ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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 しかし、最近は事態の割には食事シーンが多くなって来た。


迫る決定の時

『破壊神オーハラ』

 

 そう異名を持つ警察官のような男がルーマニアにもいた等とは思いもよらなかった。何故か魔方陣で転移されていたなんて言い訳以前の問題だから、何故かルフェイさんが取り成してくれるまで私達は説教タイムだったわ。

 

「あの、皆さん・・・・割りと慣れてなかったんですか?」

 

 首を傾げるルフェイさんとオー・・・・フィリスさんを除いて、真っ白になるくらいに絞られて魂が抜け掛けているようだと言われたわ、凡庸呼ばわりされ始めてから自己流な鍛練を始めて以降はグレイフィア義姉様が遠慮しがちになったのが仇になってしまったわね、朱乃も何とか立ち直ったのか、優雅に軽口を始めて、調子を戻そうとしている。

 

「地震・雷・火事・親父・・・・わたくしも日本にそのような言葉が出来る理由がわかる御方と出会いはしませんでした。ルフェイさんは実家のメイドさんが大変厳しかったようですわね?」

 

「はい、けど・・・・微笑ましいところがあったもので♪♪」

 

 事情は知らないけど、今は疲労回復させなければ明日からがもたない、ルーマニアのホテルに入ってサルマーレ、チョルバ、ママリーガ等の基本的な分、安定した肉類主体にしつつ、サラタ類=日本で言えばミックスサラダや酢漬けのキャベツサラダも忘れずに食べる。

 

 私と朱乃、ルフェイさん、レイヴェルさん、フィリスさん、エルメさんと・・・・日本から離れたハズなのに、大所帯になったわね・・・・残っている眷属達と行方知れずのアーシアが心配・・・・いえ、私が言えた事じゃない・・・・先ずは体力を回復させてから、レイヴェルさんとフィリスさんが何故ルーマニアにいたか辺りから聞きたいけど、周りはやっぱり、私がカテレアを殺した理由から聞き出したいのよねと思っていたら?

 

「細かい事は後にしましょう、今更隠し事や言い辛い事であたふたしてる程度では、あの御方の掌から抜け出せませんわよ?」

 

 レイヴェルさんが、私達に制した・・・・遠回しだけど、ビナー義姉様の事ね・・・・エルメさんも何か察しているようで口を挟まない、この中では一番惨めな思いをさせられた相手の提案に従わざるを得ないのは悔しいけど、贅沢言える立場ではないわ。

 

 そして、食事を終えて入浴、私は一人で入っている。温泉がある国だけど、治療や美容目的で入るし、日本とは温度からして違う、ここのは水着を着用でお風呂と言うよりは、温水プールね・・・・泡風呂の一種な類い。

 

『お風呂』

 

 日本の文化が好きだった・・・・いえ、今も好きな影響は消えてないわ、アーシアとは寝る時だけじゃなくてお風呂も一緒だったわ、身体や髪を洗ってあげたり、洗ってもらったりとかも毎日・・・・またアーシアと・・・・いえ、その前に。

 

『これは『気泡』と言うものでしたか?』

 

「えぇ・・・・日本とは違うけ、ど・・・・っ!?」

 

 知っている声・・・・だわ、私は左後方から聞こえた声の主が誰かを確信している・・・・怖い、けど・・・・それ以上に会いたかった存在が直ぐ横に入って来たから・・・・顔を向けた。

 

「ただいま帰り?まし・・・・た」

 

『アーシア』

 

 な、何で・・・・アーシアが?と思ったけど、私は聞かなければ、聞かれなければならない事があるから、今直ぐにやりたい事は後回しに、と思った時に。水着姿のアーシアは私の胸に飛び込んで来た?

 

「あ、会いたかった・・・・です!私、リアスお姉さまが・・・・その、『見ました』・・・・けど、それでも私は帰って、来たかった・・・・です!」

 

 私を見るアーシアの目は涙を浮かべていたけど、それは喜んで・・・・るから泣いて・・・・間違いなく、私がシオンを殺した光景を見たのに、私と会えて、喜んでくれている・・・・っ!

 

「ア・・・・アーシ・・・・ア・・・・ぁぁ・・・・っ!」

 

 私はアーシアを抱き締めて泣いていた。どうやってか知らないけど、アーシアが私のところに帰って来てくれた。それだけで、何も考えられなくなるくらいに嬉しい・・・・もう、これでシオンに『返せれば』・・・・。

 

 

 そう考えたリアスだが、こうなるように手引きした存在はそう甘くは無い。

 

(これで良し・・・・けど、勘違いしちゃ駄目だからね、私は・・・・君に協力する義理はあっても義務は無いの)

 

 そうして、アーシアを連れて来たルネアスは立ち去った。この後が愚かな子孫へのプレゼントでもあるのだから・・・・だが、シオンだけには内心で謝罪して退散した・・・・これで、後はシオン次第になる・・・・場合によっては今夜?

 

 

『リアスの運命は決定するのだ』

 

 

 そして?

 

 

「アーシア、先ずは朱乃にレイヴェルさんに?紹介したい二人と・・・・その?フィリス・・・・さんも居るか・・・・ら?」

 

 視界が歪む・・・・心臓が『ドクンっ』と鳴ったような音が響いた・・・・ま、待って・・・・アーシアと・・・・。

 

 

 

 

 

 そう考えた時にリアスの意識は途絶えた。変わって目覚めた意識の主も、計算通りと笑うルーネスの意図を感知するには距離が開きすぎていたし、この状況下では『水』の恩恵は働かない。

 

 

 

 

 

「リアス、お姉・・・・様?どうしました?」

 

「いえ、少し長湯?が過ぎたようね・・・・先ずは上がりましょう・・・・か?」

 

 納得してくれたアーシアだが、着替え室に向かいながらとんでもない事に気付いた。知らない相手の傍で?

 

『ブラのホックを?自分でつけられるのか?』

 

 情けな過ぎる難題があった・・・・再び部長の身体で意識が戻った俺ことシオンだが、どうする?

 

「あの、もしかして?指を怪我してますか・・・・私がつけますね、神器は人目につくかもな場では使えないので」

 

 言った通りの勘違い、考えてみたらその手があった。指どころか手足が駄目になってもおかしくない戦いや訓練を部長もやってるんだ。それでも、アーシアにつけてもらったのが情けなかった。この夜に更なる難題が待ち受けていたのを知る術が無い俺は、とにかく姫島先輩達がいる部屋に向かったけど、予想通りだな。

 

「アーシアちゃん!」

 

 多分、部長の次くらいにアーシアと仲良くしていた姫島先輩がアーシアを抱き締めた。そう言えば、悪魔は人間みたいにスキンシップ?とかが盛ん・・・・っ!不味い、セラフォルー様の時を思い出すから、この思考は避けよう!

 

 そして、アーシアからの説明が始まる。オーフィスの絡みは避けて、ファーブニルに連れ去られて・・・・気付いたら、この辺りに来てたと。

 

 知られてはいけない側が多いからにしても、あのアーシアがこんな言い方出来るのは複雑だ。不用意さを気にしている事でもあるか・・・・としたら、アーシアは何か包みを出した?

 

「あの、これを・・・・私が合流した味方の前で開けるようにと・・・・『ファーブニルさん』が」

 

「これ、普通のお菓子が入っているような箱ですわね?」

 

「我、開ける」

 

「フィリスさん、何だかわからないですよ?」

 

「え、と・・・・私が開けましょう」

 

 そう言って、俺が箱を開けた・・・・中に入っていたのは?

 

「これ、人間界のお菓子で?お饅頭・・・・ですか?洋風のようですが」

 

「普通のではありませんわね?ご丁寧に『お早めにお召しあがりなさい』のメモまで・・・・食べて、みますか?」

 

 嫌な気は感じないし、全員が頷いたので、部屋の設備を使った姫島先輩が紅茶を用意してくれて・・・・丁度、一人二個ずつあったので?器に分けて食べたんだけど・・・・。

 

「・・・・っ!ま、負け・・・・ました。最近、私も『修行』の一貫でお料理はやっています・・・・が」

 

「わたくしも、手作りのお菓子は身内や兄の眷属に好評でしたけど・・・・これは次元が違います」

 

 エルメ様とレイヴェル様が、敗北感に苛まれてるな・・・・『生チョコ饅頭』・・・・普通のと、ホワイトチョコを使った白いのにドライフルーツを散らしたもの、材料は何の変哲も無い・・・・だからこそ、思うんだ。

 

『勝てない』

 

 分量も具の詰め具合も何もかもが材料の具合で整えた最適さだ。

 

 特に皮!これを作った人は、普通の点心類の時もそうだったけど、皮を美味しくする為には力や教科書に従いながらでもな形で練れば良いものではない見本みたいな腕があるから程好い歯応え。

 

 口にして、皮と中身を噛み切った時に広がる甘さ控え目な充実した風味。

 

 頬が口の中から膨らんだ充実感に溶かされてしまいそうだ。俺もそれなりにやるけど、張り合う側からは勝てないとしか思えない味だ。

 

「アーシア・・・・こ、れ?」

 

 オーフィスに他にはわからないように待ったの意を示す念を送った。アーシアと俺とオーフィス以外は?ファーブニルがどうにかしてこれを用意してくれたようだと思っているけど。

 

(頑張りなさい?)

 

 声が聞こえた・・・・わかる。今まで、これを含めて色んなものを用意してくれた。

 

(お母さん・・・・詩音が悪い事してないって、わかってるんだからね?)

 

 母さんの作ったお菓子だった・・・・はぐれと戦い始めて、時々遅くなったりしたり・・・・そんな状況で中学の試験勉強とかで、難儀したりした俺に用意してくれていたものの一つ・・・・食べきった時、全員が魂からして優しく撫で回されたようになっているな。

 

「お茶、お代わり用意するわね・・・・」

 

「し・・・・リアス?」

 

 何か察した姫島先輩、手伝おうとするアーシアを止めてくれた。やっぱり、目の当たりにしたからわかるんだろうな・・・・用意する間、俺は部長の身体なのに涙を流してたのを自覚してた・・・・用意してくれた経緯はわからないけど、予想される範囲では?と、自分の中で結論付けた時、こう思ってしまった。

 

(死に・・・・・たく、ない・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 確認を終えた存在は、一旦離れた。

 

 そう、このままではシオンは自分だけ死ぬ事になるが、今世の両親が生きていてさえすれば良いとしていた。それに対してのルネアスの策は予め紫乃に、息子に何度も食べさせていた好物の土産を頼む事・・・・今なら、それを食べるだけで狙い通りになる・・・・幼少期に隣にいただけで充分だった・・・・そう。

 

 

『ルネアスは見ていた』

 

 

 敢えて言うまでも無い事だが、シオンはどんなに強がっていても隠せてなかった。それは恥じる事ではない、当然の事で両親の本質をわかってる証拠だ。推測出来る事を全て明かしても姉ヶ崎夫婦はシオンを息子として受け入れるだろう、だからこそ『怖がっている』無理もない事だ・・・・そう、シオンは?

 

『今世の両親の息子として生きたがっている』

 

 それこそが、今の窮状をリアスを裁きつつ打破する形になり得る要因、他にも打開策は立てたルネアスが敢えて選んだのはそれだ。

 

 生存願望を煽られて自分が生きる事を考えた上でリアスを許すかどうかをシオンに一任する事にするのも兼ねた最適な手段が見事に的中した。ルネアスは遠くからリアス達のホテルを見ながら厳しい目を向けて、問い掛けていた。

 

(リアスちゃんを殺したって、私が許す・・・・尤も、それがリアスちゃんの望む流れの一つになるのが尺だけど・・・・ねえ、シオン君?君にとって一番大事なものって・・・・何だろね?)




 今回の入浴に関しては着衣入浴とまではいかんが、国ごとの入浴事情は割りとややこしいので、妙な情報に惑わされんように。

 お前にしてやられた時?初めて、自分の中の殺意を自覚した時を思い出したわ俺は・・・・っ!
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