ガラルの頂点を目指して   作:笛とホラ吹き

6 / 10
5:ジムチャレンジ・ターフタウン

「番号442、チャレンジャーのチカです。ジムリーダー『ヤロー』への挑戦を希望します!」

「はい、本人確認完了……承りました。それではこちらの番号札を持って、呼ばれるまで控え室で待機していてください。男性用更衣室は控え室と同じ場所にございます」

 

 受付の女性から『11』と書かれた番号札を受け取り、チカは案内された控え室に入る。その中では自分よりも先に来たチャレンジャーが、着替えを済ませて出番が来るのを待っていた。

 自分の番号札は11だが、控え室にいるのは自分を除いて5人だけであった。つまり、既に自分の前は半分挑戦を終えているということになる。ライバルの成功失敗などどうでもいいが、あまり失敗者が多いとメンタルに差し支えある気がする。程々に突破できるといいなと、チカは己のメンタルのために生暖かいエールを贈った。

 

「さて、ウインディ。お前が何十何百と数えるのも飽きる程タンドンやホシガリスを倒したのは、全てこの日のためだ。ヤローさんを倒して一つ目のバッジを手に入れる……それを確実にするためには、くさタイプに相性の良いお前の頑張りがいる」

「うぃん」

 

 ジムリーダーは、それぞれが専門とする一つのタイプで手持ちのポケモンを統一している。ヤローの専門はくさタイプ。相性有利であるウインディの働きは、バトルの結果を大きく左右するであろうとチカは予測を立てていた。

 そのために、捕まえてからターフタウンに着くまでずっとウインディを鍛え続けてきたのだ。役に立ってもらわなければ困る。

 

「お……10番の人勝ったのか。先越されたな」

 

 自分の一つ前のチャレンジャー、『63』の背番号を付けた少女がヤローに勝ったのを見て、チカはそろそろ自分の出番が来ると立ち上がる。

 相手が誰だろうと、負けるつもりはない。通過点などさっさと突破して、次へと向かおう。両頬をバチリと叩いて気合を入れ、チカはスタッフの指示に従って、観客達の待つバトルフィールドに向けて一歩を踏み出していった。

 

『さぁ観客席の皆さん、本日最後のチャレンジャーがやってきました!背番号442、チカ!ヨロイ島マスター道場からの刺客です!』

 

「頑張れよー!」

「応援してるわ〜!」

「勝ってお前がチャンピオンだー!」

「勝てー!」

 

「凄え歓声……へへ、負ける訳にはいかないな!」

「うらっ!」

「ぶるん!」

「ういん!」

 

『チャレンジャーは、ジムリーダーに挑戦する前に試練を突破する必要があります!ターフスタジアムの試練は『ウールー転がし』です!さぁ手際の良さを見せられるかチャレンジャー!?』

 

 ジムチャレンジでは、ジムリーダー挑戦する前にちょっとしたミニゲームのようなものがある。

 ターフスタジアムのそれは『ウールー転がし』。エリアにいるウールーというポケモンを、制限時間内に全員所定の場所まで追い立てていくという試練である。エリア内にはジムトレーナーというお邪魔要素もいるため、巧みに避けながらウールーを運ぶ必要があるなかなか難しい試練だ。

 

「ま……俺にかかればちょちょいのちょいよ!」

 

『チャレンジャー、エリア内に配置された大量のウールーを苦もなく運んでいく!途中のワンパチからの妨害もスルー!待ち構えているジムトレーナーもスルー!あっという間に試練を終えたぁ!』

 

「早えぇぞアイツ!」

「これは期待できそうだ!」

 

 ウールーに向かって吠えることで妨害してくるワンパチを躱し、ジムトレーナーも彼らの視界に入らない場所を通ることで完全にスルー。10分あった制限時間を6分も残して、チカはヤローの待つスタジアム最奥へ辿り着いた。

 白線で区切られたフィールドで、チカとヤローはボールを構えて向かい合う。これから真剣勝負が始まるというのに、2人の顔はそんなプレッシャーを微塵も感じさせない程穏やかであった。

 

「ターフスタジアムへようこそ、僕への挑戦を歓迎しますよ。君のことはマスタードさんから話を聞いています。なんでも、『自分の弟子の中でも3番目くらいに強い奴だから、お手柔らかに』と」

「さ、3番目だとぉ!?この俺が!?あのジジィ、舐めたこと言いやがって!」

「おぉ、怖い怖い。マスター道場の門下生の数を考えると、十分過ぎると思うんですけどね。あのマスタードさんの弟子ということで、君には最初から僕のベストメンバーでいかせてもらいます!」

「悪いけど瞬殺させてもらうよヤローさん!3番手なんて器じゃないところ、見せてやるから!」

 

 ジムリーダーという特別なトレーナーの証、ハイパーボールから手持ちを繰り出すヤロー。ボールより解き放たれたポケモンは新たなる戦いを待ち望んでいたかのように吠え、チカを睨みつける。

 相手がポケモンなら、その眼光に怯んでぼうぎょを下げられていたところだが……生憎チカはポケモンではなく人間。自身を睨みつける眼に怯まず、己のポケモンを繰り出した。

 

「ルンパッパ、まずは頼みますよ!」

「ウインディ、気合い入れろよ!」

 

『両者先発のポケモンを繰り出しました!後は審判からの開始の合図を待つばかり……今!審判によりバトルの開始が宣言されました!』

 

あまごい!」

おにび!」

 

 ジムチャレンジ第一戦、チカVSヤロー。始まりの戦いの火蓋が切って落とされた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。