吾輩はホロライブのパーフェクトスタッフである   作:ジョ力

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書きたい話がたくさんあるよ!
それはそうとついに30件も評価がついた!読んで感想くれる人がいるだけで嬉しいのに評価も増えるなんてニチャァァァと笑いが出てしまうよ。
日々読者の皆様とホロメンに感謝しながら生きております。


55 いやぁあ!!ゾンビよー!!

 

吾輩はパーフェクトスタッフである。

 

本日の仕事はゾンビアイドルことクレイジー・オリーさんの提出物確認と機材の設定と受け渡しである。設定に多少時間が掛かることが予想されるため、今日雑談で時間を潰す為の会話デッキも用意してある。彼女とは前に日本に来た際に話しし、気安く喋れる仲なので何とでもなるだろう。

 

「ね゛え゛え゛ぇ゛!!なーんでシオンが掃除機かけなきゃいけないのぉ!!?足痛いって言ってんじゃーん」

 

そう文句を言いながらも事務所内に掃除機をかけているのはシオンさんだ。今日もインドネシア観光に行くのかと思ったが連日の長時間観光で足が疲れたとか言っていた。ホテルで寝てれば良いものを「それはなんか勿体ない」と言い、態々事務所のソファーで足痛い足痛い暇だと宣い続けたので掃除機を渡したのだ。

 

「んもー⋯」

 

吾輩が頑張れーと適当に応援するとぶーたれながらも室内の隅々まで掃除機をかけている。事務所が綺麗なのは良いことだ。これはオリーさんも来たらニッコリだろう。

そろそろ予定していた時刻なため窓から外を眺める。

 

ガシャーン!!

 

突如甲高い破砕音とともに窓ガラスが割れ、血色の悪い真っ白な手が出てきたではないか。その手は吾輩に掴みかかろうとしてきたので思わず払い除けたが、咄嗟に体勢が崩れて転んでしまった。

 

「ゾン!!にち!!ヴァー!!」

 

“いやぁあ!!ゾンビよー!!”

 

「あぁああー!!!折角綺麗にしたのになーにしてくれちゃってんだー!!!」

 

当にあえんびえんである。吾輩も思わず女の子座りで倒れ込んで悲鳴をあげてしまう程には衝撃的な出来事であった。せっかく綺麗にした事務所はそれはもう見る影もなく散らかってしまった。責めるような目で卑劣なゾンビを睨みつけると上半身だけ窓から突き出たクレイジーなオリーさんはジタバタしながらケタケタ笑っていた。シオンさんは掃除機を振り上げオリーさんに叩きつけた。物は乱暴に扱わないでほしいものだ。

 

「ぐえー」

 

「おら掃除しろオマエー!!」

 

「あ、はい」

 

オリーさんの手にサッと掃除機を渡したシオンさんはプンスコ怒りながらソファーに横たわった。不貞寝するようだ。

オリーさんは「やりすぎたか」と呟きながらガラスの破片を集めている。吾輩はガラスの破片を包む為にチラシをオリーさんに渡した。

 

“クレイジーさんこれに包んでください”

 

「クレイジーさん!?も、モブさん前はオリーって呼んでくれてた気がしたんだけど!?」

 

“吾輩は窓の発注をしてくるのでクレイジーさんはガムテープとかで穴塞いどいてください”

 

「お゛ぉ゛⋯なんか凄い距離感を感じる!!?ご、ごめんなさーい!!!!」

 

ピギャーと泣きながらガラス片を集めるゾンビを無視して吾輩は窓のサイズを確認する。仕事を増やし尚且つ心臓に悪い登場をするゾンビには良い薬だろう。しっかりガラス片を集め終えるまではクレイジーさんと呼んでやる事とした。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「クレイジーさん。ちゃんと隅々まで掃除機掛けてね」

 

「あの、シオン先輩そろそろ勘弁してもらえるとー」

 

あれから無事ガラスと窓の修復が終わったが、吾輩のクレイジーさん呼びを便乗したシオンさん。オリーさんを清掃員に転職させつつ弄り倒している。ちなみにシオンさんはにへらと笑いながらソファーで横になっている。

 

「モブさんはクレイジーさんに渡す機材とか準備できたの?」

 

「あのー⋯」

 

“もう五分ほどで受け渡しできそうです”

 

「そっかー。クレイジーさんもう少しだってー」

 

「大変申し訳ないと思ってるのでお許しをー!!」

 

ドシャと崩れ落ちるように音が響いたので確認する。そこには土下座をするゾンビがいた。字面にすると中々面白い響きである。流石日本の文化を学んでいるだけあって美しい土下座だ。

受け渡しの機材も準備ができている為そろそろ許してやるべきだ。目線でシオンさんにそう告げた。

 

「ふむ。ではクレイジーさん。許される前にマッサージを受けなさい」

 

「マッサージ?なんで急に?」

 

「めちゃ痛いやつを」

 

「めちゃ痛いやつ!?」

 

やめてくれよ。思わずそんな言葉が吾輩の口から漏れ出そうになった。ここ最近インドネシア組に望まれぬマッサージを行ってきたが、これ以上壊れていく人を見たくはないのだ。

 

「でも私ゾンビなんで!なんとかなるっしょ!!」

 

「はーいモブさんやっちゃってー」

 

吾輩が呻いている間にやる事が決まっている。何故吾輩の方に拒否権はないのか。これが分からない。渋々ながらに座るとオリーさんが足を向けてきていた。

ツギハギだらけで血色が悪い肌が目立ち、しかもひんやりとしている。この状態はマッサージ効くのが分からないがとにかく試してみることにした。

 

「さぁ!足ツボ?がなんぼのもんじゃーー!!ゾンビ舐めんなー!!」

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「痛い痛い痛い!!〇ぬ〇ぬぅ!!」

 

「オリーがんばれー」

 

「ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛!!ぐっ⋯こうなれば足をパージさせて」

 

「させるか!!固定魔法!!」

 

「なんですとぉ!?ぎゃぁあああ!!!?」

 

人がマッサージしてる眼前で彼女らは何をしているのか。方やゾンビ娘が暴れて地面を引っ掻いたりしており、方や魔法使いは手から色んな魔法を行使して妨害している。まるで不気味な儀式の様である。

 

「ぐふっ」

 

「ゾンビのオリーでも耐えられなかったか。凄いねモブさんのマッサージ」

 

白目剥いて動かなくなったオリーさんに声を掛けるも返事がない。ただのしかばねのようだ。

吾輩はシオンさんの感嘆と称賛の声を聞き流しながら立ち上がる。事務所のソファーに白目を剥いた血色の悪い少女が横たわっているのは非常に事件性が感じられて良くない。

タオルを掛けて隠しておこう。

 

「なんか凄い悪いことしてる気分になってきた」

 

“それは言わないでほしいですね”

 

「もし誰か来たら衣装着せるためのマネキンに布巻いてることにしよっか」

 

誰も来る予定はないが、そういうことになった。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「凄い身体の調子が良い!!」

 

「ゾンビに身体の調子が良いってどゆこと?」

 

復活したオリーさんの開口一言目がこれであった。突如掛けていたタオルをフゴフゴ言いながら吹き飛ばしたオリーさんは非常に元気良く起き上がったのだ。心なしかお目々がキラキラしている。

 

「まるで生まれ変わったかのよう。今ならどんな事でも達成できそうな清々しい気持ち⋯生き返ってしまったかのように⋯」

 

「モブさんマッサージで第二の人生送れるじゃん。よかったねー」

 

何か変なスイッチが入ったのか両手を広げ全身で太陽エネルギーを浴びているオリーさんがいる。とても神々しい光景だが彼女の種族はゾンビである。仮にもアンデッドなのだが大丈夫なのだろうか。

そしてシオンさんの評価は嬉しさと悲しさで2つの感情がある。褒められるのは良いが、出来れば普段の仕事ぶりを評価してほしいものだ。吾輩は一つため息をついた。

 

「あ、そういえばオリー」

 

「あ、はいナンデショ?シオン先輩」

 

「昨日モブさんとオリーの家跡地のラーメン屋行ってきたけど美味しかったし繁盛してたよ」

 

「!!?!?!?」

 

なんで急にそんな話する?と思ったがシオンさんが急に話の方向を変えるのはよくある事だったので変に突っ込まないことにした。

オリーさんは我が家を取り戻すために戦って?いるアイドルだ。旧オリー家現ラーメン屋を見に行ってみようというシオンさんの提案を受けて昨日見てきた次第だ。しっかり繁盛していたし美味しいラーメン屋であった。店主も元気そうだった為暫くは潰れなさそうである。

 

「そ、そんな⋯」

 

「モブさんならどうする?」

 

落胆するオリーさん。先ほどまでの元気な姿が見る影もなく膝から崩れ落ちている。

そんな姿を眺めていると唐突にシオンさんから吾輩に話を振られた。しかし、お金を貯めて土地を買い取るしかないのではなかろうか。

 

「普通だ」

 

吾輩の案をつまらなそうにシオンさんは吐き捨てる。では頭の良いシオンさんはどのような事をするのかと尋ねた。

 

「まずモブさんの護身用ドラゴンを呼ぶ鈴を鳴らします」

 

ドラゴンを呼ぶ鈴とは吾輩が使えるアイテムである。デリバリーヘルプ略してデリヘルとして援軍を呼べる物だ。とんでもポテンシャルをもつドラゴン娘のココさんが殺戮の限りをつくす環境装備といっても過言ではない代物である。弱点があるとすれば周囲の被害が甚大なところか。

 

「ココちゃんが来たあとはラーメン屋付近が更地になるだろうから、後日そこに住めば良いじゃん。ドラゴンの通り道って天災と認定されることが多いし、なんならその被害にあった周囲に住もうとは思わないでしょ。はい勝ち!明日にでも住めるじゃん!」

 

「シオン先輩!?故郷を火の海にしてまで家を取返したいわけではないデス!!そもそも住めるか分からないくらいになってそうだし!!」

 

ヨシ!とどこかの現場猫見たいな事を言っているシオンさん。オリーさんは涙目で拒否してシオンさんの肩を揺すっている。吾輩は何も言わずドラゴンを呼ぶ鈴をマイバックの底に隠した。少しでもシオンさんの目につかないように。

 

「逆に考えればなりふり構わなければ目標はすぐに達成できるって事!⋯そうなればちょっと面白いなとしか思ってないからやんないよ」

 

「ちょっと面白いって思ったの!?」

 

「⋯オリー頭に刺さってる剣でココちゃんと戦って撃退なり勝つなりすればその土地貰えるかもしれない」

 

「それマッチポンプっていうんデスヨ?あとワタシだと一瞬で炭にされて終わりかと⋯」

 

こっそりバックの中身を二枚底にしてドラゴンを呼ぶ鈴を隠し終えるとシオンさんとオリーさんがはそんな恐ろしい会話をしていた。

ふと気になったがオリーさんの衣装はボロボロではあるが良いところのお嬢様みたいな洋装だ。しかし頭に剣が刺さっている。靴が左右で違うのは「どっちも良い靴だから両方とも履いてる」と前に言っていたからオシャレとして、どういった流れで頭に剣を突き刺さったのだろうか。退治でもされたか。それともちゃんと髪留めとしての機能があるのか。

シオンさんとオリーさんは会話に集中しているようでこちらに気づいてない様子。おもむろに剣を引っこ抜いてみた。

 

「わっ!?」

 

「な、なにしてんの?」

 

剣を引っこ抜いた際に明らかに髪ではない何かから引っこ抜く手応えを感じたが無視した。たまに頭に刺しちゃうことがあるとか言ってた気がするのは嘘ではなかったようだ。しばらくオリーさんの観察しているも結いた髪は崩れていなかった。次に剣を見てみる。軽いので本物ではなさそうだ。レプリカというよりは玩具に近い気がする。軽いとは言え髪留めでは断じてない。

 

「なんかモブさん唐突に難しい顔してるけど、どうしたんだろ」

 

「シオンちゃんは分かるけどねー⋯あの目は気になったから衝動的に動いちゃったパターンだね。ホロメンもよくあの目をしてる」

 

「あー⋯なんか気になったことはすぐ調べるってタイプだものねモブさん。毒されてるなー」

 

少しの間剣を眺めていると二人からの生暖かい視線を感じ、そこでようやく脳死して行動していたことに気づき詫びた。オリーさんの髪に剣を刺して返却した。

 

「お!うまい。しっかり髪に刺さってる!」

 

「おー⋯」パチパチパチ

 

スッと剣が刺さったあたり、やはり先ほどのは頭に刺さっていた気がする。やはり痛覚が鈍いのか感じないのか。それを突き抜けて痛みを感じさせた吾輩のマッサージとは一体うごご。

 

「また何か考え始めたような顔になっちゃった」

 

「放っておいても大丈夫だよ。オリーも折角だからラーメン屋行こうよ。敵情視察敵情視察。キャベツモリモリラーメンでも食べよう」

 

「ナルホド⋯やはり敵だったか!店主は生かしておけないな!!」

 

「え⋯なんで?」

 

二人の和気藹々とした声にハッと気付くともう二人は歩き始めていた。オリーさんは持っていくはずの機材を持ってないし、シオンさんはテーブルにスマホと財布を忘れている。世話のかかるタレントたちだ。吾輩は2人の後を追いかけ始めた。

 

ちなみにラーメンは奢らされるハメになった。なんでだ!!




モブ
ゾンビも生き返るマッサージ店開催中!
そんな店を作るかもしれないししないかもしれない。
最近衝動的に動く事が増えてきたとのこと。好きなラーメンは味噌ラーメン。

オリー
キャベツ許さない系ゾンビ。我が家を再建するべく日々えんやこら。宿敵のラーメン屋は美味しかったとのこと。

シオン
主食はラーメン。これで2日連続ラーメン。モブに2日ラーメンは重てぇと言われたが何言ってるかさっぱり。若い。
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