吾輩はホロライブのパーフェクトスタッフである   作:ジョ力

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びぶー可愛いよね。張り倒したくなる。
サマータイムです。モブも少し開放的になっています。


62 ホロライブサマー2025 スタッフさんボコボコにしたい!!

 

 

吾輩はパーフェクトスタッフである。

 

本日の仕事はホロメンが海に来ているので、監視兼海の家経営である。頭にバンダナを巻きサングラスアロハシャツ姿で焼きそば焼いているのが吾輩である。

 

遠目でホロメン達が砂浜で『何事もなく』ワイワイキャッキャしているので阿鼻叫喚のあえんびえんな状況はなく、実に平和である。

 

「あ!!さっきまで無かったのにいつの間にか海の家ができてる!!焼きそば1つほしいにぇ!!」

 

“らっしゃい!今焼き始めたところだからちょっと待ってくれ!!”

 

先程簡易出店用テントを組み立てたので当然である。焼きそばを焼き始めて5分もしないのに目敏く香りを嗅ぎつけてやってきたみこさんに対し、少し待つように告げる。ちらと目線を向けると相変わらずピンク基調の水着であった。数週間前にぷにちになって水着が入らなくなったと嘆きダイエット+地獄の運動を行った為かスラリとした腹部になっている。

 

「はーい…んん?」

 

吾輩がガシャガシャと焼きそばを焼いているとみこさんが吾輩の顔を見て訝しげな顔をして数十秒程唸った後、ハッとした顔でこちらに指をさしてきた。

 

「えぇー!モブさんじゃん!!一瞬こんなスタッフさん居たかと思ったにぇ」

 

人を指さすものでない。更に言えば一瞬ではなく結構観察していた。もう何年もの付き合いなのに気付かないとは吾輩は悲しい。

 

「いやいやいや⋯モブさんそんなバンダナサングラスにアロハって屋台おじたんのカッコしてるの見たことないにぇ!!いつもと全然違うじゃん!!」

 

開放感を与えてくれるサマーだからね。と適当に返しつつみこさんに出来た焼きそばを渡した。しばらく吾輩はここにいるから好きな時に注文するが良いと伝えた。

 

「わーい!すいちゃん達にも伝えてくるにぇ。また後で来るー!!」

 

とてててと焼きそば片手に走っていくみこさん。作り置きもしておくかとまた鉄板に麺を広げていると後ろから奇妙な気配がした。

 

「⋯⋯じー」

 

振り向くとこちらをジィっと眺めている小さい少女。どこか宝石を思わせるような髪飾りと、透明感のある独特な薄い色素の髪をもつ古石ビジューさんではないか。何故か水着ではなく中二病的な衣装になっているが、熱視線を感じるに焼きそばを食べたいのだろうか?それなら少し待って欲しい。

 

「モブさんボコボコにしたい!!」

 

“⋯⋯?”

 

今の状況にまるでそぐわない台詞が聞こえた気がする。焼きそばを作る音でうまく聞こえなかったようだ。すまないがもう一度言ってくれないかとビジューさんに尋ねた。

 

「ビジューは!モブさんを!ヴォコヴォコに!!したい!!!」

 

シュッシュッと擬音を口で呟きながらパンチを繰り広げるビジューさん。どうやら聞き間違いというわけでもなく本気で吾輩をボコボコにしようとしているらしい。吾輩としては彼女に嫌われるようなことをした記憶は無かったが、どこかで逆鱗に触れてしまったのかもしれない。

 

「あー⋯モブさんに怒りはない。ビジューはこれまで数々のスタッフさんに勝利してきた。あとはモブさんボコボコで全員倒したことになる」

 

コンプリート!!と両手を挙げながら雄たけびをあげている感情結晶体さんだが、なんてことをしているのか。

最近他のスタッフさんがビジューさんになんらかの勝負を挑まれることがあると言っていたような気がしたが、まさか全員相手にしていたとは。どこか凝り性というか、難易度高いものに挑戦したがる性格が彼女をこんな姿にしてしまったようだ。

焼きそばを作りながらどうしたものかと思案すると少し遠くで星街さん達がスイカ割りをしているのが見える。平和を感じる。

 

「モブさんヴォコヴォコにさせてー?」

 

どこか現実逃避のように目隠しをした星街さんが斧を持ってスイカににじり寄っている姿を眺めていたが、ビジューさんに背中に取り憑かれてしまった。

耳元で囁かれる分には気分が良いが、調理中なので危ない。降りてもらおうと身体を揺するもしっかり組み付かれております外せなかった。意外な事に鍛えているようである。

 

「フフフ⋯⋯?モブさんすいせい先輩がこっちに走ってきてる」

 

「あー!!足が滑っちゃったぁ!!」

 

ビジューさんの一言にそんな訳がないと思い正面を見ると斧を振りかぶって走ってきている星街さんの姿が。しかも直進してくるかと思いきや、なんと屋台の鉄板を大回りで避けて駆けてくるではないか。本当に目隠ししているのかと思える程の正確性に思わず感嘆の声が漏れたが、このままではビジューさんごと真っ二つにされかねない。

吾輩は仕方なしに手刀で迎撃行動に入る。

 

「シイッ」

 

“ヌゥン!”

 

慣れた動きで横薙ぎに斧を振るう星街さんに合わせ吾輩は手刀を振り下ろし、そのままお互いに切り抜けた。

 

刹那、静寂。

 

 

風がひとすじ、髪をなでるように吹き抜けたかと思うと——

 

 

“ぐふ……!”

 

「あ、モブさんがやられたにぇ」

 

吾輩の口から不意に洩れるうめき声。遅れて走る痛みが腹部を貫いた。ぐらりと視界が傾き、そのまま地面に片膝をついた。吾輩の鍛えられた腹筋にすらダメージを通す星街さんの一撃に戦慄が走りつつ地面に倒れ込む。

地に伏せているため、視線が自然と星街さんを仰ぎ見る角度になる。星街さんはグレーのパーカーを羽織っており下は水着の上からショートパンツを履いているようだ。見た目は良いが中身が相変わらずクレイジー過ぎる。とりあえず強くなったなと呟いておく。

 

「でしょ?最近すいちゃんも鍛えてんのよ」

 

「水着褒める、じゃないんだ」

 

どうやら星街さんも鍛えていたらしい。道理でキレのある振り抜き方だったわけだ。余計なことを、と思いながら立ち上がる。

そして吾輩の後ろにへばり付いているビジューさんは後ろで

(๑¯ㅁ¯๑)

の顔文字のような顔をしてなにか呟いていた。

 

「それはそうとしてモブさんはホロメンとイチャイチャしてるから不届き。というわけで切腹しろ」

 

「ハッ⋯モブさんボコボコにしたい!!」

 

「それは良い。ヨシ許可する」

 

「わーい!」

 

吾輩が口を挟む暇すらなくトントン拍子で戦うことが確定した。相変わらずの星街さんの暴君っぷりに最早呆れを通り越して尊敬の念すら感じた。周りで話を聞いていた他のホロメンがやいのやいのと騒ぎ立て直ぐ様リング設営だと宣っている。

実に素早い行動だが、提出物もこれくらい早く出してくれれば吾輩達も助かるのにと思いながら、流れに身を任せることにした。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

数分後リングというよりは相撲の土俵のようなフィールドが出来ていた。ここから落ちたら負けなのだろうか。ルールは如何様な物なのだろうかと疑問の声を出してみる。

 

「はーい!スバちゃん達が頑張ってくれたから良い感じのバトルフィールドが出来たにぇ!!実況のさくらみこだよー」

 

「同じく実況の星街すいせいですキラッ☆」

 

「キモいにぇ!」

 

「んでだよ。シバくぞ」

 

「審判はスバぅが担当しゅばぁ!!ってなわけでルール無用デスマッチだぁ!!怪我しそうになったら止めるから好きにやれぇー!!!一応土俵から出たら負け。降参も可!!」

 

外野からなんやかんや聞こえてくるが、ルール無用らしい。それなら審判ほぼ要らないじゃないかと思わなくもないが、ノリがほぼ刃◯になっているスバルさんに言っても無駄だろう。屋台は船長が引き継いでくれているが、サッサと流して終わらせてしまおう。仮にもオフの人に手伝いをさせるのは気が引けるのだ。しかし海に来ていたホロメン全員が小さい土俵を囲んで観戦している様は壮観である。

 

「おりゃーー!!勝負だー!!」

 

さて、戦るかと思い土俵に立つと何故か着ぐるみのようなモコモコの格好をした水宮枢さんが立っている。はて?と首を傾げているとどうやら吾輩をシバきたい一人らしい。FLOW GLOWの一人である響咲リオナさんが耳打ちしてくれた。何か彼女にそのような思いを抱かせる事をしたつもりはないが。

 

「おらー!!モブ⋯さん?あれ⋯ニコたんこれから挑発とかしたいんだけど『さん付け』しないと怒られるかな?」

 

「いやーどうだろ。プロレスだと分かってくれると思いますけどネ⋯ノリが良い人だし多分大丈夫だと思うんだけど」

 

水宮さんは急に声が萎んで横にいる笑虎さんにヒソヒソと話しかけている。水宮さんの人の良さが出てしまっていて折角の舌戦が台無しである。吾輩は気にせず好きに言うと良いと許可を出した。

 

「あ、はーい。⋯んん!おらー!モブーー!!初めてニコたんと2人で挨拶に行った時にー!!すぅが居るのに一瞬気づかなかっただろー!!ニコが手ですぅを指した時にようやく視線を下げて気づきやがってー!!許せなーい!!」

 

「「「わぁー!!すぅちゃん可愛いー!!」」」

 

「ちがーう!!?格好良いと言えー!!」

 

本当に初対面の時だったが、確かにそんな事もあった。

思った以上に小さく見えたし、オーラ?とやらもほぼ感じなかったので見逃してしまったのだ。

ぐぅの音も出ないほど失礼な事をしてしまっているので当時は素直に謝ったのだが、どうやらまだ気にしていた様だ。やはり初見のイメージは大事なんだなと深く心に刻むことにした。

 

「さぁ、対してモブさんはどう返すのか!?」

 

「モブさんもプロレスしろー!!」

 

“とりあえず焼きそば作る仕事が待ってるので手早く終わらせたいです”

 

「キシャー!!」

 

「おおっとぉ!!この上ない挑発に開始のゴングを待たずにすぅちゃんが飛びかかったぁー!!」

 

「モブさんエゲツないにぇ」

 

特にプロレスする気もないので本心を語っただけなのだが、突如飛び掛かってくる水宮さん。どう贔屓目に見ても遅いしパワーが足りない。これならば避けるまでもないだろう。吾輩は手違いでサングラスが壊れないように外して先程近くに来ていたリオナさんに放った。リオナさんはサングラスをキャッチし自分で掛けた。結構似合っていた。

 

「隙ありゃー!!とおう!!」

 

目を離していた間に吾輩の真下に潜り込んだ水宮さんは、吾輩の顎にめがけてカエルパンチのように飛び込んできた。ボムッと鈍い音を立て吾輩の視線を少しだけ上に向けることに成功した水宮さんは蹲っていた。ちなみに吾輩は何もしていない。

 

「手首から肩まで痛みがぁ!!水宮は負傷しました⋯」

 

「勢い良く突っ込んだすぅちゃん!モブの圧倒的防御力の前に自傷ダメージを受けてしまったぁ!!」

 

「にぇ。ちなみに賭けは全員がモブさんの勝ちに賭けたから無効だったよ」

 

「ふぇあ⋯全員!!?ちょっとニコ!!応援してくれるって⋯ちはも言ってたよね!?」

 

「すまん。応援はしてるけど賭けは別なんだ」

 

元凶はいずこかと目線のみで周囲を探っていると人混みの奥の方からビジューさんがニンマリと笑っているのが見えた。大凡予想はつくが、吾輩の行動パターンを学習しようと観察しているのだろう。

それはさておき、彼女に踊らされた可哀想な水宮さんはどうやら同期にも勝てないと思われていたようだ。ヴィヴィさんとリオナさんは先程から吾輩の後ろ側で座り小さくなっており気配を隠している。ニコさんは目を逸らし、千速さんは頭を下げ手を合わせて祈っている。

 

「そんなー!!?⋯ワッ!!」

 

そんな可哀想な水宮さんのモコモコな着ぐるみを引っ掴んで持ち上げる。この衣装の手触りから凄い柔らかい素材で出来ているようだ。よく見るとこよりん印がついていた。きっと頑丈なのだろう。このまま土俵の外に放り投げてもケガしないと見た。

 

「あっ⋯あー!!」

 

「すぅちゃんジタバタしていても何も効果がない!!」

 

「終わりだにぇー。最後に一言なんかあるー?」

 

「格闘技とか階級ってなんで大事なのかわかりました!!こうなるからでイヤー!!」

 

吾輩は水宮さんをポーンと放物線を描くように放った。戦いは何も生まない。経験値すら手に入らないような蹂躙劇であった。実況席の2人も残当と言って、周りのホロメンもだよね~と頷いていた。

しかしここからが本番である。不敵な笑みを浮かべたビジューさんが土俵の上に堂々と仁王立ちしていた。

 

「ここまで、予想通り!ここで!モブさんは!ヴォコヴォコにして、全てのスタッフを倒す、という称号を手に入れるんだー!!」

 

ウオオォオと周りがビジューさんの熱気に充てられたのか白熱している。ついでに賭けも起きている。やめなさいねそこの兎と叫んだが、聞く耳持たずと言わんばかりに耳を折り畳んでお金を集めていた。貴様!?

 

「さぁ因縁?の対決だー!!」

 

「ビジューのやる気満々だー!!開始ィイイイ!!」

 

因縁はないが、流れに身を任せ戦うしかないのだろう。スバルさんの合図に合わせて突撃してくるビジューさんに迎撃態勢をとる。水宮さんとは比べ物にならない程速い。鍛えてきたというのは本当のようだ。

 

「セイ!!ヤァ!!トー!!」

 

「お!意外な事に良い拳出しております。がんばれー」

 

「みこよりもビジューが強そうになってんの複雑。みこも鍛えようかな⋯」

 

流れるようなコンビネーションブローを繰り出すビジューさんの攻勢を丁寧にブロックしていく。実況をしている星街さんの言う通り体重を乗せた良い拳である。しかしこのパーフェクトスタッフである吾輩は今まで数々の苦難を乗り越えてここに立っているのだ。この程度のヤワな拳では傷一つつけることは叶わないだろう。思わずフッと余裕の笑みを浮かべてしまった。

 

「ムッ」

 

「いやー流石にビジューでも歴戦のパーフェクトスタッフの相手はキツイかぁ?伊達にぼたんやいろはと鍛えてないということでしょうか!?」

 

「そう考えるとモブさんだいぶ強くなったにぇ。そこん所どうですか師匠の皆様。ぼたんたんにいろはたん、あとこより」

 

「モブさんはあたしが育てた」

 

「最近身体が一回り大きくなったでござるな」

 

「みこ先輩こよだけなんか扱い違くない?でもこれがholoxの研究の成果なのだー!!」

 

「はい。ありがとでしたー!モブさんは人やめてるの確定です」

 

外野で何やらキャッキャしているが、一度距離をとったビジューさんの雰囲気が変わった。目の奥に何かしようという意思がギラギラしている。このまま吾輩がビジューさんを土俵外に押し出すのは容易いのだが、何か切り札があるのなら話は別である。しっかりと見極めてからこの勝負を詰めるとしよう。

 

「カタナー!!」

 

「なんということでしょう!ビジュー選手突然刀を召喚しました!これは分からない!!モブさん負けんなよ!?」

 

「これルールは⋯ないんだっけ。アリなのかぁ⋯うーん。そう言えばすいちゃんさっきモブさんに賭けてたの見てたよー。私情で応援するなんて⋯」

 

「スバル的には◯牙でも武器使ってる人何人もいるから許可します!ちなみにスバルもモブさんに賭けた」

 

「ルール的にオッケーらしいので続行で!ちなみにみこちゃんもモブさんに賭けた!」

 

ビジューさんは突如紫色に輝く刀を召喚し構えている。ルール的には問題ないらしいので吾輩はこのまま続行で良いのだが、外野が煩すぎる。ビジューさんもどこか頬を引きつらせて実況席の方を睨みつけている。

 

「まぁいいや。さぁ、モブさん覚悟!!これでトドメだー!!」

 

気を取り直して一気に踏み込んでくるビジューさん。刀の動きを見ているとどうやら突きを選択したらしい。最も防ぎにくく突進力のある行動をとったのは実に素晴らしい。

吾輩は両手で挟み込むように刃を押さえ込んだ。所謂白刃取りという技だ。

 

「え!?」

 

宇宙猫みたいな顔をするビジューさんに一つ教えてあげよう。吾輩は今までどれだけ星街さんの超斧乱舞を受けてきたと思っているのか。上から叩き潰すような一撃や、無双ゲームのような薙ぎ払いを今まで耐えたり防いだりしてきたのだ。このような芸当を覚えるのはわけない。

掴んだ刀をそのまま力任せに奪い取り土俵外に放り捨てた。

 

「あー!?」

 

「嘘ッまさかの私も師匠枠だった!?」

 

「その前にそんなにすいちゃん攻撃してたんだ⋯あーしてたかも」

 

相変わらず実況席側が騒々しいが、ビジューさんの焦った顔を見るに万策尽きたようだ。吾輩も少し前にホロメン達と特訓の最中に体得した技を見せてやろう。

コハァーと一つ深く息を吐き、両掌を相手に向けるように腕を伸ばし、膝を曲げて腰を落とす姿勢になった。

 

「あー、えー、可愛いから許してー?」

 

“食らえい。ホロ羅漢撃”

 

「おー!?なんか強そうな技を繰り出したぞー!?」

 

「すっげー!!手が沢山あるように見えるんだけどぉ!!」

 

「うおぉ!?モブさんすっごい!!烈海◯みてぇ!!」

 

可愛いのは認めるが戦いに可愛さは不要と吐き捨て、吾輩は無情な連撃を放った。

無数の腕の残像と共に相手に突進し、止むことの無い攻撃を浴びせるという奥義である。

 

「あぺぺぺぺ!?」

 

吾輩の連撃にたまらず吹き飛ばされたビジューさんは土俵外で大の字で倒れた。それと同時に周囲で歓声が聞こえる。

まぁこんな物だろう。相当に鍛えて来たのが良く分かり、大健闘だったのではないか。吾輩は横たわっているビジューさんに近付く。

 

「ううっ⋯負けた。モブさん強者だということを認める!ビジューが仲間になってあげる」

 

起き上がり妙なことを言うビジューさんに吾輩は頭にクエスチョンを浮かべる。今までは仕事仲間ですらなかったという事なのだろうか。

そんな悲しい事実があるのかと考えていると急にビジューさんが輝き始めたではないか。

 

“何の光!?”

 

「わぁあ!!目がぁ目がぁ!!」

 

「何も見えねえ!!」

 

「誰ー!?お尻触ったの!!」

 

砂浜全体が突如光りに包まれ何も見えない状況で阿鼻叫喚になってしまった。しばらく目が見えなくなる程の光に悶え苦しんでいると少しずつ光が収まってきたようだ。

うっすらと目が見えるようになったので先程ビジューさんが居たあたりを見下ろすが誰も居なかった。はてと思う瞬間に手に何か握られていることに気付き、確認すると紫色に輝くツルハシが。

 

『カエラに工房で改造されてからこんな事が出来るようになったの!!オメデトーモブさんはビジューを手に入れた!』

 

コイツ脳内に直接!?

それはさておき要らぬ。特にツルハシは日常生活であまり必要がない。まだ剣のほうがマシだったのに何故ツルハシ。吾輩は炭鉱夫ではないのだ。せめてこれから焼きそばを焼くのに使うヘラに変えてはもらえないだろうか。

 

『熱いからやだ』

 

吾輩は海にツルハシビジューさんを放り投げた。

残念この装備は呪われている▼

そう思わせるような挙動で宙を回転しながら吾輩の背中にへばりついた。スチャッと装着するような音が鳴ったが、明らかにアロハシャツにくっついている。取り外そうにもアロハシャツと一体化していて外せず、謎の抵抗をする感情結晶体製ツルハシにゲンナリした。後程カエラさんに処理してもらわねば。

 

「いやーびっくりしたぁ。ん、モブさんその背中のピッケル?みたいなの何?」

 

目を軽く擦りながら近付いてくる星街さんにカクカクシカジカでこんな状況だと伝えた。あとあまり目を擦りすぎると腫れる可能性があるから程々にと忠告しておく。

 

「はいはいパパンの言うことは聞きますよーって。それビジューなのか。入手おめでとう?モブさんのおかげですいちゃんのお小遣いも少し増えたしWin-Win!1.2倍ってしょっぱいけど」

 

パパンやめれ。シレッと星街さんも賭けていたらしい。レートを考えると吾輩の方が圧倒的に賭け金が多かったのだろう。しかし賭けの胴元をやっていた邪悪兎が関わっているとなると払戻率はいかほどか。大分ぼったくりそうである。後でちゃんと聞き出し、事によっては感情結晶体ツルハシの錆になってもらわねばらない。

 

『むむむ。次こそはモブさんを倒してみせるんだ。最終的に勝てばよかろうなのだ!!』

 

「⋯…なんかツルハシ光ってるよ?」

 

星街さん曰く後ろでツルハシがピカピカ光ってるらしい。ビジューさんの思考が漏れているのか聞こえているが、意図的なのか無意識なのかは分からないが脳内に聞こえてくるので微妙に鬱陶しい。この呪いの装備ちゃんと外れるんだろうか。どこまで着いてくるかによって脅威度が変わる。

一先ず星街さんにカエラさんを呼んできて欲しいと伝えておく。

 

「このすいちゃんをメッセンジャー代わりにしようって!?ほーん随分偉くなったもんだなぁ⋯…ま、良いか。後で焼きそば作っておいて肉多めで」

 

突如斧を取り出して構える星街さんに咄嗟にツルハシで受ける構えをとったが、事なきを得た。今日は機嫌が良いようだ。そのまま去っていく星街さんを眺め一息つく。

 

『モブさんビジューも焼きそば食べたい』

 

ツルハシなのに?そんな疑問が浮かんだが、遠目で船長が汗を流しながら焼きそばを焼き続けてる様を視認できてしまったので急いで合流した。

星街さんの焼きそばも作らねばならないと意気込んでいると、他のホロメンが殺到して注文が来たため休む暇なく焼き続けたが、星街さんが来るまでに焼きそばを用意できなかったので尻に蹴りをもらうという悲しい結末となった。

 

余談だが背中にいたはずのビジューさんは他のホロメンとビーチバレーしていたし、帰る時にはまたツルハシになって気がつけば背中にへばり付いていた。

暇なのか分からないが定期的に脳内で語りかけてくるという気の休まらない状態が続いた。

結局吾輩がリタイアした為、カエラさんに無理矢理持って帰らせたのであった。




モブ
感情結晶体ツルハシを手に入れた▼
勝手に何処か行くし、気がつくと戻って来る。
カエラが持っていったはずだが、気が付くとモブの車の中にいた。ホラー。
ホロライブの中でも実力者と言っても良い立ち位置になった。最近ホロメンからの尊敬の念を受けてご満悦。

ビジュー
最後にモブを倒せば全てのスタッフさんをヴォコヴォコにしたことになる。しばらくはモブのストーカーをして弱点を探る予定。
ちなみにスタッフであるのどかにはゲーム勝負で勝っていたとか。

すいせい
賭けに勝ってご満悦。最近モブに斧乱舞が防がれる為鍛えているとかなんとか。彼女もどこを目指しているのか。

さくらみこ
最近自分がエリートのはずなのに色々強かったり多才だったりする人が増えてきて負けそうなことに怯えている。
近々すいせいの鍛錬に付き添って一緒に鍛えることを決意。

水宮
モブは基本的に相手から名前で呼んで良いよと言われるまで名前で呼ばないので、気づいたら自分だけ苗字呼びだったことに驚いた。
「これからすぅ様と呼ぶように!」

“水宮さんと呼びます”

「あれ????」


ホロ羅漢撃
モブが体得した憎しみ、恨み、妬み、嫉み、その全てを捨てられし者だけが極められる技。
相手が爆散しない。ただの百裂張り手ともいう。
ストリートなファイターにそろそろ出れそうな感じに仕上がってきている。
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