おさらいとして、シオンの容姿はティア・ノート・ヨーコなるキャラが変身(汗)させられた時の髪を紫っぽい青や水色にして、やや細身な童顔にして男にした感じ、髪は魔力絡みな場ではご察しな理由で伸ばしたまま三つ編みじゃない形で目立たないよう纏めてます。
「『童心と初心』・・・・ビナー様は悟っているようですわね」
「えぇ」
土曜日の午後、私と朱乃は私服で自ら悪魔の仕事で外回りに出向いていた。
小猫は黒歌とまだ語り合う必要はあるし、佑斗には私達同様に普段と違う事を任せて、ギャスパーにはその補佐をさせる形。
電車を使って、目当ての場に一番近い駅に降りてから?レンタルの自転車を使うのは万が一あるからな移動手段として進められたからね。有事の際の手段も用意してある。
何度か話題に出た嘗ての赤龍帝は、当初は魔力を使う転移どころか、翼すら録に出せずにいたせいで、自分の足で外回り等の下積みをしていた未熟者だったと、ビナー義姉様から聞かされた・・・・自分達に、敢えてそうやって『童心と初心』を思い出しつつ地に足を着けなさいと・・・・それに他意は感じられなかった。
「気になるのは・・・・遅くなるだろうから、お泊まりでも兼ねて行くのも良いですよ?と言われた辺りですわね・・・・けど?」
「そう・・・・ね」
朱乃も思う事は私も同意な事のようね・・・・気になっている事は多いけど、外を移動しながら感じた事。
『気持ち良い』
そう、普通に歩いて・・・・電車に乗って、自転車に乗って風を感じて・・・・その途中、自動販売機のジュースを買ったり、古風な店の和菓子を食べて、こうしたのはいつ以来かしらね?
朱乃が言うように、ビナー義姉様は私達がレイヴェルさんにしてやられた事は把握しているでしょうね、その辺りを触れないのは取るに足らないと見られているからともわかる・・・・正直、私が暴走した時に何事もなく元に戻されていればビナー義姉様が人間界に来る事は無かったとくらいは考えている。けど、今みたいな気分は味わえたか疑問なのが複雑ね、知る限りで今回みたいな事を私に課す存在は今まではいなかったから。
「気になるのは、やはり遅くなるだろうからお泊りも考えた方が良いと言われた事ですわね。向かう先は静かな場のようですけど」
「そうね、今はそこに行く事を優先するわ・・・・他もそれなりに動き始めたのだしね」
今朝の事を思い返したわ、学園に泊まった私達は、ソーナの計画を聞かされた。
「冥界に?」
「えぇ、今が最後のチャンスかもしれません」
『最後のチャンス』
最近は他の世界に行くどころか魔力を使う連絡や転移系への妨害が徐々に目立ち始めており、行くなら今しか無いのかもしれない。止められはしない、私にはそんな権限は無い。
「貴女はどうします?」
ソーナはレイヴェルさんに問い掛けた。元々イザベラさんを探しての慌ただしい経緯なので、同行も手よね。
「私は人間界に留まります。イザベラがどうなったかが未確認で人間界に残るのも手ですから、それに前々から提案していた事をリアス様に昨夜頼んだばかりですわ」
「それは?」
「私はゴールデンウィーク明けを以て、駒王学園に編入致します」
「それは、シオン君が目的ですか?」
「はい」
ソーナの問いに即答するレイヴェルさんは至って平静を装っている・・・・そう、これが・・・・これだけが『取り引き』の全て・・・・転入に関する便宜を図るだけ。レイヴェルさんからしたら、間近で私をと言うより、私がシオンに更なる悪影響を与えないか見張る環境を欲した。
それから・・・・やっぱり、シオンが絡むと皆は迂闊な発言を控えているわね・・・・レイヴェルさんは、今はイザベラさん絡みでここにいるけど、元々シオンだけが目当てだから特に言及はしようとしていない。
回想を終えた。
その後に、当面の件や来ていた依頼をいつもと違った構図で事を進める事をビナー義姉様が提案した。即ち、レイヴェルさん絡みの細かい手続きと外への出張を本来とは違った担当でやる。他は、自然に私のお目付け役ともなっているビナー義姉様が自分なりに気分転換をさせようとしていると取ったようだけど、私と朱乃からしたら?今はレイヴェルさんとは距離を取るのは渡りに船な案だった。そして目的地に着く。
「ここね」
「懐かしい気分にさせられる家ですわね」
コンクリートが殆ど無い田舎の中にある昔ながらの古風な一階建てで隣に道場がある?身内と比べられ始める前は時代劇が好きだった私、朱乃も両親と静かに暮らしていた場を良い思い出として改めているから感じるものがあるわようね、聞いた通りに電気は通っているからチャイムはあったので普通に鳴らした。ビナー義姉様が言うには此方が悪魔とはわかるらしい、中から『は~い』と声がして、戸が開かれた。
「まあ、良くいらして頂きました」
「・・・・っ!?」
「あら、何か?」
「い、いえ・・・・随分とお若いと」
「まあまあ♪♪お恥ずかしい・・・・見ての通りに七十過ぎなお婆ちゃんとなってしまって、頭は完全に白髪のみとなってしまいまして・・・・」
「は、はあ・・・・(な、七十過ぎ?)」
私達を出迎えたのは、言うように頭が全て白髪になっていて、それを昔ながらの形に纏めている・・・・お、お婆ちゃん・・・・なの?顔が皺一つも無いどころか私達より若く・・・・いえ、可愛いと言える程・・・・柔道着を着ているけど、手足も私達以上に張りがある・・・・髪を白く染めた下級生に見えるわ。
そして、柔道着は・・・・『赤帯』・・・・『赤』なんて柔道では、確か九段・・・・とにかく、居間に通してもらって自己紹介をし終えて、依頼主の?
『美付根久三』(みふね くみ)
そう・・・・『きゅうぞう』じゃなくて『くみ』・・・・。
有名な柔道家に因んで付けられた名前らしいけど、周りは『くみ』として通したとか、本人は『きゅうぞう』で良かったのにとか・・・・まあ、お茶を淹れてもらったけど?
「見惚れて、しまいますわ・・・・」
朱乃が言うように、一つ一つの動作にまるで隙が無くて、惚れ惚れするくらいにピシッと芯の通ったもの・・・・美しいとすら思える。武道をやる者にとっての理想像と感じた・・・・。
「この度は悪魔の方々にご労足を頂いて、痛み入ります」
「い、いえ・・・・し、しかし?どのようなご用件なのです?依頼は『身体の相談』とありましたが、見たところで大変なご健康体に見受けられますが?」
「はい、それが親戚の子が若くして身体が不自由になってしまいましてね・・・・だから、貴女達悪魔に少しでも良い知識をと・・・・今、道場におりますので、ご同行を願えますか?」
表情が悲しげになっていた。外見だけでなく内面から感じられるものだけで私達にはこの人が人間の到達点に見える程なので、一際胸が痛んだ。そして、道場の扉の前に来たらお婆ちゃんは中に呼び掛けた。
「お客様を連れて来ましたわよ」
『はい』
「「っ・・・・!?」」
中から聞こえたのは、女性の声なのだけど・・・・私達は身体を震るわせてしまった。
『似ている』
少し違うようでも、私達はその声だけで中にいる人が似ていると感じてしまった。そんな私達に、くみお婆ちゃんは問い掛けて来た。
「お二方?『伝達』には、少々厳しく当たるようにとありました・・・・事情は聞きませんが、どうやら本当にそうすべきのようですわね、開けますわよ?」
何かを察した事にすら応対出来ない、開かれた扉には道場の光景が広がっていたが、隅で車椅子に座る人・・・・痩せ気味の身体に簡素な白い病人服を着ている。少し胸の膨らみが確認されたけど・・・・それでも、やはりと思ってしまったわ、髪を隠すように纏めていない事と多少年上にしたような感じ以外は外見が瓜二つ。
「あ、あ・・・・あ」
「そん、な・・・・」
私達はこの後を予感出来ていた。だけど、どこかで・・・・いずれ向き合わざるを得ないけど、今は考えまいとしていた事の中で最大の要因にいきなり遭遇した現実に逃げ出したくなっていたわ。
「どうなされたのです?」
お婆ちゃんの声すら聞こえない、けど私達は堪えきれずに思っていた事を口に出してしまったのだ。目にした女性と瓜二つな少年の名を。
「「し、シオ・・・・ン(君)?」」
「・・・・シオン?・・・・もしや『息子』のお知り合いですか?知り合いからは、良く似ていると長年言われてはいましたが・・・・ああ、駒王町のある地区の辺りから相談相手が来るとは聞いてましたけど、偶然ですね」
「息・・・・子?」
「あ、貴女は・・・・?」
「えぇ・・・・と?何かあるようですが?ああ?とにかく、自己紹介をします・・・・私は『姉ヶ崎紫乃』(あねがざき しの)・・・・改めて?駒王町の学園に進学した息子がいるのですが、ご存知なのですか?」
何処か不安げに問い掛けてくる紫乃さんの目が『赤』に輝いていた・・・・それが何を『象徴』する事なのか含めて、私達は現実を受け入れられなかった。
おさらいした理由はこれか・・・・しかし?全く、今回の締め担当は遠慮してるの多いのう?
良くわからんが、身内絡みなら?嫉妬に狂って暗殺者雇ったりした俺が代役なのは何のつもりだ?