ガラルの頂点を目指して   作:笛とホラ吹き

8 / 10
7:VSヤロー・2

「ウインディ、かえんほうしゃ!」

「キレイハナ、ちょうのまいです!」

 

 ウインディが大口を開けると、そこから盛大な炎が飛び出してキレイハナを襲う。しかしキレイハナはこれに動じずヤローの指示を遂行する。ちょうのまいによる特防上昇効果がキレイハナのタフネスをより高い水準へと押し上げ、かえんほうしゃを見事耐え切って見せたのだ。

 炎が効いていないことに驚いたが、チカはすぐに気持ちを切り替えてウインディに指示を出す。一つの手に固執して勝ち筋を見失ってはいけない、一流トレーナーの持つべき心得を実践して見せた。

 

「ウインディ、おにびだ!」

「ハナァ!?」

「また耐久作戦ですか……今度はさせません!」

「だったら押し通すまでです!かみくだく!」

 

 特殊型の技であるかえんほうしゃでは、ちょうのまいを重ねたキレイハナは倒せない。チカは多少ダメージ効率が落ちることを覚悟で、2度目の耐久戦を挑んだ。

 これでキレイハナが『ちからをすいとる』でも使ってきたら、もう詰みと言ってもいい状況になってしまっていたが……あくまでジムチャレンジは突破されることが前提。本番のトーナメントでならともかく、ジム戦でそこまで本気で来ることはないとタカを括っていた。

 

 実際、チカの読みは当たりである。

 

『エナジーボール ねむりごな

 ちょうのまい  リーフストーム』

 

 がキレイハナの技構成となっている。『際限なく強化され続ける相手をどう突破するか?』がコンセプトとなっている関係で、それ以外のことはワザとしないようになっているのだ。

 つまり、このキレイハナにも耐久戦は通じるということなのだが……

 

「……やめた。頼んだぜ、ウーラオス」

「おや、耐久戦には持ち込まないんですか?」

「何度も同じ手ばっかじゃ面白くないでしょう!どこまでも硬く、速く、強くなるっていうのなら……そいつを上から捩じ伏せる!」

「では、見せてください!リーフストーム!」

 

『キレイハナ渾身の一撃!ちょうのまいによって超絶強化されたリーフストームが、替わったばかりのウーラオスを襲う!』

 

「うわー!」

「どうすんだよこれ!」

「舐めプやめろー!」

「何とかしてくれぇ!」

 

 この交代の間に、キレイハナは4度のちょうのまいを終えている。最早火力だけでなく耐久力やスピードまでもが異次元の域。どうやって攻略するのかと、観客は固唾を飲んで見守っていた。そして彼らは、信じられないものを見た。

 

『な、な、な……なんとぉ!ウーラオス、迫り来る木の葉の暴風を一つずつ叩き落としている!信じられません……ちょうのまいを邪魔できなかった以上はもう終わり!そうだったはずなのに……ウーラオスは未だに無傷!少しずつヤローのキレイハナに肉薄していきます!』

 

「うっそおん……!」

「集中しろ、ウーラオス!一枚一枚丁寧に……しっかりと見切りを付けるんだ!」

「ウゥ……ラァッ!」

「はなぁ!?」

 

 丁寧に、少しずつ。しかし素早くウーラオスは木の葉を叩き落としていく。そのペースは集中力が深まるとともにどんどん速くなっていき、遂に本体を捉える。

 

あんこくきょうだ!」

「ウラァッ!」

「ハナッ……!」

「キレイハナ、戦闘不能!ウーラオスの勝ち!」

 

 ヤローがリーフストームを指示する間もなく、ウーラオスの正拳がキレイハナの顔面を貫く。不発に終わった木の葉が風に流されて舞い散るその中心にキレイハナは堕ち、意識を失った。

 審判がウーラオスの勝利を宣言し、その言葉に観客は喝采を上げる。これで2対2。数の上でも並んだことで、バトルは最終盤に突入する。追い上げられるヤローはすかさず次のポケモン、チェリムを繰り出したのだが……

 

にほんば……」

インファイト!」

 

「ウラッ!ウラッ、ウラッ……ウラァ!」

「チェッ……ム……!」

 

『まさかの瞬殺です!相性有利なウインディに交代するまでもなく、ウーラオスがそのままチェリムを撃破!これでチャレンジャーチカ、最初の手持ちの数を逆転!ラストワンまで追い詰めたぁ!』

 

 瞬殺。チェリムがその特性『フラワーギフト』を発動し万全の状態になる前に、格闘技を連打するインファイトで何もさせずに倒したのだった。

 先のキレイハナとの戦いで、ウーラオスの集中力は極限まで研ぎ澄まされていた。その集中力を持ち越した冴え渡る連撃、太陽の強い光を浴びなければ真価を発揮できないチェリムに、それを耐えられる道理などなかったのである。

 

「戻れ、ウーラオス」

「いやはや……まさかここまで簡単に追い詰められるとは思っていませんでした。流石は元チャンピオンであるマスタードさんの認めた弟子!素晴らしい実力を讃えます!」

「まだ勝負は終わってませんよ……勝ったような口を聞くのは、勝ってからにしてください!」

「もちろん!僕だってまだまだ粘りますよ、農業は粘り腰なんですから!」

 

 ヤローは最後のポケモンを繰り出す。ジムリーダーが最後に出すのは、最も信頼する相棒であると相場が決まっている。つまりここでてくるのが、ヤローの手持ちで最強のポケモンという訳なのだ。

 現れたのはタルップル。りんごの姿をしたドラゴンタイプを併せ持つポケモンである。鮮やかな赤色を持つ重厚なボディに、ウーラオスやウインディのそれよりもより低く、深く響く咆哮。このポケモンは強いということが、素人でもありありと感じられる威風堂々とした佇まい。ジムリーダーの相棒に相応しい姿がそこにあった。

 

「それだけじゃありませんよ……全てを根こそぎ刈り取っていく!タルップル、キョダイマックス!」

「来たな……もう一度頼むぜ、ウーラオス!あの大きなリンゴ、お前の拳で粉々に叩き割っちまえ!キョダイマックス!」

 

 ダイマックスバンドよりガラル粒子のエネルギーがポケモンに注入され、2匹のポケモンはその姿をより大きなものへと変えていく。そこにいるのは元の姿から大きく姿を変えた、特別なキョダイマックスをした2匹。

 

 天を衝くような巨体が2つ。ここに大怪獣バトルが始まる。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。