さらに間に合わなかったでござる。すまねぇ。誤字脱字も見れてないでござる。
3重ですまねぇ。
吾輩はパーフェクトスタッフである。
唐突だがバレンタインがやってきたのでチョコ料理を作ろうと思う。今日日男性が女性に贈ろうとも何の問題もない。日頃の感謝の気持ちを形にする心3割、単純においしいチョコ料理の作り方を見て食べたくなった気持ち7割だ。実はもう冷蔵庫の中に材料も用意してあるので存分に作ってしまおう。
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というわけでなんの障害も現れなかったのでチョコ料理は完成した。吾輩のパーフェクトな女子力が唸りを上げに上げ完成したパンプティング。いわゆるパンプリンなどといわれているらしい。
パンを卵と牛乳で濡らしてから焼いたり蒸したりする料理らしい。フレンチトーストと少し違いパンを再利用し作る為にパサついた物が多い。少し砂糖やチョコを多めに加えて美味しくいただくというエコな物だ。少し前にござるさんから聞いたので間違いないだろう。
身体が糖分を求めていたので食べてみたがかなり美味く出来ている。となると人間美味しいものを共有したいという体の良い承認欲求が湧き出てくるものだ。
大急ぎで増産し目に付く人達に片っ端から配る吾輩の旅が始まるのであった。
“というわけでのどかさんどうぞ。パンプティングでございます”
「ふらりと何処かに休憩しに行ったと思ったらこれ作ってたんですね。美味しそうだけど休憩して無くないですか?しかも大きい。私の両手で持ってもはみ出て最早富士山みたいな」
“まぁまぁ。先程他のスタッフさんやマネージャーさんにも配ってきて評判が良かったので是非”
「お願いしますから無理しないでくださいね?…でも丁度甘いもの食べたかったから頂きます」
そんな会話をしつつ、のどかさんに吾輩のパンプティングを渡すとモッソモッソと食べ始めた。かなり美味しいと好評であった。自信が湧いてきたのでドンドン配りに行くぞー!
「いや、だから休めばいいのにってもういない!!?この突然熱されたかのように飛び出す感じがホロライブって感じがするなぁ。これが芸風かぁ」
※
ときのそら・Azkiの場合
「あずちゃんどうしたのその山みたいなチョコ。えーモブさんがチョコを!?」
「パンプティングだって。なんか凄い熱意で是非食べてくれって言われて受け取っちゃった。はいフォーク。そらちゃん半分いける?」
「うーん。後でご飯食べれなくなりそう。ずいぶん気合入れて作ったねぇ大きいー」
「もぐ…あ、美味しい。噂に聞いてたけどモブさん料理ができるって本当だったんだ。後でお返しにチョコ届けに行かなきゃ」
「お願いすれば色々作ってくれるとは聞いたことあるよ。最近腕が上がってちょっとお洒落な物も作れるようになってきたとか?まさかお菓子もだとは思わなかったけど」
「お洒落なパンプティングが山盛りなせいでフードファイターに様変わりしちゃってるけどね」
二人してくすくすと笑いながら少しずつ食べ進めているあたりお口にあったようだ。確かに作ったパンプティングは少し大きいかもしれないがそこは男飯の名残ゆえ仕方ないのだ。
ちなみに吾輩は今holoxの作った秘密の通路(ダクト)で聞き耳を立てている。今まで知らなかったが廊下やスタジオ付近に繋がっているのでこれは良いものだ。是非活用させて頂こう。
吾輩は次のターゲットに向かうためholoxが好き勝手に改造したダクトを通って移動を開始した。
ロボ子の場合
「疲れたーエネルギー切れるー」
“そんなあなたにこのチョコをあげよう”
「うわぁびっくりした!?もー!どっから出てってダクトが開いてる…」
レッスン後で疲れている姿のロボ子さんを発見したのでチョコを渡す。これでも食べてエネルギーを吸収するのだ。しかしそんな引かなくても。holoxがよく使う道ではないか。
「ありがとー!だけど一番早いのがコンセントから電気貰うのが手っ取り早いんだけど…充電器忘れたから持ってきてもらえるとってあのー?あ、行っちゃうのね」
吾輩は先を急がねばならぬ。他にもこのチョコを食して頂きたい者達が多いのだ。吾輩はダクトにするりと身体を差し込み移動を開始した。
「ドンドン動きが人をやめてきている。まぁ元気そうなのは良いことなのか?⋯しかしモブさんが料理かー。あれ?ボクより優秀⋯?いや、そんな事は⋯ん、フォークついてる。あむ。あ、美味しー!⋯総合的に負けてる気がする」
大神ミオ・猫又おかゆ・戌神ころね・白上フブキの場合
「よし、ミオーぼちぼちチョコ配り終えましたかね」
「ここらへんは終わりかな。後はモブさんとのどかさんくらいかな。いつも通りの場所にいるでしょ」
「バレンタインでも気にせず一心に仕事しているモブさん達。日頃の感謝の気持ちを込めて高めのチョコ買ってきたし喜んでくれるかなー?どー思うころさん」
「んー…わがらん。喜んでくれると思うけど。あ、どう思うのモブさん」
「どしたのころさん急に上…見、て?」
上を向くとダクトの隙間から人の目がギョロリと覗いていた。
「「「いやぁあああ!!?」」」
「ワオ!?びっくりした!!」
戌神さんに気づかれてしまっては仕方ない。来たぜぬるりとという気持ちで着地し戌神さんにチョコを渡す。戌神さん以外の3人は何故か腰を抜かしてへたり込んでいる。どうやら吾輩がチョコを持ってくるとは思ってなかったから驚いてしまったようだ。
「モブさんエイリアンみたいな登場シーンするからフブちゃ達腰抜かしちゃったじゃん!」
“流石にエイリアンほどホラーではないかと思いますが、あ。おかゆさんにはチョコだめなんですかね。飴で良いですか?”
「なんでそんな事言うのー!!僕も食べるよー!」
「モブさんミオが気を失ってます!!」
「ほら凄いことになってる」
“おやまぁ”
「あ、こおねもチョコあげるね」
戌神さんから軽く注意を受けてしまった。言われた通りミオさんがファラオのようなポーズで倒れ口から泡を吹いている。フブキさんが抱きかかえて揺すっているがまるで起きる雰囲気がない。
吾輩の登場で大混乱が起きてしまったので次からは声をかけてから姿を見せるとしよう。
そのまま戌神さんからチョコを受け取り次のターゲットに向かうことにした。
ちなみに次の日にメッセージで皆で美味しく頂きましたと連絡が来たので好評だったらしい。おかゆさんもチョコ食べれると記憶しておこう。
アキローゼンタール・夏色まつりの場合
「へ?パンプティング?私達にってデカー!!まつりちゃーんモブさんがチョコくれたよー」
「マジ!?食べる食べる!!」
二人ともレッスン後で休憩中だったようなのでエネルギー補給の為に渡しておく。お紅茶も置いておけばパーフェクト気遣いである。好きなだけ食べるがいい。
「はむ。うん。チョコがパンに染みてて美味い。疲れた身体に効くわぁ」
「うまうまーモブさんホントなんでもやるねー。あ、まつりもチョコあげるね買ったやつだけど」
“おや、これはご丁寧にありがとうございます”
少しずつ切り分けて食べるアキロゼさんにザックザックフォークで削り取って食べていくまつりさん。こちらも好評のようで何よりである。吾輩も軽く貰ったチョコを食べつつ次のターゲットに近づいていく。
雪花ラミィ・獅子白ぼたん・桃鈴ねね・尾丸ポルカの場合
同じく収録後で休憩室に集まっていたねぽらぼの面々がいたのでそっと横からチョコを渡す。パーフェクトスタッフからの贈り物です。
「あ、モブさんだ!こんねーねー!おいしそー!!」
「何このチョコ山は!凄いんだけど!!写真撮ろー!!」
「モブさんちょっと女子力高すぎか?頂きます」
「おー!本格的すぎる。あ、小皿ね。はいはいはい」
ラミィさんが写真撮ってる途中にねねさんがドッスリとフォークを突き刺して山を崩し、ラミィさんの悲鳴で笑いながらポルカさんとぼたんさんがサササッと自分の分を確保していくという阿鼻叫喚の状態に一瞬で様変わりした。
まぁ楽しんでもらえたようで何よりだ。では次に行こうと思った瞬間にポケットに何か入っている事に気付いた。確認すると綺麗にラッピングされた袋が入っていた。
いつの間にとねぽらぼの面々の方を見るとポルカさんがこちらに親指を向けてドヤ顔をしていた。なかなか味な事をされ愉快な気持ちになったのでポルカさんに軽く手を振りながら立ち去る。
癒月ちょこ・百鬼あやめの場合
「むむっなにか変な気配を感じる」
「突然どうしたのあやめ様。と、もうこんな時間なのね。 そろそろ急いでチョコ渡しに行かないと間に合わなくなっちゃいそう」
「そこにいるの誰だー!!どりゃーー!!」ドス
「ちょっと!?」
吾輩がコソコソとダクトを進んでいると唐突に刀が突き立てられた。まるで時代劇のようである。思いっきり腹部を一突きされてしまったが腹筋を鍛えていたおかげでコフッと内臓が揺れるような感覚のみで軽傷だ。とりあえず近くの出口を開けぬるりと着地する。
「手応えあったのにとんでもない硬さを感じたんだけどってうわぁモブさん!?ご、ごめん!!思いっきり刀で刺しちゃった」
「あやめ様ホントになんてことを!?モブさん!服に穴があいてるじゃない傷口見せて⋯あれ?傷がないわね」
懐に忍ばせていたチョコが守ってくれたんだ。そんな冗談を言いつつパンプティングを二人に渡す。あやめさんも手加減してくれたのだろう。
「余、本気でジャンプして突いたんだけどね⋯」ヒソヒソ
「やっぱり人やめちゃってたわね」ヒソヒソ
一頻り身体中を弄られたと思ったら二人でコソコソと話し込み始めた。一体どうしたというのか。とりあえずチョコ渡したので立ち去ろう。服も穴が空いてしまったし着替えねばならない。
「あ、待って!ハイ。ハッピーバレンタイン!」
「ちょこ先のは手作りだけど余のは買ってきたやつ。刺しちゃったお礼に2個あげるよ」
渡されたチョコはどちらも綺麗なラッピングだ。どちらが店売りか全く分からない事から癒月さんの技量の高さが伺える。流石にここまで目指そうとは思わないが、小綺麗なラッピングで映えさせてみたいものだ。
兎田ぺこら・白銀ノエル・不知火フレア・宝鐘マリンの場合
“チョコ食わねぇか?”
「おっと目と目が合った瞬間にそれぺこ!?」
「誰よりも先に反応してくるの凄すぎる」
「あたしらもチョコあげるよ。交換だ!」
「というかモブさん忙しいのにワザワザ作ってくれるとかマジィ?」
3期生がスタジオを借りていると聞いていたので向かっていたが、丁度スタジオ付近の曲がり角で四人と目が合った。これは僥倖チョコ食うべしと押し付けた。
フレアさんから物々交換で得たチョコは手作りなのか多種多様な形や色をしている。
「折角のバレンタインだから皆で集まって作ってみたぺこ。モブさんのはどんな感じ~。あむ。パンだこれ!!」
「フレアー団長にもフォークちょうだい」
「ん、はい。あ、結構しっかり甘く作ってるんだね。うまうま」
「んー!確かに甘くて効くわ。確実にぺこらのチョコより美味しい」
「おいふざけんなペコだよ!!」
「あ、ホントだこれ団長好きかも!パンにチョコ染み染みしてて美味しー!」
3期生が和気藹々と食べ進めているので吾輩も貰ったチョコを何個か摘んでみるも、どれも美味しく誰が作ったチョコか分からなかった。どういう風に作ったかノエルさんに聞かれたので吾輩が参考にしたレシピのURLを送り軽くコツを告げると後ろでぺこらさんがコソコソとメモしていた。吾輩は暖かい目を向けた。
「おいその目やめろペコ」
「そういえばさっきスバル先輩が〇〇スタジオにいる4期生のところに荷物持ってくシュバアア!!って言ってたよ」
「あ、それアタシも見た」
「それ程時間経ってないから多分間に合うんじゃない?」
なんという一石二鳥のような状況だ。とても素晴らしい目撃情報を得たので吾輩はお礼にもう一つパンプティングを渡し急いで駆け出した。
「いーやもう1個は多いペコ!?」
「あ、団長が貰おうかな。多分食べれるよ」
「アタシも家でゆっくり食べたいから少し頂戴」
「皆で分けたら?確か小さいタッパーとか調理室にたくさんあったじゃん。それ使お」
「「「さんせーい」」」
4期生+大空スバルの場合
吾輩は先程教わったスタジオに大急ぎで向かい扉を開けた。
するとそこにはまるで面接会場のように長方形の机とパイプ椅子だけという様変わりをしている。吾輩のいる入り口側にパイプ椅子がぽつんと一席置いてある。4期生とスバルさんは部屋の奥の椅子に座っていた。
「待っていたよ」
「ボクのスマホにさっき船長から連絡きてたんだよね。モブさんがチョコを持っていくよーって」
「というわけでわためがちょっと模様替え頑張りました」
「トワも頑張りましたー!この机とかの配置はトワのセンスでーす!」
「ルーナ達審査員なのらー。さぁモブさん出してみなさい!」
なんということだろうか。吾輩の軽い気持ちで作ったパンプティングをガチで採点しに来るとは。とんでもない圧迫面接もあったものだが吾輩には今までの高評価を受けてきたバックボーンがある。それに一番偉そうにゲンド〇ポーズをしているスバルさんは大抵の物を美味しく食べそうだし、周りもなんだかんだでそんな辛口評価をする性格じゃないだろう。姫は少し怖いがとにかく目の前に切り分けたパンプティングを置いていく。
「スゲー本格的じゃん。ではまずはスバルから頂きます」
もうすでに食べる前から目がキラキラしているのでこの時点で勝ちを確信した。一口サイズに切り分けてゆっくり口に含むスバルさんを眺めながらどんな反応をするのかを待っていると急に手を叩き始めた。
「うまい。シェフを呼んでくれ」
「スバル先輩もうそこにシェフいます」
「わためも食べよ。ンンウンウン⋯」
「わためどう?」
「おいしートワちも食べなよ!」
「お、マジ?トワも食べよー」
「シュバは土食べたってうまいって言いそうなのらね」
「おいルーナ言いすぎだろ」
急に騒々しくなったな。とガヤついてるメンバーを眺めているとやはり姫が最後まで食べずにじっと周囲の反応を伺っていた。しばらくスバルさんとプロレスをしていると徐ろにパクリとパンプティングを口に運んだ。
「うん。このままでも美味しいけど粉砂糖とか振りかけたら味に変化も掛けれて尚良しなのら」
「語りよる」
「ボクもそう思う!かなり美味しいけど折角なら味チェン出来る物があればもっと食べれそう」
「トワもそれ賛成!確かに粉砂糖あれば見た目も映えそうだしさらに美味しくなると思う」
「スバル先輩より女子力高いのはここで確定しちゃったか」
「ぐ、グワァー!!わ、わためぇえ!!ひ、酷いよ!!スバゥは全てを捨てて配信スキルに割り振ってるんだぁああ!!」
姫達からのアドバイスになるほど。と納得していると羊がスバルさんに残虐な一撃を撃ち込んでいた。あまりの破壊力に椅子から転げ落ちて悶え苦しんでいる。情緒が安定しておらず怒ったり泣いたりしていて実に不憫だ。とりあえず可哀想なスバルさんに追いパンプティングを乗っけておいた。
「ありがてぇ。これでまた次の家政婦さん来るまで食いつなぐよ」
「シュバ少しは自炊したら?」
「それができりゃ苦労はせんのよ」
「モブさんはデスマーチついでにこれだけのチョコ作ってるけどね。たまに自炊もしているらしいし」
「ぐ、ぐわぁああ!!こんなパーフェクトヒューマンに勝てるわけねーだろぉおお!!」
聞いてると悲しくなってきたのでクールに去るとしよう。吾輩はそんなスバルさんを尊敬しているとここで伝えても彼女の心に釘を突き立てるような行為にしかならない気がした。メンタルケアはここにいる4期生に任せて立ち去るのが正解だろう。ピギャーと後ろからガン泣きするような声が聞こえてくるが吾輩は心の中でスバルさんの応援をしながら立ち去るのであった。
「モブさんが助けてくれないから心壊れちゃったんですケード!あ、パンプティングは美味しくいただいたのでね。そのうちまた作ってくれれば助かるんですケード」
holoxの場合
※ラプラス・ダークネス視点
今日はバレンタインということでルイ姉からチョコをもらったので食べているわけだが、日頃ちょーぴりだけお世話になっているモブにも少し恵んでやるかという気持ちになった。
「幹部ー!モブにもチョコあげてくるねー」
「あ、今いろはとこよりのチョコも持たせるから待ってー」
吾輩の部下はしっかりとモブ宛のチョコを用意していたらしい。少し負けた様な気持ちになったがまぁいいやと気を取り直した。
チョコを受け取ったのでルイ姉に行ってくると伝え、どうせ作業室にいるとであろうモブの元へ向かうholox作秘密のダクト通路を開けるとモブと目と目が合った。
「は!?」
“ここにいるぞー!!”
明らかにふざけた口調でダクトから降りてくるモブ。確かに普段からダクト通路を使っているし、鍵があるわけではないから利用される可能性はあるとしてもこのタイミングとは思わなかった。というか、なんでモブの手にでっかい山のようなチョコがあるんだ。
「ん?あれ、モブさん。ついに秘密の通路を通ってきたか」
「あ、モブ殿いらっしゃーい」
「あれれ。凄い登場するじゃん」
吾輩が驚いている間に幹部達がワラワラ集まってきてしまった。そうなると目に付くのはモブの手にあるチョコに話題が移るわけでチョコを渡すタイミングを完全に逃してしまった。
“パンプティング作ったらかなり美味しくできたので皆様にお裾分けをしにました”
「おぉ。パンプティング?デカー!あっはっは良いなこれー富士山みたいになってるの面白。ありがたく頂きます」
「風真が前に話してたやつでござるな。おぉーモブさん豪快なものを作ったなぁ」
「モブさんの手作り!?こよも食べるー!!そういえば沙花叉にもあげてくる?燃え尽き症候群なのか抜け殻みたいになってるけど」
“おやおや。折角なので渡してきましょうかね”
ついに吾輩が話しかける間もなくアジトの中に入っていってしまうモブ。もうこのチョコ渡さなくて良いんじゃないか?
十分充実してそうではあるんだけど?
しかし渡さないとルイ姉が怒りそうで怖いから渡さなくてはならない葛藤をしつつ後を追うことにした。
※モブ視点
“おやまぁ”
こよりさんに話を聞いて沙花叉さんにもパンプティングを渡しに来たのだが、抜け殻のようにソファで横になっている人と近くのテーブルにあるシャチのフードが確認できた。どこからかぽえーと変な音が聞こえてくる。
とりあえず本体はフードの方だろうとアタリをつけ目の前にパンプティングを置いておく。
ガシッと後ろからズボンを掴まれた。
「普通こっちだろー」
ぬぅ!後ろから抜け殻のような人に絡まれてしまった。なんとか掴んでいる手を外したかったが力技では無理のようだ。仕方がないので沙花叉さん用のパンプティングを捧げると手を離してくれた。
「いや合ってる合ってる。あむ。美味しー」
「いつまで遊んでんの?モブーチョコあげるー。はよ受け取れー!」
問題なく配布完了したようだ。突然ラプラスさんから渡されたチョコを受け取る。戻る際にholoxの面々より美味しかったと感想をいただいたので次へ向かう。
紫咲シオンの場合
“チョコです”
「え、ありがとう?ってデッカ。あ、シオンちゃんからも〜はい。チョコです」
“ありがとうございます”
吾輩からチョコを受け取るとは思っていなかったのか妙な余所余所しさを感じる。シオンさんはじっと渡したパンプティングを眺めていた。先手を取るべきかと思い、折角なのでシオンさんから貰ったチョコを食べてみよう。
クラッカーの上にマシュマロ、チョコ、生ハムが乗っている。手作りなのだろうかお洒落だ。甘としょっぱさが掛け合わさって非常に美味である。その旨をシオンさんに告げるとでしょー?とケラリケラリ笑っていた。
「あむっ⋯んー?んまいじゃん」
うんうんと頷く魔法使いがいる。会心の出来なので当然である。
「でもシオンの勝ちかなーこれは」
なにやら勝負だったらしいし負けたようだ。やはりお洒落さか。ケタケタ笑われながらその場を後にした。
さくらみこ・星街すいせいの場合
さて終わりが近づいてきたようだがここが最も危険な予感がする。ゆっくりと彼女等がいる部屋をノックする。
「おー?モブさんどうしたのー?あ、来て来て」
出てきたのはみこさんであり、どこか小声気味に招かれ部屋に入るとみこさんはずっとこっちこっちと手招きしている。
近づいていくとソファの方を指差した。
「珍しくすいちゃん寝転けてるにぇ。見て!可愛い顔してるよ」
そんなわけがない。あんな邪智暴虐の主のような娘が寝たところでとソファを覗くと天使のように健やかに寝ている星街さんがいた。一瞬この穏やかそうな子誰?となったが、何度見ても星街さんであった。
「にぇ!にぇ!!可愛いよね!!」
“そうですね”
ここで吾輩にデンリュウハシル。数々の修羅場を潜ってきた吾輩の脳内に危険を知らせるアラートが鳴り響いた。咄嗟に後ろに飛び退く。
「どしたの?」
吾輩の経験上この素晴らしいタイミングで目が覚め、怒りを買い拷問にかけられる。そんな未来が視えたのだ。
「んー。いくらなんでもそんなギャルゲーみたいなタイミングで起きるわけな⋯あっ」
吾輩が少しずつ距離を離しているとみこさんはソファの方に目をやりピシリと固まっていた。と同時にボクシャッと人体からしてはならないような音と共にみこさんが吹き飛んだ。
ソファからゆっくりと青い髪が覗き、キョロリキョロリと周りを確認している。突然ぐりんと首をこちらに向くと眠そうな半開きの青い瞳がこちらを見ていた。思わず身を竦ませてしまう。
「見たな?」
“吾輩いま来た所ですのでチョコでもどうですか?”
「今みこちの声が聞こえたけど誰かと話してた気がすんだよね。誰だろうね」
「前が見えにぇ」
星街さんが何かしてくる気配がしたので咄嗟に土下座のポーズをしつつパンプティングを捧げるように両手で掲げた。何かが通り過ぎるような音と後ろからドスッと音がした。間一髪セーフ。
「ん?あー⋯そうだ今日バレンタインデーか。なにこのサイズ。まぁ貰おうかな」
「すいちゃーんみこも食べたい」
怒れる星街さんは落ち着いたようでフォークを手に取りパンプティングを切り分けていたが、アイドルがしてはならないような顔面になってしまったみこさんがヨタヨタと近づいてきた。顔が*のように凹んでしまっている。
「ん。はいはい。みこちあーん⋯口どこ?この穴の奥に差し込んでみるか」
さすがの星街さんも恐る恐るみこさんの顔にパンプティングを差し込んでいた。吾輩もそれで食べれるのかと疑問に思うがみこさんの反応がモゴモゴとあるので咀嚼してるのだろう。
「んん!!美味しいー」
「あーヨカッタネー」
ポンッと元の顔に戻ったみこさんに安堵のため息を漏らす星街さんと吾輩。その後星街さんも食べて悪くないと評価を頂いたので次に向かおうとするが
「ん。モブさんこれ」
「みこもあげるー」
押し付けるように星街さんにチョコを渡されその上にみこさんがドムっと質量を感じる袋を渡してきた。
「お世話になってる人に渡すようの労いチョコ。糖分はありがたいでしょ?」
「みこもモブさんに沢山買ってきた!!のどかさんと分けてにぇ」
2人の気遣いに心に暖かいものが広がるような感覚があった。こんなに立派になって。ついでに労うつもりなら一つ仕事を頼みたいのだがと2人に提案した。
「仕事?」
「どしたの?珍しーじゃん」
“これから行くところがReGLOSSの所なのですが、何故か赤井はぁとと一緒にいるので着いてきてもらえると”
「さ、帰るよみこちー」
「そうだねすいちゃん」
“薄情者!!”
赤井はぁと・ReGLOSSの場合
さて、ついに来てしまったか。許可を出していないのに撮影用キッチンルームが使用中のランプが付いている。
「はぁちゃまクッキング!!」
「「「「「助けてくださーい!!」」」」」
扉を開けるとそれはもう恐ろしい光景が広がっていた。
ReGLOSSの面々が椅子に縛り付けて目の前にゴボゴボいっているチョコ?が置かれている。
噎せ返る程キッチンルームがチョコの匂いがしている。
「あ、モブさん助けてー!!」
「奏〇にたくないよー!!」
「りりぃかもまだ〇にたくなーい!!」
「らでんもこれは無理だー!!やだーー!!」
「ウウッねぇこのチョコのなかになんか足みたいなのありゅ!!やだ!!」
阿鼻叫喚である。とりあえず元凶である赤井さんに近づく。
「あ、モブさんいらっしゃーい!食べる?ギリギリチョコ」
そんなに義理義理伝えなくてもわかっている。しかしこの惨状は頂けない。どんな事が起きたらこんな惨状になるのか。特にあの蠢いてるチョコ。
「あれ?あれはねー媚薬と言われるものをいろいろ混ぜたチョコよ!!」
“はぁ”
「知らない?チョコは媚薬なんだよ!!あとはリキュールとか漢方とかイモリ?とかいう爬虫類を焼いたやつを混ぜました」
なるほどなるほど。はい解散。捕縛されているReGLOSSを解散し、悲しき化け物チョコも回収する。代わりに吾輩のチョコを置いておく。
「あー!!折角はぁちゃまが作ったチョコが!!⋯モブさんもチョコ作ったの?へー美味しそう」
「えーなにこれ富士山?手作り!?ボク達も食べて良いの!?やったー!!」
「助かったー!!あ、モブさんに奏もチョコあげようと思ってたんだよ!途中で捕まっちゃったけど」
「奏やめなー?あのチョコ渡したって怒られるだけだってば」
「おー。見事な富士山チョコ。パンがベースなのかどれどれ」
「らでんはじめにもちょーだい」
なんとか騒動が落ち着いたというのに恩を仇で返そうとする奏さんには義理義理チョコを食してもらうとしよう。
「ちょちょちょ冗談じゃないっすかー!へへへモブさんったらほほほ」
「義理の義理じゃないよ限界の方のギリギリチョコだから間違えないで!」
どうやら赤井さんのちょこはギリギリチョコの体をなしている物の事を言っているらしい。逃げてく奏さんを目で追っていくとReGLOSSの面々がパンプティングを突っつき回して美味しい美味しいと言っていた。
「うーんはぁちゃまのチョコが誰にも食べられずに処分されるのが悲しすぎる」
じーっと袋に詰められた悲しきチョコを見て呟く赤井さん。吾輩は一つため息をつきドロドロのギリギリチョコを指ですくう。
「「「「「「え!?」」」」」」
匂いはチョコなのだ。大変なことにはなるまい。
ペロリとギリギリチョコを舐めるとジャリジャリした食感と焦げ臭い香りが目立つがチョコである。
「媚薬って言ってたよ!?」
所詮そういうのは迷信なのだ。惚れるということも興奮することもない。ただ口の中に不快感が広まるばかりだ。
「そんなぁ」
項垂れる赤井さん。特に被害もなく平和なバレンタインデーであった。さ、これでチョコも配り終えたし帰るとしよう。
“ただいま戻りました。のどかさんチョコが大量です”
「あぁ、モブさんおかえりなさい。私もチョコ大量です」
“⋯⋯”
「⋯⋯手作りチョコから食べていきますか」
“うむ”
モブの作ったチョコ
パンプティング
それはデカい。重い。上手い。富士山の形をしている
某戌神さんから余ったパンを貰い
パンほぐし、アーモンド砕き、チョコ、卵、牛乳を染み染みさせて焼き上げたもの。