ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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趣味でやってた事を投稿しました。

素人ですが、素人なりにやります。

タイトルについては、あくまで私作なリアスの物語だと言うのをわかりやすくしたつもり。


見初められし『赤』 桜舞い散る新学期
グレモリーの姫


 この世界は可能性の一つ、平行世界とか言い出したらキリが無い、他にどれだけある事やらだ。この『赤龍帝ドライグ』の見た中で、これだけ結末が不安にさせられたのは数える程だ。

 

 さて、今代の俺の宿主は本来のとは違うらしい・・・・何故か、本来のとやらは何代か前のになる。そう、その時の俺の相棒は歴代で最も弱いが、最も優しく、光り輝かんばかりな・・・・『バカ』

 

 おうよ・・・・っ!

 

 あんなドスケベで!

 

 あんな破廉恥で!

 

 あんっっな、欲望の化身な奴ぁ見た事ねえ!

 

 けどよ・・・・あの時の相棒の?がむしゃらな勢いと・・・・妙な人徳?ってのがある典型なんかが中心となって出来ちまってた・・・・『和』だの『輪』?って奴は稀少だった・・・・奴の周りには女が多めに集まり、特に奴のわかりやすさや勢い、良く言えばワイルドな有り様?とかバカな奴ほど可愛いって嗜好な女共が多めに集まってたが、俺自身が女の胸に執着するスケベに成り果てたとか言われ放題だったのはアレだがなあ・・・・。

 

 うぐぐっ、克服はしたがトラウマになっちまってた記憶の後遺症が・・・・っ。

 

 とにかく?これは、その当時のが本来いるハズだったらしいって世界が世知辛くなり、そこに最も相応しく・・・・最もあってはならなかったかもしれないのが俺の宿主になった世界だ。

 

 初めは大当たりだって思った。

 

 先述のドスケベならまだしも、歴代の宿主は力と欲望に溺れて破滅したのは珍しくねえ。

 

 今代のは、人間で言う『小学生』になった時に神器を目覚めさせたと思った矢先にいきなり『禁手』に至って、襲い掛かるはぐれ勢力の悪魔共・・・・俺も感じてたが魔力とかとが異常に高くて、その類いのを『食する』連中からは絶好の餌食だった。それを聞いて頭に来た宿主は、はぐれ悪魔の計五十体をたったのも三分も経たない内に皆殺しにしやがった。

 

 一回目で『禁手』に至った相棒・・・・それからしばらく経って、ある『縁』で背後に強力なスポンサー?が付いちまって、ひたすら戦いまくる日々だ。

 

 相棒は所謂転生者だ。

 

しかも、前世の記憶まである・・・・だから強い、恐ろしく強いだけじゃなくて頭もキレる。

 

 ・・・・な割に、見た目が丸っきり女だ。

 

 文化の域に達した日本の漫画とやらには迷走極まれりのが多いが、その中にサブタイに『暗○の破壊○』とか付いてる作品のボクっ娘ヒロインが?セーラー服を着て戦う国民的アニメに喧嘩を売るような形の変身に巻き込まれた際のデザインの髪を紫っぽい青やら水色?にして、それよりかやや年下な感じな容姿だわ。

 

 禁手の際の鎧姿は・・・・例の乙女座の鎧を赤くしてパーツを少なくした感じになってオルタな騎士王のバイザーみたいなので顔を隠した形になってる。

 

 ああ・・・・出会った時ばかり思い出しては色々細かいとこを考えちまうぜ。

 

 とにかく、俺は失敗した。

 

 相棒に良かれと思ってやってしまった事が多々ある。

 

 それが、あの日に・・・・相棒が『あの女』と関わった日、その数日後に全て裏目に出ちまったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目にしたのは『赤』だった。

 

 紅や深紅とも見える。鮮烈さと美しさの中に、絶対的な畏怖を感じさせる『赤』。

 

 何故、そう感じるのか?

 

 簡単だ。自分が求めたものだからだ。

 

 生まれた家の恩恵にすぎない自分の紅髪や無様に打ちのめされて流れる血とは比べようもない。

 

 あのような赤が欲しいと、何度願った事だろう。そう・・・・自分が流した血溜まりに沈む紅髪の美女リアス・グレモリーは本能的に目の前の赤の本質を見て、こうなった切っ掛けを思い返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は、自分の管轄する土地に侵入しようとするはぐれ勢力・・・・主を殺したりした悪魔を始めとした者達の情報を察知し、早期に叩く為に自身の眷属と共に待ち伏せを決めていたわ。

 

 それは間違いではないハズ・・・・進入されて犠牲を出すわけにはいかない、私の身近にはぐれとなった身内の犠牲者もいるから。

 

 けど、私は相手が何枚も上手と想定は出来なかった・・・・奇妙な空間に引きずり込まれ、自分の仲間と分断された。

 

 そして、現れたはぐれ悪魔の群れ・・・・相手が使った手段の内容はわからない、だが戦闘力において低い部類と自覚するからこそ他を重視したハズな身で、このようにまんまとしてやられる等は特に言い訳のしようがない。

 

 更に、現れた敵の群れはただのはぐれ勢力ではなく、一体一体が基本的な身体能力だけでも自分と同等かそれ以上だった。

 

 滅びの力すら使う間もなく、殴られ、蹴られ、斬り付けられ、魔力弾で吹き飛ばされ始めた自分・・・・致命傷を避ける程度が出来たのが災いして、成す術がなく、延々と痛め付けられて自分の流した血で出来た血溜まりに沈められて力尽き、巨体のはぐれ悪魔に背中を踏みつけられて無様に取り抑えられた。

 

『他愛ない、噂通りだ』

 

『グレモリーの凡庸な姫様は、我等の手に落ちましただ』

 

『わははははは♪』

 

 敵が、今までに自分が言われたような事で笑いながら次に何をするかわからない、けど録なものではないでしょうね・・・・激痛すら感じられなくなってきた私には・・・・いっそ、一思いに殺してもらえるか否かしかない。

 

 ・・・・早かったと思う。

 

 惨めな、生涯・・・・だったわ。

 

 冥界の名門グレモリー家において、兄を筆頭に次元が違うか、父のように内政力で飛び抜けているかな者ばかりとは言え、先程嘲笑われた通り『凡庸』だった私・・・・物心ついた頃から自分を溺愛してくれていた父や兄が、凡庸の烙印を押されてからは逆に劣等感を増していた。

 

 

 

『凡庸だからこそ、私達とは良い意味で違う道を歩めるハズですし、違う価値観も得れる可能性もあります・・・・私は信じていますよ』

 

 

 

 義姉から言われた事が、本当かはわからないけど、自分なりに研鑽は積んだ。

 

 そんな折、自分が新たに比較され始めたのは母方の家系に生まれた異端児、代々伝わる力を・・・・自分も受け継いだ力を一切持たずに生まれて欠陥品とされ、産んだ母もろとも捨てられた境遇を己の身を鍛える事だけで這い上がり、後に生まれた腹違いの弟との果たし合いに完勝して党首の座を文字通り自力で取り戻した獅子王。

 

 足踏みするのが精々な自分との落差・・・・何より悔しいのは、従兄弟に当たるその男は自分のような卑屈さとは無縁の黄金の精神を持っていた事。

 

 

 

 

 逃げた。

 

 私は冥界から逃げた。

 

 悔しくて、悔しくて・・・・冥界にいたくはなかった。

 

 管轄者になる予定だった人間の世界の地区で自分の眷属となった者達や人間達にお姉様や部長として振る舞うのが精々なのが自分だった。それもこれで終わりと目を閉じた時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・・?)

 

 おかしい・・・・何故か静かだ。

 

 そして、何かが地面に落ちる音がした。

 

 目を開くと、自分と敵の群れに立ちはだかるように現れた赤き鎧を纏う者が映った。自分を踏み付けていた敵を含めてはぐれ悪魔の何体かは首を落とされていた。

 

 後ろ姿を見上げる自分を守りつつ瞬く間にはぐれ悪魔の群れを殲滅していく赤き鎧の戦士。

 

 殆んど視認出来ない速さ、手刀だけで敵をバターか豆腐のように切り裂き、掌から放たれた無数の小さな魔力弾が的確に急所を撃ち抜き続ける。撃ち抜かれた敵は内部から燃え上がり、凍結し、電撃が走って四散する。属性が違う魔力弾を一度に無数に放てる技術・・・・何もかもが自分とは次元が違う。

 

 身長は高くない・・・・鎧の分を差し引いても160程度、鎧から見える二の腕や脇腹から推測するに自分より細い・・・・顔は口から顎の辺りまでしか見えないが、どこかあどけなさを残すような形・・・・最初は女かと思ったけど。吸血系か食人系の怪物から女ではないと看破されていたわ・・・・あの類いの鼻は確か、ね。

 

 男であの細さ・・・・体型は差し詰め、私の騎士と僧侶の中間?それから想像した素顔は中性的か所謂男の娘か・・・・と、思ったら、凄まじい殺気が戦士から私に放たれた・・・・身体の感覚が麻痺する程に痛め付けられてなければ腰を抜かす程度では済まなかったかもしれない・・・・うん、彼は男だ。しかも、随分と自分の容姿に思うとこがある。言うまでも無いが勘が恐ろしく良いのだとはわかった。

 

 そうして、瞬く間にはぐれ悪魔達を殲滅した彼は私を見下ろす・・・・何か言う前に私の後方を気にしたと思ったら、消えてしまった。

 

 必死に手を伸ばしたけど、徒労に終わる。

 

 欲しい・・・・あの戦士が欲しい。

 

 あの赤が欲しい。

 

 自分の持ちたい全てを兼ね備えた存在。

 

 欲しい、欲しい・・・・彼が欲しい!

 

 彼の持つもの全てが欲しい!

 

 

 

 

 

 

 

 気付いたら、部室で介抱されていた。

 

 どうやら、彼は自分の眷属が向かって来たのを察したらしいわね、命をとりとめた事を喜ぶ皆には悪いけど、私は彼の事しか考えられないでいたわ。

 

 私は欲しい・・・・あの鮮烈極まる『赤』・・・・その衝動のままに立ち上がるけど、ケガで録に動けない・・・・止めようとする皆の声も聞こえない、お願い・・・・私を彼に会わせて・・・・私は、私は・・・・。

 

 

 

 

 

 これが、後に『最恐の赤龍王』と呼ばれた存在と知った少年と、その運命を歪めてしまった私の物語の序曲だった。




リアスの境遇は、自分が身内と比べてアレなのを内心で考えてた部分を参考にしてます。

……イッセーを主役として出さないのは、知ってるのと被るのと、何より私作のリアスには都合良すぎになるから。

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