吾輩はホロライブのパーフェクトスタッフである   作:ジョ力

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おろろん。悲しい4月であり申した。

それはさておきモブさんにはシオンさんに引き摺られてバーチャルインドネシアに戻ってもらうよ。
ウチの小説じゃ肩書消えただけで現役だから!



58 卒業式というには時期外れでした

 

 

吾輩はパーフェクトスタッフである。

今日の業務は来客があるので緊急の仕事は全部片付けた所である。

 

「⋯⋯⋯」

 

そして来客は吾輩の横で何も言わず片手を差し出してきている。お手でもしろというのかこの吾輩をペット扱いとは実に不敬である。ため息をつきながら手を差し出してきている紫魔法使いの上に吾輩の手を乗せた。

 

「ちっがーう!!シオンちゃんの卒業なんだからなんかあるでしょー!!」

 

バゴォーン!

 

空いていた方の手に紫色に燃える炎のようなものを纏わせ吾輩に掌底を叩き込んでくる。咄嗟にショルダーブロックで防ぐも勢いが殺しきれず30㌢程後退させられた。身体の芯まで響く良い一撃である。

少しも気落ちなどしてないようで安心した。とりあえず用意していたプレゼントをデスクの引き出しから取り出して渡した。

 

「あんじゃーん。おー⋯?ポ◯センの袋じゃん!どれどれ⋯おっ可愛いありがとーー!!」

 

ガサガサと中身を物色し終えた後、両手で抱えるように抱きしめているので気に入ったのだろう。ヌオ◯ドオ◯のセットマスコットは可愛かろう。ついでに底にナマコブ◯のも入っている。

 

「このアホ可愛い口ポカーンとしてるヌ◯ーの事をモブさんと思って大事にするわ」

 

ニッコニコ笑顔でそう宣った魔法使いに思わず頬が引きつった。吾輩のことをアホ面だと言いたいのかね。

 

「そう言ってんだよばーかばーか!!」

 

“貴様ァ!”

 

モブ の からてチョップ▼

 

シオン の (魔力強化された)カウンター▼

 

モブは吹き飛んだ▼

 

“ぐわあぁー!!”

 

「ちょっと二人とも暴れないでくださいよ!?」

 

挑発に乗せられ咄嗟に繰り出した吾輩のチョップに合わせてクロスカウンターをぶち込んできたシオンさんに畏敬の念を抱いてしまった。天井を眺めながらうーむと唸る。

とにかく悲鳴をあげているのどかさんにただのじゃれつきであると告げ身体を起こす。

 

「本日をもってモブさんとの勝負はシオンちゃんの勝ち逃げとさせていただきまーす!残念だったねー!」

 

ケタケタと笑いながら吾輩の頬を突っつき回してくるシオンさん。

相変わらずのクソガキっぷりであった。吾輩は大人なので悔しくはない。ぐぎぎ。

 

「凄い眉間のシワになってますよモブさん」

 

「満足した!⋯では私は自由に過ごすのでモブさんはこれからもホロライブの歯車として頑張ってねー。折角なのでこのシオンちゃんのお気にだった魔女っ子帽子とシオンのぬいぐるみをあげよう!これで寂しくないね!!」

 

“アリガトアリガト”

 

シオンさんが身につけていた魔女っ子帽子を頭に乗せられ、更に数年前にシオンさんの生誕祭で発売したぬいぐるみを渡された。吾輩は感動のあまりぬいぐるみを摩擦熱で燃え上がるのではないかという勢いで撫でてみた。無論鬱憤晴らしではない。ザリザリと音がなった。

 

「コラー!!?でも不壊の魔法使ってるから壊れまーせん!⋯ついでにシオンちゃんの魔女っ子衣装もあげる。前に事務所で飾ってたあくたんの衣装の横にでもおいてよ」

 

「おぉ。これで衣装揃いましたね!コスプレできるかも⋯」

 

「のどかさん着る?あくたんの?それともシオンちゃんになりきる?なんか杖あげようか?」

 

「え!?いや、流石に恐れ多いですよ」

 

シオンさんから予備の衣装も渡されたので後でシワが無いようにショーケースに飾ろうと考えているとのどかさんとシオンさんが盛り上がり始めた。

良いことだ。今思えば中々に良く絡むシオンさんが卒業となると寂しさが勝りに勝る。しかしそれを言うのは癪だし、今生の別れではないのだからそのうち会うこともあるだろう。

 

辞めメンバー、またの名を暁と言われる彼女たちともたまに連絡は取れているしシオンさんともそうなるだろう。彼女が笑って去るというなら吾輩も笑って送り出すのが大人というものだ。暖かい目でシオンさん達を眺めた。

 

「私があくあさんの衣装で、シオンさんはー⋯モブさんとか?」

 

「ぶっころ」

 

温かい気持ちで見守っていたら急遽シオンさんの手から凍てつくような空気を撒き散らした蒼いビームが放たれ吾輩は氷漬けになった。

聞き逃してしまったがのどかさん何言った?

流石の吾輩もこんな事されちゃったらもう穏やかではいられなくなってしまうよ。

 

「あ、えーと⋯し、仕事が溜まってたので作業に戻ります!」

 

“貴様!!”

 

吾輩が氷漬けにされているのにスタコラサッサと自分のデスクに戻っていくのどかさん。せめて氷を溶かすの手伝ってくれ。そう呟くもヘッドホンをつけ我関せずの立場をとっていた。随分と精神が図太く成長したようである。

 

「やーいやーい」

 

“吾輩もこの後仕事があるのでこの氷を溶かしてもらえると助かるのですが”

 

「仕方ないなーまったく」

 

シオンさんはニマニマと笑いながら指パッチンをすると周囲の氷が跡形もなく消えてしまったではないか。魔法とはかくも便利なものなのか。見た目はさておきなんだかんだで優秀な魔法使いである。

 

「お、なんだその目は!また凍りたいの?」

 

どうやら読心術の類まで持ち合わせてるらしい。急にがるると唸り威嚇してくる。さすがにこれ以上の被害は御免被るので狂犬型魔法使いどうどうと沈静化を図った。

 

「ふーんだ。この程度の魔法も対処できないのにモブさんこの先大丈夫なのかなー」

 

ぷーと口を3の形にさせながら吾輩の未来を心配してくれているだろうシオンさんがいるが、実に不器用な気遣いだ。しかし問題ない。ホロライブには優秀なスタッフとタレントがいるので緊急時は助けてもらう。それでも駄目ならシオンさんに直電だ。

 

「すっごい他力!?んで私に頼るんかーい!!」

 

初めて聞いたんだけど!?と驚くシオンさん。初めて言ったからね。吾輩はパーフェクトスタッフなれど所詮一人。出来ることはたかがしれてるのだ。マンパワーこそ最強で戦いは数なのだシオンさんと教えを説いた。

 

「ほーんそっかそっか。やっぱシオンちゃんの力が必要かー!仕方ないなーモブさんはー⋯」

 

上機嫌な雰囲気でシオンさんはにへらにへらと笑みを浮かべている。シオンさん程の戦力を手放すなんてとんでもない。ちなみに吾輩が扱えるデリバリーヘルプ略してデリヘルで最も強いのはドラゴンを呼ぶ鈴である。鳴らすとどこからドラゴン娘が飛んできて戯れていく。強い。鳴らさなくてもたまに来る。怖い。

 

「あっ、そういえばさっきマネちゃんから渡されたんだけどでっかい花束!あれシオンがあくたんにあげたのを真似した形なんだって?」

 

“ですな”

 

前にあくあさんの卒業時にシオンさんが送っていた大きい花束があった。あれを贈るのは面白かろうということで用意させてもらったのだ。無事受け取ってもらえたようで何よりである。

 

「スタッフさんたち皆一本ずつ花を選んでるんだって?モブさんは何をくれたのー?」

 

“はて、確か無難にかすみ草だったような”

 

「ほー。のどかさんから聞いたけどかすみ草って白いぱやぱやとした花で感謝の意味があるらしいねー。のどかさんがくれたっていう1本しかなかったけど。あれー?モブさん嘘ついてない?」

 

“あーなんでしたっけカタログ見て決めたもので”

 

「のどかさんからモブさん花言葉の本見て色々考えてたって聞いたよ。しかも買ってきたのもモブさん。いやーそんだけ調べて忘れるってこと無いよねー!どーして隠すの?ねーなんでー?」

 

思わずこちらの様子を伺っていたのどかさんを睨みつけるとビクリと反応した後すぐに仕事するフリに戻っていった。おのれ余計なことを言いおってからに。吾輩の周りを高速でぐるぐる周る魔法使いからは逃げられそうにないので観念し答える。

 

「ハーデンベルギア?なんかあまり見ない濃い紫と白い色に分かれたような花があったなと思ったけどそれかな。ほほーん!で、花言葉は?っていや、良いやシオンが自分で調べよー」

 

目が猫のような形になったシオンさんは明らかに吾輩をからかう気である。

まるで滑った後にネタの意味を解説されるような状況だ。

これ以上地獄が続くのは耐えられぬ。シオンさんがスマホでたぷたぷ操作を始めたので吾輩は逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はずだったのだが、ドアを開けて飛び出たと思ったらシオンさんの前に立っていた。

あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!吾輩は作業部屋から扉を開けて出たと思ったら、いつのまにか作業部屋に入ってきていた。な…何を言っているのかわからねーと思うが、

吾輩も何をされたのかわからなかった…

頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。

 

「モブさんを起点にして転移させたからね。ワープワープ」

 

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったのだ…

魔法とは詠唱とかそういう事前準備があるものだと思ったが一瞬の出来事だった。

 

「そんなのどーでも良いって!それよりモブさんシオンちゃんのこと好き過ぎかー?素敵な花言葉だなー!」

 

のしっと肩を組んでくるシオンさん。チラと顔を見るとそれはもうニヤニヤとしていた。これからとんでもない弄りが来るのだろうかと思うと腹の底からため息が漏れた。

 

「ふっ⋯このままモブさんを笑い続けるのも悪くないけどそろそろ次の予定もあるからここら辺で帰ろうかな。あ、魔界に行っても連絡は取れるから良かったねぇーモブさん」

 

そろそろ帰ると言いつつもしっかりとジャブを打ち込んでくるあたり強かな事である。吾輩は忘れ物せず帰るのだと告げ手でシッシッと追い払う動作をした。

 

「はいはーい。それじゃのどかさんも元気でねー!モブさんはしっかりとホロライブの為に働けよー!」

 

“ハイハイ”

 

そんなやり取りを1つ2つ。吾輩達から少し離れた所に歩いていくシオンさん。軽く足先でトントンと地面を蹴ると魔法陣のようなものが広がり薄く輝き始めている。

 

「⋯ん。じゃーねー!」

 

最後にこちらに振り向きウィンクをしたシオンさんはそのままビシュゥンと妙な音と共に消えた。

魔法陣は光を失い数秒すると影も形もなくなった。どうやら去っていったようだ。

 

「モブさん寂しいんじゃないですか?」

 

“そりゃまぁ”

 

近づいてくるのどかさんに一言零す。吾輩を売ってまでやる必要性の高い仕事は終わったのだろうか?

 

「モブさんは意外に根に持ちますよね!?休憩です休憩!!」

 

“休憩ですか”

 

「⋯⋯⋯」

 

“⋯⋯⋯”

 

少し気まずい空気になったので適当に腹が減ったと理由をつけて何か食べることにした。

デスクから備蓄していたカロリーメイトを引っ張り出した所で飲み物が無いことに気付く。自販機に買いに行くかと思いのどかさんに何か飲みたいものはあるかと聞いてからその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“戻ってきて早速なのですが、のどかさんどうしたんですか?”

 

飲み物を何本か買って作業部屋に戻ってきた。のだが、のどかさんはシオンさんが置いていったぬいぐるみの帽子部分を開こうと格闘している。悲しさのあまり乱心か?

 

「これ!?モブさん!!このぬいぐるみから手が!!」

 

どうやらのどかさんはショックでおかしくなってしまったらしい。世の中方向性の違いやお上との意向と合わなければこういう事もあるだろう。仕方ないことなのだ。吾輩も辛いが我々はただ働くことしかできないのだと語りながら飲み物をデスク上に置く。

ここで一つ気付いた。先程置いていったカロリーメイトがなくなっている。のどかさんが食べたのだろうか。

 

「違いますよ!!このぬいぐるみの帽子からシオンさんが出てきてモブさんのカロリーメイトを掴んでいったんです!!」

 

よほど精神に応えているらしい。今日は休め。あとの作業は吾輩が引き継ごう。流石の吾輩でも妄言を吐き続ける後輩を馬車馬のごとく働かせるほど鬼畜ではないのだ。そしてお腹が減ってたならそう言えば良いのだ。まだまだカロリーメイトの予備はあるのでデスクから取り出した。

 

「いやそこは信じてください!?」

 

のどかさんが悲鳴をあげているが、精神状態が不安定な者の言は半分くらい聞く気持ちでいる。仮眠室で少し休んでから帰ると良いと告げた。吾輩はカロリーメイトを一口齧ってからのどかさんに暖かい目を向けた。

 

「んもー!!」

 

“牛かな?”

 

プンプンと擬音が出てそうなむくれ方をして作業していた内容を押し付けていくのどかさん。仮眠室に入っていくのを見送ってからのどかさんが行っていた作業を確認する。

奏さんの矯正研修と書いてある。

厄介な童がそういやもう一人残っていたな。そうひとりごちる。

 

「童って誰と誰のこと?」

 

突如聞こえた質問にそりゃシオンさんと奏さんのことだと呟くと横から何か包装紙のような物がぶつけられた。というか先程別れの挨拶をした者の声に似ている気がする。チラと包装紙らしき物をぶつけられた方を見るとあら不思議。

シオンさんのぬいぐるみの帽子部分から物理法則を無視してシオンさん(本体)の上半身が生えてるではないか。

 

シオンさん本体は勝手に吾輩の机の中を漁り大量の保存食を抱えて消えていった。ジトッとした目で吾輩を睨んで消えていった。ふむ。

 

まだまだ吾輩は童達の相手はせねばならぬらしい。監視されている可能性は高そうなのでシオンさんのぬいぐるみはショーケースの方に押し込んでおくべきだろう。ぬいぐるみを掴むも机にくっついているのかと思うほどに動かない。てこでも動かないという強い抵抗力を感じる。5分ほど格闘したが小揺るぎもしなかった。

 

ひとまずこの件は置いておくことにした。今目先の仕事を片付けてからこのぬいぐるみの対策をするとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからモブは 魔法 解除 仕方 で検索し数々の方法を実践したが定期的になんらかの妨害を受け、あえなく失敗し続けることになる。その度にどこからか聞き覚えのある魔法使いの笑い声が聞こえ屈辱の日々を過ごすハメになったという。

 

おわらない。




モブ
童がいなくなっても第2第3の童が!
童と書いてワッパと読む。コワッパコワッパ!
更に言えば悲しむ必要など無いのだ。ちょくちょくこれからの小説にも出るしからかいに来る。まだまだ心休まらぬ日々が続くのだ。

シオン
モブと最後の絡みだと思っていたからかスキンシップ強め。ぬいぐるみを渡したのもどこかに繋がりを求めたからかそれとも単純にいたずら心なのか。それは本人にしか分からない。

卒業!お疲れさまでした。
この小説ではモブとの絡みやすさもあり非常に良い関係であるので今後も継続出演。
モブをからかうのが生き甲斐にする。ちょくちょくメッセージでやりとりしてそう。

ドラゴンを呼ぶ鈴
レジェンダリーアイテム。
とても強い。たまに天使が出る時もある。お迎えではない。

ハーデンベルギア
甘い香りのお花を、2月頃から4月頃に咲かせる。
花が咲く様子が、蝶が舞う姿にも見えることから、幸運をイメージさせる。
花言葉は「出会えてよかった」「運命的な出会い」「思いやり」「幸せが舞い込む」等の感謝を示すロマンチックな花。

シオンのぬいぐるみ(魔法加工済み)
レジェンダリーアイテム
壊れない。動かせない。自立起動はする。
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