閃の軌跡Ⅲ ―偽りの仮面―   作:アルカンシェル

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99話 晩餐会

 

 

 

 カレル離宮のホールへと移動した一同を並んだメイドたちが出迎える。

 

「起動者の皆様ようこそお越しくださいました……

 本日、皆様のお世話をさせて頂きますクルーガーと申します……どうぞお見知りおきください」

 

 仮面で顔を隠したメイドはスカートを持ち上げて礼をする。

 その背後に控えていたメイドたちも揃って頭を下げる。

 

「…………何をやっているんですかシャロンさん」

 

 その姿に、仮面で顔こそ隠れているが他の全てが丸見えな上に服の種類も見覚えのあるメイドにセドリックは思わず声を掛ける。

 

「シャロン……とは誰の事でしょうか?」

 

「惚けないで下さい! 貴女はシャロン・クルーガー……

 トールズ士官学院第三学生寮の寮長で、ラインフォルト社のメイドで、アリサのお姉さんじゃないか」

 

 内戦で生死不明で行方不明になったはずのシャロンだとセドリックは叫ぶ。

 しかし返って来た言葉は淡々としたものだった。

 

「人違いです……私はただのクルーガーです」

 

 何の感情もない返答にセドリックは怯む。

 しかし、セドリックはそこで退かずになお言葉を掛けようとして――エマが肩を掴んで止めた。

 

「アリサがどれだけ貴女を心配していたか知っているんですか!?」

 

「私はただのクルーガーです」

 

「シャロンさんっ!?」

 

「セドリックさん、その辺で……」

 

「エマ……だけど……」

 

「シャロンさんだけじゃありません」

 

「え……?」

 

 エマに促されてセドリックはクルーガーの背後に控えているメイド隊に視線を向ける。

 自分の居城でもある離宮にも関わらず、セドリックにとって見慣れない見知った姿を見つける。

 

「フィー、ラウラ……それに……んん?」

 

 クルーガーの背後に控えるメイドたちにセドリックは眉を顰める。

 

「人違いです。私はヴァルトラウテと言います。ここではメイドFとお呼びください」

 

「う、うむ……わ、私はメイドR……ラウラ・S・アルゼイドではない……ありません……ですわ」

 

「…………せめてもう少しうまく誤魔化してくれないかな」

 

 あっさりとボロを出したメイドにセドリックはため息を吐く。

 

「……それで貴方たち何をしているんですか?」

 

 その一方でリィンは別の二人のメイドにジト目と呆れた眼差しを送る。

 

「ち、違うんです。私は会場の警備をするはずだったのにレクターさんがこの服を……」

 

 顔を真っ赤にして俯くのはクレア。

 彼女の装いも普段の軍服ではなく、給仕係としてのメイド服だった。

 

「何を言っておられますか、会議が気になると仰っていたのはクレアお姉さまじゃないですか」

 

 裏声を使って恥じらうクレアを揶揄うのは赤毛のメイド。

 

「レクターさん」

 

「嫌ですわ、クレアお姉さま。いえ、メイドCさんここではメイドLとお呼びしてくださいと言ったじゃないですか」

 

 裏声を使って女性らしく振舞うメイドにクレアは拳を握り締めて体を震わせる。

 

「…………レクターさん……ですよね?」

 

 リィンは確かめるように赤毛のメイドに尋ねる。

 

「いいえ、わたくしはレク・ター・ランドールと申します。今はメイドLとお呼びください」

 

 親しい者、顔見知りならば彼だと分かるのだが、その振る舞いは知らなければ一流のメイドとして見ることができるほどに完成されていた。

 

「いや……」

 

「わたくしも不本意ではありますが……

 こうでもしないとオジサマが抱えているものを知ることはできませんので……

 わたくしたちの事は背景だと思ってお気になさらないでください」

 

「…………不埒ですね」

 

「ち、違う……違うんです。そんな目で見ないでくださいアルティナちゃん」

 

 アルティナの視線にメイドCは赤面した顔を両手で隠して身悶える。

 

「気にするなって言われても……」

 

「そうですね、特にそちらの四人は……」

 

 頭を抱えるリィンに代わってアルティナがメイドCとLと共にいる四人のメイドたちにジト目を向ける。

 

「初めまして零の起動者様方、わたくしはメイドMです」

 

 ミント髪の少女は素知らぬ顔で名乗る。

 

「わ、私はユ――じゃなかったメイドYです」

 

「…………どうしてこんなことに、どうして……」

 

「…………くそっ……何で女郎蜘蛛は俺とアランドールの繋がりを把握してんだよ」

 

 挙動不審になりながら名乗ったメイドYに続いてもう二人のメイドは俯き、愚痴を吐いていた。

 

「そちらの二人はもしかして……」

 

「アルティナ、それ以上はやめてあげよう」

 

 推定メイドAとKについて言及することを避けて、リィンはメイドMに尋ねる。

 

「それでいったいどうして君たちがここにいるんだ?」

 

「起動者の皆さんが集まると聞いたので、アッシュさん――メイドAさんからメイドLさんを経由してオリヴァルト殿下に同席できないか相談しました……

 同席は許可できないけど、給仕係としてならアルバイトとして雇っても良いと許可を得ました」

 

「話を聞いてどうなる? これは起動者たち、至宝に関わる者たちの戦いだ……

 君たちが関与できる問題じゃない」

 

「確かに騎神を持たないわたしたちは共に戦おうとしても足手纏いになってしまうかもしれません」

 

 リィンの指摘にメイドMは頷き、そして言い返す。

 

「ですが、そんな足手纏いにしかならないユウナさんやクルトさんに至宝は武器を与えてくださった……

 その意味を考えるためにも……

 何よりリィンさんのクラスメイトとしても話を聞いておきたいと思ったんです」

 

「っ……」

 

 真っ直ぐな目で言い返すメイドMにリィンは怯む。

 人を煙に巻き、本心を語らず、人を掌の上で転がして動かすして腹黒い笑みを張り付けていた少女の真摯な眼差しにリィンは気押される。

 

「…………ミュゼ、なんだか変わったか?」

 

「ふふ……さあ、どうでしょう?」

 

 リィンの質問に彼女はいつもの調子ではぐらかすが、そこに不快な気持ちを感じることはなかった。

 今までは品定めされている視線だったが、オルディスの実習が終わってからは自分を売り込むかのような彼女のスタンスの違いにリィンは戸惑う。

 

「リィン……オリヴァルト殿下が認めているのですから、何か考えがあるのではないでしょうか?」

 

「それはそうかもしれないけど……」

 

 アルティナのフォローにリィンは顔をしかめながら頷く。

 いろいろ言いたいことはあるが、結局の所話を聞くだけならば害はないと納得することにした。

 

「ユウナ、綺麗だよ」

 

「ふふ、ありがとうキーアちゃ――じゃなかったありがとうございますキーア様」

 

 リィンの苦悩を他所にメイドYがキーア達を案内する。

 

「それではリィン様達はこちらにどうぞ、お席にご案内いたします御主人様」

 

「その呼び方はやめてくれ」

 

 笑顔のミント髪のメイドにリィンは晩餐会が始まる前から疲れを感じるのだった。

 

 

 

「くだらないな……」

 

 それぞれがメイドたちに席に案内され、着席していく中で最後まで立っていた仮面の少年が興味なさそうに呟いた。

 

「イシュメルガよ」

 

 隣の席に既に座ったオズボーンは咎めるように声を掛けるが、それを無視して少年は踵を返した。

 

「義理は果たした。あとは好きにすればいい」

 

 オズボーンが諫める言葉を掛けようとしたが、聞く耳持たずに黒い仮面の少年は用意された席を無視して広間から退出してしまった。

 その後ろ姿にオズボーンはため息を吐く。

 

「オズボーン宰相」

 

「失礼、オリヴァルト殿下。御見苦しいところを見せてしまいましたね」

 

 オズボーンはオリヴァルトに向けて頭を下げる。

 

「いや、謝罪は良いのだけど……彼についてはいろいろ聞きたかったのだけど……」

 

 オリヴァルトはここに集まった者たちの多くがオズボーン宰相の隣にいる少年――黒騎士のことを知りたいと思っていた事を代弁する。

 

「それについては御安心を……

 彼についての情報は私が包み隠さず答えることを約束しましょう」

 

「そうか……」

 

 ならば良いかと、一人分の空白ができた円卓をオリヴァルトは見回し、晩餐会の始まりを宣言するように語り始めた。

 

「起動者並びにその関係者の諸君……

 今日はボクの突然の我儘な催しにも関わらず、こうして集まって頂いたことをまず感謝させていただこう」

 

 オリヴァルトの言葉は静かにホールに響き渡る。

 

「君たちも把握していると思うが、ボクは君たちの戦いに参加できない所謂部外者だ……

 しかしこれだけの猛者が帝国の“裏”で戦い、歴史から誰にも知られず語られずに埋もれてしまうことは忍びないと思っている……

 それが一つの建前ではあるのだけど――」

 

 オリヴァルトは苦笑する。

 

「お恥ずかしいことにボクはこの帝国の裏で何が起こり、何が原因でこうなってしまったのかを正確に把握できていない……

 今日は事の発端になる帝国の至宝についてもできれば語って欲しいと思っているよ」

 

「そいつは俺も助かるな」

 

 オリヴァルトの言葉にルトガーが応える。

 

「そっちの男は俺とバルデルを潰し合わせてゼクトールを押し付けたくせに、結局何に巻き込んだのか語らないままだったからな……

 説明してくれるなら助かるぜ」

 

「ふ……」

 

 ルトガーに睨まれながらもアルベリヒは不敵な笑みを浮かべるだけで済ませる。

 

「うむ……身内の恥を晒すようなものじゃが、今更隠し立てするつもりはない」

 

 ローゼリアもまたアルベリヒを睨みながらもオリヴァルトの要求に頷いた。

 

「とは言え、まずはエレボニアの皇族として君たちを持て成させて欲しい」

 

 オリヴァルトが合図をすると、メイドたちが動き出し、壁際に控えていた二人の赤毛の音楽隊が静かな調べを奏で始める。

 未成年にはソフトドリンクを、大人たちにはワインがグラスに注がれていく。

 

「――それでは皆様、グラスをお持ちください」

 

 飲み物が行き渡ったところでオリヴァルトが改めて声を掛ける。

 

「この佳き夜に乾杯をして始めるとしよう――乾杯!!」

 

 こうして起動者たちの晩餐会は始まった。

 後に“相克”という起動者同士の戦いがあると言うのに、その場に流れる空気は決して殺伐としたものではなかった。

 

「ふむ……この時を待っておったぞ」

 

「ロゼ、はしたないですよ」

 

「言うなリアンヌ。妾はこの日のために朝から何も食べてないのだからな」

 

「分かる分かる。アタシなんて昨日から何も食べてなかったんだよねえ」

 

 始まる晩餐会にローゼリアとイオが待っていましたとばかりにフォークを握り締める。

 その姿はとてもこの場での最年長とは思えない程、ある意味では見た目通りとも言えた。

 

「お婆ちゃん……」

 

「イオ様……」

 

 そんな二人にエマとダーナが恥じる。

 

「しかし俺は作法とか知らないんだけどな……」

 

「御安心ください。作法については私が補佐しますので」

 

 愚痴るルトガーには付き添いのメイドが助言をする。

 そんな始まりから雑談を交え、穏やかな晩餐会は進んでいった。

 

 

 

 

「始めに二つの至宝があった」

 

 ローゼリアが語り出す。

 

「一つは、猛き力を秘めし焔の至宝アークルージュ」

 

「もう一つは、靭き力を秘めし大地の至宝ロストゼウム」

 

 ローゼリアの言葉に重ねるようにアルベリヒが口を挟む。

 

「共に巨大な守護神の形を取り、人の子に奇蹟と恩恵をもたらした……

 数百年の間、それぞれの眷族たちはエレボニアの地においてそれぞれの繁栄を謳歌していたが……

 ある時期から、授かった人間同士が相争うようになってしまったのじゃ」

 

「二つの至宝は人の望みを聞き届け、遂に直接、ぶつかり合う事になった……

 齎されたのは大災厄……

 大地が震え、天が引き裂かれるほどの天変地異だった」

 

「人間たちが後悔しても最早止まらず、千日におよぶ戦いは地上を暗黒の焦土と化し、最後に至宝同士の争いは終焉を迎えた……

 ただし相討ちという形で……

 力尽きた至宝の抜け殻はそれぞれ遠くへ飛ばされ、暗黒の大地にようやく静寂と光が戻ったのじゃ」

 

「しかしそこで話は終わらなかった。いや始まったと言えるだろう」

 

 アルベリヒは声に興奮の感情を含ませて続ける。

 

「二つの至宝の“力”が最後の激突で融合……

 全く新たな存在がこの世に生まれたのだ……

 それこそが《巨イナル一》と呼ばれる鋼……

 焔と大地が練成されることで誕生した女神の思惑を超えた超越的な存在……

 内部で無限の自己相克を永劫に繰り返す、究極にして不安定な力の源」

 

 そんなアルベリヒの様子にローゼリアは肩を竦めて口を開く。

 

「生き延びた人々が悟ったそうだ。これは人の手に負えるものではないと……

 それぞれの聖獣の力も借り、焔と大地の眷属たちは協力して《巨イナル一》を封じることにした……

 しかし試みは悉く失敗し、最後に試されたのはある方法じゃった」

 

「上位次元において《巨イナル一》としての本質を保ったまま、現実世界では複数の“個”として存在する……

 大地の眷属が七つの器を用意し、焔の眷属が力を分割して宿すことで《鋼》を封印して“彼ら”は造り出された」

 

「すなわち七体の騎士人形《騎神――デウス=エクセリオン》を」

 

 語り終えたローゼリアは息を吐いてワインで喉を潤す。

 

「概ね……誰かに教えてもらった通りの伝承だね」

 

 ローゼリアとアルベリヒが語った帝国の二つの至宝に纏わる話にオリヴァルトは記憶と齟齬がない事を確かめるように頷く。

 

「帝国の至宝の話は分かりました……

 ですが、どうしてヴァリマールや他の騎神が戦う事になっているのですか?」

 

 ロイドは今の話を整理しながら、騎神たちの今について尋ねる。

 

「それについては私が……」

 

 ロイドの質問にヴィータが答える。

 

「《鋼》は確かに《七の騎神》を用いる事でこの世界から封印されたわ……

 でも二つの眷属はここでも大きな間違いを起こしてしまった……

 最も強き騎神として、大地の眷属に作られた《黒》……

 最も大きな力を焔の眷属に宿らされた《黒》……

 二つの眷属は後の主導権を得るために、最高の騎神として造り出した《黒の騎神》に矛盾した呪いを打ち込んでしまった」

 

 《黒の騎神》は大地の眷属を起動者に選ぶべし。

 《黒の騎神》は焔の眷属を起動者に選ぶべし。

 

「矛盾した願いを《鋼の至宝》はそれこそ《黒の騎神》の目を通して見ていた……

 力を分割され、高位次元に封印され、《鋼》という脅威に手を取り合いながらもその裏で、互いを出し抜こうとしていた眷属たちに《鋼》は絶望した」

 

「それが人の願いならば……」

 

 ヴィータの言葉に、リィンが呟くように口を開く。

 周りの視線を集めながら、胸の奥に浮かんだ言葉をリィンはそのまま口にする。

 

「そんなに争いたいのなら、永遠に闘い争えばいいんだ」

 

 それは至宝が帝国に向けた呪いの言葉。

 リィンの言葉は静かに広間に響き、起動者たちは無言でそれを受け止める。

 

「《黒の騎神》に《鋼》が囁いた言葉は“滅ぼせ”」

 

 リィンの言葉に続くようにオズボーンが口を開く。

 

「そのためにイシュメルガが出した結論は全ての騎神を統合し、《鋼の騎神》となること……

 “相克”とは至宝同士の争いを騎神で再現し、《鋼の器》を創り出すための儀式になる」

 

「全てを滅ぼすために自分を《鋼》にしようと言うのかい?

 最高の騎神であり、最高の力を与えられた《黒の騎神》ならばエレボニアを滅ぼす事はできたのではないかな?」

 

 オリヴァルトが疑問を挟む。

 

「理由はいくつかありますよオリヴァルト殿下……

 まず騎神の思考フレームは俗に言う機械知性ではなく、当時に生きた者たちの意識を転写した言わば“使い魔”のようなものなのです」

 

「ほう、それは興味深い」

 

 オリヴァルトは確かめるようにローゼリアを見れば、彼女は肯定するように頷く。

 

「イシュメルガには二つの眷属が己の血筋を選ばせるために、秘密裏に二つの人格が転写された」

 

「それは……」

 

「相反する二つの人格は当然歪みが生じたが、そこには互いに共通する願いがあった」

 

「二つの眷属が同じ願いやって?」

 

 意外な言葉にケビンは首を傾げる。

 

「焔の眷属は《大地》の次に《空》のアウスレーゼを――

 大地の眷属は《焔》の次に《幻》のクロイスを――

 《空》の次は《水》を、《幻》の次は《風》を……

 その更に先を――この世界の全てを手中に収めることが《焔》と《大地》が戦いを始めた発端だった」

 

「……ではイシュメルガとは……」

 

「《鋼》の“滅び”と人の“欲望”を煮詰めたもの……それが《黒の騎神》イシュメルガの正体だ」

 

 オズボーンの結論に広間には静寂が訪れる。

 エレボニア帝国の裏に蠢くものの正体。

 それが人の業から生まれて来たものだという事実をそれぞれが噛み締め、理解しようと呑み込もうとする。

 

「はっ……迷惑な話だな」

 

 しかし、その理不尽をルトガーは侮蔑と共に吐き出した。

 

「まさかそんなくだらない事のために俺とバルデルははめられたとはな」

 

「ふ……それを君が言うかね猟兵王?」

 

 ルトガーの言葉にオズボーンは言葉を返す。

 

「何が言いたい……?」

 

「一山いくらの端金で“闘争”を求めて女子供も死なせることも厭わない、それが“猟兵”であろう?」

 

「ハハ、痛い所を突くねぇ……

 だがこれでも無関係な人間は巻き込まない事を流儀にしてきたつもりだ……

 猟兵くずれと一緒にしてもらっちゃあ困るな」

 

「そんなものは貴公の勝手な言い分に過ぎんよ……

 “猟兵王”だろうと“猟兵くずれ”であろうと虐げられる民にとってはどちらも同じ“猟兵”だという事には変わるまい……

 今回は君が“闘争”に巻き込まれる側だっただけの事、被害者の立場になった途端に理不尽だと言うのなら随分と器の小さい男だ」

 

「クク……言ってくれるじゃねえか……だが、その通りだな」

 

 オズボーンの指摘をルトガーは認める。

 バルデルとの決闘を利用された事。

 《西風の旅団》を使い走りにされていた事。

 そしてフィーをダシに都合よく自分を動かそうとしている事。

 それらに感じていた憤りを筋違いだったとルトガーはあっさりと認めてしまう。

 ルトガーを論破したオズボーンは続けて語り出す。

 

「イシュメルガの目的は己を《鋼の器》に昇華させる事……

 そのために“焔”と“大地”の至宝同士のぶつかり合いに匹敵する“熱”を生み出す必要がある」

 

「それに《鋼の器》への昇華……

 それはヴァリマールがクロスベルで行った“アンヘル化”と同じようなものでしょうか?」

 

「至宝同士の戦いの再現……そんな事ができるのかい?」

 

 オリヴァルトのセドリックの疑問にオズボーンは頷く。

 

「全ては暗黒竜がこの地に現れた時から始まった計画……

 各地で騎神を争わせる戦乱を起こし、散った命や負の想念は来たるべき日のための薪木としてこの大地の深くに保存されている……

 これについてはダーナ君には説明するまでもないだろう?」

 

「…………精霊回廊の事ですね……」

 

「ダーナさん?」

 

「精霊回廊は私が生きていた時代の頃よりも濃く強く、そして霊脈に融合して溶け合っている……

 《ミストルティン》がそこからこぼれた一滴の想念だとしたら、その源流にはどれだけの想念が蓄えられているか想像もつかない」

 

「それが《鬼の力》の源泉とも言えるものだ……

 千年蓄積した想念……そこに接続する事で得られる力は君たちも知っている通りだ……

 もしもこの力を全ての帝国人に開放したら、どうなると思う?」

 

「え……?」

 

 オズボーンの言葉にオリヴァルトは虚を突かれ、絶句する。

 

「全ての帝国人が《鬼の力》を開放する……?

 帝都だけでも80万人の人口がいる。それが全て……超帝国人になるというのかい?」

 

「オリヴァルト殿下!」

 

「ええ……全てが超帝国人となるのですオリヴァルト殿下」

 

「オズボーン宰相っ!」

 

 リィンの叫びを無視してオズボーンは続ける。

 

「もっともその超帝国人はそこのリィンのように《鬼の力》を律し御する事はできないでしょう……

 その意味が君たちには分かるでしょう?」

 

「《鬼の力》を暴走させた獣の軍団と言う事ですか……

 なるほどそれは頼もしく、恐ろしいものだ」

 

 ルーファスは80万の鬼の獣たちの軍勢を想像して身震いする。

 

「そしてそんな軍団が必要になる戦場……なるほど、そう繋がるのですね」

 

 ルーファスは一人分かったように頷く。

 

「全ては予定通り……

 獅子戦役も、リベールへの百日戦役も、クロスベルの独立戦争も、十月戦役も……

 騎神を《鋼》に至るための実験と準備に過ぎなかった……

 その点、アームブラストもキーア・バニングスもよく働いてくれたと言えるでしょう」

 

「俺たちが……?」

 

「それは……」

 

 オズボーンに話を振られてクロウは訝しみ、心当たりがあるキーアは黙り込む。

 

「戦乱の切っ掛けには運命に選ばれた者が“贄”として引き金を引く……

 “贄”は何も君たちだけではない……

 帝国のあらゆる場所で“贄”を産む事件が起きている……

 君たちが引き金を引かなかったとしても、別の誰かが“贄”となり引き金を引いていただろう……

 故に君たちが引き金を引いたのは《黒》に引かされたとも言える」

 

「……それがどうした」

 

 オズボーンの言葉をクロウは一蹴する。

 

「他に“贄”が生まれて俺じゃない誰かが十月戦役の引き金を引いていたから何だって言うんだ?

 アンタを撃ったのは俺の意志だ。“贄”だからなんて関係ねえ……

 この責任は俺が死ぬまで抱えて生きるって決めてんだよ。《黒》の意志なんて知るか」

 

「キーアも……

 クロスベルのために、ロイド達のために戦ったのは誰かに背中を押されたせいじゃなくてキーアが決めた事だから……

 それを誰かのせいになんてしたりしないよ」

 

「ふ……無粋な事を言ってしまったようだ」

 

 クロウとキーアの意志を聞かされてオズボーンは自嘲する。

 

「しかし、あまりにも壮大な話だ」

 

 オリヴァルトは紅茶を一口飲み、息を吐く。

 この短時間で判明した情報はあまりにも膨大だった。

 

「これはボクのような部外者が首を挟む余地はないのかもしれないね」

 

 自嘲するオリヴァルトにリィンは共感する。

 

「それは俺も同じですオリヴァルト殿下……

 俺も本来なら《七の騎神》の因果から外れた存在。この場にいるのは相応しくはないでしょう」

 

「いつまで惚けているつもりだね」

 

 しかしリィンの自嘲にオズボーンは冷めた言葉を浴びせる。

 

「っ……」

 

「君は確かに“七の騎神”の起動者ではないが、この場にいる誰よりも当事者の――いや原因の一人であろう?」

 

「原因……宰相、それはいったい?」

 

「その言い方はないでしょうオズボーン宰相」

 

 オリヴァルトが首を傾げる一方、アリアンロードはその強い言葉を諫める。

 

「いえ、オズボーン宰相から見れば俺の存在を疎ましく見るのは仕方がないでしょう」

 

「む……?」

 

 アリアンロードの仲裁に感謝しながらリィンは周囲を見回す。

 

「リィン……」

 

「大丈夫だ」

 

 不安そうにするアルティナを安心させるように言葉を返す。

 そこには既に話している者もいれば、察している者、何も知らない者もいる。

 自分のクロスメイトもいれば、《彼》のクラスメイトだった者もいる。

 全ての人達の注目を浴び、既に割り切った答えをリィンは口にする。

 

「リィン君……君はいったい……?」

 

 オリヴァルトはこれまでずっと先延ばしにしていた質問を言葉にする。

 

「俺は……今、貴方達が話していた《鋼の至宝》の意志。ノイを起点に再現している“彼”の幻影です」

 

「君が……ノイ君だと言うのか? 言われてみれば何故、ボクは君やリン君の事を思い出さなかった?」

 

 自問自答しながらオリヴァルトは周囲を伺えば、リィンの告白に驚いている円卓に座っている者の中にはほとんどいなかった。

 困惑しているのはロイドくらいだが、彼は元々ノイを知らないのだから例外と言える。

 

「ふむ……とうとう明かす気になったか……」

 

 ローゼリアはリィンのその告白を待っていたと言わんばかりに口を開く。

 

「そなたが《鋼の至宝》の意志ならば一つ聞きたい……

 先程、話にも出た眷属たちが課してしまった《呪い》を解くことは出来ぬのか?」

 

「ローゼリア様、俺はたしかに《鋼》の意志ですが、いわば表層意識を切り出したものに過ぎません……

 《焔》と《大地》の眷属が願った敵を“滅ぼせ”という願いは深層領域に刷り込まれた本能みたいなもの……

 俺の言葉で《鋼》が変わったりはしません」

 

「…………そうか……」

 

 リィンの答えにローゼリアはそれ以上は何も言わず事実だけを呑み込む。

 

「だが、リィン・シュバルツァーの出現は《預言》を大きく乱していると言えるだろう」

 

 消沈する空気の中でオズボーンは最初に黒騎士が消えた扉の方を一瞥する。

 

「《鋼の至宝》が自分の意志で“彼”を演じ始めたように……

 イシュメルガもまた《黒騎士》となって人に関わるようになった……

 これは1000年前からでは考えられない変化だろう」

 

「イシュメルガが先程の《黒騎士》ですか?」

 

 アリアンロードは信じられない事を聞いたと思わず聞き返す。

 

「別におかしなことではあるまい……

 地精が作り出した戦術殻は分身もすれば変形もする。ましてや今の《黒》はクロスベルの《零》を取り込んでいる……

 その程度の幻影を生み出すことなど造作もないのだろう」

 

「…………彼がイシュメルガだとして、オズボーン宰相は何故彼に“ティルフィング”や彼の部隊を用意しているんですか?」

 

 セドリックが新たに生まれた疑問を振る。

 

「さてな……あれが何を考えているのかは、私も検討がつきません……

 イシュメルガにと求められたから用意しただけ、他の《黒騎士》たちはイシュメルガが直々に声を掛けて連れて来たらしいですが……

 イシュメルガにとって意味がある事なのか、それともただ《鋼》がしている事を真似しているのか」

 

 曖昧な言葉だが、はぐらかすためと言うよりもオズボーンがまだイシュメルガの行動を見極めている最中だという事は分かる。

 

「そのイシュメルガはリィン君と《ゾア・ギルスティン》の存在についてどう考えているのかしら?」

 

「ヴィータさん?」

 

「二人の力は“騎神”と戦うには十分と言えるでしょう……

 だけど“七の相克”という観点から考えれば余分な一機である事は間違いない……

 そこのところをはっきりさせてくれないと、起動者たちも安心してリィン君に背中を任せられないんじゃいかしら?」

 

「イシュメルガ様は特に脅威と感じていないようですね」

 

 ヴィータの疑問にアルベリヒが答える。

 

「それはどうしてかしら?」

 

「所詮《零の騎神》はクロスベルで消えるはずだった存在……

 今の状態も《黒》に力を奪われた出涸らしに過ぎない……

 そんな壊れかけの《騎神》が相克に介入しに来たとしても、改めてイシュメルガ様が力となるだけだろう」

 

「出涸らしだって……」

 

「は、言ってくれるじゃねえか」

 

 見下したアルベリヒの言葉にセドリックとクロウは不快そうに顔を歪める。

 

「なるほど……そういう状態で《零》は“相克”に組み込まれたという事なのね」

 

 そしてアルベリヒの答えにヴィータは《零》が“相克”に介入できると確信する。

 

「ところで一つよろしいでしょうか閣下?」

 

「何だねアルベリヒ?」

 

 不意にアルベリヒが発言の許可を求めて起動者たちに切り出した。

 

「せっかくの機会なので起動者諸君に提案をしよう……

 《黒の騎神》イシュメルガ様の軍門に下るつもりはないかな?」

 

「え……?」

 

「は……ふざけてんのか?」

 

 虚を突く提案にキーアは呆け、クロウは眦を上げてアルベリヒを睨む。

 

「多くの起動者たちを見て来た私が断言しよう……

 君たちは騎神を理解し、その力を積み重ね、歴代の起動者たちを超えた傑物となっている……

 しかし断言しよう。君たちはイシュメルガ様に勝つことは不可能だと」

 

「言ってくれますね」

 

「は、随分と大口を叩くじゃねえか」

 

 アリアンロードとルトガーの静かに受け答えするが、その眼差しには既に闘志が宿っていた。

 

「それ程の差があるのだと言っているのだよ……

 しかしそれ程までに高められた力をただ消費するには惜しいのも事実……」

 

「しかし“相克”は回避できない儀式ではなかったのかね?」

 

「その通りだルーファス卿……

 だが君たちがイシュメルガ様に負けた際に“眷族”となれば生き永らえる事は可能だ」

 

「“眷属”ではなく“眷族”ですか……」

 

「どういう意味なんだいエマ?」

 

 眉を顰めるエマにセドリックは補足説明を求める。

 

「“眷族”とは一切の意志を持たぬ下僕の事を指します」

 

「ふふ……何もそこまで自我を奪われることはない……

 存外に心地良いものではある事は保証しよう。ですよねオズボーン閣下?」

 

 同意を求めるアルベリヒにオズボーンは肯定も否定もせずに肩を竦める。

 つまりはオズボーンとアルベリヒのような隷属関係になれとの提案。

 

「そんなもの受け入れるわけがない」

 

 リィンははっきりと拒絶を言葉にする。

 

「ふふ、本気で――」

 

「その辺りにしろアルベリヒ……

 その提案は“相克”に水を差すやもしれぬぞ」

 

 嘲笑を続けるアルベリヒをオズボーンが諫める。

 その指摘にアルベリヒは肩を竦めて、口を噤んだ。

 

「さて、そろそろ語り尽くしたでしょう……

 御満足頂けましたかオリヴァルト皇子?」

 

 オズボーンは頃合いと見計らって、終わりをオリヴァルトに提案する。

 

「ああ、実に有意義な時間だったよ。そして改めてボクの無能と道化ぶりを思い知らされたばかりだ」

 

 ため息を吐くと共にオリヴァルトは椅子にもたれて天を仰ぐ。

 

「そうか……本当にもう“彼”はいないのか……」

 

 実感が湧かないのは、もうほとんど“彼”の事を思い出せないからだろうか。

 オリヴァルトの呟きに、広間に沈痛な空気が流れる。

 

「僕たちが“彼”を一人で行かせなければ……」

 

「ううん、キーアがもっと強かったら……」

 

「それを言ったら俺だってなあ……」

 

 セドリックとキーア、クロウは“彼”への後悔を滲ませる。

 

「言っても仕方がないことだ。戦に赴けば帰らぬ人が出るのは自然なこと……“彼”も例外ではなかっただけだ」

 

「俺としては“影の国”でのリベンジをしたかったんだがなあ」

 

「……惜しい子を亡くしました……出来る事なら“彼”の魂が正しく女神の下に辿り着けていれば良いのですが」

 

 アリアンロードの言葉に、一同は自然と目を伏せて冥福を祈り――

 

「――――くしゅん」

 

 静謐な空気を唐突なくしゃみの音が破壊した。

 

「おい……ちっとは空気を読めよ――って、誰だ?」

 

 クロウは文句を口に目を開けて、くしゃみをした誰かを咎め、眉を顰めた。

 

「――おっとこれは失敗しましたね」

 

 一同の視線が集まった先には、こっそりと《黒騎士》が座らなかった席に座ろうとしていた男と、それに付き従っていた二人の仮面の人物がいた。

 

「ヨアヒム……いや、ゲオルグ・ワイスマン!? どうしてここに!?」

 

 ロイドは知った顔に驚き声を上げる。

 同時に三人のメイド達が動いていた。

 

「動かないでください」

 

 メイド長はワイスマンの背後を取って、その首にダガーを当てて警告する。

 

「同じく、変な動きをしたら容赦しないよ」

 

 メイドFはスカートの下から双銃剣を抜くと小さな方の仮面の背中に突き付ける。

 

「何者かは知らぬが、ここは関係者以外は立ち入り禁止だ。お引き取り願おう」

 

 どこからともなく巨大な大剣を取り出したメイドRは太刀を佩いた鬼面に突き付けて――

 

「んっ」

 

 小さい仮面が短く唸ると、メイドFとの間の空間が歪み、《黒の戦術殻》が現れてメイドFを強引に突き放す。

 

「むっ――」

 

 同時に《灰の戦術殻》がメイドRの大剣を鋼の腕で払い退ける。

 

「っ……」

 

「くっ……」

 

 メイド達は危なげなく戦術殻の攻撃を避けて、距離を取り武器を構え直し――

 

「《クラウ=ソラス》!? 《フラガラッハ》!? どうしてっ!?」

 

 アルティナは現れた二つの戦術殻に驚きの声を上げる。

 二つの戦術殻はそのアルティナの声に居心地が悪そうに身じろぎをするだけで何も答えない。

 代わりに――

 

「あ、あのα君。できれば私の方も……」

 

「んー……」

 

 小さな仮面はワイスマンの助けを求める声に腕を組んで考え込み、助けようとしない。

 一方で、鬼の面は何の反応も示さずに立ち尽くしていた。

 

「どうしますか?」

 

 二人の仮面を警戒しつつ、メイド長はダガーを突き付けたままオズボーンに尋ねる。

 

「…………いい。解放してやれ」

 

 オズボーンの指示にメイドはワイスマンの首からダガーを外して一歩下がる。

 生きた心地がしなかったワイスマンは首を撫でてため息を吐く。

 

「やれやれ、ヨシュアやブルブランのようにするのは難しいですね」

 

「ふん……元蛇の使徒が何の用だ?」

 

 オズボーンは不機嫌そうに、気付かせずに自分の隣にいたワイスマン達を睨む。

 

「そちらの仮面の子供は帝都の地下にいた《人形遣い》ね……

 まさか貴方の手の者だったとは思わなかったわ《教授》」

 

 ヴィータは見覚えのある仮面の子供を確認しながら尋ねる。

 

「ふふ……起動者同士が集まって晩餐会をしていると耳に挟んだものでね……

 私も《影の国》で一度は騎神に乗った身。ならば参加しなければと馳せ参じたのだよ」

 

「図々しいですね」

 

 ワイスマンの答えにアリアンロードは一言で侮蔑する。

 

「冷たいですね。同じ使徒だった誼で誘ってくれても良かったじゃないですか」

 

「嫌よ」

 

「誰が貴方なんかを呼ぶものですか」

 

 二人の使徒はワイスマンの懇願を拒絶する。

 

「メイド長殿、彼らのお見送りを――」

 

 そしてオリヴァルトも、ゲオルグ・ワイスマンに良い記憶はないと珍しく冷淡な対応をして、彼らを制圧したメイド達に指示を出す。

 

「無論、タダでこの席に座らせて頂こうとは考えていないよ」

 

 しかし無碍にされているにも関わらずワイスマンは続ける。

 

「私は君たちが先程議論していた《鋼の呪い》を解く方法に辿り着いた」

 

「なん……じゃと……?」

 

「そんな……あり得ない」

 

 ワイスマンの言葉にローゼリアとイオは信じられないと目を剥く。

 

「もっとも仮説の最後のピースを埋めるためには、ギリアス・オズボーン……

 貴方に一つ答えてもらいたい問いがある」

 

「私に……?」

 

 振られた話題に、投げかけられる質問の心当たりがないオズボーンはワイスマンを訝しむ。

 

「君たちは知りたくはないかな?」

 

 ワイスマンはオズボーンから視線を外し、円卓に座る一同を見回して告げる。

 

「《鋼の至宝》の呪いを解く方法……

 そして“彼”の――真の《超帝国人》の秘密を……」

 

「呪いを解く方法……」

 

「それに真の超帝国人の秘密……」

 

 突然現れ、自分たちではどうしようもないという結論に至った問題を解決できる方法があると言うワイスマンを一同はまず疑う。

 しかし使徒は知っている。

 彼は決して口から出まかせを言うような人間ではないと。

 ルーファスとルトガーも察する。

 多くの人間を見て来た経験からワイスマンの言葉に嘘ではないと。

 

「さて……」

 

 ワイスマンはオズボーンに語り掛けるように尋ねる。

 

「座ってもよろしいかね?」

 

「………………ふ……良いだろう」

 

 《黒》に魅入られ、盤上全てを把握している自分に知らないものがあると突き付けた男にオズボーンは笑みを持って、その挑戦を受け入れた。

 

「面白い話を期待させてもらおう。ゲオルグ・ワイスマン」

 

 

 

 

 

 

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