ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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 あらすじ。

 リアスの身体でエルメと対話するシオンは、何故か突如吸血鬼の領内に飛ばされてしまった。最近出没し始めた邪龍の存在を知り、襲われるも今の自分に最適な技を使って撃退するが、徐々に広まる違和感にはエルメですら疑問を覚えていた。

 一方でシオンを追うオーフィスは何故か朱乃に背負われて眠る中、何かを見透かしていた。


戦利品

(リアス・グレモリー・・・・)

 

 オーフィスは眠っていると言うより、瞑想をして離れた場にいるリアスに念を送ってきたが全く繋がらない・・・・だが、朱乃に背負われているのを何となく心地好く感じている。これは嘗ての赤龍帝に感じたものと違うが、大切なものとわかる。リアスが何故かわからないが、冷えた思考に陥っているならば、自分はこの温もりを伝えれば・・・・そう考えてしまったのが、過ちとは知らなかった。

 

 離れた場で、リアスにとっての最悪に近い事態に繋がったのだ。

 

 そう・・・・エルメと一緒に何とか吸血鬼や邪龍に見つからないようにルーマニアに戻ろうとするシオンは、ある場所にたどり着いていた。

 

「待って下さい?この洞窟、違和感がありますわね?」

 

「これは・・・・?中から水が流れてますが、何か『柔らかい』ですね」

 

「『柔らかい』?水の成分の表現ですか・・・・?」

 

「はい、この水は『軟水』と言うよりは柔らかいと感じます」

 

『硬水と軟水』

 

 この辺りは吸血鬼領内でもヨーロッパに近い地形、その関連で日本と比べて硬水のハズだくらいはわかる。だが、ルーマニアのものに近い吸血鬼の領内で水の成分がどう気になるのか?エルメはそう考えたが、感じ方が違う程度は理解できた・・・・リアスの身体でもシオンの『水』への理解度は衰えていない、その瞬間にエルメンヒルデの手を取って、洞窟内に入ってしまった。

 

「え?な、何を」

 

「申し訳ありません、詳細はわかりませんが、何かに感知される寸前だったようです。この洞窟内なら『一か八かの確率』で、隠れられそうなので」

 

「・・・・お任せします」

 

 どの道、自分の手を引いた女性がただ者では無く、興味を持ってはいる。自分なりに探らなければならないので従った。

 

 そして、奥へ進む・・・・鍾乳洞が近いのか、水音が僅かに聞こえる。警戒しながら更に奥へと向かったが?

 

 

 ~~っ

 

 

 今、結界の中に入った違和感を感じた。臨戦態勢を整えた二人には、客人に向けるような声が掛かった。

 

『これは、神滅具の絶霧(ディメンション・ロスト)を擬似的に再現したものだけど、身を隠す為に、その類いを使わせてもらっています。ようこそ、リアス・グレモリーですね?正直、貴女の兄は『良い魔王』だから、せめて?来たのが貴女の親友の方ならと、思ってしまいました』

 

 奥から、足音が聞こえて姿を見せたのは褐色の肌に露出が多い服装、そして眼鏡を掛けている。シオンには台詞と身体的特徴から女性の名前を察した。

 

「貴女は・・・・確か、旧魔王の『カテレア・レヴィアタン』様ですね?」

 

「その名前・・・・旧魔王の?吸血鬼の領内に、その一角・・・・しかも、継・・・・っ」

 

「荒立てるような事は言わないで下さい、彼方は戦闘が目的ではないようです」

 

「言いたい事はわかります。あのセラフォルーに魔王の座を奪われたキッカケは知れ渡ってますから」

 

 エルメの口元近くに指を当てながら、シオンは違和感に気付いた。聞いた限りで、セラフォルー絡みに関しては激昂して襲って来てもおかしくない、なのに・・・・殊勝極まる仕草だ。

 

「私なりに『修練』は積んでいる内に考えを変えてみたのですよ、この洞窟のような『水』を介して交信できるものは有益でした。え・・・・と、リアスで良いですか?貴女にもお薦めしたいくらいなのですよ」

 

『修行』

 

 ああ、そうか・・・・とシオンは思った。嘗ては無謀な継戦を唱えたのが原因で座を追われた女性らしいが、水の恩恵を受ける修練を積む内に、かなり落ち着いたようだ・・・・多分、洞窟の外の水が柔らかいと感じたのは、彼女の魔力が水に影響してたのかと判断した。しかし、リアスにお薦めとは一体?とも思っていた。

 

「その内容をお教えする事を材料に取り引きはどう?私は此処で修行してられれば良いので」

 

「修行?何か健全なスポーツマンと修行僧を足したようになってますね?」

 

「あら、誉めても何も出ませんよ?しかし・・・・これが『自分を鍛える喜び』とするべきですか?・・・・その代わりに貴女の隣にいる御方に関しても?吸血鬼の領内とはいえ?わざわざ外に出ているからには何かしら『鍛錬』を兼ねているのでは?」

 

「鋭いですわね」

 

 そう、純血の吸血鬼が曇り気味でも特に気にせず外に出歩けている理由は知らないが、何かしらの鍛錬を兼ねていたとはシオンも思っていた。

 

「話を戻しまして、私のやってた事を教える代わりの願いですが、私の居場所を教えないように・・・・それだけですが如何がです?」

 

「えぇ、それな・・・・らっ?」

 

『ドクンッ』

 

 エルメも、この辺りは自分の領内ではないから別に構わないとしたのを察したから、シオンは話をしようとした。だが、その瞬間心臓が立てるような音が大きく聞こえて、視界が震えてが繰り返されて・・・・何故か、リアスの声が聞こえた。

 

(ごめんなさい)

 

 そう呼び掛けられたと理解した瞬間にシオンの意識は途切れた・・・・その寸前に、聞き覚えがある音が響いた。

 

「・・・・」

 

 ドシュっ!

 

「~~っ!?」

 

「え、え・・・・ぇ・・・・っ!」

 

 エルメは驚愕の声をあげた。何が起きたかはカテレアですら理解するのに数瞬掛かった。リアスの右腕は、以前シオンにそうしたように肩が当たるまでにカテレアの胸を貫いていた。心臓を外したのはカテレアが咄嗟に身体を動かしたからだが、腕を引き抜かれた時にはカテレアは膝を着いて、穴から出た血の海が広がっていた。それを見下ろす下手人が『身体の主導権を取り戻したリアス』だとは知る術は無い。鬼の形相となるカテレアだが、これは尤もな怒りだ。血を吐き出すのも構わずに叫ぶ。

 

「ぐぐぅっ、ぅぅふぶ!こ、姑息・・・・な゛ぁ゛ぁ゛っ!きさ、貴様!それで・・・・っ、も・・・・あの、サーゼクス・・・・の妹・・・・かっ、ぐぶっ!」

 

「・・・・『凡庸』・・・・又は・・・・『出来の悪い不詳の』・・・・これ等の類義語を数多く付けるべきなのを知っているでしょう?・・・・けど、私はそれで良いの・・・・只、貴女を生かしておくワケにはいかないわ」

 

「お、おのれ・・・・なら、ば・・・・っ!?」

 

 発動しない?カテレアはそう理解した。自分が『飲んだ蛇の効果』・・・・それが何故?戸惑う彼女に無慈悲な声が降り掛かった。

 

「残念ね・・・・ここは良い場所だから?貴女の死体を残さないようにしないと、けど・・・・貴女の死を伝えなければならない・・・・そうね?『首』だけはいただくわ」

 

「お、おのれぇぇっ!」

 

 至近距離から無慈悲な表情のまま放たれた『見せ掛けの魔力弾』をカテレアは痛みを堪えながら横に跳んで回避、そのまま次は上に跳んで反撃をするつもりだったが、その時点でカテレアの命運は尽きた。

 

 カテレアは異次元に飛ばされたと考える程に自分の位置を掴めなくなった。そして、周囲には自分の姿が色とりどりに映り、状況すらわからない事に恐怖した。リアスに先手を打たれてなくても見抜けるかは疑問な状況を演出する技。

 

「~~・・・・『万華鏡』!」

 

 技の名前の後半だけが、カテレアには確かに聞こえた。これがリアスが新たに出した答え!イングヴィルドを模したものに惨敗し、気落ちしたままではなかったのだ。水が彼女の最も使用頻度の高い触媒ならば、その水を此方が逆に使っての幻惑が戸惑わせる程度にはなるのかもしれない・・・・そう考えたリアスは、自分が我武者羅に集めた資料から学んでいた知識からの技を密かに頭の中で構築して実行したのだ。

 

~~っ。

 

 勝敗は決した。リアスはカテレアの背後を取る形に跳んで、魔力を込めた手刀を横に一線して首を切断した。エルメンは首とその下が落下する音を聞くまで動けずに見ているしか出来なかった。

 

「・・・・~~っ・・・・・・・・」

 

 首だけになっているせいか、上手く発音出来ないようだ。そんなカテレアに自分の首から下を『消滅』させるのを見せつけたリアス・・・・恐怖に歪み、ほどなく?こと切れた顔を見届けてカテレアの首を戦利品のように掴んで拾い上げた。

 

「あ、貴女・・・・誰ですか?」

 

「リアス・グレモリーです。その質問・・・・意味は?」

 

「先程までの貴女は・・・・冷淡ではあるけど、先ずは話をしようとした相手・・・・まして、私から見ても戦う必要は無いカテレア様を不意討ちした後に殺害をする御方ではありませんでした!」

 

「買い被りです。私は、グレモリー家においては『凡庸が褒め言葉な出涸らし』です。出涸らしは出涸らしなりにやり方があるの・・・・」

 

 そう言っているリアスには醜悪さは無いのを見れた。エルメンヒルデは『後始末』を終えて退散するリアスの後についていった。

 

(やれた・・・・)

 

 そう、リアスがカテレアへの不意討ちに使った一撃はシオンの心臓を奪った時のもので、首を切断した手刀はビナーがディオドラの首を飛ばしたもの・・・・今のままで自分がやれるのか?と思ったが、今回の件と合わせて確信した。自分に足りなかったのは?

 

『醜悪なまでの殺意』

 

 殺したいから殺す。それ以上に殺すべき相手は殺す!

 

 カテレアは一見は無害だが、今のリアスにはわかった。シオンの為に決して生かしておけない、それを感知しただけで身体の主導権を取り戻せたのだ・・・・そう、リアスは自分の唯一つの欲望・・・・シオンの為ならばどこまでも堕ちられる。正しいかどうか等は二の次、どこまでも堕ちよう・・・・ただ自分が欲する少年の為だけに。最後に自分がシオンに殺されてでも傍に居れれば、それで良いとしていた。

 

「手土産・・・・出来た?」

 

 リアスは、洞窟の出口を横切る辺りで、朱乃からフィリスと名乗ってる娘に声を掛けられた。驚いてはならない、この程度可能な相手だからとして対応した。

 

「えぇ、これは『キリン』を届けるようなものかしら?」

 

「うん・・・・『入れ物』・・・・無いから、我が用意する」

 

「ありがとう・・・・『保存』は効く?」

 

 見せつけたカテレアの生首の運び方を淡々と述べるリアスと、それに頷くフィリス・・・・連れて来られた三名は顔を青くしていた。気丈に振る舞うレイヴェルの後方で、朱乃とルフェイはいつの間にか身体の主導権を戻していたリアスに声すら掛けられないでいた。




ばらして詰め込むものはなんだろのう?

スーツケースじゃねえだろうなあ?(真っ青)
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