べずにアンパンをもぐもぐしていたという事を記録しておく。
モブ
評価アップを狙った小癪な作戦によりお土産を渡した。ほんの少しだけ好感度が上がった。
たい焼きなどの動物モチーフの食べ物は頭から食べるタイプ
ころね
美味しいパン屋をとても楽しんだ。
この小説では犬パンはおしり側から食べるタイプ。
ボイスレッスン前に犬パンも食べてお腹パンパンで思うようにいかなかったのは内緒。配信のねたになった。
おかゆ
アンパンが食べたかったので「ころさんを食べるなんて僕には出来ない!!」とそれらしいことを言った。
ついでに犬パンは持って帰った。食べ方は不明。
のどか
犬パンを喜んで食べた。一口サイズに千切って食べた。叫び声が聞こえても気にせず食べた。パーフェクトスタッフのふてぶてしさは受け継がれている。
「え?モブさんの見る目?あの人本当に最近ホロメンと芸風?が似てきてるから私もこうなるんだろうなって思ってます」
なるよ。