ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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趣味遊び多数。


イリナ、教訓を活かす

『白龍皇』

 

 小猫が姉から聞いたのは、純潔悪魔であるビナー本人から語られた事迄を信じる場合、おっぱいドラゴンの存在した代の直後辺りから神滅具を宿した白龍皇だったと言う事だけならまだ良い・・・・問題はビナーがそうなってしまった結果として、自分に便宜を図ってくれたサーゼクスに及ぼしていた影響についてだ。

 

 ルシファーの血筋から出た白龍皇の力を旧魔王派の最右翼だったルキフグス家の女が継いだ事の関連だけで、知らなかった場合は今の冥界にとっては政府にまで及ぼすレベルで手に負えない事だ。

 

 とにかくシオンを全力でリアスから遠ざける必要に一理あるのと、それを即断出来ない理由もある。だからレイヴェルに待ったを掛けたりしたのだが、冷静に考えれば他がそれ等に関してをやらない保証は無いので自分が先走り、呪いを掛けられていたのを早期に気付いた以外は余計なダメージを負わされただけとなった。

 

(・・・・わからない・・・・姉様の意図が本当にわからない、です)

 

 自分に吹き込んだ結果、呪いを発動させるのが目的だとは思えないと、暗い暗い思考と情念が危険域に達していたが、味方の中でそれを気付いて止められる者はいなかった。

 

 

 

 

・・・・・・・・。

 

 

 

 

「い、一体・・・・何が?」

 

 北欧の悪神ロキは血塗れとなって逃げ延びていた。昨夜にファーブニルに撃退されたと見せかけてユーグリッドとは別の方角から赤龍帝のマンションの近くまで様子を伺っていたが、何やら内部から結界の効果を上書きされていたのを感じてリアス達が出払った隙に中に潜入した。北欧特有の魔力の気配を感じてロスヴァイセが何かをしたのだと判断した為に何かを掴める可能性があるとしたのだが、内部は得られた情報やリアス達が一部見たものより強化されていた。各扉を開ける度に異次元や灼熱地獄に通じている程に変貌していたのだ。ロキですらボロボロになりながら何度目かで真空の宇宙空間らしき場に迷い込み、我武者羅にありったけのオーラを解放した瞬間に大爆発に巻き込まれて、何とか外に出られたのだ。

 

「おのれええっ!ロスヴァイセェっ!何をしたかは知らぬが、我の手を逃れられると思うなかれええええっ!」

 

 全く見当違いな怒りだ。こうも無様を晒す事態になりロキはいつのまにか立場や情勢より自分の気分に関しての私怨のみで動き始めた。出てきてはやられて、その内にどんな目に遭うか楽しみにされる昔風のやられ役なアイドルのような転落が始まっていたのだ。

 

 

 

・・・・・・・・。

 

 

 

 そして、行方不明となっている事も認識しないロキから全く見当違いの恨みを買っていたロスヴァイセは?

 

「もう・・・・撃ち放題なんですよぉぉぉっ!!」

 

 

ズドドドドドドどどどどどどぉぉっ!

 

 

 無数の魔法陣から多少多様な攻撃魔法が乱れ飛ぶ。

 

 ヴァルキリーの鎧を纏い、攻撃魔法フルバーストでやりたい放題である。擬似的な『夕張市』にて市街地での戦場状態である。

 

 多種多様な攻撃魔法だからか、例のおかしいですよ!な人の作戦に晒された欠陥多しだが最強な光の翼持ちな何とかスーツのフル装備バージョンがゲーム四コマの冒頭扉絵で乱れ撃ちをやってたが、実現したらこうだったかもの人間サイズとする類いのものであるとは共闘している者の妙な談である。

 

 戦艦のビームシールドですら防げない威力のものからスプレーのように拡散するものからオミットされてるハズなマイクロミサイル染みたのまでが混じっているから敵は対処のしようが無い。その一方?

 

「これは良い!手榴弾どころではないな!」

 

「まるでスパイシー?とか付いたドロップよねえ?有効活用させてもらうわ!」

 

 ハイテンションで戦うイリナとゼノヴィアはロスヴァイセから預かったドロップ状の魔力爆弾で数だけはいる敵を次々と殲滅していた。着弾した場から音もなく魔力の起きる爆発が広がって次々と二人の知る怪物等を無力化していた。

 

 そう、イリナの記憶にある炭鉱の奥。

 

 理由はまだ明かしてないが、敵の大軍を突破して秘匿されていた地下室に近付いた際に爆発音が響いたら、そこからは爆発の煙にむせるロスヴァイセが何故か飛び出して来た。唖然として事情を聞いたら、自分達が使っているドロップ状の魔力爆弾が、かなりの数の量産に成功した矢先らしい・・・・シオンの部屋に転がり込んでから自分なりにやれる事を考えた結果、アーシアを始めとして直接戦闘に不安があるメンバー用にドロップサイズで大量携帯が可能なマジック・アイテムを用意してあげようとした。但し、得意分野が攻撃系ばかりなせいで爆弾を始めとした攻撃用の類いばかりに仕上がったと言う・・・・本来、防御系の見直しから鍛練を兼ねたつもりがこれである。チョコを作ろうとしたら、お団子に最中や羊羮の和菓子ばかり作ってしまって生まれの不幸を嘆く寺の子ではあるましいと嘆いていた際に謎の爆発に巻き込まれて何故か此処に転移していたと言うのがロスヴァイセの談だが?

 

「ま、まさか・・・・私が失敗してシオン君の部屋を爆破してしまった?」

 

 流石に推測される原因が洒落にならないとして事情を聞いた側も含めて青ざめた。転移した理由が本当にそれなのかは知らないがゼノヴィアの発言が問題であった。

 

「むぅ?あの男の事だから、その弾みで転移してしまうアイテムを持っていて、部屋にあっても不思議ではないかもな」

 

「い、いえ・・・・幾ら何でも?」

 

「可能性はゼロではない・・・・いや、ゼロではない事が重大なのだ。そもそも、あのマンション自体が私達の理解を越えている」

 

 実際、そのくらいは可能な条件が整っている。もしも本当にロスヴァイセがマンションを爆破してしまうレベルの失敗をした場合、セラフォルーと知らない契約者の元に送還された可能性まであると聞かされていたのだから始末に悪い言い分だった。

 

「~~っ、わ・・・・わたす、未成年な子に世話になって、その未成年のマンションさ爆破?そげな事で借金まみれになっだら・・・・」

 

 流石に、知られたら今頃は本国側で自分は退職扱いどころではない事にされいてるかもしれない状況では青ざめるしかない、そのせいか方言になっている事はスルーしながらイリナは掛けるべき言葉を掛け始めた。

 

「大丈夫です!」

 

「イリナさん・・・・」

 

「仮にロスヴァイセさんの失敗のせいだとしたら、シオン君相手なら弁償さえするなら殺されはしません!契約者には弁明してもらえて、その間に普通にご飯くらい食べさせては貰えます!」

 

「何でそんな言い分が出る?本当に、学校に通ってすらいない時から何をやっていたんだお前達は・・・・?」

 

「うぅぅ・・・・借金返済生活なんて灰色な青春は嫌ですよおおっ」

 

 全く慰めになってない言い分で更に泣き叫ぶが、敵は待ってはくれない・・・・炭鉱内部にに突撃して来た敵への対処が先だ。

 

 そんなこんなで原理も真相も不明に来てくれたヴァルキリーのお陰で数の差だけは無くなったが、やはり迷走気味には違いが無かった。三名にはシオンのマンション爆破の原因すら知る術は無い。

 

 不安を沈めるべくやけっぱちのフルバーストをひたすら続けるロスヴァイセを中心にした快進撃で、擬似的な都市は人間達の兵器の方の戦車砲や重爆撃機の攻撃が所々で炸裂したような惨状となってしまったが、一先ずは敵の気配が消えた。

 

 理由はまだ不明だが、ロスヴァイセが来てくれて事態が好転したのは間違い無いとして集まって話し合いが始まっていた。マンションの爆発原因は後にする他は無い。

 

「え~と、イリナさん?そもそも、何故この辺りに用があったのです」

 

「それは盗聴とかが心配だから後にして下さい、先ずはこの空間から脱出するか結界を解除してからです。壁に耳あり『扉』に目ありですよ」

 

「それを言うなら『障子』です・・・・まあ、昔風のものが少なくなってるらしいですから間違えたりもしますね」

 

「ええ、そうなんですよ・・・・私なんか子供の頃に刺身やカマボコが海に泳いでいると思ってる子と間違えられてましたし」

 

「何っ?」

 

「ゼノヴィア、その『えっ、違うの?』って目は何よ!?私はね、シオン君が近所から買ってきた小さ目の魚を捌いてたの見たから知ってたのよっ!」

 

「つまり、それを見てなければそう思っていたということではないか?」

 

「ち、違うもんっ!」

 

「まあまあ、話がズレてますよ」

 

 そうやって、間に入るロスヴァイセは少々心臓に悪い思いをしていた。ロイガンから聞いた限りでシオンの昔に触れるのは避けようと考えていたからだ。実を言うと、イリナと過ごしていた時期を考えると小学生にもならない子が魚を捌いてたという点も非常に気になるのだが、そこは単なる才能で片付けらる範囲だろう、現にシオンの作り置き料理に舌鼓を打った身・・・・自分はマンション爆発の原因はさておいても実は一番の危険な場に飛び込んだのかもしれない。

 

「とにかく?私が考えた結界の起点の一つは?ずばり、あそこよ!」

 

 小声で周囲を警戒しつつ示した通りに移動したが、そこは夕張の紹介を調べたら先ず出る場である。

 

「ふむ、夕張の石炭博物館・・・・安易に過ぎないか?わかりやすく紹介されてたりする場の一つだぞ?」

 

「いえ、待って下さい・・・・」

 

 ロスヴァイセは立場上で本来使うべきな力だからこそ勉強した故の心得があるのか、建物の内部に起点を見つけた。それを聞いてゼノヴィアは意表を突かれたようになった。

 

「ふふん♪♪私の勘が当たったわね?」

 

「確かに・・・・しかし、何故だ?」

 

「この結界を張った相手の思考パターンを推測したのよ、いかにもなわかりにくい場より、寧ろこういったわかりやすい場を選べば裏を掛けるでしょ?昔、シオン君と隠れんぼしてたらこのパターンで泣き寝入りさせられた事があるから、もしやと思ってね?」

 

 成る程と、ゼノヴィアは納得した。脳筋と言われた自分が言えた事ではないとしているが、アホの子とされるイリナは妙に野生の勘が働く場面が度々あり、相棒として戦う間に何度か窮地を救われているが?子供の頃に参考になる経験があったからかが理由かと思った。それは間違いではない以前に、下手に理論的になるだけでは持てないものを元来持っているのがイリナだった。

 

「では、解除をしますか」

 

「いえ待って、そのままにしましょう」

 

「何?」

 

「解除しようとしたら、防ぐ為に新手が来るとかあるかもしれないでしょうから?先ずは全てチェックしてからどうするかを考えましょう」

 

 ゼノヴィアは目を丸くしていた。やはりいつものイリナではない・・・・事前に聞いた事だけでは無いのが明らかになっていた。ロスヴァイセすらイリナの何かが宿った姿には口を挟めないでいた。

 

 

 しかし?

 

 

(ふふふ・・・・二人から見た私のその姿には炎!今、私は眩しい!・・・・今のところ上手く行ってるだけだとしてもね・・・・私・・・・私はね?勝たなきゃならないのよっ!)

 

 二個目、三個目と次々と結界の起点を探し当てたイリナは実は嘗てない危機感に見舞われていた。それは、場合によっては自分にとっての屈辱に繋がるからだ。

 

 自分の考えが正しければ『目当ての人物』が編み出した防犯措置、それが恐らくシオンが赤龍帝の籠手を発現させた時のレベルに合わせて作用しているのだとしているから上手く行っているのだ。二人にはこのまま算段通り終われば多分全てを話せる。

 

 そして、個人的に・・・・今の自分が挑んでいるのは多分以上確定未満・・・・自分が日本を離れた後に恐らくシオンが何かの力を発現させた場合にそれを想定したレベルのもの・・・・つまり、十年は前の事。

 

 十年。

 

 十年・・・・。

 

 十年十年十年十年十年!

 

 つまり?

 

 今の窮状は戦闘面ではなく、頭脳や技術面での戦とするならば十年は前のシオンと張り合っているに等しい。

 

 ややこしいが間違い無い。

 

 率直に言えば、イリナは十年前のシオンに負けかねない窮地に立たされていた!それは幾ら何でも受け入れられない!

 

(見てなさいシオン君!いつまでも頭脳面で張り合えなかった時の私じゃないのよっ!・・・・とと、意識が先走るのは要注意ね!)

 

 負けん気を出したイリナだが、やる気が空回りしないのは嘗て体力面でも張り合っていた幼稚園時代が一因だとして、ある記憶を思い返していた。

 

 

 

 

・・・・・・・・。

 

 

 

『イリナちゃんパスパス!シオン君が戻ってるわ!』

 

『大丈夫!一発決めてあげるわ!』

 

 ある日の園児バスケット大会。

 

 何かと各分野で張り合ってもいたシオン相手に、事実上タイマンの機会が来たのでシオンの上から華麗かつ豪快なダンクを決めてやろうとして、イリナは思い切り跳んだ!年齢が同じかやや上の年代な一般人からしたら、身体能力で超人同士の対決に注目が集まった瞬間だった。

 

 イリナのダンクはゴールではなくシオンの脳天に炸裂して撃墜してしまい、どこのバスケ漫画だ?と考える者多数な流れで周囲が唖然とした後に恐る恐るイリナは『わざとじゃないのよ?』と言いながら倒れ付したシオンに声を掛けたら、正に嵐の前の静けさ・・・・。

 

『ダああっ!こんの女ああぁぁっ!貴様?今度という今度はもう許さんぞ!』

 

『わ、わざとじゃないのよっ・・・・って、しまってる!しまってるってぇぇっ!』

 

『当たり前だ!首締めてんだよっ!』

 

 怒りのままに立ち上がったシオンから慌てて逃げようとしたが、背後からの首締めを見舞われる形になった。引き離されるまで昇天し掛けてしまった記憶・・・・自分達の珍騒動は周りからしたらこれだけじゃないので笑いのネタになるだけであった。流石に締めてる側が『世のため人のため死んでしまえっ』とか言い出す程ではなかったせいでもあるが。

 

 とにかく、首締めで眩しい光景を見る羽目になるヘマをやった教訓を生かせてはいるイリナだった。




え~?途中でイリナ嬢が述べている乱れ打ちは、初代PSとやらのゲームが元の四コマだが、どのゲームかわかった御方には素敵なプレゼント?

応募なようで何やら意地悪そうな笑みしてんなやワレェ!




イリナのヤンチャもロスヴァイセさんの攻撃魔法特化振りも弄ってるように原作よりぶっ飛んだ形になってます。


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