吾輩はホロライブのパーフェクトスタッフである   作:ジョ力

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うごご。また悲しい話を書かねばならぬ。書きたい小説がどんどんお別れ話で延期になってしまう。仕方ないけども.
今回は奴なので日曜日に投稿。


66 knd理解させられる

 

吾輩はパーフェクトスタッフである。

 

本日の仕事は後輩達の報告をまとめて過不足ないか、問題が起きてないか管理していく。人を使う立場というのは中々慣れないものである。本当なら自分でやってしまいたいが、しかしタレントも頑張っているので吾輩たちも精進するのみだ。

 

ガチャ

「モブさーん!!助けてくれぇ!!」

 

「モブさーん!!ヘルプー!!」

 

故にこのように助けを求めるタレント達の問題解消をするのも吾輩の仕事なのだ。最早見慣れたジャージ姿のスバルさんにスタジャン衣装のいろはさんが泣きついてきたので宥めつつ今日の難題は何かなと重い腰を上げるのであった。

 

「奏をなんとかしてくれぇ!!」

 

「最近更にクソガキ感が出て止まらないでござるよ!!」

 

吾輩の前で手をワタワタさせながら説明をしてくる二人の話を要約するに奏さんがあまりに自由奔放しているのをどうにかしてほしいとのこと。最近リスナーからも例えホロメンとて許せぬ!!と憤慨するほどに煽り散らかしているとかなんとか。吾輩も毎週煽られているのでよくわかる。

 

「アイツ人を煽らないと心が満たされない病気なんだとか言ってるんだ」

 

「もうスバル先輩でも抑えられないって言っててどうすれば!!」

 

泣きつく二人に吾輩は是非任せて欲しいと告げた。これでもそこそこの人生経験を積んできたのだ。この難問も解決してみせようと指を2本立ててVサインを作った。

 

「ほわあぁ!す、スゲェこれが大人の余裕?」

 

「やっぱりパーフェクトスタッフ!困ったらやっぱりモブさんなんだなぁ!」

 

2人の尊敬眼差しを受けていると唐突に肩に重みを感じた。何事かと視線を横にずらすと黄色い髪に人を小馬鹿にしたように邪悪な表情を貼り付けた今話題のクソガキこと奏さんが肩を組んできていた。

 

「やー!モブさんお元気ぃ?明日は何曜日か分かるぅ?月曜日!!日曜日でも働いてて偉い偉い!!お、つ、か、れ、さーま!!!」

 

「「か、奏ぇえええー!!?」」

 

それはもう鬱陶しい絡み方である。たまに配信で事務所に来ては煽りに来るのでこの程度のことでは吾輩の心は揺るがない。Vサインをしている指をもう1本立て、3本指を立てた手を奏さんに向けた。これが何を意味してるでしょーかと聞いてみた。

 

「す、凄い…表情一つ動かずに対応している!?」

 

「今頃リスナーだったらプッツンしちゃうかもしれないのに…」

 

「何この手。3…3日後とか?なんか記念日あったっけ?」

 

奏さんは少し考え込む素振りを見せたが、何のことやらと諦めて肩をすくめた。仏の顔も3度まで、つまり仏もカチキレなので容赦なく行くぞという意味です。そう吾輩は呟き、奏さんの額を鷲掴みにしてアイアンクロー。

 

「んぷ!?イダダダダ!?わ、割れるううううう!!」

 

「おわぁああ!!?最終的に暴力!?」

 

「力技ぁ!?奏ちゃんの足が浮いてる!凄い!!」

 

保護者二人の恐れ慄く声が聞こえるが今は無視。さて、奏さん何か言い残すことはあるだろうか?今ならこの程度で済ませるが。

 

「うぐああぁああ!!?こ、この…奏はホロライブだぞぉ!!たかだかスタッフのイビリに負けないだだだだ!!奏は皆を煽るんだぁああ!!」

 

何か宣っているがペシペシと勢いをつけて蹴りを入れてくる奏さんを見るにどうやらまだ反省しないらしい。もう少し吊るしておくとしよう。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「ぴぎぃ」

 

吾輩が更に数秒程奏さんを持ち上げた後、抵抗が止んだので解放するとドシャリと横たわり動かなくなった。定期的に煽りに来おってからに。吾輩がいつまでも何も言わずに流してるだけだと思っての事だろうが甘い甘い。カウントは始まっていたのだ。

 

「し、◯んだ?」

 

「あのVサインは仏の顔カウントだったんだ。そのラスト一回を風真達が誘発しちゃったのかな」

 

「いや遅かれ早かれじゃね?」

 

スバルさんといろはさんがどこか怯えるように話し合いをしているが、君達はまだ甘い。吾輩は数々のズル賢子ちゃんを見てきたのだ。今も力尽きたフリをして逃げるタイミングを伺っているのだ。

 

「「え?」」

 

吾輩が倒れ込んでいる奏さんに近づき一言呟くとビクリと身体を震わせた。しばらく覗き込むように顔をジッと眺めていると奏さんはパチリと目を開け、飛びかかってきたではないか。

 

「バレちゃあ仕方ねぇ!!喰らえー!!不意打ちチョーップ!!」

 

バシィッ!!と吾輩の首にめがけて中々勢いのあるチョップが直撃した。どうやらダンスレッスンやストレッチなどでしっかり体幹は鍛えられているのが伺える。なんだかんだ真面目な子なのでしっかりと必要な技術は取り入れているのが偉い。

 

「び、ビクともしない…だと!?そしてなんか知らんけど褒められてる!!」

 

「なんかすごい強者感。カッケェ!」

 

「……お?」

 

吾輩が思ったことを口にすると少し照れたように奏さんは頬をかいている。しかしながら最近あまりにもクソガキ感が強く出すぎていて大なり小なりクレームが多いのも事実。

そこまで言った瞬間に危険察知能力の高い奏さんは脱兎の如く後ろに走り出した。しかしもう遅い!脱出不可能よ!!

 

“ホローズブートキャンプを開催いたします!!”

 

「なんとぉ!?ってまたこれ痛い痛い痛い痛い!!」

 

「いやぁぁあ!!?」

 

吾輩は逃げる奏さんの頭上をまるで曲芸師のようにアクロバティックな回転を見せつけて飛び越えた。そして驚いて動けない逃走者をアイアンクローで捕縛した。何故かスバルさんの悲鳴が聞こえたがどうしたのだろうか。

 

「いや、なんか口から突然悲鳴が漏れ出た。トラウマかも」

 

少し顔色が悪くなったスバルさん。どうやらお腹が空いているのかもしれない可哀想に。

ちなみにホローズブートキャンプ開催理由は奏さんが人を煽るのは最早直せそうにない。

何故そんなに煽ってしまうのか、元気有り余っているからなのではないか、ならいっそ彼女の為になり且つ煽るだけの余裕を削ろう。と考えたのだ。

 

「その名前を出すなぁー!!うっ…どうして何度もカウントが増えていくんだ!終わったじゃん!!今あと1回って言ってたじゃん!!」

 

「虐待だー!!ママー!!助けてー!!」

 

「皆壊れちゃった」

 

ホロライブではよく見る光景である。いろはさんにそう呟くと確かにーと言って納得していた。彼女もここに入社してからそこそこの月日が経った。先輩と言える立場になり毒され、否。慣れて人が発狂した程度はいつもの事と流せるようになっていた。素晴らしい成長である。頭を抱えてうめき声をあげているスバルさんを尻目にいろはさんとアハハウフフと笑った。

 

「ック…笑ってるのに全然外れない!なんだこのパワー!?かなた先輩なの!?ゴリラー!!ゴリラ男ー!!」

 

さて、そろそろ連行せねばなるまい。万が一にも逃げられる状態ではないがずっとアイアンクローをしているのは疲れるのだ。

 

「なら離せよー!!」

 

出来ぬ。吾輩はまだまだ元気いっぱいな奏さんを持ち上げながらいつものダンスレッスン用のスタジオに向かうのであった。

 

 

 

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「おいいろは!なんでスバルも連れてきたぁ!?スバルも参加しなきゃいけなくなるだろぉ!?」

 

「いや、あのまま壊れたスバル先輩を置いていくのはどうなのかと思って連れてきただけでござるよ。別に見学でも」

 

「今日はぼたん先輩来ないんだあ。じゃあマシ…なのかなぁ」

 

何故かスタジオに一緒に連れてこられたスバルさんもいるが問題はない。本日ぼたんさんは配信があるので吾輩といろはさんがトレーナーとなります。

余談だが吾輩はぼたんさんからホローズブートキャンプの免許皆伝と認められている。問題なく皆様に負荷をかけることが出来るので安心して欲しい。

 

「おめでとー!!」

 

「ナルホドネ?ふーん。ぼたん余計なことを!!」

 

「ぶーぶー!帰らせろー!!」

 

称賛一人、ブーイング二人。しかしぼたんさんはスパルタだが、吾輩といろはさんは(比較的)優しいのでスバルさんのようなトラウマにはならないはずである。

 

「やっぱりスバルもやる流れじゃねーか!!」 

 

「スバルマッマ!!一緒に苦しもーね!!」

 

「うるせー!!とばっちりじゃねーかぁあ!!くそおおお!!」

 

「うーん今回も最後まで抵抗がありそうでござるなー」

 

あえんびえんだ。2人がレッスン着に着替えるために更衣室へカタツムリのようにノロノロと向かう姿をいろはさんと暖かい目で眺めた。

 

“というわけで準備運動から始めましょう。まず奏さん、柔軟体操からしますよ”

 

「やだぁ!!スバルマッマが代わりに頑張るから奏は帰るぅ!!モブさんの顔もう見たくない!!なんか笑顔が怖いもん!!」

 

「ふざけんな奏ぇええええ!!」

 

「いーや、逃がさないでござるよ~?」

 

なにやらキャンキャンと喚いているが、いろはさんがにゅるっと背後から奏さんの腕を掴み、強制的にストレッチさせようとしている。奏さんは抵抗しようとしているが、いろはさんの筋力は見た目以上に強いのだ。

先日ぼたんさんがいろはさんと模擬戦をして初めて膝をつかされたと笑っていたレベルなので最早常人では抗うなどとてもとても。貧弱だった握力もある程度克服したらしい。

 

「ちょ、なんでござる先輩こんな力強いの!?修行内容どうなってるの!?ホロぐら見返すぞ!!」

 

「ホロぐらはフィクションでござるよ?ほらーしっかり!!伸ばして!!」

 

「ぬわーー!!」

 

叫ぶ奏さんを横目に、吾輩は軽く首を回し、指をポキポキ鳴らす。別に威嚇のつもりはない。ただの準備運動である。とりあえずスバルさんにも柔軟体操をさせるかと思い見ると自分で準備体操をしていた。感心である。

 

「もう逃げれないなら…もう、ね。やるしか…ないよね」

 

そんな悲痛そうな顔をせんでも。

そう思わなくもないが覚悟に水をさすのも無粋だと考え何も言わないことにした。ではぼちぼちホローズブートキャンプ開始である。

 

「ふっ!!ふっ!!ふっ!!ック…なんで!!なんで奏が!!こんな!!こと!!しなきゃ!!ならないんだ!!」

 

「それ!!スバルの!!台詞だから!!」

 

「おー。なんだかんだペース落とさずについてこれてるの流石!偉い!!」

 

やはり二人とも真面目にトレーニングをこなしている。ダンスレッスンにて先生方が真面目で伸び代はあると言っていただけあって打てば響くようにトレーニングに励んでいる。ついでに文句も即座に飛んでくる。良きレスポンス。

 

「ぐぎぎ…ダンスレッスンが優しく感じる!!キッツ!!」

 

「全身が壊れるぅ!!今日はスタッフさん10人ぽっち煽っただけで…血も涙もねぇ!!」

 

「モブさんこの際プルスウルトラするしかないよ。無駄に元気な奏を削るにはちょうどいいんじゃねぇ?」

 

「ひぃぃ!スバル先輩も容赦無くなってきてる!!さっきまでこっち側だったのに!!」

 

どうやらスバルさんは(怒りで)回復したらしい。ホロメンの回復力はゾンビ並で素晴らしい。伸び代しかない。じゃあ更に詰め込めるね。

ということで追い込みメニューはシンプルだ。

 

「では本日のラスト。

① 全員でプランク30秒5セット

② シャトルラン(スタジオ40往復)

③ 煽り禁止ゲーム(失敗したら腕立て)

以上です!」

 

「③だけ異質なんだよ!!なんで煽り禁止ゲームとかあるんだよ!!?」

 

「奏が煽るからでござるよ?」

 

「ぐえぇ!」

 

いろはさんの一言で奏さんが地面に伸びた。もう疲れたのかって?まさか、ただの精神的ダメージである。じゃあ肉体はまだ動くね。そのまま肘で起き上がるのだ。 

 

「ほら奏、プランク!姿勢はこうだ。背筋を伸ばしてーー」 

 

「やだやだやだやだ!!奏は煽って生きていくの!!煽りが酸素なの!!」

 

「なら苦しいな。カナちゃんは今日から禁酸素だ」

 

「4ぬぅぅ!!?」

 

キャンキャン喚く声を聞き流しながらも四人でプランクを行う。スバルさんといろはさんが「はいはい頑張れー」と応援しているので奏さんも非常に意欲的にトレーニングに励んでいる。吾輩の真心の込めた応援でもこうはならない。流石はホロメンだ。

 

「モブさん奏は強制されてるんだよ!幻覚でも見てるのか!!パーフェクトアイなんて飾りだ!!現実を直視してない!!ついでにこんなに叫んでるのに聞こえないのは耳も悪い!!オジジー!!」

 

「じゃあ次シャトルランいくでござるよー。はよ立ってもろて。どーれーみー」

 

「うおおおお!!奏の足が震えてる!!」

 

「すばぅもそろそろ脚どころか尻まで痙攣してきたんだけど!?これ大丈夫なやつ!?」 

 

「ほら頑張れー!膝が内側に入ってるから気をつけてでござる!」

 

いろはさんの掛け声に合わせて全員でスタジオ内を駆けずり回る。二人の悲鳴が聞こえるが、彼女たちから流れる汗は努力の結晶である。吾輩が見た限り二人とも限界だと言っているが肉体強度的にまだ余力を残しているようだ。どうしても精神的に限界ならこよりん印のいにしえの秘薬をあげるので頑張ってほしい。いろいろ回復する筈だ。

 

「だぁーー!!モブさぁん!!サポート雑ゥ!!」

 

雑ではない。必要最低限だけである。ちなみにパーフェクトアイによるとまだその時ではなさそうだ。

 

「どーれーみーふぁーそーらーしーどー!」

 

「ぎゃああああ!!無理ぃィ!!」

 

「奏!徒歩で毎日1時間以上登校できる子がシャトルランで悲鳴あげない!!」

 

「それとこれとは違うんですー!!!というかシャトルランの前に沢山運動したもん!!」

 

シャトルランが終わった頃には、奏さんは床にうつ伏せになって動けなくなっていた。レッスン着が汗でビッショリである。とりあえずタオルを置いておく。

 

「……しんだ?」

 

「ラスト10回目くらいで魂出かけてたでござるからな…」

 

しかし吾輩は知っている。

吾輩のパーフェクトアイで最後ワザと手を抜いていたのを確認している。時間切れのタイミングで呼吸を整えてから倒れていた。

前に強制的に参加させた時より姑息なマネをするようになったようだ。ずる賢い事を考える余力を残している成長を喜ぶべきだろうか。

 

“…そろそろ起きられるでしょう奏さん?” 

 

「っ!?バレた!!」

 

勢いよく飛び起きて逃げようとした瞬間、吾輩の手がそっと肩を押さえた。 

 

“腕立て伏せ。しようか。さっき吾輩のパーフェクトアイを煽り散らかしているのでね”

 

「ぎゃああああああ!!!モブさーーーん!!もう煽らないから!!今日はもう煽らないからあ!!」

 

「今日だけじゃダメに決まってるだろ」

 

「シレッと減刑を求めてるでござるよ。ほらさっさと腕立て伏せしろー」 

 

泣き叫ぶ奏さんを先導しながら、吾輩たちはスタジオの入り口へ向かい逃げられないように塞いだ。

 

「では、スタート!」 

 

「やーーーーーー!!!」

 

本日も実に良き運動をした。スバルさんは座り込んで虚ろな目でスポーツ飲料を飲んでいるが、いろはさんは満足そうな表情である。奏さんは泣きながら腕立てを実行している。奏さんもこれで暫くは懲りただろう。タレントの悩みを解決し実に充実した1日である。

3人で奏さんの涙で海が生み出されそうなスタジオにて悲鳴を聞きつつ、今日の夕飯は何食べようかと考えるのであった。




モブ
確実にパーフェクトボディに近づいていると確信している。既にアルティメットボディなので気の所為。
最近ホローズブートキャンプに参加者が増えているのは嬉しいがその分だけ出費が増えているのが悩み。
今回の夕飯は奏さんに合わせてしゃぶしゃぶ。アメとムチ


数日煽りは鳴りを潜めたが、すぐにもとに戻り配信にてホローズブートキャンプでイジメられたと喚いた。心が煽り倒したがっているらしい。煽の呼吸。
嫌いな物にホローズブートキャンプが入ったのだが、急激な成長によりダンスレッスンが思ったより負荷にならないことに気づく。番長と共にホローズブートキャンプへ向かう日が来るかもしれない。

いろは
最早その力人知を超えし者。ホローズブートキャンプに来る人が多いとニッコリ。ゲストがいると夕飯代が浮くので。

スバル
とばっちり。でも身体能力の底上げ効果はあり少しダンスレッスンに余裕ができる。でもまたホローズブートキャンプに参加したい意欲は沸かない。トラウマ克服できたからもう良いのだ。

こよりん印の古の秘薬
飲むと体力とスタミナが全回復する。最大値も一時的に伸びるとか何とか。身体に悪いかは不明だ。
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