ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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サブタイトルが本題で、最後の一文が全てな回。


ヴェネラナの真意

ズダンッ

 

また投げられた・・・・数日で出た成果と言えば?

 

「12秒・・・・」

 

朱乃が計った投げられるまでの時間、次に私がストップウォッチで計ったけど?

 

ズダンッ

 

「13秒・・・・」

 

数えきれないくらい投げられたけど、くみお婆ちゃんと試合開始から投げられるまでの時間が10秒台になったくらい、最初は2秒迄しかもたないでいたから半歩は進めた?

 

例のおむすびをヒントにして、無理に型取るのはやめて最適な型を取る。それだけを・・・・と考えた成果だと思いたいけど、正解かどうかは教えてもらえない・・・・少なくとも間違いではない程度。

 

「進歩はしてますよ・・・・けど、不満足そうね?一刻も早くを求めてるようだと崩れますわよ」

 

見透かされている。私達には自問自答しながら地道にやるしかない・・・・けど。

 

「リアス・・・・大丈夫?」

 

「え、えぇ・・・・」

 

私と朱乃は漸く呼吸を落ち着けながら道場に大の字で倒れ付していた。悪魔の身体が軋むくらいにされるなんて夢にも思わないで・・・・いえ、あのお婆ちゃんは人智と言うものを悪魔とは別方向で越えている。道理でシオンが・・・・と思った辺りで考えを無理矢理止めた。私と出会う前の事を詮索したら最悪になるか手前が関の山だとしている。

 

「リアス、貴女が考えている事は想像が付きますけど・・・・くみお婆ちゃんに少し聞くだけならどう?例えば、シオン君とは多分親戚か知り合い程度にしても、どういう経緯で小学生の頃に稽古を付けてもらいに来たのか?」

 

朱乃は私程にシオンの秘密や過去に関わる結果を恐れてはいないから、多分前向きに考えられる・・・・試しに聞いたけど。

 

「直接、お聞きなさい・・・・恐れていて良いかは微妙な範囲ですわ」

 

事も無げに返された。

 

そう、私達は結局のところ恐れている。

 

シオンの過去をせめてと考えて、ある案が浮かんで・・・・駄目・・・・!ベターかもしれないけど、私にはそれは・・・・自分を恥じて、改めて稽古に集中しようとしたけど、私はやはり?ある可能性を考えてしまっていた。

 

例えば、私からの呪縛を逆用して、シオンに自分の秘密や過去を漏らさないように指示を出せばと・・・・けど、それも逆効果になる可能性が高い・・・・ならばと考えたけど、その結論だけは嫌だった。その理由を考えるのすら嫌な自分を改めて恥じるしかなかった。

 

そして、今日は早目に切り上げて入浴を済ませるべき事になり。何事かと思っていたら?

 

「今日は『ある縁』でお客様が来られるのですよ・・・・そろそろのハズです」

 

そうしている内に、魔法陣が現れて?

 

・・・・何かが違う!?最近は移送系妨害が広まっているから不安になったけど、現れたのは知っているのとは根本から違うと感じている内に魔法陣から現れたのは?

 

「どうも~契約により、今回も出張しました。お久し振りですね、きゅーぞーさん?」

 

「九三(くみ)さんだろ?いや、本人はそれが望みだったとは言われているが・・・・」

 

如何にも魔法使いな衣装で小柄な外見な金髪の女の子と、その子と同じ金髪を綺麗に纏めた眼鏡の紳士姿の男・・・・けど、この男が持つものはまさか?

 

「あれ?其方のお二方は・・・・あっ、その紅髪はもしかして?」

 

「ほう?例の堕天使陣営の横流し品を破って名を上げたリアス・グレモリーと、その眷属の女王の姫島朱乃が此処にいるとは・・・・」

 

「あの、お二方?先ずは自己紹介しなければなりませんわよ」

 

「あっ、失礼しました。私はルフェイです!」

 

「私はルフェイの兄であるアーサーです。お見知り置きを」

 

くみさんに促された二人はファーストネームしか名乗らなかったけど、わかる。この二人がどの家の人間なのか・・・・それはさておいて、特にルフェイを目の当たりにした私にはある算段が整い始めてしまった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・。

 

 

 

 

・・・・ヴェネラナ・グレモリーはグレモリーの屋敷の自室に居た。

 

周りからしたら、夫と長男と義娘以外が目の当たりにしたら腰を抜かす程だろうと思う程に冷たい目をしていた。

 

(・・・・そろそろ『算段』は整ったハズね、これで当面は上手く行く・・・・リアス?悪いけど、これがベターではあるけど、勘違いはしないようにね?)

 

窓を開けて、その場がある方向を見据えた。嘗てはバアル最強の女性悪魔と唄われた存在はこの後に起きる事を見透かしていたが、恨まれて構わないとしていた。後は若者達次第である。

 

 

 

・・・・・・・・。

 

 

 

ヴェネラナの思うところの若者達はグレイフィアが紹介した屋敷で全員が入浴して身を清めて・・・・眠っていたシオンは・・・・知り合いの男性介護員と言うか下働きをする男性の悪魔に身を清めさせた。流石に女性達がやるのは・・・・約三名が残念がっていたが駄目だろう。

 

意識を取り戻して、形は同じ服を調達したイザベラは一安心していた。眠ってはいたが、シオンから感じる気は正常だ・・・・ドライグが言うにはこれから通常のドラゴンアップルに近いものを定期的に食べていれば餓死するような事は無いとの事、これには他も安堵したが?

 

「・・・・」

 

グレイフィアは、シオンが目覚める前に一抹の不安があった・・・・ビナーの件もそうだが、あの義母がやるにしては今回の件はどこか妙であったのだ・・・・わざわざ、遠回りに時間を使ってシオンに負荷を掛けるような事をやる意味は尤もなようで、冷静に考えるとどこか足りない気もするが、真意は何なのだろう?そう考えていた時。

 

「あ、動いた!」

 

イリナの声が響いた。微動だにしなかったシオンが僅かに身体を動かして、目を開こうとしていた。これで一安心だと集まった皆は思っていた・・・・グレイフィアからしても、頼もしい存在が復調してくれるのは喜ばしい・・・・聞きたい事が多いのだが、先ずは喜ぶべきとしたが?

 

「もう、心配掛け、て・・・・?・・・・あれ、寝惚けちゃってる?・・・・っ!?」

 

上体を起こしたシオンが虚ろな目のままで寝惚けていると判断したのだが、真っ先にそれは違うと気付いた。やや広目の寝室に集まっていた皆は徐々に嫌な予感が広がっていた。

 

特に食事会の時にシオンの異変を直接目の当たりにしたイリナとゼノヴィアは・・・・イングヴィルド、イザベラは勿論、まだある程度目の当たりにした程度なロスヴァイセとグレイフィアも・・・・そう、目の前の少年からは自分達が知る要素が一切無いのだとして・・・・そして、左腕が変化してドライグからの声が響いた。

 

『やれやれだな・・・・あの奥様に完璧にしてやられちまったぜ、お前達は特にこれから大変だなあ?』

 

そう言って、左腕が元に戻った後にシオンが漸く意識がハッキリしたのか言葉を発したが?

 

「え・・・・と、此処はどこです?」

 

「し、シオン?」

 

「誰です?」

 

イングヴィルドの呼び掛けに真顔で応えたシオンは知らない人に向ける目と声色であった。そしてシオンは・・・・。

 

「・・・・っ、シオン?・・・・シオンって・・・・もしかして、僕の事・・・・ですか?」

 

事態がわかって来た。イングヴィルドとイリナは崩れ落ちて、他も顔を青ざめさせた。グレイフィアは尊敬する義母の真意を先程のドライグの言葉から察した・・・・。

 

 

・・・・・・・・。

 

 

(転生悪魔の赤龍帝でもシオン君が食べたのは劇薬と言うべき、劇薬とは副作用が激しいもの・・・・私の見立てでは、他のはともかく『ある一点』だけは引き起こしたかったのよ・・・・これから起きる事態を解決する為に特別制のドラゴンアップルを食べさせる必要があるから使わせてもらったにしてもね?セラフォルーがどこまで知っているかは後にしたけど)

 

そう、ヴェネラナの算段はシオンには件のドラゴンアップルを食べさせる必要はある。但し、そのまま帰っては肝心な部分が未解決で、自分を始めとした一定の実力を持つ者からは一目で真相の約半分は見抜けてしまう。だから、シオンとリアスの繋がりを少しでも経ちつつ素でバレないようにせねばならない・・・・それには、表向きはやむを得ない結果としてシオンが不備だらけになったと見られるような手段を使わざるを得ないからだ。

 

私的な部分は否定しない、早目に帰った場合はリアスがイングヴィルドと対面したら戦う事になる・・・・そう、自分が同じ立場になったら、決してリアスを許さない!

 

そうなったら、二人の力関係ではリアスが一方的に殺されるだけだ。それだけなら自業自得であるが、その後の事態が問題だからこうした。

 

何よりも一番重要な事がある。

 

シオンとリアスの秘密がバレるのは勿論、その果てにリアスがやる可能性がある最後の手段はシオンの不備が自分の狙い通りな状態になっていては『絶対不可能』!これならば、リアスが早まった思考になっても実現は封じられる。

 

それは正しい、詰まるところリアスは最後の手段を恐れていると同時に、例えばサーゼクスがリアスを討伐しに来てもシオンが無事なら恐るるに足らない故の甘えにもなっているのだから封じてしまうに限る。そうすれば自力で這い上がるしか道は無いだろう。

 

だから、尤もな理由でシオン達を遠回りにタイニーン達の元に向かわせ、調べた成果で判明した事態を誘導する事にした。

 

あの特別製のドラゴンアップルは死に掛けているような状況で食べたら、ほぼ確実と言える域の高確率で起きる事態がある。シオンにそれを起こせば残酷であるが、最悪の事態を防止するベターな手段になる。

 

イザベラの予感は正しかったのだ。事態を好転させる為にシオンを死に近い状況に追い込む狙いがあった予感は的中していた。

 

(リアス、許しは求めないわ・・・・貴女の所有物にされた子の・・・・・・・・!っ『記憶を消させてもらったわよ』!)

 

全て、ヴェネラナの掌の上だったのだ。命を救われはしたが、それと同時に?

 

『シオンは他からは完全に回復させるのが不可能な類いの記憶喪失になるように仕向けられた』




子供が母親に大事な積み重ねや記憶を台無しにされのはかなりの割合で通る道よのう。

昔のゲーム関連みたいなノリで言ってんじゃねえ!!



簡単に言えば、シオンとリアスの問題はシオンが他からは修復不可能な記憶喪失にでもなれば当面はかなり安全なもの。
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