吾輩はホロライブのパーフェクトスタッフである   作:ジ・ョ力

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熱くなってきましたね。地獄。皆さんも熱中症に気をつけましょう。
最近リズム天国のバックダンサーで死ぬほど笑ってる。
あれ好き



78 ラオーラは見ている

 

吾輩はパーフェクトスタッフである。

 

今吾輩は檻の中にいるの。

何故こうなったか説明しよう。

 

 

 

 

 

今日の業務は珍しく午前中で完結しており、ゆっくり休める昼時と思っていた。極稀の機会故になにか自炊するかと事務所の冷蔵庫の食材を眺めたのだ。パスタが見えたので昼ご飯はキミに決めた。更にケチャップの賞味期限も近いしナポリタンで良いだろう。

この時の選択は間違いではなかったはずなのだ。

 

『モブさん…なにしてるの?』

 

吾輩がパスタを茹でている間にピーマンとタマネギに火をかけ、ケチャップをダバダバと投入していると急に真後ろから地鳴りのように低い声が聞こえてきたではないか。思わず悲鳴が出そうになるのを堪え振り向くと。

 

『こんにちはモブさん。…なにしてるの?』

 

ピンク色の髪に白いメッシュ。快活そうな猫科風の瞳とパンサー耳。Justiceのラオーラ・パンテーラさんではあるまいか。

吾輩が挨拶するも、もう一度先程と同じような低い声で話しかけてきた。料理と言いたいが、凄まじい圧で吾輩の手元のフライパンを睨みつけているので言い淀んでしまった。

 

『犯罪なので逮捕。連行します』

 

“What!?”

 

ガシャーン

 

なんということでしょう。吾輩が作った檻に吾輩がぶち込まれる事になるとは夢にも思わなかった。

ナポリタンは連行される前に抵抗し作りきった。皿に盛って来ることができたので熱々のうちに食べたいところだ。

 

『まったく。ワタシの前でナポリタンを見せつけるように作るなんて命知らずとしか言いようがないわ』

 

檻の前で腕を組みながらぷりぷり怒るラオーラさんを眺めているとそんな台詞が聞こえてきた。急に現れて強制連行とはとんでもない強権である。

しまった。ナポリタンを食べる為のカトラリーを用意するのを忘れていた。何かないかと檻の中を見回していると部屋の隅にフォークが落ちていた。何故かは分からないがありがたく使わせていただこう。

 

『まぁここでワタシのパスタ講座を受けて…ってなんか食べてる!?』

 

モッモッと口にナポリタンを放り込んでいるとラオーラさんが叫んでいる。食べたいのだろうか。ガシャガシャとどこかの青い鬼のように檻を掴んで揺らしているのでナポリタンの皿を近づけてみる。

 

『シャッ!』

 

ラオーラさんの右手につけられている鋭い爪のようなもので顔を引っ掻かれてしまった。パンサーは凶暴である。こちら威嚇するようにグルルと喉を鳴らしている彼女から逃れるように檻の隅に移動し、顔を擦りながらナポリタンの残りを食べきったのであった。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

ナポリタンを食べきった吾輩。まだ檻から出してもらえないの。ラオーラさんは檻の前に座りスマホを弄っている。不当逮捕だと叫んでみても反応は無かった。

仕方なしに檻内を見ているとおかゆさんが脱走した際の勝ちと書かれた壁紙が少し凹んでいることに気づいた。捲ってみるとあら不思議。人一人分通れそうな穴が空いてるではありませんか。どうやらさっきのフォークで掘っていたようだ。穴の奥は隣の部屋につながっており、思い出すと倉庫にしている部屋だった。

 

何故吾輩がこんな脱走みたいなことをせねばならないんだとぼやきつつ、穴を通ろうとするも肩幅がキツくて苦戦中である。もたもたと苦戦していると下からニュッとビジューさんが現れた。吾輩の格好を見て不思議そうに首を傾げてから

 

『ツルハシになろうか?』

 

ビジューさんは妙に目を輝かせているが、それより引っ張ってもらった方が助かるのだ。肩が挟まってぴょこぴょこ跳ねるようにしか動くことしかできない。

 

『エッチなやつ?』

 

“馬鹿なことを言ってないで早く引っ張ってもらえると”

 

やーんと頬を両手に当て身体をくねらせているビジューさんに、はよ助けろと言う思いを込めながらジト目で睨んだ。

 

『はーいなんでモブさんが捕まったの?』

 

“それは吾輩にもわからん”

 

ビジューさんに頭を鷲掴みにされ、引っ張ってもらい無事脱出できた。娑婆の空気は最高だ。それはさておき、穴は塞いでおこう。角材で穴を塞ごうとすると琥珀色のような瞳が穴の中からこちらを見ていた。気のせいかラオーラさんに似ている。

 

『はーいモブさん』

 

実に不思議である。声もラオーラさんに似ている。

チラと助けを求めるようにビジューさんに目を向けるがダッシュで逃走していくのが見えた。薄情者め。

 

『こっち見なさい』

 

吾輩はこちらを睨みつけているラオーラさんを無視して穴を塞ぎ始めた。トンテンカントンテンカン。しまっちゃおうねー。

 

『コラー!!逃げるなー卑怯者ー…』

 

カンカンカンと釘を打ち付け穴を塞いでいると。ラオーラさんの声は小さくなっていった。完全に穴は塞げた。これで悪いことしたホロメンは逃げれないだろう。

 

『アナタも逃げられると思わないことね!』

 

バーンと大きな音を立てて部屋の扉が開けられた。さすがに隣の部屋から走ってくるだけならこの速さで追いつかれるだろう。しかし何故脱獄がバレたのか。

 

『いやいや、バカにしすぎでしょ。そんな広くないんだから覗き込めば見えるし、ビジューと話してたの聞こえてるから。自分も脱獄して更に脱獄手伝いまでするなんて…やっぱりビジューは逮捕しなきゃ』

 

耳をピコピコと動かしながらジト目で睨んでくるラオーラさんは何か画策し始めていたので降参のポーズをした。パーフェクトスタッフは諦める時は諦めるのだ。

しばらくそのポーズをしているとラオーラさんはため息をついた。

 

『まぁ許します』

 

許された!最初から寛容に許してくれればよかったのにと呟くと、ラオーラさんは非常にニッコリとした笑みで吾輩の手を掴んできた。何事だろうか。

 

『立場分からせ投げー!!』

 

そのまま吾輩の腕を巻き込むように背負うと吾輩の視界は一回転した。地面に叩きつけられた際に咄嗟に受け身をとったが、美しい背負い投げであった。それはもう感動したので寝技に移行し確実にポイントを取ろうとしてくるピンクなパンサーにタップして許しを請うた。

 

『まったくまったく。これだからパスタにケチャップをダバダバ入れる人はまったく!』

 

ぷりぷり怒るラオーラさん。存在を否定まではしないが好みには合わない的な事を言っていたのに過激なことである。美味しいものは美味しい。それで良いではないか。

 

『(ジロリ)モブさんにはこのラオーラ・パンテーラの誇りにかけて美味しいパスタを食べさせてあげるわ!!』

 

“お腹いっぱいです”

 

『黙りなさい』

 

“はい”

 

吾輩の心を読んだかのように睨みつけてきたラオーラさんは、何故か吾輩にパスタを作ってくれるらしい。拒否権はないようだったので流れに身を任せることにした。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

そんなこんなでキッチンスタジオに正座させられている吾輩とビジューさん。しれっと廊下を歩いていたビジューさんはそのままラオーラさんに連行されてきた。捕まっても逃げようとした彼女は猛獣を入れておく檻のような物に押し込まれていた。

 

「モブさん、助けてー」

 

出来ぬ。檻の中で行儀よく正座してるビジューさんはガチャガチャと檻を揺らして暴れている。そんなビジューさんから目を離しラオーラさんに目線を向けると気分良さげに鼻唄を歌いパスタを茹でていた。尻尾も鼻唄に合わせて揺れているのでこのまま穏やかに終わってほしいところだ。

 

「ねーねーモブさん、知ってるー?パスタ、芯が無くなる、茹でると良い、らしよー?」

 

それ地雷ではなかったか?ニヤニヤと悪い顔で嗤うビジューさんに吾輩は顔を引きつらせる、チラとラオーラさんの方を見るとパスタを茹でていた火を止めていた。鼻歌も止まっていて尻尾もピンと立っていて超怖い。いや聞こえてなかった可能性もある。

 

『はい◯します』

 

ゆっくりと振り向いたラオーラさんはなんとか笑う顔を作っていたが青筋がたっており、口も引き攣っている。おいおい終わったわビジューと吾輩は彼女の来世を願った。

 

『シャア!!』

 

「アーウ!?」

 

ラオーラさんが残像を残すような速さでビジューさんに近付くとドスドスドスと指の爪を突き刺していた。胸に7つの傷をつけられたビジューさんは妙な声を上げて檻の中で崩れ落ちた。恐ろしいけど少し羨ましいと思ってしまった。

 

『やはり悪は滅びるべきよ』

 

胸に7つの傷をつけた人も悪人でしたけどね。とは言わないが、吾輩は無駄な抵抗はしないようにしよう。正座をして料理ができるのを待つのであった。

 

『さぁ完成よ!!食べなさい。これが本来のパスタというものなのです!』

 

正座し続けている吾輩に渡されたのはペペロンチーノであった。イタリアでは『絶望のパスタ』とも呼ばれるほど、手軽で美味いパスタである。一口食べると、にんにくと唐辛子の心地よい刺激とオリーブオイルのコクが口いっぱいに広がる。美味い!でもナポリタンでお腹いっぱいだ。

 

『そうでしょうそうでしょうとも!』

 

「モブさーん、ビジューもー!あー…」

 

檻から顔を出して口を開けて待っているビジューさん。早くも回復したらしい。フォークでくるくると一口分パスタを巻いてビジューさんの口に運ぶ。

 

「んむんむ。からから…オイシー!」

 

『そうだよね!そうなのよ!美味しいの!!物事にはちゃんと理由があるのよ』

 

目からビーム出てるのではと思えるほどキラキラした瞳でラオーラさんを見るビジューさんにまたパスタを運んで口に運ぶ。ラオーラさんは鼻高々と言わんばかりに胸を張り喜んでいた。このままビジューさんにペペロンチーノを完食させようと思い雛鳥に餌やりをするように食べさせ続けた。

 

「うまあじ」

 

『ところでモブさんさっきからビジューに食べさせてばかりじゃない?』

 

ビジューさんに食べさせ続けていると、いつのまにか隣に座っていたラオーラさんがじっと吾輩を見ていた。何処か責めるような視線である。

 

『ナポリタンでお腹いっぱいで私のペペロンチーノが食べれないってことはないわよね?』

 

爪を近づけてくるラオーラさんに目線を逸らす。パワハラにならないのかこれは!!実際結構お腹いっぱいである。

何か良い言い訳はないだろうかと思うと流石パーフェクトスタッフである吾輩。咄嗟の機転で美しい言い訳が思いついた。

 

「このあと人に会うのでニンニクはちょっと」 

 

『ブレスケアあるわよ』

 

あ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後お腹いっぱいと言いながらビジューさんは寝転んでしまったので、最後は吾輩が全部食べきったのだった。美味しかったが苦しい戦いだった。ラオーラさんはずっと吾輩を見張り続けていたので緊張感が尋常ではなく、食べてるだけで疲れ果ててしまうのであった。




モブ
パスタは簡単に作れるので好き。一番好きなパスタはミートパスタ。パスタは折らない。今回人生で初めての自作の牢屋送りを味わった。

ラオーラ
いつもの。あまり食べ物関連で弄りすぎると彼女の怒りに触れ大火傷では済まない。冷たい牢獄に放り込まれるかもしれない。

ビジュー
契約(強制)してるのでモブの元にワープできる。脱獄確定!ラオーラは怒った。

どこかの猫
あれ!?檻の穴がなくなってる!?くそぉーモブさん気づいたかぁ。また掘らなきゃ(使命感)
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