今回は前書きもだけど、何言ってんねん?
姉様は不可視の効果?を持つ幻術らしきものでそれを見えないようにした上で、右手で持ちながら腰辺りの後ろに隠して私と対峙をしています。
改めて思いますが、昨日のドロップ缶以前に先週末の戦いの時で私がシオン先輩達の側で戦っていた間に学園にはディオドラやはぐれ悪魔達を爆弾にして送り込まれ、ビナーさんがいなければコカビエルが来る前に部長達は全滅していたかもと聞いて私の警戒心が強まっています。
私心かもしれません。
姉様の言葉通りなら・・・・私達は昔みたいになれるかも・・・・けど、嫌な記憶に囚われていたせいで力を使えない自分はどうしたいのかという思いを姉様にぶつけるキッカケが欲しかったのかもしれない・・・・でも、それは最低です・・・・。
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(・・・・何度も見た目にゃ)
他の事を言えた身じゃにゃいと理解しているけど、白音の目は・・・・オーフィスを担ぐ組織で何度も見た目。
断っとくけど、あの組織を擁護したいのではない。けど、あの類いのは好き好んで入るようなものばかりじゃない。
例えば?生まれの不幸だったり、立ち回りに失敗した身内のせいで居場所を無くしたりとキリが無い。
白音以外のグレモリー眷属に例えたら、話のわかるのに巡り合えなかったり、拾ってくれたのが私が殺したようなのだったなんて珍しくもない。
今の白音はやり場のないものの捌け口を求めてテロリストにまで身を落とすまではいかないし、悪い事だってわかっていても中途半端と取ってしまうのも駄目ね。
本当に不味い・・・・私が言えた義理じゃない、せめて最適なのに前向きな事を言ってもらえばとか考えたけど・・・・この場にそういうのはいないわね?聖魔剣使いになった騎士君みたいならと思うけど、バルパーってのを瞬殺した経緯次第ではかえって不味い・・・・。
(・・・・ない、なら・・・・)
オーフィスに聞かされた事が頭に過った。そう、この場で最適なのは?
「白音?何を思ってるかは後にして、私が疑わしいなら・・・・私が隠したのを腕ずくで取ってみたらどう?私は右腕が塞がってるから、左腕だけ・・・・ああ、足も使わず左腕だけで相手してあげる」
ピクっとして、耳出したわ。何か某宇宙の帝王みたいな言い分だしね・・・・都合良いからこのまま行くにゃ。
「どうしたの?私と同じ力を使わない路線で戦ってたらしいのに、その程度やれないの?白音が過ごして来た日々はそんなものかにゃ?」
「馬鹿に・・・・しないで下さいっ!」
・・・・そう、敢えてぶつかったりタイマン?でもやりながらの方が良い場合もある!オーフィスから聞いた嘗ての赤龍帝が何度かあったらしい手段・・・・私達みたいのには、今は此方が良い!てなワケで勝負にゃ!
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「・・・・えいっ!」
一直線に向けた拳は姉様が左手で受け止めるのではなく、何か手を回転させた?と思ったのは何故かそのまま宙に浮かされて姉様の後方に飛ばされてからでした。空中で身を翻して、着地したのですが・・・・あれは確か?
「おや、原理はわかるけど経験は無い?赤龍帝君と訓練でもした場合・・・・ああ、彼ならカウンターでパンチやキックとかを合わせるだろうけど、流石に白音みたいな子をそれでK・Oするのは躊躇ったのかにゃ?尤も贅沢な考えで強くなりたがる子は彼みたいなのを相手にして得られるものは少ないにゃ」
「・・・・っ」
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(あらまあ・・・・)
いかにもなノリになって来たわね。馬鹿にされていると思って臨戦態勢になった小猫ちゃんと黒歌さんが戦い始めた・・・・私も最上級悪魔ロイガン・ベルフェゴールとして肩書きに見合う態度で、ある程度知ってるだろうビナーさんじゃなくて?シオン君やサイラオーグ君に手合わせでも申し込むかね・・・・少なくとも?『無言の教え』ってのになるわ。
それはさておき、小猫ちゃんは痛いとこ突かれたから、カッカして何度も向かって行ってるけど、正に大人と子供・・・・小猫ちゃんの拳を合気道か何かの類いで受け流して、結果的にポンポンポンポンと受け身を取れる程度に投げ飛ばしている。
黒歌さんが言うように、実力が遥か上と戦って得られるものはあるけど?小猫ちゃんみたいに自分の駄目なとこ受け入れられないんじゃ単にボコられるだけよ・・・・まあ、お前が言うなだけどね。
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「・・・・っ!ぅう・・・・っ」
受け身を取れていても。身体に負荷が掛からないワケではないです。姉様は宣言した通りに左腕しか使っていないのに・・・・私と正面から向き合う為にしか足を動かしていないのに・・・・。
「ふふ、私が単に好き勝手やってただけなワケが無いでしょ?オーフィスと一緒にいたもんだから、度々だけど私だけじゃ指一本触れられないくらいに強いのが来たりしてね?自分なりに考えたり鍛えたりはしたにゃ」
「・・・・っ」
「・・・・にしても未熟、何度か様子見に行った時に白音を力づくで連れて行こうとしたけど・・・・止めて正解だったかもね?」
「何ですっ・・・・て?」
猫様の言葉が私に突き刺さった。つまり、あれから何度か私の様子を見に来てくれていた?けど・・・・いえ、連れて行かなかったのは私が弱くて、姉様と一緒にいれないと思ったから・・・・でも、それは仕方ない・・・・私は。
「どうしたの白音?・・・・もしかして、リアス・グレモリーと一緒にいて『諦め癖が移っちゃった』?」
『諦め癖』
姉様の言葉に私は頭に血が上った。それを笑いながら見下ろす姉様が更に続けた。
「そうなんじゃにゃい?周りとの差を埋められないお姫様を主として慕ってたから、いつの間にかそのままで良いとしてたんじゃにゃい?」
「違います!部長は部長なりに周りとの差を埋めようとしまし・・・・た・・・・っ!?」
そう、部長は私の言った日々を過ごしていました。あくまで周りが規格外だから埋もれていただけです・・・・けど、私は・・・・。
「ふ~ん?でなければ・・・・『周りが似た者ばかり』だったから?でも、見たところ?自分の力や過去とは向き合い始めてるにゃ・・・・リアス・グレモリーも何をしでかしたかはともかく、外から見ても自分なりに何かしらやろうとはし始めてるようだけど?・・・・白音が一番出遅れてるのは確かだにゃ」
『周りが似た者ばかり』
そう・・・・正にグレモリー眷属は似たような境遇が多かった・・・・そして、姉様がどこまで把握しているかはわかりませんけど、私が一番出遅れてるのは事実です。先週末の戦いの後から私はそう思っていた・・・・でもと思って、涙を流した時。
「・・・・っ!」
ドォンっ!
私はいつの間にか吹き飛ばされて後方の壁に叩きつけられてしまっていた。激痛を堪えながら姉様を見ると、左手を掌底の形にしていたので、その一撃に吹き飛ばされていたと理解しました。床を背にして尻餅をつく私に近付く姉様の目は冷徹な光しかなかった。
「立て」
「ね、姉様・・・・」
「・・・・その涙は何?それで何が出来る?」
「・・・・っ」
何も出来ない、私は主殺しをした姉様に抱いていた時と違う感情を抱いていた。そう、これは違う・・・・恐れとか、そんなものでは・・・・。
「・・・・泣いてないで立ちなさい!・・・・さあ、立ち上がって私に向かって来なさい!・・・・『搭城小猫』!」
姉様・・・・姉様は初めて白音ではなく、搭城小猫と呼んだ。
厳しい声色で私に立って挑んでくるよう促す姉様・・・・立って、どうするのか・・・・ただ先程までのようになるだけ、そうならない為にはどうするのか?
『本来の力を使う』
けど、無駄・・・・だと思います。それで勝てるのなら・・・・と思いますけど、相手はとっくに使いこなしている・・・・埋めようが無い差があります。それに、姉様が本当に私を救う為に主殺しをやったのだとしても・・・・私の力を使う勇気が無いです。何故なら・・・・姉様がそうなったとしていたように、私達・・・・『猫ショウの力』・・・・それは邪念に飲まれやすいのは事実だからです。けど・・・・。
「・・・・どうした?立つ気力も無い?ふむ、確かにやっても無駄にゃ・・・・私がとっくにやってた事を今更やっても勝てない、中途半端な分始末に悪いわ」
「っ!」
「考えてる事くらいわかる。仮に今すぐに私と同じくらいのパワーを出せても?経験までは埋めようが無い・・・・そう、ギリギリのとこで?ものを言うのは・・・・経験よ・・・・ああ、気合いとか根性で埋めるのも王道だけど、私やこれから戦う相手が多少それをやった程度で勝てる相手と思ってないでしょ?」
・・・・そうです。それが出来るのは例えば強者と呼ばれても奢り高ぶってたり、上を目指すより下に威張り散らすのを選んで自分を腐らせたりしたのが相手だった場合が大半。姉様は前の主のとこにいた時から怠け者だけど、イザという時には余程のデタラメでもない限りはどうにもならないものがありますし、先週末からを考えたら付け焼き刃で敵う敵が来るような状況ではありません。
「ふむ・・・・『ツケ』が回って来たにゃ?」
「『ツケ』?」
「そうでしょ?本来の力を使うかどうかは別として?リアス・グレモリーの眷属ってサーゼクス・ルシファーの身内とその眷属なんて狙われるに決まってる連中にしては危機感が無かったとは思わない?生い立ちからしてワケありのばっかりだらけなのは偶然にしても?途中から私から見てもまるで傷の舐め合いな日々だったにゃ」
『傷の舐め合い』
そうかもしれません・・・・人間界に来た理由が身内と比べて『凡庸』とされた日々から逃げ出したからな部長と、そね下に集まっていたのは私と朱乃先輩に佑人先輩、傍目には姉様の言うように映る・・・・未だに立ち向かう勇気すら出せない私が特にでしたけど・・・・シオン先輩が何故か部長の眷属になった時まで、人間界に逃げた部長を励ますキッカケすら掴めなかった・・・・けど、今の状況は・・・・。
「やる気になってもグダグダしてた時間が悔やまれる。大人しくしてるか鍛え直すかが必要だけど、リアス・グレモリーが何かやらかしたせいでそんな余裕無い、困ったものにゃ・・・・詰んでるとするならばそれを一発で覆すものがあるけど?敢えて言ってみようか・・・・『才能』よ、それもあのイングヴィルドって娘くらいの飛びっきりのレベルのがね」
「・・・・っ!」
姉様が言った事は、私達の上からのし掛かるものを含めた事です。私の現状を覆せるものがあるとするなら、イングヴィルドさんレベルの才能・・・・先週末から今日までみたいな戦いが、いつ起きても可笑しくないので鍛え直す余裕が無い・・・・。
「ふむ、現実は見えてるようで結構・・・・では?私のお土産を堪能していただくかにゃ?」
『お土産』?真意がわからないです。けど、私を見下ろす姉様の目が光る。その目を見離せずにいて、その内に私の周りは一辺した。
色が無くなっている。
凍り付いているようで、何か違います!まるで『生気』が無くなったかのような・・・・。
ドクンっ
「あ・・・・ぐっ!」
身体が熱い・・・・何かが、中から蠢いている。この感覚・・・・『あの時』・・・・暴走した部長とシオン先輩が戦った時に私達の前から離れた少し後に感じた。
「ぐぅっ!・・・・ぅがああああっ!!」
痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!
身体中痛くて・・・・何かにしがみつく事さえ出来ない・・・・何故?何故・・・・こんな事に。
「現実見えていても?私に立ち向かう事すら出来ないのは事実だから、予定は変更にゃ!先ずはこれに勝たなきゃねえ?取り敢えずは思う存分泣き叫ぶにゃ」
「~~~っ!?」
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「鬼ね、鬼コーチ・・・・」
声にならない悲鳴をあげてのたうち回る妹を見下ろす黒歌さんの意図はわかるわ、猛毒を以て毒を制すね。一晩中可愛い小猫ちゃんが死ぬ程の痛さと戦う悲鳴を聞く羽目になるだろうけど、今更よ・・・・私達にはこういうのがお似合い。せめて見届けてあげる・・・・そう、黒歌さんの言うように泣き叫んで、その後に死ぬだけかもしれないけど。これからは出来なきゃ死ぬだけな日々は確定してるんだよ。
「そうでしょう?」
「えぇ、リアス様達には耐えられないだろうから『遮断』はさせていただきました」
同感、小猫ちゃんの異常を察してこの場に来られたら面倒。夕方にはユーグリッドへの怒りを抑えきれないでいたが、ある程度は調子を取り戻したらしいビナーさんが私の横に立っていた。身内への甘さと厳しさを兼ね備えているだろう事は冥界随一だとすべきな女史は何もかも察している。
「何も聞かないのですか?」
「ええ、予想通りとしても私には関係無しです」
『予想通り』
ビナーさんが依頼した黒歌さんの過去の真相について調べ直す件は、やはりある程度見透かしていたのだろうね・・・・ベルフェゴール家からシオン君とのお見合い持ち掛けられた理由について周りを探ったら、色々興味深かった。
ディオドラの件の早期発覚の理由からして・・・・最近は冥界と言うよりサーゼクス・ルシファーの動きがやたら早い。その理由は溺愛している妹の為に何とか打開策をと考えて立場上の仕事に勤しんだ結果論だ。皮肉だけど、所々で妙な結果に繋がってしまっている・・・・まあ、それ以上になる理由は隣の御方にあるのを私を始めとして知ってるけど、口には出せない。
「貴女が止めなかったのは意外ですね?彼女は必要なハズでは?」
「そうだけど、昨夜確信した。今のままじゃ無駄死によ。中途半端にそうなるなら、今ここで『失敗』した方が良い」
「ふむ、結構・・・・ではベストになるかベターになるか見届けてあげましょう」
ビナーさんは苦しむ小猫ちゃんを見据えた。悪いけど、私は此方に関してはベター派なのよ・・・・ベストになった場合、あの姉妹は殺される覚悟をしなきゃならないから、今は小猫ちゃんの戦いの結果を見守るのみね。
苦痛を伴う試練も少年漫画とかでは王道である。
尤もな一言だけで済ますなや。
※
言うまでないが、ド◯ゴン◯ールや◯☆遊☆◯書やら。