ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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第一ラウンド?


人柱

 ビナーの剣が伸び、グレイフィアの残像を突き刺した瞬間に上体を屈めたビナーの頭上をグレイフィアの横薙ぎに振るわれた剣が通過する。そのままビナーは水面蹴りに移るが、後ろに飛び様にグレイフィアが魔力弾を放つが、ビナーはそれを掴んで投げ返したので上空に弾いた。

 

 柔と剛、力と技。

 

 相反する要素を噛み合わせた二人の技の応酬が続き、余波だけで屋上を平らにしていたし、足元は亀裂だらけになってしまったので、地上に降りてグラウンドから校庭に舞台が移って間も無く単純な剣の勝負に移行し、五分間が経っていた。

 

 その内に何度目かになる鍔迫り合い・・・・足技はお互いに第二撃に使おうにも使えないくらいに隙が無くなって来て小技すら使えない押し合いになったが、瓜二つな妹と至近距離で向き合うグレイフィアは自分の不利を悟っていた。

 

『気圧されている』

 

 ギリギリのところでは、自分は何が何でも相手を叩きのめす気概で劣る・・・・怒りを抱かれているのは予想していたのだが・・・・。

 

(悲しみ・・・・ですね)

 

 怒りを通り越して悲しみを抱いている目だとグレイフィアは理解した。

 

 

『我等を見捨てるのですか!?』

 

 

 ルキフグスや旧ルシファー関係者から数え切れないくらい向けられた激情・・・・リゼヴィムのような愉快犯が相手でなければ、サーゼクスと戦時中から会ってたりしてた罪で処刑されても可笑しくはなかった。そう考えてしまうのすら命取りなので弾かれたように距離を取って、問うべき事を口にした。

 

「ビナー・・・・問わせていただきませんか?貴女はいつの間に、それ程の力を身に付けたのですか?」

 

「決まっているでしょう?何年も掛けて密かにですよ」

 

 有りがちな答えだ。戦争が起きてから顔を合わせた妹の力を目の当たりにした時、呆気に取られた程だった・・・・飄々とした性格の為に踏み込めないでいたまま時間ばかりが過ぎてしまったのだ。趣味を幾らか力説されたのは偽りではないハズだが、それでも言わざるを得ない・・・・関係者が評するように互角では無く、明らかに自分より上の戦闘力なのだと痛感した。何故か宿した白龍皇の力を使うまでもない程に。

 

「それにしては異常ではありませんか?貴女は私程には目立った実戦を経験はしていないハズです」

 

「目立った事をしてるかどうかだけで決まるなら苦労は無いでしょう」

 

 尤もだ。その目立った事が世間的な知名度があるかどうかくらいだとグレイフィアは考えてはいる。

 

「次に何故力を付けたのです?」

 

「逃げる為ですよ、ですが逃げ出した先でやっていくには力がいります・・・・私は仮にも旧魔王派時代のルシファー家に支える最右翼の家の生まれです。都合良く逃げ出して平穏でいられると考える程に愚かではありません・・・・貴女みたいに力があるだけではなく都合良い流れに乗せてもらえるのが希、リアスも実家から離れなければ良かったと言われればそれまでですが?それなりに考えてましたね?駒王町に居れば少なくとも打算まみれの日々と言われても眷属達を養えるし、次に向かう場を考案も出来る」

 

(・・・・現実を見てますね、迂闊に真相を聞き出せないので有りがちな事を聞くだけで敗北感しか無いです。シオン君の事に触れずとも勝ち目が無い)

 

「・・・・では、戦いを再開と行きますか?肝心な事を聞き出せないでいたツケの利息・・・・払っていただきます」

 

 そう言ったビナーの雰囲気が変わり、白龍皇の力を使うのかと思ってグレイフィアは『奥の手』を使おうとした。ビナーには悪いと思わざるを得ないが。

 

 

 

『これを使えば確実に勝てる』

 

 

 

 そう踏んでいた予測は裏切られた。

 

 ビナーが神滅具を使わずに身体を赤いオーラに包んだ瞬間に身体が僅かに縮んで、若返ったのを目の当たりにしてグレイフィアは冷や汗を大量に流した。

 

(私も同じ事をやれる手段は知っていますが、アレは違う・・・・外見だけでなく、感じられるものが全て軽く数倍に膨れ上がった)

 

 次の瞬間、グレイフィアは咄嗟に後ろに飛んだが、ビナーの拳がグレイフィアのいた場所に振り下ろされた。

 

 

 BAKOOOOOOON!!

 

 

(いけないっ!)

 

 凄まじい轟音を上げて地面が拳で叩き割られたが、威力以上に何かあるとグレイフィアは感じた瞬間にビナーが叩き割った地面と飛び散った土が凄まじい気を纏って、盛り上がり、弾けて無数の砲弾のように遅い掛かってきたので咄嗟に悪魔の翼を展開して回避し、近くの木の前に着地したけが、足元には何発かの魔力弾が飛んで来た。それも何とか回避して対峙した姉を見据えるビナーの目が赤く光った時。

 

「・・・・っ!?こ、これは・・・・地面が?」

 

 足元は流砂のようになり、脱出しようにも魔力を吸い取られているようになって力が入らない・・・・こんな技は知らない・・・・!先程の攻撃はどうやらただの攻撃では無かったとグレイフィアが思っても後の祭りだった。

 

「やれやれですね・・・・足元がお留守と言うか疎かと言うか・・・・リゼヴィムやハーデスのような者に注意が行きがちだから、そうなるのです。良い機会だから『養分』になってもらいましょうか?」

 

「よ、養分ですって・・・・?」

 

 ビナーが指差した方向を見ると、グレイフィアは『桜の木の前』に吸い込まれていた。あの木に何の意味があるか理解出来なかったが、敗北だけは悟った。

 

「敢えて言うのはサービスですよ、これで少しは気合いを入れて脱出する気になれるでしょう?うっかり眠ったまま昇天されては、私の気が済まないのでね?お義兄さん・・・・貴女の旦那やその両親には一週間くらい寝た切りにするくらい叩きのめしてしまいましたの方向で話を通しておきます。元々、貴女は旧魔王派等に何かされても仕方ない覚悟をしていたから、その程度は想定内でしょうしね」

 

 グレイフィアは全身で怖気に震えていた・・・・真相を聞き出せるか以前に勝ち目が薄いとは思ってたが、まさか力の差がこれ程とは思わなかった。淡々と語る妹が背を向けた時に彼女は完全に地面に吸い込まれて意識を失った。

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーー。

 

 

 

 

「何と他愛無きもの・・・・姉様はこんなに弱かったのですね・・・・力ではなく、中身が」

 

 会話の内容でわかった。肝心な部分を聞き出せないとは・・・・ある意味でリアス以上に寂しがり屋さんで甘ったれなのかもしれません、踏み込んで不味い結果になるのを怖がっていた・・・・ユーグリットの件で、身内への未練を捨てた前の私以上のもの・・・・これでは、殺意全快にでもならない限りは私の敵にはなれませんけど?

 

(良いではないですかね?・・・・そもそも?貴女はとっくに『戦う必要は無いのですから』)

 

 そう、思えば滑稽・・・・後はシオン君の秘密さえバレなければ良い・・・・オーフィスがやったように残留した気から真相に踏み込まれては厄介なのだから、都合が良かった。私は体よく利用されに来たも同然な姉を予定通りに上手く使った事で、これ迄の溜飲を僅かに下げたのだった。例えばリゼヴィムやハーデス辺りにこの場に残ったものを『読まれない為に』・・・・貴女くらいの実力者を『人柱』にでもする必要があるのですとして退散した。




立てるかグレイフィア?な場面。

さて、コマーシャル♪♪

遊ぶなや!・・・・まあ、緊迫はしてる・・・・かな?
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