閃の軌跡Ⅲ ―偽りの仮面―   作:アルカンシェル

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35話 クロスベルⅨ

 

 

 保養地ミシュラム。

 エルム湖南東に位置する高級保養地。

 近年、IBCが開発に着手し、リゾートホテルや高級アーケード街、大規模なテーマパーク、湖水浴場、リゾートスパなどが開発されてクロスベルの名所の一つとしてゼムリア大陸全土から注目されていた程に栄えていた。

 しかし先のクロスベル独立戦争に連なる《零の至宝》を錬成するための儀式場であったことが発覚したことにより、ミシュラムは帝国政府の管理下に置かれ無期限の閉鎖を余儀なくされた。

 そんな悪評が付いてしまったミシュラムだが、今回に限り安全と判断されたリゾートホテルが国賓を迎える施設として解禁されることになった。

 これを切っ掛けにミシュラム全体が再開されることを期待されたのだが、通商会議の開催と同時に活発になったクロスベル解放戦線によって全ては水泡となってしまった。

 そんなミシュラムには準警戒態勢が敷かれていた。

 

「ん……? 何だ?」

 

 陸路を繋ぐ、線路とそれに並行する街道を監視していた憲兵隊は夜中に近付いてくる光源を見つけた。

 

「おい、本部に連絡を。不審な車両が街道から近付いて来ている」

 

 その憲兵は油断なく、導力ライフルを構え相方に連絡を促す。

 しかし、返って来たのは言葉は憲兵が思っていたものとは違っていた。

 

「その必要はない」

 

「何?」

 

 振り返った憲兵はその瞬間、同僚だと思っていた憲兵にスタンロッドの先端を押し付けられ――電撃が憲兵を襲い、その意識を刈り取る。

 

「こちら街道ゲート。状況クリア。門を開放して我らが同志を受け入れろ」

 

 通信機に向かって指示を出す門番。

 それに応えるように街道ゲートが開き、いくつもの導力トラックが入って来る。

 そして一際大きなコンテナを積んでいた導力トラックから《機甲兵》が立ち上がり、ミシュラムの地に立った。

 

 

 

 

「君にしては珍しい失態だな。ルーファス総督」

 

 まだ日も出ていない早朝。

 通商会議は予定よりも早く始まり、ホールには各国の代表が集っていたがそこには予定通り、西ゼムリア大陸の経済について議論する空気ではなかった。

 

「言い訳のしようもありません。全ては私の至らなさ故、代表たちを危険に晒してしまったことを深くお詫びします」

 

 黙り込んだマグダエル市長を横に、ルーファスは深々と頭を下げる。

 それは何も昨夜の《結社》の襲撃に限っただけの話ではない。

 昨夜から今の早朝に掛けて総督府には様々な報告が集まっていた。

 本来の予定ならば国賓たちを宿泊させる場となったミシュラムがテロリストに占領されたこと。

 クロスベル警察留置場に拘留していた犯罪者たちの大量脱走。

 市内で多発した行方不明者。

 通商会議に合わせて動き出したテロリスト達の行動は、この場ではクロスベルを統治するルーファスに非難を向けられる。

 

「やはり帝国にクロスベルを統治するのは荷が重かったんでしょう」

 

 そしてここぞとばかりに共和国代表のサミュエル・ロックスミスはルーファスへの追及を強くしていく。

 

「帝国が不当にクロスベルを占拠したばかりにこんな事が起きたとするなら、クロスベルはカルバード共和国が統治した方が良かった……皆様もそう思いませんか?」

 

「いいえ、ロックスミス大統領。それは早計でしょう」

 

 各国の代表たちが答える前にオズボーンが首を振る。

 

「クロスベルは当時、経済凍結を端に世界に向けて独立戦争を仕掛けました……

 帝国が保護してやらねば、戦後賠償を支払う事になるクロスベルにはいったい何が残っていてでしょうね」

 

「ルーファス総督にはクロスベルに寛大な目で融和を図る政策を敷く様にと、セドリック皇太子が指示をしていました……

 責任の所在を追究するならばルーファス総督ではなく、私達アルノールにして頂きたい」

 

 オズボーンに続いてオリヴァルトがルーファスを擁護する。

 低い姿勢を見せるオリヴァルトにロックスミスはここだと言わんばかりに目を光らせて――

 

「ならば――」

 

「もっとも仮に今共和国がクロスベルを支配していたとして、果たして独立を狂信する彼らを御することはできたでしょうか?」

 

 オズボーンの言葉がロックスミスの口火を塞ぐ。

 

「……侵攻支配とは人聞きが悪い事を言わないで欲しいですね……

 天才と持て囃されてもまだルーファス総督はお若い。やはり先の内戦で帝国の人材も厳しくなっているのでしょうかね?」

 

「さあ、それはどうでしょう。共和国も経済恐慌によって随分と国力を落としていると聞いておりますが」

 

 ロックスミスとオズボーンは笑みをぶつけ合いながら探りを入れる。

 

「御二人とも今は誰かの責任を追及する時ではありません」

 

 帝国と共和国の鞘当てにリベール代表クローディア王太女が諫める。

 

「ルーファス総督、今回の事件、貴方はここからどう解決するおつもりですか?」

 

「一刻程時間を頂ければ、私と《金の騎神》でミシュラムに立てこもったテロリスト達を一網打尽にして御覧に差し上げましょう」

 

「一刻だと……それだけ時間で貴殿は彼らを鎮圧できると? 向こうにも《機甲兵》を確認したと聞くが」

 

 レミフェリア代表、アルバート大公はルーファスの自信に満ちた言葉に驚く。

 立てこもったテロリスト達はクロスベルから消えた人数をそのまま当てはめるならば約300人。

 それだけではなく、テロリストは帝国製の《機甲兵》と共和国製のガンシップも数は少ないものの用意してミシュラム周辺の警備に着かせている。

 更にはミシュラムに続く街道には《結社》の人形兵器が大量投入されている。

 軍事に明るくなくても一人で対処するには難しい戦力だとアルバート大公は考える。

 

「問題はありません。それが可能な“エル=プラドー”ですから――」

 

「失礼します」

 

 ルーファスの言葉を遮って、憲兵が焦った様子で会議場に乱入する。

 

「報告したまえ」

 

 無作法を咎めることなくルーファスは要件を尋ねる。

 

「七課とトールズ第Ⅱ分校からの報告です……

 クロスベル留置場から脱獄したと思われる囚人は未だに発見できず、またウルスラ医科大学病院からおよそ九割の入院患者、および医師の所在が確認できませんでした」

 

 そう報告をして憲兵は退出する。

 また行方不明者が増えた事に会議室は重い空気に満たされる。

 

「ルーファス総督、行方不明者についてどうお考えでしょうか?」

 

 クローディアの質問にルーファスは躊躇うことなく答える。

 

「無論、等しく排除するしかありませんね」

 

「なっ!? 待ってください!」

 

 それまで沈黙を保つことしかできなかったマグダエル市長がルーファスの答えに声を上げて立ち上がった。

 

「行方不明者の中には女性も子供もいるのですよ! 彼らの全てがテロリストに加担しているわけではない! なのに慈悲もなく見捨てると言うのですか!?」

 

「だが、私達には誰がテロリストに協力し、誰がテロリストに誘拐されたのか区別する術は持ち合わせておりません……

 それを差し引いたとしても、一刻を争うこの状況に置いて人質の救出を優先することは得策ではないでしょう」

 

「一刻を争う?」

 

「皆さんも知っている通り、《零の至宝》の錬成はミシュラムで行われました……

 彼らがミシュラムをわざわざ占領した意味を考えれば、彼らを早急に鎮圧する必要があるでしょう」

 

「ルーファス総督はテロリストがもう一度《零の至宝》を生み出すとお考えなのですか?」

 

「可能性の一つとしてはあり得ないとは言い切れないでしょう……キーア君はどう思う?」

 

「はっ、はい!」

 

 部屋の隅で会議を聞かされていたキーアは緊張した返事をして席を立つ。

 事前に質問をすると聞かされているため冷静だが、国家首脳陣を前にキーアは前科の事もあって余計に緊張を感じながら口を開く。

 

「たぶん無理だと思う……思います」

 

 そう前置きをしてキーアは続ける。

 

「キーアは膨大な七耀の力を受け入れられるように500年掛けて“揺り籠”で調節されたホムンクルスだから……

 キーアと同じ存在を造るには、同じだけの時間を掛けないといけないはず……何だけど……」

 

「何か気付いた事があるのかい?」

 

「ナユタの……ノーザンブリアの二回目の《塩の杭》の事は知っているよね?」

 

「ああ、不特定多数にグノーシスの原料となるプレロマ草を摂取させて……」

 

 そこまで答えたところでルーファスは気付く。

 

「まさか市民がいなくなったのはそう言う事なのか?」

 

 一人で結論に達するルーファスを訝しみ、オリヴァルトが口を挟む。

 

「どういう事なんだいキーア君?」

 

「ノーザンブリアの至宝の錬成はキーアとは全く別のアプローチで行われているの……

 多数の因子を人の中に一度広く行き渡らせて、それを統合する。ここで当てはめるなら元国防軍の人達が沢山の人を攫ったのはグノーシスの因子を増やすためだと思う」

 

 そこでけたたましく椅子が倒れる音にキーアは言葉を止める。

 

「何と言う事を……」

 

 椅子を倒してその場にへたり込んだマグダエルは呻く。

 クロスベルの人間がクロスベルの人間を生贄に新たな《至宝》を得ようとしている。

 まだ可能性の話だが、数百人を立てこもりの人質にするために誘拐するよりも説明がついてしまう。

 

「あ……っ……」

 

 キーアはマグダエルに言いかけた言葉を呑み込む。

 ディーター元大統領が見せた“独立”の夢。キーアが見せた帝国と共和国を退けた“力”。

 この二つに魅了され、短い独立だったとしても、その一時の経験を忘れられずにしがみ付く。

 ディーター大統領が逮捕されなければ、《零の至宝》が奪われなければ、今西ゼムリア大陸を支配していたのは自分達だと言う思いが彼らを狂わせている。

 そして狂わせたのはキーア。

 マグダエル市長にとってキーアはまさに《傾国の魔女》だろう。

 そんな自分が彼に声を掛けて良いはずはない。

 

「これは益々彼らに時間を与える事はできませんね」

 

「ルーファス総督! テロリストに攫われた彼らは被害者です」

 

「でしたら彼らが《零の至宝》を造るのをこのまま見逃せと?

 クローディア殿下は一年前のガレリア要塞の消滅をお忘れですか?」

 

「それは……」

 

「攫われた市民の無事も今の時点でもはや保証すらできないのです、ならば強攻策に出るべきでしょう」

 

 ルーファスが提示した案に一同は押し黙る。

 一年前のガレリア要塞の消滅を始め、《神機》を使って二大国を退けたクロスベルの暴挙の記憶はまだ強く記憶に残っている。

 あの暴挙が繰り返されるのならば、ガレリア要塞を消滅させた力が今度は自分達に向けられるのならば、と考えてしまう。

 クロスベル市民の数百人の犠牲は“コラテラル・ダメージ”――『政治的にやむを得ない犠牲』なのだと、所詮は対岸の火事なのだと割り切って――

 

「待ってくださいっ!」

 

 納得の空気で鎮まった会議室に扉を開く大きな音が響き渡る。

 息を荒くし、額に汗を流して会議室に乱入したのはトールズ第Ⅱ分校に所属している生徒、ユウナ・クロフォードだった。

 

「ケンとナナがいないんです……」

 

 ユウナは国の代表たちの視線などお構いなしに覚束ない足取りでルーファスに近付いて行く。

 

「ケン君とナナ君か……ウルスラ医科大学病院に入院していた君の双子の弟妹だね……残念だが――」

 

「どうして!?」

 

 ルーファスの落ち着いた諭す言葉はユウナの悲痛な叫びに掻き消された。

 

「二人はあの時から目を覚ましてないのに、二人がテロリストに加担するなんて無理なのに、どうして……」

 

 ユウナは明らかに錯乱していた。

 各国の代表たちも尋常ではない様子の彼女の様子に口を噤む。

 

「ユウナッ!」

 

「失礼します!」

 

 彼女に遅れて会議場に乱入したクルトとリィンは今にもルーファスの胸倉を掴もうとしていたユウナを背後から二人掛かりで羽交い絞めにして引き離す。

 

「ユウナ、ここはまずい!」

 

「愚痴なら俺達がいくらでも聞くから――くっ!?」

 

 しかし当のユウナは大の男二人に組みつかれている事などお構いなしにルーファスに手を伸ばし、その胸倉を掴む。

 

「どうして!?」

 

 これまで内に溜めて来たものを纏めて吐き出すようにユウナは叫ぶ。

 

「貴方はあたしよりも完璧で! ここにいる人たちはあたしよりもずっと頭が良いんでしょ!?

 だったらクロスベルを助けてよ! あたしの家族を助けてよっ!」

 

 ユウナの慟哭に各国の代表たちは目を伏せるだけで、我こそはと名乗り上げる者はいない。

 

「どうして……?」

 

 国の偉い人たちが、“弱者”であるはずのクロスベルを救ってくれないことにユウナは愕然とした思いを抱く。

 

「ユウナ君、無理を言ってはいけないよ」

 

 呆然と立ち尽くすユウナにルーファスは諭すように語り掛ける。

 

「彼らはそれぞれ国を纏める執政者であり、その国の重鎮かもしれないがその権力は自分の国を守るためのもの……

 彼らにクロスベルを守る義務はない。そもそも会議に来ている彼らには戦うだけの戦力も持ち合わせていないのだから」

 

「でも……でも……」

 

「ユウナ君には申し訳ないと思っている……

 私がクロスベルに対して融和政策を敷き、テロリスト達をいつか分かり合えるはずだと時間を掛けて説得しようと思わなければ、こんな事態を招く事はなかっただろう」

 

「ち、違います。ルーファスさんは悪くない!」

 

 ルーファスの謝罪をユウナは否定する。

 

「君には辛い事になるかもしれない、私の事は恨んでくれて構わない」

 

「っ……どうして? ルーファスさんは完璧で天才で、あたしなんかよりずっと頭が良いんだからテロリストを逮捕して人質だってみんな助けられるはずでしょ!」

 

「私を買い被り過ぎだよユウナ君。私は少しだけ人をうまく使う事が得意なだけの凡人に過ぎないよ」

 

 ルーファスはクルトとリィンに目配せをしてユウナの事を任せ、会話を切り上げて代表たちに向き直る。

 

「私への非難はこの事態を終わらせた後に如何様にも。それではオズボーン宰相、オリヴァルト殿下、失礼します」

 

「まあ待ちたまえ。ルーファス総督」

 

 一秒でも早く出陣しようとするルーファスをオズボーンが止め、その目はキーアの横に座っている男に向けられる。

 

「話は聞いていた通りだ、クロウ・アームブラスト君。君ならこの事態をどう対処する?」

 

「どうって……俺に言われてもな」

 

 集まる視線にクロウは肩を竦める。

 クロスベル中を駆け回った《第Ⅱ》とは別行動として会議に参加させられ、一連の状況を見ていたクロウはお手上げだと返す。

 

「《至宝》がいつ錬成されるかも分からない……

 生贄がどうなっているかも分からない……

 敵の戦力も分からなければ、声明も出して来ないから目的も不明、正面突破以外でどうしろって言うんだよ?」

 

 立地の面でもミシュラムに立て籠られているのは不利だと言える。

 陸路には人形兵器と《機甲兵》。

 水上バスや飛行艇で近付こうとしても湖畔のリゾートの立地上、近付いて来るものはすぐに察知されてしまう。

 

「まさか“要請”で一人で潜入して数百人の生贄を救出して来いって言うんじゃないだろうな?」

 

「そのまさかだ」

 

 クロウの言葉にオズボーンは躊躇うことなく言い切った。

 

「おいおい……」

 

「《蒼の騎士》クロウ・アームブラスト……

 並びに《クロスベルの魔女》キーア・バニングス……帝国政府の要請を口頭で伝える」

 

 オズボーンの厳かな言葉にクロウとキーアは身構える。

 

「ミシュラムに潜入し、市内から攫われた者達の安全の確保、そして首謀者を拘束せよ」

 

「おいおい、俺達にやらせて良いのかよ?」

 

 オズボーンが告げた要請にクロウはルーファスを見る。

 

「無論、ルーファス総督には《金の騎神》で出撃してもらうが、攻め込むのは待ってもらおう……良いかね?」

 

「私とて、攫われた市民を救出できるのなら異論はありません。閣下に従いましょう」

 

「つまりルーファスが《エル=プラドー》で注意を引きつけている間にキーア達がミシュラムに潜入するって言う事?」

 

「それにしたって俺とキーアの二人でどうこうできるもんじゃねえだろう」

 

「人材については《第Ⅱ》の生徒でも軍警察でも好きに使えばいい」

 

「……潜入の方法は?

 オルディーネの飛翔力がいくら優れているって言ったって空から近付けばすぐに見つかる……

 カルバード側から迂回するのは時間がかかるし、俺だけじゃ意味はねえだろ」

 

 逆らえない“要請”だとしても、糸口さえ見えない任務を丸投げしようといている事に、クロウは提言者がオズボーンであることも含めて反発する。

 

「あの……」

 

 クロウの苦言に対して挙手をしたのはクローディアだった。

 

「私の秘書がミシュラムに侵入する方法を提案できると言っています」

 

 そう言うクローディアの背後でレンが自己主張するように頷いた。

 

「この子は学生の身でありますが、とても優秀です……

 私達リベールは今できる手助けはこの程度しかできませんが、どうか協力させて頂けないでしょうか?」

 

「それは心強い!」

 

 オズボーンとルーファスが何かを言う前にオリヴァルトがクローディアの提案を真っ先に受け入れる。

 オリヴァルト皇子が快諾してしまえば、ルーファスとオズボーンもそれを拒否することはできない。

 もっともレンの正体を知る彼らもリベールの協力を無下にする理由はない。

 

「ふふ、よろしくお願いねリィン」

 

「あ……はい」

 

 クローディアが紹介した秘書、レンは笑みを浮かべてリィンに声を掛け、その声音にリィンは彼女が爆発寸前だと言う事を察する。

 行方不明者のリストの中には、レンの実の家族である母と弟が含まれている事を考えれば当然の反応だろう。

 ユウナより冷静であるかもしれないが、ここで帝国の“要請”に参加できなければきっと彼女は単身でミシュラムに乗り込み“殲滅”を開始するだろう。

 リベールの秘書がクロスベルで虐殺を行えば、例えテロリストであったとしても帝国と王国の関係に亀裂が入りかねない。

 リィンは思わずオリヴァルトやクローディアに視線を向けるが、二人はバツが悪い顔をしながらもレンをリィンに丸投げにした。

 一方でオズボーンはクロウにもう一度尋ねる。

 

「さて、クロウ・アームブラスト。どうする?」

 

「ちっ……わーったよ」

 

 クロウは佇まいを直し、席を立つとオリヴァルトに向き直る。

 それはクロウの小さな反抗。

 

「その“要請”――引き受けた」

 

 これより《ミシュラム潜入作戦》が開始された。

 

 

 

 






過去の罪

ロックスミス
「しかし、その男に任せて本当に大丈夫なのですかね?」

クローディア
「ロックスミス大統領、今その話は……」

アルバート
「いいえクローディア殿下、ロックスミス大統領の懸念は最もでしょう……
 クロウ・アームブラストはジュライ元市国のテロリストの孫……
 それに加え、去年帝国解放戦線を率いガレリア要塞を占拠して列車砲で私達を撃とうとした生粋のテロリストなのですから」

オリヴァルト
「皆さんの懸念は当然かもしれませんが、今のクロウ君は己の罪を喰い、贖罪として帝国政府の任務に従事しております……
 どうか私の顔に免じて、彼にこの場を任せて頂きたい」

オズボーン
「彼は贖罪のために働き過ぎた結果、単位を落として留年どころか学年が下がる程に帝国に尽くしてくれております。それも踏まえた上で寛大な判断をして頂きたい」

ロックスミス
「そうか……学年を下がる程の奉仕活動か……」

アルバート
「あの噂は本当だったのか……」

クローディア
「学年が下がる……ちょっと想像できませんが、凄い覚悟だという事は分かります」

クロウ
「またこのパターンかよ!?」





何度も見返しているけどやはりこのユウナのシーンは何一つ同情できないな。


あたしたちの誇りまで奪おうとするの
 →ロイド達が拘束されているだけで何故そこに誇りが絡む?
  サザーランドで神機が動いたことで、キーアが真っ先に疑われるのは当然の事だと思うのだけど。

自治州を占領して
 →クロスベルが独立宣言して資産凍結してガレリア要塞を吹っ飛ばしたから
  肝心のディーターを逮捕したからと言って、仕掛けた独立戦争がノーゲームになるわけない。

勝手に共和国と戦争して
 →クロスベルが独立宣言して緩衝地であることを捨て、不戦条約を事実上破棄させたから。

あんな列車砲まで持ち込んで
 →クロスベルがガレリア要塞の列車砲を消滅させて、国境線を共和国側に引き直すことになったから

あたしたちのクロスベルを、あの自由で誰もが夢を持てた街
 →それはどこのクロスベルの事ですか?

返して
 →クロスベルが独立宣言をして、元の立場を自分から捨てたのでは?



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