思わぬ形でアーシアと再開したリアスだが、身体の主導権がシオンに戻ってしまう、そしてアーシアに託されたルネアスの手土産により、生存願望が芽生えたシオンの取る行動は?
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現時点の私作最強キャラは内容でご察しな決定回。
アーシアがルーマニアのホテルに案内された日の昼食時に、ルネアスでさえ把握出来ない事態が日本では動いていた。
『勝算は極めて低い』
現時点では人間界どころか冥界や他を含めた場の中で『限定的だが最強』とすべき力を宿した存在は食事をしながらそう思っていた。
『日本人の主食は米』
『白飯さえあれば、世界中のどんなおかずも俺の味方だ』
後者に関しては、度が過ぎるのは気をつけないといけないけど、お米を無駄無く美味しく食べる事は非常に身体にも経済的にも良い。姉ヶ崎紫乃は夫と一緒に簡単な食事をしながらそう考える。実を言うと、夫婦で用意した食事が自分の危惧する内容を現していた。
「こんな料理を度々作ってたワケだけど、詩音に変な影響出なかったかな?」
「そ、そんな事ないよ?詩音は私にだって作ってくれたんだ」
『余ったご飯とお味噌汁で作った卵おじや』
味噌汁の具は豆腐に油揚げにえのき、少々具が多目な味噌汁としてありふれた物だけど、半端に余った生姜を刻んだりおろしたり、ごま油を少々垂らしたりすると実に胃袋が休まるだけじゃなくて、力すら感じる味になる。
詩音の場合、汁が無くなり気味に作っていたので、余った場合は軽い風味の油を塗った耐熱皿に敷き、その上にチーズを散らしてオーブンで焼いてドリアのような何かにしてしまう徹底振り、誉めるべきかどうなのかだ。
泊まっていた二人、ルーネスとアーシアが早目に帰る事になったので余りものを活用した食事にしたが、智恵にしたら馴染んだ味だ。二人は度々留守にしがちな両親持ち同士でもあるから、幼い頃から二人で色々と作っていたが?そのせいか、詩音が小学校に入る前に包丁や火を使っていても注意しなかった事で、詩音の料理を楽しみにしていたルーネスとイリナ含めて親戚から大目玉を喰らったのだ。
「で、これが包丁を使うのは?学校の家庭科でやる頃迄には私達が立ち会わない限り禁止を言い渡された後、詩音の初めて作った料理なのよね」
『最初に、手開きにした新鮮な鰯を砂糖を振って締めて、次は塩を振って締める』
「只し?塩の前に砂糖を最初に使うと、より臭み抜きになるのは『酢締めにした鯖』の知識だけど、塩だけで良いか確かめずに作ったから少しお間抜けだったかもね」
『その後、紫乃手製の玉葱の酢漬けの余り汁を普通の酢に合わせた調味料を使ってマリネにしたもの』
5月頃には、関東当たりで取れる種類で顔馴染みに時々届けて貰っている。成長期の栄養を気にしながら作った詩音の料理である。
「お刺身とかにするには?金っ気を嫌う鰯には竹で作った包丁でやるのが良いんだけど?こうすると、手開きにしたせいで荒れた部分から合わせ酢が良く染みる・・・・何処で覚えたんだろ?」
「漫画じゃない?真面目に侮れないわよ?」
言うように鮮烈な風味が良く染みている。詩音はスダチや紫蘇を使ったが?今の時期は貰い物のレモンを使って、力強い鰯の脂と上手く調和したマリネとなっている。詩音が考えて作った自分のお気に入りを笑顔で食べる紫乃だが、智恵は少し不安を覚えていた。博識な理由はそれだけなのだろうか?と・・・・紫乃にしても度々詩音絡みの料理を多目に作りがちになる理由は楽観視出来ない気がする。でもお互い食べたがっているからと言われたらそれまでなのだ。
「まあ、問題があるとしたら?何事も贅沢な答えを出さない思考になる原因になりかねない事ね・・・・智恵君は一度の食事であれもこれも食べたいなって、考えた事はある?」
「へ?え・・・・と、多目に食べたいとかなら?紫乃さんと詩音の作ったお魚料理複数」
「それよ・・・・馴染んだ答えだけでは駄目な時があるの」
時々、意味深な事を言ってお姉さんぶる紫乃の事だから、何か考えるべきとした智恵だが?紫乃は見抜いているからこその台詞だ。
『贅沢』
良い意味で、これに近い思考をするか否かで息子の今後は決まる。だが、何度思っても勝算は極めて低い・・・・有名な食通は?
『その人が食べる物を見ればどんな人間かわかる』
そんな事を言っていたらしいが、今回は紫乃の中でそれがど真ん中を射ている気分だ。自分だけなら栄養補給感覚で済ます息子は贅沢等とは縁が遠すぎる。低いどころか勝算ゼロとするべきと考えを改めた。
(・・・・けど、それはそれで『シオンにだけ負荷が行く』から都合良いのかもね・・・・けど?『黙ってた私にも責任がある』・・・・なら、少し『助けてあげるわね』)
後片付けをしてくれている夫には見せられない『目』を輝かせ、紫乃はルネアスの算段を組み直させてもらう事にした。
そう、日本から遠く離れたルーマニアですら紫乃の力から逃げられはしない。
歯磨きを済まし、後は寝るだけだ。この部屋は大部屋だが、ベッドは人数分しか用意されていない。そこで問題は?
『アーシアはどうする』
誰かと寝ようにも?そんなに、大きいベッドではないので人を選ぶ。この場で最適なのは。
「我」
フィリスだ。一番小柄なので一緒でもリアスとそんなに変わらないのだが?アーシアの心配はリアス、寝ている間にどうなるかを唯一知っているからだが?
「修行中は、一緒に和風のお布団でしたから?ベッドは数日振りですわねリアス?」
「えぇ」
アーシアは、朱乃の言葉で状況が少しずつ理解出来た。リアスは、いつの間にか『悪夢』を見なくなっている?そもそも、隠すならば大人数で一部屋とはしない、と言う事は?と、考えて少し寂しいと考えてしまった・・・・が、これに反応したのは?
「アーシア・・・・リアスと一緒に、寝たい?」
「へ?え、え・・・・ぇっ!?」
「アーシア先輩?もしやリアス様と一緒に寝ておられたのですか?」
「あ、あの・・・・それは都合上で、ああ・・・・の?先輩、と・・・・は?」
「はい、わたくし?GW明けで学園に編入するので今からしっかりと、いえ・・・・今はベッドの件を」
どうしたものかだ。レイヴェルがどこまで把握しているかは知らないが、リアスの身体を動かしているのがシオンと知らないし、違和感の感じ具合をワースト争いしている者同士だと朱乃が感じていたら?
「良いわよ、アーシア?いらっしゃい・・・・」
「は、はいっ」
仕方無さそうに、お姉様振る時のリアスのような笑みを浮かべるシオン・・・・朱乃がそうするよう言ったからにしても嫉妬の類いで咄嗟に待ったを掛けそうになったが、表情が問題だ・・・・シオンがしているとしたら?まるで、子供を見る母親・・・・再会した時、身体が不自由になっていた事を嘆くイリナをあやしていた時の紫乃のようで、自分の母である朱璃のようでもある・・・・が?リアスの影響か、全裸で寝る派になっていたようで、脱ぎ始めたアーシアの姿に必死に冷静を装うものになったので吹き出しそうになる。
「待ちなさい・・・・初対面の人達複数の前なのだからパジャマで寝なさい」
「へ?でも・・・・全員女性なのですし」
「聞き分け・・・・なさい」
事情を知る中の一人であるルフェイも吹き出しそうになっていた。シオンの事だから何かしらの意図はあるとしても、やはり異性のフリは一見の価値ありだ。体力を消耗したエルメと我関せずなフィリスは既に寝静まっているので消灯となった。
そして、夜が始まる。
(枕を並べて、寝てますけど・・・・何か、おかしいです。他の皆さんがいるから・・・・いえ、それにしても?リアスお姉様・・・・何処か違います)
私には、最初からリアスお姉様が本当は何かに縋ったり甘えたりしていたがっているように見えてました・・・・素直にそうしなかった理由も判明してます・・・・最悪の結果に繋がったから。
『シオンさんを・・・・殺してしまった』
何故、そうしたかはまだわかりません。
シオンさんをああして自分だけのものにする理由・・・・いえ、理由?・・・・理由はと考えた時に私の意識は遠くなりまし、た。やっぱり・・・・先程のお饅頭食べた事で・・・・眠気が早、く・・・・。
だが、アーシアが眠った瞬間にオーフィスが内心で慌てながら『頑張れ』としか思っていたのを察してあげられた者はいない・・・・そう、害意が無いからにしてもオーフィスですら対処は不可能な力が飛んで来たのだ。
そして、約一時間後。
『・・・・し、ア?』
夢・・・・でしょうか?何処か、見覚えがある場に来た気がするような。
『アーシアっ!』
いえ、これは只の夢じゃないです!ファーブニルさんに眠らされていた時とは感覚が違いすぎるとして起きたら?
「寝惚けてるわねえ?『現実逃避』をしたいのはわかるけど、それは駄目よ?」
『桐生さん・・・・桐生藍華さん』
周りを見回すと、此処は駒王学園の教室内でした。何故・・・・それに桐生さんが言う『現実逃避』とは・・・・?
ご察しの通り、アーシアの目覚めたのは夢の世界なのですよ・・・・勿論小さなジャングルが?
やめい!危険な単語出しとるわ!