閃の軌跡Ⅲ ―偽りの仮面―   作:アルカンシェル

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56話 ラマール州Ⅰ

 

 

 《デアフリンガー号》が帝国西部へと出発する。

 ミルサンテを通過し、ラクウェルを、そして日の出の時刻には海へと出る。

 見渡す限りの青い水平線。

 海を始めて見る生徒達も、進学して数ヶ月ぶりに海を見る者達もその光景に目を奪われ、盛り上がる。

 

「やれやれ、海程度でどうしてそこまではしゃげるもんかな……」

 

「クロウは海は見慣れているのか?」

 

 一人冷めた様子のクロウにリィンは話しを振る。

 

「まあな……ジュライは海に面している都市だからな。それに本校に通う前もオルディスかジュノーにいたわけだからな」

 

「オルディスはともかくジュノー海上要塞に?」

 

「オルディーネの解析とかでシュミットの爺さんの機甲兵開発とか……まあ色々とな」

 

「色々……?」

 

 言葉を濁すクロウにリィンは首を傾げる。

 

「それに領邦会議となれば、あいつがいるだろうからな……」

 

「あいつ……? それはいったい誰の――」

 

 リィンは頭を抱えるクロウに聞き返す。

 しかしミハイルの怒鳴り声によって会話はそこで打ち切られる。

 

「ええいっ! 起床したなら降車の準備をしろ!」

 

 海を前に浮かれている生徒達にミハイルが檄を飛ばす。

 

「あと10分で海上要塞に到着する。《第Ⅱ》の生徒として先達となる領邦軍に無様を見せるような事がないように!」

 

 その言葉に生徒達は慌ただしく動き出す。

 

「俺達もオーバルスーツに着替えておくか」

 

「そうだな。アリサが制服の下に着込めるようにしてくれて良かったぜ」

 

 リィンの言葉にクロウは頷く。

 

「今回の特別演習は別の意味で大変そうだな」

 

 部屋に戻りながらリィンは独り言を呟く。

 ラマール州での演習はシュミットが同行している事もあり、警備的な理由で演習地ではなくジュノー海上要塞をそのまま宿舎として利用させてもらう事になっている。

 野営の設営が必要なければ、食事の準備も必要ない。

 雑用がない分、カリキュラムの密度は濃くなり、降車すればすぐにカリキュラムが開始される。

 

「こりゃカジノに行く暇もなさそうだ」

 

「クロウ……」

 

 愚痴をもらすクロウにリィンは呆れる。

 

「………………」

 

 そんな彼らの背中をミリアムがじっと見つめていた。

 

「ミリアムさん? どうしました?」

 

「ん? どうしたのアーちゃん?」

 

 アルティナの呼び掛けにミリアムは何事もなかったように普段通りの調子の軽い声で応じる。

 

「…………ミリアムさん、もしかしてあなたの本当の任務は――」

 

「ん~何のことか分かんないな。それよりアーちゃん、演習が終わったら海に行こう!」

 

「ミリアムさん……そんな暇はありません」

 

「えー良いじゃん。大丈夫、いけるいける」

 

 無邪気に纏わりついてくるミリアムにアルティナはため息を吐くのだった。

 

 

 

 

「トールズ第Ⅱ分校、ただいまジュノー海上要塞に到着しました」

 

 ジュノー海上要塞の総司令室。

 ミハイルは生徒達を引き連れて、要塞の責任者に挨拶を述べる。

 

「良く来たな《第Ⅱ》の諸君、君たちの活躍はこの地にも届いている」

 

 浅黒い肌の男性将官は親しみを感じさせる物腰で名乗る。

 

「ウォレス・バルディアス。統合地方軍の総司令を任されている……

 ようこそラマール州へ。トールズ第Ⅱ分校の諸君」

 

「ふん、挨拶などどうでもいい。それより新型機甲兵と例の兵器は何処だ?」

 

 ウォレスとミハイルのやり取りを一刀両断してシュミットが要望を口にする。

 

「はは、博士は相変わらずの御様子で……リーヴェルト少佐、博士を格納庫に案内してくれ」

 

「はい――了解しました」

 

 ウォレスの後ろに控えて立っていたクレアは前に進み出て、シュミットを促す。

 

「では、博士こちらに」

 

 そう促されてシュミットと、その護衛のミリアムが続き退出する。

 それを見送ってからミハイルは口を開く。

 

「やはりバラッド侯爵は不在のようだな」

 

「ああ、困ったことにな……」

 

 ミハイルの言葉をウォレスは肯定し、その内心を誤魔化すようにクロウに視線を向ける。

 

「ジュライ戦役以来か、お互い面倒な立場になったな」

 

「途中で寝返ったアンタ達はともかく、俺は生かされているだけ文句は言えないんだろうな」

 

 肩を竦めるクロウにウォレスは顔をしかめる。

 貴族連合の時、ウォレスはカイエン公爵の騎士としてクロウと出会った。

 その時に感じたのは《騎神》に選ばれて増長した少年。

 もしもあの時、カイエン公やクロウを諫める事ができていれば――

 

「今更だな……」

 

 ウォレスは自嘲して、無意味なもしもの思考を振り払う。

 

「改めて歓迎しようトールズ第Ⅱ分校の諸君……

 差し当っては君たちの特別演習の相手を行ってもらうゲストを招待しておいた」

 

「ゲスト……ですか?」

 

 そんな話は聞いてないとミハイルは訝しむ。

 

「入ってくれ」

 

 ウォレスが呼ぶと、ドアが開き一人の男と少女が入って来る。

 その男は一言で表すなら場違いな男だった。

 二人は統合軍の施設だと言うのに軍服は来ておらず、それどころか観光でもしていたのか思う花が乱雑に描かれたシャツと濃いサングラスを掛けていた。

 

「何だ貴様たちは……?」

 

 軍の風紀を著しく乱す装いの二人にミハイルは嫌そうに顔をしかめる。

 

「初めまして第Ⅱの生徒諸君、俺はゼファー・イーグレット。いつも姪が世話になっているようだな」

 

 男の名乗りに生徒達の視線がミュゼ・イーグレットに集中する。

 

「お久しぶりです。オジサマ。元気そうで何よりです。シオンちゃんも」

 

「シオン・オライオンです。よろしく」

 

 ミュゼの呼び掛けを半ば無視するように少女――シオンは名乗り、生徒達の視線は今度はアルティナに集中する。

 

「もしかしてアルティナとミリアムの妹?」

 

「…………型式番号から判断すれば、確かに彼女はわたしの妹ですが……」

 

 集中する視線にアルティナは戸惑うように答えるが、当のシオンはアルティナを一瞥もしなかった。

 

「ゼファー殿とシオン君には、君たちの機甲兵教練を行ってもらう事になっている……

 彼の実力については私が保障しよう」

 

「保障って……あんた、そいつは――!」

 

「何か問題でもあるかな、オルランド教官?」

 

 抗議の声を上げたランディにウォレスは意味深な笑みを浮かべる。

 その言外の答えにミハイルはため息を吐く。

 

「了解しました」

 

 ミハイルは振り返って生徒達に指示を出す。

 

「これより第三回特別演習を開始する!

 まずは戦術科、主計科ともに基地内の機甲兵に全員で搭乗し、ゼファー殿との戦闘訓練に望んでもらう」

 

「お、おい!」

 

 ミハイルの受け入れる姿勢にランディが狼狽え――

 

「ま、安心しろって。何だったらお前さんも混ざったって構わないんだぜ、ランドルフ・オルランド教官」

 

 肩に腕を回し、馴れ馴れしくゼファーはランディに笑いかける。

 

「――ちっ……」

 

 ランディはゼファーに舌打ちする事しかできなかった。

 

「全員が機甲兵に乗れるなんて、流石は帝国の軍事基地ってところか?」

 

 ミハイルの指示にアッシュが小声でぼやく。

 普段の機甲兵演習は専用機を宛がわれている《Ⅶ組》を除けば、戦術科は一種ずつしかない機甲兵を共有して使っている。

 分校の生徒達は決して多くはないが、それでも全員が機甲兵に乗る演習は彼らにとって初めての体験になる。

 

「“貴族連合軍”時代よりかなり縮小化されたそうですが」

 

 アッシュのぼやきにアルティナが応える。

 

「って言うか、あたし達を除いているって言っても十四対一なんて、止めた方が良いんじゃないの?」

 

「大丈夫だろ。むしろ十四程度であのオッサンの相手をする方が無理だろ」

 

「無理って……ミュゼのオジサンってそんなに強いの?」

 

「そうですね……正確な数字ではありませんが、機甲兵戦闘を前提にして考えるなら、帝国の“七”本の指で数えられる一人である事は間違いありません」

 

 自信満々なミュゼの答えにユウナは絶句する。

 

「俺達にとっても他人事じゃないな……

 地域貢献が終わったら、みんなの機甲兵教練に合流する事になるんだから」

 

 リィンはゼファーの正体について追及せず、どうやって戦うかを今から考える。

 

「はっ、問題ねえよ……

 俺のヘクトルの新しい装備の実験台にしてやるぜ」

 

「アッシュ……」

 

「はは、そいつは楽しみだな」

 

 威勢の良いアッシュの言葉にゼファーは笑う。

 

「では、挨拶はこれまでとして私たちは演習を始めさせて頂きます」

 

 ミハイルはため息を吐き、ウォレスにそう宣言する。

 そして 《Ⅶ組》を除く生徒達がゼファーとシオンに先導される形で、司令室から出て行って残ったのは《Ⅶ組》だけとなる。

 

「さて《Ⅶ組》の諸君、君たちにはまずこれを渡そう」

 

 そう言ってウォレスが差し出した書類をクロウが代表して受け取る。

 

「いつもの要請書と……注意事項?」

 

「ああ、現在ラマール州には猟兵団の活動可能性についてまとめておいた」

 

「猟兵団の活動可能性……《赤い星座》に…………《西風の旅団》ですか?」

 

 アルティナは意味深な沈黙を間に挟み、尋ねる。

 

「いや、あくまで現時点で具体的な話があるわけではない……

 だがこの半年、帝国各地で不可解な動きをしていた各猟兵団がラマール州で確認されている」

 

「それは領邦会議を狙っている、ということでしょうか?」

 

「その可能性も我々は考えている」

 

 クルトの疑問にウォレスは頷く。

 

「領邦会議の襲撃を企てる人物に心当たりはある」

 

「前カイエン公か……」

 

 クロウの答えにウォレスは顔をしかめ頷く。

 

「あくまで可能性の一つだ。各地の結社の動きも考慮すれば、決め付ける事はできない……

 それに北のジュライから不穏な“風”が吹ている気がしてな」

 

 歯切れの悪いウォレスの言葉に一同は首を傾げる。

 

「ま、やる事はクロスベルの時と同じか」

 

 クロウはそれ以上の追及をせず、その一言で《Ⅶ組》の演習内容を纏める。

 

「ああ、領邦会議そのものの警備は統合軍で行う……

 君たちはその警備体制の範囲の外や隙間で不穏な動きをしている者達がいないか気に留めて欲しい」

 

「今回の釣り餌は俺か……」

 

「クロウ……?」

 

「何でもねえ……了解した。ま、あんま期待しないでくれよ」

 

 クロウは取り繕うように笑う。

 

「この状況で君たちが来たというのも風と女神の導きだろう……

 オーレリア閣下の薫陶を含め、《蒼の騎士》と新Ⅶ組の働き、期待させてもらうぞ」

 

 クロウの作り笑いに気の利いた言葉を思い付かなかったウォレスはそんな型にはまった言葉で《Ⅶ組》を送り出す事しかできなかった。

 

 

 

 

「さて、今回の要請は……」

 

 総司令との面会を終え、オルディスに出発する準備を整えるためデアフリンガー号に戻った一同はクロウがテーブルの上に出した要請書に注目する。

 

「えっと、どれどれ……まずは定番の魔獣退治ね」

 

「それから領邦会議に出席者たちへの顔見せか……」

 

「船舶の立ち入り検査補助……は、面倒なもんもあるな」

 

「夏至祭の準備……」

 

「スターサフィールの捜索ですか……」

 

「そしてブリオニア島の調査か……」

 

 口々に読み上げられる要請の数々。

 今回の要請もまた忙しくなりそうだと一同が考えていた所でユウナが呟いた。

 

「そう言えばさっきから気になってたんだけど……」

 

「どうした、何か要請で気になる事があるのか?」

 

「ううん、そっちじゃなくて」

 

 ユウナはデアフリンガー号の窓から外を覗き込み、口を開く。

 

「何で軍事基地にメイドさんがいるの?」

 

 司令室への行き帰りの間にすれ違ったメイドたちへの疑問を尋ねる。

 

「何だそんなことか……」

 

「そんな事って……」

 

 クルトの答えにユウナは唇を尖らせる。

 

「統合軍の元である領邦軍は元々貴族で構成されている事もあって、雑用には外部の家政婦を雇っている基地も少なくないんだ」

 

「そうなの? でもドレックノール要塞では見なかったと思うけど?」

 

「それはあの時の僕達はお客様だったからだろ?

 今回の演習では一日中世話になるんだから隠す必要はないと思われたんじゃないのか?」

 

「……それもそっか……」

 

「ククク、何だ、もしかしてメイドに興味があったのか?」

 

「ふふ、ユウナさんにこんな趣味があったなんて、これは今夜は語り合わなければいけないですね」

 

「ちょ!? そんなんじゃないから!」

 

 そしてここぞとばかりにアッシュとミュゼが弄り始める。

 

「それでユウナさんが良いと思ったメイドさんはどちらの方ですか?」

 

「俺としては司令室の近くですれ違った銀髪のメイドがお勧めだぜ」

 

「あーもう! だからそんなんじゃないってば!」

 

 囃し立てるミュゼとアッシュにユウナが激昂する。

 そんなやり取りにクロウはため息を吐いた。

 

「おいおい、ガキ共! はしゃぐのは要請が終わってからにしろ」

 

「……はは、これまでの要請よりかは良い空気なのかもしれないな」

 

「無理に言わなくても良いと思います」

 

 リィンの感想にアルティナが突っ込む。

 クロスベルまでの特別演習はこんな風に雑談を交わせる空気ではなかった。

 そんな険悪な空気を思えば、軽口を交わせる今の空気は決して悪いようには感じなかった。

 

「今回の特別演習はうまく行きそうだな」

 

 そんな願望をリィンは口にするのだった。

 

 

 

 

「これは凄いな……」

 

 導力車の助手席に座っていたクルトは近付いて来るオルディスの城壁に感嘆する。

 

「ユミルの大樹も凄かったけど、この壁も凄いわね……」

 

 ハンドルを握りながらユウナもクルトと似た反応をしてしまう。

 

「フフ……オルディスの名所の一つ、七耀結晶の城壁……

 人口46万人の街を覆う結晶の壁は、クォーツで言えば魔獣除けの効果を持っていて“昔”からオルディスを護ってくれているんですよ」

 

 故郷を褒められてミュゼは上機嫌に解説する。

 

「…………昔って、いつから何だ?」

 

「え……? ごめんなさいリィンさん。私も詳しくは“知らない”んです」

 

 リィンの質問にミュゼは首を傾げながら答える。

 

「そうか……」

 

「……リィン?」

 

「何でもない」

 

 アルティナの呼び掛けにリィンは首を振る。

 気まずい空気が車内に漂う。

 だが何故リィンが不機嫌になっているのか、誰も分からず困惑する。

 導力車を門の地方兵士に預け、《Ⅶ組》はオルディスへと入る。

 

「す、凄い……とんでもなく綺麗で壮大というか……結晶の壁も含めてみると凄く幻想的……」

 

「ああ……僕も訪れるのは初めてだが……」

 

 視界一杯に広がる空と海の青さにユウナとクルトは思わず見入ってしまう。

 

「私は任務で何回か来ていますね」」

 

「風光明媚でいけ好かねえ街だがな」

 

「まさかまたここに戻って来るとはな」

 

 アルティナやアッシュは慣れているとばかりに感度は少なく、クロウはむしろ嘆いていた。

 

「ふふ……」

 

 三者三様の反応を見せる中、ミュゼはおもむろに前に進み振り返る。

 街の景色を背負うようにミュゼは歓迎の言葉を《Ⅶ組》に向ける。

 

「ようこそ、ラマール州都にして西部沿海州の盟主たる海港都市――《紺碧の海都》オルディスへ」

 

 にっこりと笑う笑顔に、普段の人を煙に巻く態度のミュゼに慣れたユウナ達は思わず見惚れてしまう。

 

「そう言えば、ミュゼはお嬢様だったのよね……」

 

「あら、ユウナさん。そんな言い方はないんじゃないですか? ねえ、リィンさん……リィンさん?」

 

 ミュゼはユウナの反応にいつものように笑顔で応え、そしてリィンの反応を伺い、首を傾げた。

 

「え……?」

 

 ミュゼの反応に一同は最後尾にいたリィンを振り返る。

 

「リィン!?」

 

「ちょっとどうしたの顔が真っ青じゃない!」

 

 ユウナ達は顔を蒼白して口元を押さえているリィンは一言、呻くように呟いた。

 

「…………気持ち悪い」

 

 その一言に一同の視線はリィンからゆっくりとミュゼに向けられる。

 

「…………え……? 私のせいですか?」

 

 ミュゼは歓迎の笑顔を顔を引きつらせるのだった。

 

 

 

 

 

 







 門の上から

謎の鎧騎士
「獅子の誇りを受け継ぎし若者たちと……彼の意志を継ぐ者……迫り来る嵐を前に何ができるか――見届けさせてもらいましょう」

謎の魔女
「燃え尽きた《蒼の騎士》……まだ貴方の胸に“焔”が残っているか――見極めさせてもらうわ」

謎の学者
「ふふふ……君が本物の《超帝国人》に成り得るのか――見定めさせてもらおう」

謎の鎧騎士
「………………」

謎の魔女
「…………」

謎の学者
「……」

謎の鎧騎士
「あの……御二人とも、ここは私が先に陣取っていた場所です」

謎の魔女
「あら、そもそも《幻焔計画》の仕切りは私だったはずよ」

謎の学者
「二人とも、君たちはサザーランドとクロスベルで介入していたはず。ここは私に譲ってもらいたいものだね」

謎の鎧騎士
「……」

謎の魔女
「…………」

謎の学者
「………………」

リィン
「…………ん?」

アルティナ
「どうかしましたかリィン?」

リィン
「今、門の上に誰かがいた気がしたんだけど……」

アルティナ
「クラウ=ソラスのセンサーにそのような反応はありません」

リィン
「……そうか……気のせいか……」




リィン
「気持ち悪い」

謎の魔女
「言われてるわよ」

謎の学者
「人聞きの悪い事を言わないでもらいたいな。私ではなく君たちの視線ではないのかね?」

謎の鎧騎士
「貴方の邪な目と一緒にしないで頂きたい……私のは……息子がいたらこうなのかと夢想した慈しみの目です」

謎の魔女
「…………いくら何でも、それはないわ」

謎の学者
「まさか君にそのような嗜好があったとは、元同僚として恥ずかしい限りだよ」

謎の鎧騎士
「はあ……貴方達と一緒にしないでください。私はあの子が赤子だった時から――」

リィン
「ん……?」

ミュゼ
「どこを見ているんですかリィンさん?」

リィン
「今、門の上に誰かが――」

ミュゼ
「誰もいませんね。そんな古典的な方法で誤魔化さないでください。リィンさんには私がオルディスの良い所を徹底的に教えて差し上げます」




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