吾輩はホロライブのパーフェクトスタッフである 作:きまぐれなるゾ・ョ力
あひょひょー
お気に入りが800超えました!感謝の極みです。気がつけばこの小説も長い作品ですねぇ。
これからもクスッと笑える小説を書いていきます!
ちなみに今回初めてのルビを使ってみちゃった。成長している!!
吾輩はパーフェクトスタッフである。
本日はハロウィンだ。仕事の最中にカボチャヘッドを被せられたので気づいたのだ。お菓子の貯蔵は机の中に沢山ある。どこからでもかかってこいという気持ちだ。
ガチャ
「Trick or Treat!!」
バァーンと腰に手を当て片手を掲げるポーズで現れたのはIRySさんだ。いつも通りの衣装で仮装をしてないじゃないか。まあ良いかとお菓子を詰めている箱から何種類か持って渡した。
「ありがてー。仮装?私の種族を知ってる?天使と悪魔のハーフ!レアすぎて仮想生物みたいなものでしょ」
また変な日本語に汚染されている。仮装違いだしゴリ押し理論に宇宙猫になってしまった。そしてお返しと言わんばかりにIRySさんから本を渡された。チラと表紙を確認する。
「私のオススメ本よ。布教布教」
ワーオ!絶対にBL本だ。男性にこれを贈るのはすごいレベル高いな。嫌がらせに近いのでちょっと悪魔寄りか。一応貰い物なのでざっと目を通してからソっと隣のアメリアさんのデスクに乗せた。趣味ではないと伝えておく。
「なんでも適応するからイケるのかなって」
少なくとも吾輩のやる気が1段階下がったと言うとIRySさんは残念そうにダメかーと呟きながら頭をかいていた。
「もしかしてモブさんのやる気を下げた私は戦犯とかいうやつになる?」
“そこまでではないです。突発イベントで一喜一憂するのが人生ですからね”
「あ、凄いゲームシステム的な片付け方された」
“やる気が下がるイベントが起きても、別のことで気分を紛らわせるのでそういう点だけは人生は自由度が高いですからね”
「ん?私凄い迷惑キャラとして認識された!?」
わなわなと手を震わせたIRySさんは吾輩の周りで冗談だとか善意だとか言って言い訳を垂れ流し続けていた。別に吾輩はお菓子を与えたのにイタズラが来るとは思ってなかったと告げ仕事に戻った。
「わぁー!凄い怒ってる!?ウソウソちょっと本当に私の考えが足りなかっただけだからお許しをー!!」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「そういえばレア種族といえばモブさんも珍しい」
“人間が?”
「
“ふむ。今何か言い方違いませんでしたか?”
吾輩が仕事をしていると、作業室のソファに座っていたIRySさんが突然そんなことを言ってきた。ホロライブは多種多様な種族のタレントが在籍しているが、あまり気にしたことがなかった。皆平等に対応している。
「それは素晴らしいことだねって…私たちの相手を作業みたいに言われてる!?」
対応をしなかった場合、発生する被害は目も当てられないことになる可能性がある。特にファンタジー組。吾輩は大きなため息をついてIRySさんに語った。
「なんか随分想いを感じるため息だ。もしかしてすでに経験済みだったり?」
“誰とは言いませんが蛮行には困ったものです”
「蛮行?」
蛮行とは、野蛮で乱暴な行い、または礼儀や道徳、社会的な秩序を無視した粗野で非人道的な振る舞いのことである。吾輩はIRySに解説した。
「いや意味が分からない訳じゃないって!?言葉選び合ってる?」
少しの誤りもない。まさにそういうことが過去にはあったのだ。スタッフやマネージャーさん達が全員ゾンビになったり、石になったり魅了されて仕事にならなくなるときもあった。あえんびえんだ。
「凄い。え、ここは地獄?」
ガチャ
「こんかなでー!!トリックオアトリートォオオ!!お菓子くれーありがとぉー!!サイナラー!!」
悪魔と天使のハーフはここを地獄と評した。それもホロライブ。凄まじい速さで湧いて出た穴開きシーツから煌めく瞳と黄色いアホ毛の生命体。お菓子を渡すと瞬時にフェードアウトして行った。
「モブさんすごい無反応!!」
IRySさんが何やらすごい驚いてるが、しっかり反応しているではないか。そうでなければお菓子を渡せるわけがない。
「違う違う!そうじゃ、そうじゃなーい!」
どこかで見たことあるサングラスの似合う歌手さんのジャケットのポーズを取っていた。大分古いぞと思ったが、ネットミームにはなってたか。さておき、何が違うのか。
「目線を合わせるまでもなく現れたMondayちゃんにお菓子渡して会話を続けるのは無反応と同じなのではないかと私は思います」
IRySさんの言葉に一つ頷いた。確かに会話中だったからとは言え、月曜日ちゃんに挨拶をするのを忘れていた。これは社会人としてノーマナーであった。以降気をつけねば。
「違う、そうじゃなーい」
短時間で同じネタを擦るのは面白くないぞ。と吾輩が苦言を呈すとチョップを繰り出された。ご乱心かもしれない。
「モブさんなんか今日会話が噛み合ってるようで噛み合ってない気がする!何徹目!?」
人を正常じゃないと判断するのはやめてもらいたい。普通に昨日は家に帰って寝ている。しかし、もはや長年彼女達を相手にしていると慣れているというか、満足する行動パターンが読みやすいのだ。先ほどの月曜日ちゃんの場合だと、基本的にしっかり挨拶はする。そして次にからかい半分にひと煽り入れてくるのが通常パターン。先ほどの場合はすぐさま本題に入ってきたから、時間があまりないが挨拶はしに来たついでにお菓子を貰おうという魂胆だろう。彼女の真面目っぷりが垣間見えた行動だった。
「え、凄。もはやホロメン説明書じゃん」
マネージャーさんの方が詳しいので聞いてから把握することもありますが、と一言添えた。さすがに吾輩より長い間仕事しているのは勿論マネージャーさんだ。彼女達の理解度と正確性は凄まじい。スバルさんのマネージャーさんとか。
「前の。なんか有名だもんね。ちなみに聞いておきたいんだけど一番モブさんの中で難易度高いホロメンって誰?」
中々難しい質問である。人によって難易度の方向性が違う事もあるので総評すると、表裏が分かりにくい人で地雷が多数ある人は難易度が高い。主にラミィさんなのだが。
「え?そうなの?⋯他にも色々思いつくけど」
勿論色んな方が思い浮かぶかもしれないが、精神崩壊したりヘラった場合ホロメン同士で発散するか、休んで回復する人が多数派である。しかしラミィさんは社会人の必殺技である からげんき で現れ、精神状態が判別できず、そのランダム性のある地雷原を領域展開するのだ。怖い。昔エラい目に遭いました。
「あー。そんな感じしそう。でもそれって」
ガチャ
「こんらみー!!変装もなんもしてないけどモブさんお菓子くーださい!」
声を聞いた瞬間に色々なところがキュってなった。IRySさんとお口ミッフィーにして扉から現れたラミィさんを見やる。
今話していた内容の影響か普通に見れなくなったIRySさんがアイコンタクトでこれは正常かどうかの判断を訴えかけてくる。だから分からないと言ってるだろうに!
「⋯?どしたん?なんで2人とも無言なの?」
ラミィさんが首を傾げてきたのでとりあえず挨拶を返してお菓子を渡した。お酒のツマミにでもするといい。
「うわ!駄菓子!なつかしっ蒲焼さ◯太郎がある!!?」
「駄菓子良いですねー。そういえば、駄菓子の駄って駄目って字だよね?なんでだろ」
「そういえばそうだね。ラミィもわかんないや」
吾輩がここで雑学でも語ってやるか。と口を開こうとした瞬間に横から影が現れた。
「呼ばれた気がしたのでお教えしよう!駄菓子の由来として、江戸時代に白砂糖を使った高級な上菓子(じょうがし)に対し、黒砂糖や雑穀を使った庶民向けの安価な菓子を区別して呼んだことに由来してるそうなんです!ちなみに上菓子は当時だとー、煉切(ねりきり)、そぼろ状のきんとん、米粉を使った外郎(ういろう)や薯蕷(じょうよ)饅頭とかのことなんですなー!」
「「へぇー」」
やはり貴様からでん!!お面を被りいつものゴスロリ衣装で現れたらでんさんは吾輩の語ろうとした内容より濃く語っていた。悔しい。
「ということでモブさんトリックオアトリートォ!お菓子くださいなーモゴゴゴ!?」
吾輩の悲しみを受け取れと言わんばかりにらでんさんのお面をズラして口にお菓子を押し込んだ。食らえ!水分を奪う黒糖ふ菓子だ。
「モゴー!!(水分がー!!)」
「モブさんがご乱心だ!!」
「らでん水分奪われてカッサカサになっちゃってる!?ワンピ◯スのク◯コダイルみたいな事してるじゃん!!?」
らでんさんは力尽きた▼
吾輩は達成感を味わった▼
IRySさんとラミィさんの好感度が下がった▼
そんな気がした。
「まぁありがたく駄菓子はもらうよ。晩酌配信の時にでも食べるね」
そう言ってラミィさんは上機嫌に去っていった。らでんさんもポムポムプ◯ンのぬいぐるみをハスハスジュルッと音を立てて吸い込むと復活していた。お菓子とポムポ◯プリンのぬいぐるみを抱えてカサカサカサと音を立てて消えていくのを見送る。
「いやぁ、ラミィちゃん現れた時ちょっとドキドキしたねタイミング怖いって」
まぁ常に地雷原の領域展開をしているわけではないが、タイミングがタイミングだった故にちょっと怖かったのは認める。基本的にそんなことになる方が稀ではある。
「そうなんだー。ちなみに話は戻るけど、私はどんな感じ?モブさん的になんか取扱説明書みたいなのあったりする?」
自分の評価や知らない癖などを知りたいのか、IRySさんは目を輝かせながら自分を指差して聞いてきたので吾輩は思わず唸る。中々勇気のある行動だ。もし悪い評価だったらどうするのか。
「天使の神々しさと悪魔の破壊的なパワーを混ぜ合わせたメドローア的な技を撃ち込むわ」
脅迫だ。IRySさんは両手に白い輝きと紫の輝きを纏ってニコニコと笑顔を見せた。吾輩は跡形もなく消し飛ぶだろう。しかし残念ながらIRySさんの取扱説明書といっても、そんな変なことはない。優等生であった。
「残念ってどういう事?え、これ食らいたいの?まぁ良いわ。敢えて言うならどんな感じ?」
強いて言うなら、PONなところが散見されるので定期的に連絡を取る。分からないところや抜けた情報はないか随時スタッフやマネージャーさん達で共有してもらうとか。
「アイタタタ頭が痛い。スンマセンね」
IRySさんは頭と胸を抑えて苦しんでいた。他にはオタク気質故に語り始めると早口で長いから忙しい場合、程々に聞いて「うんうん、そうだね」と頷いておく。暫くすると満足そうに自分から話をきり上げて帰っていくとか。
「待てぃ!それを人は取扱説明書と呼ぶし、え、マネちゃんとか忙しいのに話聞いてくれてる優しいと思ってたのにそれまさかマニュアル!?もう人を信じられない!!」
“うんうん、そうだね”
「おまえおまえおまえおまえー!!!!人間不信になった悲しみを食らえー!!」
IRySさんは両手に集めた白い輝きと紫の輝きを手を組むように合わせると、凄まじい薄緑色のエネルギー光に部屋が包まれる。何の光!?
「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ」
オタクである人達には激アツ演出である。思わず感嘆の声を漏らしてしまったが、その隙をついてIRySさんは吾輩の懐に飛び込んで組んだ両手を突き刺してきた。ぐわぁああああ!!
「でやぁああ!!」
吾輩はある意味本物のヘル・アンド・ヘブンを食らって、吹き飛ばされた。胸は貫通しなかったようだ。鍛えてて良かった。
「なぜ耐えれるの…」
ガチャ
『ちょっとモブさんうっさいわよ。廊下まで衝撃波感じたんだけど』
扉を開けてきたのは我らがスタッフ仲間のアメリアさんだ。なにやら機嫌が悪そうに不満を漏らすとジロリと見回していく。
『で、机に何置いてあるって?』
「“あ”」
アメリアさんは自分の机の上に置いてある本の表紙を見て固まる。半裸の男が向かい合っている絵だ。ぺらりぺらりとページをめくるとバンッと勢いよく本を閉じた。吾輩とIRySさんはビクッと震えた。
『誰だこんなイタズラした奴はー!!?』
アメリアさんは噴火した。BL本を机の上に置かれ周囲からヒソヒソ言われていたからここに戻ってきたらしい。目を赤く光らせIRySさんを睨んだ。
『お前かIRyS!確かにお菓子渡してないけどふざけたイタズラをしてくれたものね!!』
『私のだったけど私じゃないよー!?モブさんのだよー!!』
『嘘つくなモブさんがこんな本読むわけないだろ!ボケコラスッゾコラー』
『ぎゃあああぁあ!!?モブさん助けてー!!!』
日頃の行いか。吾輩はアメリアさんに見向きもされなかった。IRySさんが助けを求めているが、聞こえぬ。吾輩はドッタンバッタンドカボコと音が聞こえる所から立ち去った。今日も平和だった。
「お疲れ様デス!IRyS見てない?あと、Trick or Treat!!」
吾輩が平和を満喫し、気分良さげに廊下を歩いているとハコスさんが軽いゾンビメイクをした姿で現れた。挨拶を返し、作業部屋にお菓子があるし、IRySさんも居ると伝える。
「なぬー。ここで無いならイタズラだよ!なーんちゃってーIRySも居るんだ。じゃ、早速。全てのお菓子をもらっていくゼー!」
ニコニコしながら作業室に駆けていくハコスさんの肩を掴み止めた。残虐な光景を見せるわけには行かない。本当にハロウィンな光景になっちゃってるかもしれないのだ。
「ドユコトー!?え?本当にどういう事?」
ガビーンと白目を剥きながら振り返ってくるハコスさんになんて説明しようか迷うところだ。状況は複雑なようでそうでもないのだが、最悪IRySさんが幽霊とかゾンビみたいな見た目になってしまっているかもしれない。
「怖い。え、ナニホントに。あの部屋で何が起こってる?」
もしかしたらマウントポジションでボコボコかもしれない。とにかくタレントらしからぬ惨状なのは確かだ。折角なので事態が落ち着くまで行きつけの喫茶店にでも行こう。今ハロウィンキャンペーンやっているとか何とか。
「どうしてそんなことに!?んー。じゃ、行くのやめよ。喫茶店…それボクも行っても良い?」
チラと部屋の方を見てブルブルっと身体を震わせるとハコスさんは諦めたように喫茶店に行きたいと言ってきた。野生の勘かもしれない。吾輩もその勘に相乗りしよう。吾輩とハコスさんは振り返りもせず喫茶店に向かったのだった。
モブ
基本的に一度は見てから判断するタイプ。存外周りを見ているようで詰めがあまい。かもしれないし実は作戦かもしれない。お菓子は常時デスクの中に忍ばせている。食べてないのに減ってる時もある。不思議。
IRyS
良かれと思って良くなかった。人が少し怖くなったし、ボコボコにされて暫くカボチャを被り過ごすハメになる。モブを許さない。
怒り狂うアメリア
風評被害を受けた。普通に許さない。人間の力を見せつける。
ハコス
ホロライブは楽しくて刺激的で恐ろしいところ!
お菓子はあとでモブに買ってもらった。