されど、後への布石だらけ。
出た言葉が言葉なだけに、大半が思考からして反応が遅れた中、先に考え始められたのは朱乃であった。
『死人』
黒歌さん・・・・いえ、オーフィスは、シオン君をそう見ている?
そんなハズがありませんわ!
確かに、リアスと関わって以来のシオン君はどこか違和感はあります。それに関して、多少関わった中で比べるとわたくしが一番ピンと来ていないのですけど、父様とわたくしを救ってくれた時のシオン君は・・・・少なくとも『死人』等ではありません!リアスに輸魂法を施した代償があるにしてもそこまでとは思えません。
母様と似た暖かさを感じさせてくれたシオン君がそんな事。
『母様』
っ?・・・・ま、まさ・・・・か?
わたくしは、自分の中で急速に仮説が立てられたました。
父様の内面世界で、シオン君と父様の戦いを結果的に間近で見ていたならではの見解でシオン君の抱える秘密は・・・・いえ、それは・・・・と考えた時、父様がわたくしの頭を撫でてくれながら無言で語ってくれた事が過った。
『それで良い』
そう・・・・悔しいですけど、踏み込むのはまだ早いのですわね。
何とか冷静さを取り戻そうとしてリアスを見たら、テーブルを挟んで椅子に座って向き合う黒歌さんに見えない箇所で、膝の上で手を強く握っていた?・・・・いけない!部室にいる全員も思ってましたけど、わたくしは特に思っていましたわ。
『最大の弱点を突かれてしまった』
リアスと一緒にユーグリッドに追い詰められた時に隣にいて、リアスがシオン君絡みで確信に迫る域で揺さぶりを掛けられたらどうなってしまうか目の当たりにしていたのでしたわ・・・・しかし?
「『治療』・・・・どうする気なの?」
リアスは至って平静を装いながら、黒歌さんに問い掛けていた・・・・そうでした。リアスは自分なりに足掻いている・・・・だから、母様に言われた通りにするなら信じてあげるべきですわ。
「仙術よ」
仙術・・・・思い付くのと違うやり方でシオン君の治療を・・・・それなら最適かもしれませんわ、小猫ちゃんが単純なパワーのみで戦い続けている理由を知っているから複雑ですが、その方法は?
「例えば、房中術」
それを聞いて、何名かが呆気に取られて私は身体を振るわせましたわ!それはつまり?
「私も天龍くらいなのの因子を持つ子供欲しいなと思ってたりしたから丁度良いにゃ」
「ふざけないで!」
「おや、グレモリー眷属の『女王』・・・・何かご不満?」
「シオン君がそんな事を了承するワケはありません!」
「何故?」
「せ、性格です!」
シオン君は女性に弱いからと言うワケにはいきません!ビナー様が言ったように、それを知られてしまっては敵側が何かをして来てあんまりな不覚を取らされてしまうかもしれません。
「性格?割とドライって聞いたから、治療感覚で割り切るかもしれないにゃ、それにハニー・トラップ対策とかな考えしたら余計に必要じゃにゃい?元々前の赤龍帝の影響でそんな気配あるのが明らかだったんだから利害は一致しているにゃ、そっちの方の実戦経験を積んどくのも有りと思うにゃ?」
「それなら・・・・そのお相手は?わたくしが務めますわ!」
「おや大胆発言♪♪」
何処か周りから細かい声が響いてるようですわね、しかし?引けません!ハニー・トラップ等と言われては尚更ですわ!元々、レイヴェルさんのように純粋な好意ならまだしも序列的な成り上がりを狙って引き込もうとする側やサイラオーグさんの眷属やロイガンさんに持ち掛けた側のように何かしらの意図があるのが明らかです。それ等から守る為ならばと。
「あ~、意気込み買うけど?かなりややこしいにゃ・・・・極端な話しで?ディオドラの事聞いてにゃい?」
「それの対策を兼ねていると?」
『ディオドラ』
室内の全員に思い当たる事がありますわね、アーシアちゃんを陥れたけど、ビナー様に瞬殺されて遺体を冥界に送られた悪魔。
最初にアーシアちゃんが向かおうとした場を調査した後に発覚した事ですが、眷属や自分の手駒にした女性を洗脳し、羞恥心すら取り除く処置をして?例えば全裸で敵に襲い掛かる事すら厭わないようにする非道な事までやっていたと・・・・それを知った時に暴走したリアスとの戦いが印象に残っていたので、いけないと思ってしまった。当のシオン君は意に介さずにこう言いましたわ。
『アーシアには知られたくないですね』
そう、其方の資料は見せたりはしてないですけど?目の当たりにさせるのは避けたい所ですわ、一歩間違えばアーシアちゃんがそうなっていたのだからと。
とにかく、意にそぐわない事をせざるを得ないのならば、いっそ自分が・・・・と考えた時でしたわ。
「何か、君がいっそ赤龍帝君をいただきたいだけじゃなさそうだにゃ?」
「っ!」
いけない・・・・引っ掛かられてしまった?先程に、冷静に考えれば本当に読心術が使えたのか怪しいユーグリッドにしてやられたばかりなのに。
ハニー・トラップやディオドラの件は、私達ではなく、他が把握している事を想定した視点なら・・・・シオン君なら呆れて一蹴するだけとでも言えば良かった・・・・何とかペースをと思った時。
「そこまでにしなさい」
リアスの冷静な声で私と黒歌さんの口論は中断された。けど、冷静と言うより諦観とでも言うべき声色に近かった・・・・そう、冥界から逃げ出した頃、身内との差を埋められない事を悪い意味で受け止めてしまった時のような。
「治療の件は肝心のシオンが留守だから後回しよ・・・・黒歌さん?貴女の要求は聞き入れます。私達の間で相談してから冥界に掛け合うから、暫くは学園内で大人しくして下さいね、勿論監視付きで」
「リアス、受け入れると言うの?」
「ビナー義姉様とロイガンさんがいる場に普通に来て、オーフィスの名前まで出すからには、おふざけではないでしょうね?ビナー義姉様に相談をしに行くから、その時に話せるだけ話してもらいましょう?最初に述べた主殺しをする以前の事、貴女がはぐれになってから何をしてたのかと言う点からオーフィスがシオンを治療させる意図までね」
「はいにゃ♪♪」
確かに・・・・ビナー様とロイガン様だけで不用意な事をやれる者はいない・・・・けど、リアス?それは言い方を変えれば二名とマトモに戦う事を考えなければ良い・・・・いえ、ならば此方もそれを想定すれば良いのですわね。元からわたくし達のように地力で劣る者達が無傷で乗り切る事を望んでいるのが甘いのでしたわ。
-ー-その夜、リアスは大体想像した流れとなったのに一安心して、部室内で一息付いて思案をしていた。
黒歌については?ビナー義姉様に事情を話して、聞き出してもらいつつ冥界に問い合わせる事になった。
仮に、主殺しの件が黒歌の言う通りなら?小猫の為になるから、そうであって欲しいわ・・・・けど、私は私室で立場上であるまじき事を考えてしまった。
『房中術』
男女が・・・・そういう事をしての術・・・・。
比較的に冷静でいられたのは、その言葉を出したから。治療までならまだしもで意図は不明だけど、オーフィスが絡むからには何かあると考えた方が良い。
けど、それで上手く行く事だけはあり得ないのよ・・・・私のせいでシオンはそれが不可能にな状態。例えば、抱き着いて気を同調させる程度の仙術・・・・それすらも、昨夜に小猫がどうなってしまったかで危険と証明された。部屋の中で目を瞑り、俯くしかない・・・・私には・・・・。
『どうせ・・・・』
「っ!?」
多少聞き慣れた声が響いて、目を開けた。
私室ではなく、夢で何度も見た赤い粒子が立ち登る氷の大地に私はいて・・・・背後に『それ』は居た。
『どうせ・・・・なら、相棒にその身体を差し出して?『房中術』とやらで事態が好転するようならと逃げ腰な思考になってるかと思ったら、五分五分のようだなリアス・グレモリーよ?』
「ドラ、イグ・・・・っ!・・・・っ!?」
姿を見た瞬間に足が、いえ・・・・身体中が震える。何で?私は・・・・何度か夢の中で会ったハズなのに。
『ほう?少しはマシになったか』
「マシ?」
何を言っているのかわからなかった。何故か震え上がってしまっているだけなのにと。以前よりも恐ろしい存分に思えてしまって、嘲笑われる方が自然なのに。
『相手の強さがわかるのも強さの内って考えもあるんだぜ?こっぴどい惨敗続きだったようだが、最悪の相手や次元違いな相手に自分なりに挑んで得れるもんは割と大きいんだしな』
声色が真剣だった。昨日からの戦いを知っている事には驚く事は無かった・・・・このくらいは今更よ、いえ・・・・今は。
「シオンは・・・・元気なの?」
「冥界に着いた後の事は話せねえ・・・・相棒が知らぬ間にお前の呪縛から逃れるのを心配してるのか?」
「っ!」
「ふん、今にも胃の中のもんを吐き出しそうな面になって来たな?まあ『夢の中』じゃ?本当にやるのと同等かそれ以上な見苦しい行為をする格好まで?相棒に裸にしてもらって散々晒したから今更か」
私は必死にドライグを見据えた。嘔吐しそうな顔を見られた程度で引きはしないけど、やっぱり把握されていた・・・・けど、惨めで意味の無い事かもしれないけど・・・・目を逸らすだけはするものかとドライグを見据えるのを私は続けていた。
「まあ、逃れる関連は安心しな、簡単にやれるなら俺がやってるよ?お前のやらかしたのはそれくらいに完璧なもんだ・・・・だからこそ、お前が相棒の慰み物になってでも償いをする選択肢が潰れてるんだがな」
事情を知っている相手に言われて、私は返す言葉が無かった・・・・詳細はともかく黒歌の言うような房中術でシオンの治療になるなら、私は自分の身体をとっくに差し出している!けど、それはただ・・・・。
『拷問だ』
「ご、拷問?」
『そうだろが、そんな女も展開も相棒は嫌いな方だろ、そんな相手と状況に強要される行為は男子にとっちゃあ、これ以上はないって恐ろしい拷問だぜ、お前もそう気付いてはいるんじゃねえのか?』
そう、そんな行為は彼を侮辱している・・・・そうしたいのならば、全てを解決した後・・・・許されないとしても、出来れば・・・・出来ればシオンと同意で・・・・あの夢の中での最悪の結末に繋がらない流れで・・・・何もかも見せるだけじゃない形にさらけ出して、お互いに思うがままに・・・・そうなれたら私は・・・・。
『まあ、良いさ・・・・案外、房中術無しならイケるかもしれない流れもあるかもだから考えるだけは考えてみな、じゃあこの辺りでお暇するぜ?冥界にいるんじゃ『ドラゴンアップル』でもお目に掛かる機会があるかもしれねえからな』
そう言い残して、ドライグは消えて元の部屋の光景に戻った・・・・けど、私にはドライグが最後に言った『ドラゴンアップル』という単語が何故か頭に引っ掛かっていた。
相方は今回は事情により休みだが?この『ビデオ』のバイトをした者に今回の場に招待した。
うわ~~、何となく察しちゃったああ♪♪
ああ、この人の傷が遠回りにでゾクゾクします。
※
朱乃さんの真相に迫り具合が最下位争いから上位に近付きました(笑)
リアスの欲は悪く言うのは簡単だけど、ドライグからしたら都合は良い流れたです。