吾輩はホロライブのパーフェクトスタッフである   作:ジョ力

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何度も書き直して書き直してようやく完成。やや満足の出来。
ぐらちゃんカワイイヤッター
私ibも大好きでした。

UA50000達成ですってよ皆さん。いつも見てくださって感謝!!


19 サメの芸術力 ※クロスオーバーあり

 

 

 

吾輩はパーフェクトスタッフである。

 

本日もお天気が良く素敵な太陽様が暴君のように君臨している。これは日本でも海外でも逃げられない熱のようだ。

これなら洗濯物もすぐ乾くだろうと家主イナニスさんの服をシワがつかないように干している昼下がり。長閑な景色を引き裂くように来客のチャイムが鳴った。しかも連打で。

 

『うるさっ。モブさん出てー!』

 

家主にそう言われてはと断れるわけもない。一体何事かとドアを開けると視界には何もいない。視線を下に向けるとサメのようなパーカーのフードが見えた。非常に見覚えのあるサメサメした衣装である。

 

『……?』

 

家主のイナニスさんが出ず、吾輩が出てきたことに驚いてるのか目をパチクリさせている来訪者。今日来訪する予定だったとイナニスさんは言ってなかった筈だが。

 

『アー!モブしゃーんおひさしぶりー!そういえばイナの家に捕まってるって言ってたね!!』

 

“お久し振りです。お元気そうで何より”

 

ぐらさんは偶に日本に来ており、吾輩が事務所内を案内したことがあるため面識がある。海外勢にはイナニスさんが通達をしていてくれたようで話が早くて助かる。捕獲動物の扱いなのが悲しいところである。

 

『元気じゃない。暑くてフカヒレになりそう』

 

なんとも笑えないジョークである。このまま干物になられても困るのでとりあえずイナニスさんのいる居間まで案内するとしよう。

 

『やっほー!ってイナはなんで力尽きてるの?』

 

イナニスさんはスマホを胸に置きながら手を組んでミイラスタイルになっていた。今日はピックアップガチャだとかなんとか言っていたので大方ガチャで爆死でもしたのだろう。

 

『( ˘ω˘)』

 

「わー…ガチャは悪い文明!!はっきりわかんだね!」

 

ぐらさんはピクリとも動かなくなったイナニスさんを突っつきながら妙な日本語を発した。どこで覚えたのその言葉。

 

「ネットの海!」

 

素晴らしいドヤ顔をしているが、覚えなくていい言葉まで覚えてしまっているのが悲しいところだ。覚えるのが速いから訂正する暇がないというか、訂正しない方が面白いというかという板挟み。ままならない物である。

 

『まぁイナが駄目ならモブさんに頼みたいことがあります!』

 

“頼みたいこと?”

 

『これ一緒に見に行こう!!』

 

ぐらさんがポケットからシワシワになったポスターを見せてきた。どれどれ…ゲルテナ展?

 

 

 

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『そこでアメが私にこう言ったわ!サメには芸術は分からない。出来ても海に赤いインクを撒き散らすくらいだって!!許せない!!見れば良いものかってくらい私にもわかる!!』

 

ぷんすこ怒るぐらさんの話を要約すると、アメリアさんに揶揄われたのが腹に立って一夜漬けに近しい知識を身に着けようとしているといった所である。何故か吾輩の脳内でクヘヘヘと独特な悪どい笑いをしているアメリアさんが浮かんできた。

 

『ところでモブさんはゲルテナって人知ってる?』

 

“名前だけなら知ってますね。確か絵画やらオブジェやら作っていた方だと思いましたが”

 

『ほー』

 

詳しいことは分からないが、凄い芸術家だったという知識しかない旨を伝えるとぐらさんは興味が無さそうに返事してきた。もう飽きたとか言うまいな?

 

 

 

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『うーん。入場料はそこそこ…これなら良いランチが食べれたわ』

 

無事展示会場に入った吾輩達だったが入場料の高さにネチネチ文句を漏らす様は実に不満そうである。まぁ食い気のあるぐらさんらしいが吾輩からするとポスターに書いてある「一度チケット購入すると永遠に入館が可能」という文章が気になる。

 

『まぁいいわ。えーと?二階もあるのか…この私を唸らせる作品があるのかな!!』

 

受付で渡されたパンフレットを眺めるぐらさんはどこから目線なのか分からない言葉を紡ぎ始めた。まぁ放っておいても良いだろう。

 

『お、なにこれ凄く大きい。えーと…深海の…世?海…ヒェエ』

 

かなり迫力のある絵が地面に描かれている。こちらが真っ暗闇の海底を覗き込んでいるかのような実に不気味な作品だ。隣でぐらさんがshaaaaark!!!!と威嚇をしている。でも少し腰が引けていた事は内緒。

 

『ん?これは…悪意なき地獄?んー赤い親と青い子供とピアノ…?なんかストーリー性を感じる。毒親とか!!』

 

作者であるゲルテナが何を思い描いたのか。たしかにストーリー性をこの1枚から感じられる。でもぐらさんあまり大きい声出さないようにね。周りに迷惑になるから。

ほら、近くを通った紫髪のお兄さんは微笑ましそうに見ているけどこちらを訝しむ目もあるのだ。

 

『おっと失礼。ンン!じゃ次見に行こう』

 

 

 

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ぐらさんと感想を言いながら展示品を一通り見て回り

 

『うーん。芸術っていうのは表現力と何かを訴えかけてくるような物なのかもしれない』

 

両手で頭を揉み唸りながら本日の学びの結果を出そうとしているぐらさんが居られました。

どうやら最初に言った唸らせる作品ではあった様子。

 

『あ、トイレ。モブさんちょっと待ってて先に行ってたら噛むからね!!』

 

トテテテとトイレに走っていくぐらさん。あのギザ歯で噛まれるのは困るので吾輩は壁に背を預け、見てきた作品達の考察をするために少し目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチョン!!

 

『わぁあああ!!?』

 

 

 

考察を脳内でしていると悲鳴が聞こえてきた。なんだ騒々しい。

吾輩が驚いて目を開けると電気がついてないのか館内が随分と暗くなっているではないか。

見えないわけではないが、シルエットがボンヤリと見える程度のものである。

 

何かイベントでもあったのかとパンフレットを取り出そうと腕を動かした瞬間ガブリと音がした。

視線を下にするとぐらさんが吾輩の腕噛みついてきているではないか。イタァイ!!

 

『いきなり電気消すなんてイタズラはどうかと思う!!』

 

ガジガジと吾輩の腕に噛み付きながら器用に話すぐらさん。冤罪である。なにかのイベントではないか?としっかり5分ほど説得を続けようやく人噛鮫を引き剥がせた。見事な歯型が腕に残ってしまった。

 

『トイレの中まで!?過激すぎるー!!』

 

ムンクの叫びみたいな顔をしているサメ様を宥めつつ、周囲を確認すると人っ子一人いない。物音すらもしないということはあるのだろうか。

まるで何か良くないことが起こっている時のような不気味な静けさである。

 

『a!』

 

さっきまでぐにゃあぁしていたサメの鳴き声が聞こえた。どうかしたのだろうか。

 

『見てモブさんのポケットに茶色のバラが刺さってる』

 

吾輩のポケットからバラを引っ張り出すぐらさん。たしかに「茶色い薔薇」だ。いつからこんな物が入っていたのだろうと思ったが、よく見るとぐらさんのパーカーフードにも「白い薔薇」が引っ付いているじゃないか。

 

『え?どこどこ?』

 

手を伸ばして探そうとしているが折角の形が良いフードがグシャグシャになってしまっている。まぁ待ちたまえ取ってあげよう。

 

『オーキレイ!!でも手触りから本物っぽい。造花ではなさそう』

 

吾輩の薔薇もちゃんと薔薇の香りがしていることから本物のようだ。あるんだね茶色い薔薇。

 

『これがまさかイベント?』

 

“こんな怪しいイベントはパンフレットに書いてあったでしょうか?”

 

『うーん。例えば同じ色の薔薇を持った人を探すとか?他の人の薔薇を奪い取るとか?』

 

奪い合いはノーセンキューである。野蛮極まりない。そんなNARU◯Oの中忍試験の天の書地の書集めろみたいな話はイベントとしてどうなのだろうか。

 

『楽しそうだけど…とりあえずもう一度会場に行ってみよう?』

 

このまま釈然としないままでいるよりはマシだろうか。どこからか取り出したトライデントを握りしめ歩き始めるぐらさん。もし警備員とかいたら職質されてしまうのだろうか。

 

『ん?この道にこんな人形あったっけ』

 

地面に落ちている不気味な青い落書きのような姿をした人形を拾ってくるぐらさん。元のあった場所に返してきなさい。なんかずっと視線を感じるようで気分がよろしくない。

 

『そう?じゃあね人形さん』

 

もしかして気に入ってるのだろうか。置いた人形に少し名残惜しそうに手を振ってるサメ様。気のせいか最期人形が手を振っていたように見えたのは暗がりで吾輩の弱い心が見せた幻覚なのだろう。

 

『人いないね』

 

暗がりを二人でのそのそと歩いていると、ぽそりと呟く声が聞こえた。うーむ。これはやはり面倒事に巻き込まれたパターンかも知れない。

 

『あ、見て床に文字が書いてる』

 

“ふむ?…お…いでよイヴ…ですかね”

 

『誰?』

 

誰かの名前が書かれてるところを見ると、吾輩たちは巻き込まれた可能性があるだろう。これは誰かが解決するのを待つしかないか…

 

『私達が解決するか!!』

 

トライデントを掲げ何かを宣うサメ様。…達だと?吾輩はなにもせんぞ。そんな視線をぐらさんに向けていたらトライデントでチクチク突っついてきた。やめろ暴力には屈しないぞ!!

 

『モブさん!これはもう私達が解決しなければ出れないと思ったほうが良いよ!』

 

却下である。例え軽やかにトライデントを振り回して元気アピールされても危険がある以上却下である。

 

『ねぇ地下があるよ!これもさっきまでなかったよね!!』

 

吾輩の話はどうやら突撃鮫には聞こえないようだ。待ちなさい待ちなさい。いくら吾輩より強いといえど怪我されたら事である。吾輩が先導しよう。

しばらく階段を下っているとかなり広い部屋に出たではないか。

 

『おー勿論ここも薄暗いよね』

 

“ですね。ここにも展示品がありますね。しかも奥に更に階段が見えるようで”

 

『プロローグからエピローグまで…?ストーリーがあるような絵があるよ!なんで上にはなかったんだろう』

 

何故だろうね。そもそもさっきまで無かった道にこれ程の量の作品があるということは見つかってない作品達だったのか、それとも展示されてないだけなのかは定かではないが。

 

『なるほど。んー…階段の下も全部作品っぽい。よし折角だから全部見ていこう!もしモブさんの話が本当ならまだ見つかってない絵を私達が一番に見れるのかも!!』

 

現状解決策が無い以上留まるか進むかの2択となる。展示品を眺めていくだけなら吾輩としても楽しい限りだが、怪しさ満点の中に飛び込むのは危険が危ないというところである。

 

『おー…お?ほほー…』

 

考え事をしているとドンドン突撃鮫が先に進んでしまっているので追いかける。どーしてこんなにも危ない可能性があるのに突き進めるのか。これも若さか。

吾輩の声を全く聞き入れない鮫様にため息を付きながらついていくことになったのは逃げられない定めだったからかもしれない。

 

 

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『見て見てかくれんぼの絵だって!!下にボタンあるよ!!』ポチー

 

“こらこら何でもすぐに触るんじゃありません”

 

吾輩の制止をするもぐらさんがスイッチを押すとカーテンが開き美しい肌色が見えた。

よく見ると女性の裸体の絵が目の前にドアップで映されたではないか。

 

キャーー!!パァン!!

 

“うごぁ!!?”

 

急に絵から張り手が飛んできて、吾輩はバラの花びらが散るかのように女の子座りで崩れ落ちた。イタァイ!!

 

『も、モブさん見た?あの絵…乳がデカい女の人だったよ。多分アメと同じかそれくらい!!』

 

コラ!!と叫んだが、もう一度見ようとしたぐらさんがスイッチを押してしまった。

飛んできたのはグーだったと記しておこう。とてもイタァイ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“前が見えねぇ”

 

『ご、ごめん。まさか拳が出てくるとは思わなかったの』

 

随分と吾輩の顔の彫りが深くなったとため息を付きながらぐらさんの謝罪に気にするなと返しておく。眼福ではあったのでプラマイゼロである。

 

『流石噂の耐久力…。顔面に拳が突き刺さったのに眼福と言えるなんて…尊敬した!!…ん?』

 

お目々キラキラさせながら吾輩の周りを駆け回るぐらさんが急にある作品を前に立ち止まった。

タイトル《メアリー》

黄色い髪の少女が深い緑色のワンピースを着た少女の絵だ。

 

『綺麗な絵…そうだこういうのって写真撮ったら不味いのかな?』

 

“展示品は写真撮るのはマナー違反のことが多いですが…どうなんでしょうね?”

 

『パシャー』

 

スマホでパシャリと写真を撮るぐらさん。だから吾輩の話を聞いてから動こうね。どうするんですか急に襲いかかってきたら。

 

『特にそんなこともなく…見て見て綺麗に撮れたわ。アメにも見せてあげましょう!』

 

特に警備員がいるわけでもなく何らかの注意書きも無いから問題ないだろう。そもそもここに法があるのか怪しい。

 

ガシャン

 

ほら見たことか。目の前でメアリーの絵が砕け散ったではないか。

 

『おぁー!!?も、モブさん割れた!!絵が!!砕け散った!!』

 

まぁそうゆうこともあるよね。慌てるまでもない。世の中なにがあるかわからないのだ。ぐらさんは破片を集めて直そうとしているが、吾輩達がなにかしたわけでもないのでビックリイベントとかなのだろう。

 

『えー…ってモブさん後ろー!!』

 

“後ろ?”

 

ぐらさんが慌てた様子で指差してくるので、振り向くと見覚えのあるタコ足が吾輩にアツい抱擁をしてくれた。ぬちゃぬちゃな肌触りを堪能していると頭に凄まじい衝撃が走り何かを突き破る音がした。

 

『っ!!?』

 

『わーー!!?なに!?なんなの!!』

 

『も、モブさーん!!』

 

なんだ騒々しいと訝しみながら目を開けるとそこにはお外の景色である。雲一つ無い素晴らしい天気だ。体を動かそうとするも腕が動かず足は多少動くといった所だろうか。先程ぐらさんの呼ぶ声が聞こえたので助けを乞いてみた。ヘルプミー

 

『今助けるよー!ふぬー!!』

 

足が引っ張られる感覚がある。やはり吾輩は助けられないと動けない状況らしい。身体を確認しようと視線を下に向けると胸のあたりから下がレンガ調の壁に埋まっている。

 

『ぜーんぜん抜けない!!警備員さーん!!』

 

『オーマイガー!どうしたらこんな壁尻が出来上がるんだ!!』

 

『おいおいこれも展示品みたいになってるじゃねぇか』

 

壁尻!?今の吾輩はそんな屈辱的な格好してるのか!!

は、早く助けてくれー!!

 

『おいこら暴れるな!!』

 

『皆で引っ張るから暴れないで!!』

 

『ギャリー助けてあげよう?』

 

『え、ええそうね。でもこの人は突然現れて吹っ飛んだように見えたけど…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後無事に吾輩は助け出され、壁の修理が必要かと思ったが、誰かが置き忘れた“不思議な人形”に躓いて転んだのが原因とされ許されたのであった。

ぐらさんは先程入手していたのか、燃えカスのような破片の山を吾輩に渡し、アメリアさんに感想を語ってくると言い台風の様に去っていった。

いやこの破片はどうするのか。…仕方ない復元でもしてみるとしよう。

 




モブ
茶色いバラをゲットした人。花言葉はミステリアスらしい。
ミステリアスというかなんというか。
触手にネトネトされ壁尻になったりした。まだまだまだ受難は続く。かといって本筋になにか影響があるわけでもない。
最後に渡された破片の山はぐらさんの写真を見ながら復旧を果たしたとかなんとか。それから付近で金髪に緑のワンピース着た少女が夢に出てくるとかなんとか。

イナニス
爆死して力尽きた。起きたらモブが居なかったのでご飯の危機!!となって慌てたが冷蔵庫の中に作り置きがあってホッとした。触手は自動でついてった。異世界への移動も余裕で有能?

ぐら
白い薔薇をゲットした。花言葉は純潔…はさておき純粋や深い尊敬。
その後アメリアのもとに行き写真を見せつけ芸術がなんたるかを語った。鼻で笑われた。キレた。

赤い少女
エンディングは再開の約束。青い青年との記憶はある。
再開して青年と話ししながら家族に合流しようとしたら壁尻おじさん登場。ホラー、壁尻と1日の話として重すぎて若くして胃もたれする。

青い青年
少女との記憶保持。思い…だした!!
でも壁尻オジサンは知らない。
普通に胃もたれした。

一度購入すると永遠(実質的)に入館が可能
製品版が発売されたときにkouri氏の言葉。センス感じる。
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