それはそれとして以前高評価なのびっくりしちゃう。うれしー。
感謝です!
昔書いた作品で誤字がやはりポツポツ散見される。教えてくれた人もありがとうございます!気づいたら私も直してるつもりなんですけどやはり分からないもんですね。
吾輩はパーフェクトスタッフである。
本日も溜まりに溜まったホロメンから上がってきた企画の提案書を形にしていく作業である。資材や人員がどのくらい必要か。セットを作る必要があるのか、予算、リスク等と考えることが沢山である。
「⋯───ッ!!」
のどかさんも吾輩も黙々と企画を吟味している最中、なにやら声が聞こえてきた。大分遠いが何かあったのだろうか。吾輩達スタッフが出動する状況ではないことを祈りたいが。
「⋯──ブー!!」
少しずつ声が大きくなってきている。このままこの作業部屋を通り過ぎてくれないだろうか。
ガチャ
「助けてくれーモブー!!!」
声の主を確認すると無地の黒いシャツにダボついたズボンという非常にラフな格好をしたラプラスさんが駆け寄ってきた。珍しく汗だくな様子であり非常に切迫した状況のようだ。助けたい気持ちはマウンテンマウンテンだが、吾輩の仕事も非常に期日的な意味で厳しい。出来ればルイさんとかにお願いしたいのだが。
「幹部が倒れた!!」
“なんですと?”
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鷹嶺ルイSide
今日は配信が休みだからやる事さっさとやっちゃわないと。布団と一緒に干物になった沙花叉干して、ラプラスにご飯作って、いろはが実家に帰省中だからこよりの分もか。折角だからこよりにお風呂掃除させよう。
「ふぅ⋯」
今日やるべき家事の流れを整理して違和感を感じた。無意識的に溜息出た事に驚く。ほんの少しの違和感が急激に不安を募らせた。まだ何もしてなかったはずなのに異常なまでに体力の消耗を感じる。
「あれ⋯なんか妙に身体が重いような。疲れてるのか?最近ちょっと忙しかったからなー」
身体の不調を認知したのが悪かったのか、急に頭痛と喉の痛みを感じ非常に嫌な予感がしてくる。
「うっ⋯ヤバッ」
風邪薬と栄養剤、体温計を保管していた棚を漁り始めたのだが、凄まじい勢いで健康状況が悪化していく気がした。視界がボヤけ身体の節々が痛い。不味いと思ったときには一瞬視界が暗転した。
「ん?幹部!?」
「どうしたのルイ姉!!?」
尻もちをついて少し大きな音を立ててしまった。多分座り込んでしまったのだろう。私に近づいてくる足音が聞こえる。声の感じからラプラスとこよりだろう。なんとか声を出そうとしたいのだけど怠くて声を出す気力すらなかった。
「わっ凄い熱!?」
「どうしよー!とりあえず解熱剤と色んな薬で栄養を」
ぼんやりとした意識の中で何か不吉な言葉が聞こえてくる。流石にこよりの薬は嫌だと本能的な恐怖感に僅かに力が湧いてきた。ぼんやりとした視界に映る紫の角を目印になんとか言葉を紡ぐ。
「ケホッラプラス⋯⋯一生のお願い」
「いっ⋯一生!?縁起でもないことを⋯どーしたんだルイ!!!」
「これは私にとって重要な事なの⋯コホッ」
「わ、分かった!なんだ?」
「こよりを追い出して私に近づけないでちょうだい」
「ルイ姉!?」
「お、おう。眼力強ッ!?分かった!とりあえずベッドまで連れてったらこよりは近づけない」
生命の危機感なのかそれとも予感なのか分からないがこよりを放置しているのは危険だと何かが私に語りかけてきている。
多少強めになってしまったが、言いたいことは告げた。いろは、沙花叉にヘルプを頼めない以上これでなんとか耐えるしかない。
本格的に身体が休養を求めているのか、意識が海中に沈むかのように途切れていくのを感じた。せめて最後にもう一言を。
「こより⋯お風呂⋯洗っといて」
「ルイ姉!?」
「おい博士!!とりあえずルイの足持って!ベッドに運ぼう!!」
「⋯⋯お薬ホントーに要らない?」
「要らないからサッサと運ぶぞ!!ホントフリじゃないからな?今そんな雰囲気じゃないから!!」
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「ということがあったんだけど」
それはまた大変な状況である。疲れ果てていたラプラスさんにリンゴジュースを手渡し、説明を聞いていたが、holoxは中々危機的な状況だ。吾輩としてもルイさんにはいつも世話になっているので、少しお見舞いでもするとしよう。大量のポカリと食材を渡すことにしよう。うどんは常備している者がいるからそれ以外だ。
「モブ買い物行くの?⋯え、食材?あっても宝の持ち腐れってやつだな」
等と腕を組みながらしれっと言うラプラスさん。こよりさんが料理できるはずだが。
「博士はヘラ溶かしたり、うどんと薬しか作れないやつだぞ。無理無理。モブが作ってくれれば良いじゃん!吾輩の分も」
こよりさんの評価を聞いてそういえばそんな事もあったなと思い少し考えを改める。吾輩の判断ミスによりルイさんの体調が悪化するのは非常によろしくない。ここは一つ恩返しということで夕飯でも馳走してやろう。サラッとラプラスさんも飯作れと言っていたような気がするので人数を考えて鍋。すぐ作れるし量も用意出来ることから湯豆腐あたりにしよう。
「あ、やべっ!博士放置し過ぎてるとなにかやりそうだから吾輩はアジトに戻る!!モブも無理だったら良いけど出来れば来てくれると助かる!ていうか来てくれー⋯」
何か思い出したかのように走りって去っていくラプラスさん。彼女の少しの気遣いを感じたが最後の最後までヘルプを求めていた。自分で夕飯を作るという考えはないらしい。
のどかさんに仕事は見舞いの後に行う為、確認して欲しいものは机においてもらう指示を出して吾輩は食材探しの旅に出るのであった。
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「博士⋯お前のルイの看病任務はこれで終了だな」
「うおおおああああ!!?」
大急ぎで買い出しを終え、holoxアジトで寝転んでいたシャチ娘にキッチンの場所を教えてもらい、湯豆腐も作ってルイさんの部屋に来たところだったのだが取り込み中だったようだ。
なぜか下着姿にひん剥かれているルイさんの真横でラプラスさんとこよりさんがいた。
吾輩の目の錯覚でなければラプラスさんがこよりさんの腹部に腕を突き刺しているように見える。
ドシャアと音を立てて倒れるこよりさんは大量の座薬らしい形状の薬や妙な色の液体が入った試験管をドロップした。なんとなく状況が読めるが深く考えないことにした。
「あ、モブ!!来てくれたのか!!」
下着姿のルイさんがいる為、目のやり所に困りつつ、現実逃避がてら湯豆腐鍋をどこに置こうかと部屋内を見回しているとラプラスさんに気づかれたようだ。
倒れたままピクリとも動かないこよりさんの話題にしたくない吾輩としては鍋を置いてくので好きに食べてくれと告げたが、
「博士の上に乗せたら?折角作ってくれたし一緒に食べてけば良いじゃん。⋯ちなみにこの色ボケこよーては幹部に座薬さそうとして服脱がして?興奮して襲おうとしてたらしいから処した」
聞きたくなかったことを先んじて全部言ってくれやがったラプラスさんにとりあえず鍋を置くテーブルを用意してもらうことにした。吾輩は両手で鍋を抱えて待つが、このままでは風邪を引いてしまうであろうこよりさんが気になった。非常にマナー違反ではあるが、こよりさんを足で転がしながらルイさんの部屋から廊下に排出した。
「モブーちゃぶ台持ってきたちゃぶ台!」
吾輩がこよりさんを廊下に投棄している間にラプラスさんがちゃぶ台を両手に抱えて近づいてきた。これでようやく鍋を置ける状態になった。
「おー湯豆腐か。タレは?」
“タレは作るのが面倒なのでポン酢です。吾輩のポケットに入ってるこれです”
「おお!箸とお玉は持ってきたからこれで食べられるな!」
ラプラスさんはいそいそとお鍋を食する準備をしている。しかしどうしても気になることがあったので一つ良いだろうか。
「んぁ?どしたの?」
首を傾げてこちらを見上げてくるラプラスさんは本当に気づいてないようなので教えてあげるとしよう。先程服をひん剥かれたルイさんはタオルケットも掛けてもらえず、下着姿のまま寒い寒いと呟きながら震えて丸まっているのです。
「ヤッベ!!ごめんルイ!今着せるから」
「ゴホッウウッ⋯私が何したって言うんだ⋯」
「すまねぇ⋯すまねぇ」
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「少し休んだからマシになったけど、まさか夕飯をモブさんが作ってくれるとは思わなかったわ」
「吾輩が頼んだおかげ」
あれから無事服を着たルイさんはなんとか起き上がりながら夕飯を食べている。
それはそうと風邪はそう早く治らないし先程の状態は休みではなく追撃である。是非ともゆっくり休んでもらいたい。
「「いただきまーす」」
「そして何故私の部屋に集まるんだ?風邪伝染るでしょ」
突然鍋の付近に生えてきたこよりさんと沙花叉が鍋をつつき始めた為、ルイさんもどこか呆れたようにマスクをつけ始めた。
吾輩的には先程再起不能になった筈のこよりさんがニコニコと鍋を食べているのを見ると複数人いる説は正しいのではないかと思ってしまった。
「心配してたんだもーん」
「そーだそーだー!」
「心配したのは夕飯か?特にこより。心配してくれてた奴がいきなり服をひん剥く暴挙に出て私は悲しいよ。ラプちゃんコイツら追い出して」
「あいよー。オラ出ていけ」
「「わーん!!」」
holoxの幹部による命を受け総帥は不思議なオーラみたいのようなものを操ると巨大な手を作り出して二人を連行していった。あんな事も出来たのか。
「ふぅ⋯コホコホ⋯んん。いやーモブさんなんか申し訳ない。態々夕飯を作ってくれてありがとうございます。holoxの面々をを代表してお礼を⋯」
ルイさんは急に社会人モードになってお礼を言うが、吾輩としても日頃の感謝もあるのでお構いなくと告げた。そしてその体調不良でも身体に染み付いた社畜根性を見せるのはやめてもらいたい。ベッドに座りながらでも綺麗な礼をされると見ていて辛いのだ。吾輩の心が。
「ご、ごめん⋯体調不良の私よりもゲッソリした表情しなくても⋯」
ルイさんは何も悪くない。この苦しい社会が悪いのだ。そう声帯からなんとか絞り出した。しっかりとした部屋では感じる事がないはずの隙間風が室内に吹いたような、そんな微妙な空気感になってしまった。場をリセットするために買ってきた栄養ドリンクと水分補給用ドリンクをルイさんに渡した。水分をしっかりとって休んでくれたまえ。
「あら。ホントに助かる。またそのうちお礼するわね」
こちらも日頃のお礼のつもりだったのだが、ここで断ると堂々巡りのようになりルイさんの体力を削る結果になりそうなので楽しみにしているとだけ告げた。
「ゴホッ。あ、つい話し込んじゃった。けどモブさんも風邪が(ないとは思うけど)感染ったら大変だと思うから」
吾輩も鍋を置いて帰るつもりだったが長居してしまった。これ以上はルイさんの負担になるので帰らせてもらうとしよう。
数日は飯を運びに来るので安心して休んでほしい。吾輩は立ち上がりながらそう告げた。
「ホントに至れり尽くせり。ここまでされるのなんか新鮮」
ルイさんは顔を赤くして手で仰いでいるのは体調不良のせいかそれとも照れているのか。吾輩としても随分と気を使った行動になったので少し気恥ずかしくもあるがたまには良いだろう。
「モブさんに集る(たかる)形になって申し訳ないけどね。鷹だけに」
さて、今日はもう休むと良い。どうやらルイさんは非常に。非常にお疲れのようだ。吾輩はラプラスさん達に鍋を渡して仕事に戻ると吐き捨てそそくさとルイさんの部屋を出た。
吾輩も風邪を引いてしまったのかもしれない。妙に背筋がザワザワするような感覚を味わってしまった。
後ろから何か呼び止めるような声が聞こえるが、申し訳ないが吾輩も風邪を引きたくはないので断腸の思いでその場を後にしたのだった。
モブ
究極生命体は風邪を引かない。常に最高のポテンシャルを引き出せるのだ!!
なんだかんだで面倒見は良い。仲の良い人には結構甘々な対応をする。
得意料理の男飯鍋は大量の具材をドボンと鍋にぶちこみ煮込むもの。そこそこの味と凄い質量を誇る。
総帥
しばらく食事の心配はないし、ルイも安心して休める環境を整えた。自分の仕事っぷりは凄いぞ!と思ったけどほぼモブに任せてたことにお鍋を食べながら気付いた。
次の日からモブの料理の手伝いをする姿が見えたとかなんとか。
幹部
それはもう凄い社畜。社会人とは健康を無視してまでなるものではない。休む時には休むのだ。
今回は最後の最後に調子が上がってきた。が、モブには響かなかった。
「ドヤ」
“どうやらかなりお疲れの様子。ゆっくり休んでくださいね。それでは”
「え、ちょっと!?ゴホッゴホッ⋯急に冷たいじゃん!せめて笑ってよ!!ねー!!ゴホッ」
博士
もしかしたら何人もいる。クローンなのか。分身なのか。それは誰も分からない。ちなみに頼まれていた風呂掃除はちゃんとしていた。