~~の中身はご察し(汗)
グリゼルダ・クァルタさんの来訪した理由が和平を視野に入れたトップ会談の下準備とは理解したけど、会談場所の候補を聞く者はいなかった。皆は不吉な予感を感じていたからだろう、最近は特に情勢がおかしくて首脳陣が和平を結ぶから下が従うならコカビエルのような者は出はしない。
そして、何名かが予期している。即ち会談場所の候補はこの学園・・・・悪魔が正体を隠し、人間達に混じっている場は本来ならばそういう事に使うべき場の一つでもあるわ。
尤も・・・・本来、自分が興味を持った日本文化を取り入れた場のハズが途中から丸投げして両親が整えた場でもあるのよね、身内との差を埋めるべく足掻いた事がシオンにした事に繋がってしまった場だけど、愛着を持っていたと気付いた場・・・・まとめると、学園に公的な場としての意識は無なかった。
私は、もう凡庸呼ばわりされた事に足掻いていた時の私ですらない・・・・ただの・・・・。
「では、次に質問を許して頂けませんか?」
「質問?構いませんが?」
「ゼノヴィアとイリナの事です。昨日にいきなり日本に向かってしまったのですが、行き先がこの周辺ではなく『青森』だと聞いたのです」
「青森?」
場違いな事を考えていた私を現実に戻してくれた質問、ビナー義姉も顔をしかめている。正直理解が出来ない・・・・そもそも、何故二人が日本に?しかも青森・・・・?
「シスター・グリゼルダ?率直に聞きますが、貴女は『神』について知っていますか?」
「はい、先の大戦で魔王だけではなく神も死んだのは極一部しか知りません・・・・ですが?貴方達はそれを知るキッカケを目の当たりにしたので、気付いたのでしょう?」
ロイガンさんの質問は二名が飛び出した理由を慎重に触れたものだけど、即答で此方の事も多少考慮した返答が来た。何名かが佑人を見ているようね、聖魔剣が証拠になっている・・・・私は三日も眠っていた後に、他の皆は私が眠っていた間に隠しきれないし漏れてるだろうから聞いといた方が良いとして聞かされた。
「私も場に居合わせましたが、二名は・・・・『報告してしまった』のですね?」
「はい」
ロイガンさんの質問にグリゼルダさんは僅かに嘆くような声色だった。そうね・・・・場合によっては『口封じ』をされるからだと、聞いた形で知ったのは幸いだったかもしれない。自分達だけが密かに知ったならそうなっていただろうから。
「当初は、それで干されるようになった事に加え?元々信仰が特に深いイリナとその相方ですから自暴自棄になって飛び出したのではと思いました。二名は元々突拍子もない事をやる傾向がありますから、調べたら言ったように日本に向かったと判明しました。しかし?日本の青森に行ったのは妙でして、此所の周辺ならば顔見知りの赤龍帝の元に傷心旅行として行った可能性もあるとして上層部は困惑しまして、丁度居合わた私に和平の話がある可能性を伝えるついでに探してくるよう指令が来たのですよ、貴女方は二名がわざわざ青森に行った事への心当たりはありませんか?」
無い・・・・周りも何かないか顔を見合せている。そうしている内に小猫が声をあげた。
「あの、私気になったのですが?そもそも『旅費』はどうしたのです?」
「えぇ、それがですね?」
呆気に取られた。日本のカードゲームを始めとしたレアものの価値は外国でも通用すると少し知っていたけど、正にチャンスは最大限に生かすね・・・・そうとは知らないシオンから上手く頂いて売ってしまって旅費にしましたとは・・・・小猫がアニメや特撮とかが好きで少し付き合った時に色々学んだりしたけど・・・・まさか、そんな展開が実際にあり得たとはと・・・・生徒会にもそういうのを知っているのは多かったわ。
「う、迂闊だった・・・・」
「・・・・欲を出さなかったの裏目に出たね、姉ヶ崎君は踏み込んだ方が良い事あったね」
シトリー眷属の『戦車』由来さんや『騎士』巡さんのように見回りとかをシオンに時々手伝ってもらいながら普通のから妙な騒動の鎮圧に当たっていた者達はイリナさんみたいに注意深く見なかったのを悔やんでいるようね、由来さんは妙な気配が混じっているような?
「そう言えば搭城小猫さん?何故『旅費』等と思い当たったのですか?」
グリゼルダさんからの質問に小猫は放心状態から立ち直り、何とか理由を述べた。小猫もレアカードが欲しかったのかしら?・・・・しかし、その時の事を聞いたシスター・グリゼルダがわなわなと身体を震わせながら放つやるせなさを抑えられない声には黙らされるしかなかった。
「か、仮にも教会の戦士ともあろう者が街中で白昼堂々と『物乞い』・・・・しかも、自分達で『あんなの』とか言うような絵を買って・・・・」
私に言う資格は無いけど、暫くは二名がグリゼルダさんに出会わないよう祈ろうと、全員が暫くはソッとしておく事を決めた。
そう、明日に繋がる今日ぐらい・・・・。
・・・・・・・・。
リアス達がそう考えてはいたが、イリナとゼノヴィアは真逆の空気の中にいた。
「ああ、もう!何体目よっ!?」
「今日中に三桁行かなければ良いがっ!」
二人共に自分の聖剣を使って、人気の無い街中で次々と現れるはぐれ悪魔か何なのかわからない怪物・・・・いや、怪人?と言うべき敵に応戦して、言うような数を斬り伏せていた。ローブの下の普段着もかなり汚れて肌も浅い傷だらけである。
そう、ここは北海道・・・・『夕張』・・・・イリナの来日目的の一つなのだが、足を踏み入れて少し経った時に異次元に迷い込んだような違和感があり、街並みはそのままで無人の場に迷い込んでこの有り様である。オーフィスのもの程ではないがかなりのレベルの結界内で激戦が始まってしまっていたのだ。
「ねえ?この後に銀色の人型なんて出てこないわよね?」
「そんなのが来たら、私達は命が無いぞ!」
以前に見た特撮シリーズで頭抜けた人気を誇る悪の戦士との戦いの場になった土地であるためか、妙な事を考えてしまう・・・・単なる軽口ではなく、そうでもしなければ不安に潰されそうだったからだ。何故なら、戦士となってからの記憶で既視感や覚えのある異形ばかり次々と襲い掛かって来ているのだ。先週末のようにサイラオーグやシオンがいなければ手こずったであろうケルベロスが出て来かねない不安まで抱いていた。
「ゼノヴィア?炭鉱に走るわよ!罠ありそうな場だけど敢えて危険に飛び込みましょう!」
「同感だ!」
ゼノヴィアは如何にもな場に自分達から攻め込むイリナの豪胆さに素直に感心した。守勢に回るのはやはり柄ではないのだ。
(シオン君・・・・買ってもらった服を返り血で汚したり破れた箇所だらけにしてごめんね、けど私は自分の勘と記憶を信じるわ!)
イリナはゼノヴィアと二人で突撃しながら目的までの血路を開くべく改めて剣を振るった。その姿は何かにつけて自称が付く等とは言わせない光が両目に灯った戦士の姿だった。
若気の至りか・・・・。
そう皮肉るなら人前でシャレにならん事を平然とやらかすのはよせやっ!?