夢の中でのグレモリー眷属の内乱は、真相に迫っている朱乃の完勝に終わる。戦う以前の問題による敗北に落ち込むシオンに迫る朱乃は、敢えて他とは違う路線を歩み始めていた。
(姫島朱乃・・・・)
日本にいる紫乃は、目を赤く光らせながら自分の算段に割って入る形になった少女に刮目しながら、一連の流れをまとめていた。
あの中では、一番無難と考えた者がオーフィスを夢の中の戦いに参加させる以上の成果を出した事には驚いたし、感嘆した。
ああなったキッカケは、詩音もリアスの身体に堕天使陣営の横流し品の影響が微かに残っていた事を理解していた事にある。
サーゼクスやバラキエルと違って、完全に割り切れている形ではないのだ。元々、シオンを殺す前後の所業が原因の罪悪感から悪夢に四六時中苛まれているリアスには自覚が無かったのだ。朱乃に看破され、自分が殺したくなったから殺したと認めた事が逆効果になっていた。
そこで、シオンはアーシアに遠回しだが確実で安全な形に『解決法』を伝える為に、リアスの身体を動かしているのが自分と知らずに、一緒に寝たがっているアーシアの望み通りにしてあげた。これなら、添い寝している内にリアスや自分の意識と同調して、夢の中でアーシアにヒントを与えられる結果になる算段だった。
しかし、それだけでは事態の解決は無理と見透かしていただけでなく、良くも悪くもリアスの誅殺を視野に入れていたルネアスにより、コントロールを誤る状態にされてしまった。
ルネアスのやった事は正しい、シオンはアーシアに負荷を掛ける事になる程の仕打ちは出来ない・・・・現に、リアスの人形に限り無く近い状態だったにしても、そのせいで負けたのは良い薬になるだろう、悪く言えば欲深くなれない自分の甘さがリアスの所有物にされた時と同じ失敗に繋がる類いだと突き付けられた形になったのだ。
アーシアに関しては、どういう道を選ぶにせよ?なるべくシオンを刺激しないようにするだろう。
ルネアスとして、アーシアが失敗しても悪夢で済むかシオンが自力で何とかする展開にするのを仕組んだが、紫乃は詩音とルネアスの想定外の要素として、朱乃も夢の中のやり取りに参加させた。
それが嬉しい誤算となった。実は室内の誰かの意識も招かれるのはルネアスの想定内だからこそだが、朱乃は予想外な強さを見せただけではなく、自分達とは逆の路線を行く事を選んで勝者となった。
(それは感心するべきね・・・・私だって、出来るなら詩音を『元に戻したくない』・・・・これが甘いのよね?・・・・詩音が、今のままなら体験したようなパターンで確実に負けるって自覚したから良いけど、答えを『最悪の難易度』にしたからには、覚悟が必要よ・・・・それと?)
真っ当に考える紫乃ではあるが、一つ違った方向の事を考えた・・・・それは?
(残念ね、お風呂でリアスさんの身体だからこその形に詩音を襲うくらいすれば、話は早かったのに・・・・第一、慎重で良いのかしらね?最近知ったばかりの意見だけど?『イングヴィルドさんより手強い相手が四名もいる』のに)
実際、自分から仕掛けて?鈍感で意気地無しで意外と人気者で実は一番強い幼馴染みを見事に撃墜して夫とした女傑ならではな考えである。尤も違う意味で先に撃墜されたのは自分なのだがとしていた。
そして、ルーマニア。
ホテルのチェックアウト前に訪ねて来た知人のフリをしたアーシアと今回の勝者となった朱乃はホテル内のカフェで対話していた。
『石を投げればカフェに当たる』
そう言われる程にルーマニアでは首都を始めとしてカフェが多い、注文したトルコ風の濃い目のコーヒーを飲んだが、アーシアにはキツいかもしれない。
「苦いですか?」
「い、いえ・・・・」
「無理をしなくて良いのですよ?大人になるということは、自分の酒量をわきまえると言う論もあるのですよ?・・・・コーヒーに当てはまるかはわかりませんが?」
「そ、それ・・・・紅茶党でコーヒーは嫌いな御方の論ですし、何より?この後の苦しい戦いの後の『死亡フラグ』なのでは?」
「あら?では、わたくし達は誰と戦いに行くのですか?」
「え・・・・え、と?」
「この後の事は『リアスに任せています』が、信じるも信じないも貴女の自由ですわよ?」
「うぅ・・・・」
自分に問い掛ける朱乃と何とか渡り合おうとしてるアーシア。
夢の中の戦いで最後に頼りっきりになってしまい、それなりに対抗意識と言うものが芽生えていた。しかし、良く言えば闘争心に縁が無い育て方をしたので、何故そうしようとしてしまうか?から、リアスの違和感にもまだ気付いていない、これをどうするべきか朱乃は考える。他のメンバーにもどうするべきかと考えていたが?
「あ、あの・・・・先輩?私・・・・先発も知った事について?『理由』は聞きませんから、その・・・・私は、またリアスお姉さま達と、学園に通えるようになればそれで良いので」
早速、朱乃は負けた気分になった・・・・アーシアの望みは、基本的にそれが第一なのだ。
朱乃としては、下手をしたら?
『アーシアが自分達の二の舞になる』
これを危惧しているのだが、それが杞憂に終わりそうと判断すべきかを真剣に悩み始めた一方?
(・・・・レイヴェルさんの時のように惨めな目に遭わされたくなければ三人にはいつバレても対応出来るくらいにしなければなりません。負けるのは許されない、何よ・・・・り?)
『悔しい』
そう考えて、朱乃はアーシアに悟られないようにした。未だにリアスと一緒に体内に仕込まれたもの・・・・レイヴェルの意思次第で、直ぐにでも無様に泣き叫びながら粗相をする苦痛を味合わされてしまうものの詳細がわからないままなのだ。今は、落ち着いて出発をするべきとして席を外しているシオンを待ったが、少し気が楽になった。根がドSな朱乃は密かに想像するのが楽しくなってしまう場にシオンは向かっていたのだから。
(気にしちゃ駄目・・・・だよな)
鏡に映るのは、リアス部長の顔。自分の無様な姿を見て、部長の身体で姫島先輩に・・・・ああされて、それでも割り切れない。
(これくらいで・・・・)
部長の身体で、その・・・・『WC』?
いつまで続くかわからないけど、こんなんに惑わされてる場合じゃないんだ。俺は、不備を起こしたら、確実に負ける・・・・それを実際に見た。手を洗いながら気を取り直して、この後の事・・・・っ!?
『結界』
自分の近くに、張られてたのを感じた?ホテル内に誰かがいた?邪気は感じない?って身構えた時だった。
「おぉ?流石だね、その状態で?手を洗う程度の『水』の流れだけで、一発で気付くくらいになっちゃうなんて?そこだけなら、既に魔王顔負けだよ♪♪」
入って来たのは、r~~っ!?
ノイズが走って、頭痛と吐き気?いや、誰なんだ?駒王学園の制服を着ていて、部長みたいな『紅髪』?・・・・っ!考えようとすればする程に、ダメージが大きくなって、立ってるのも辛くなって来る?くっ、この女性が敵だったら終わり、だ。
「ごめんね、苦しめたかったワケじゃないの、顔を合わせる必要があったの・・・・けど、わかっていたけど・・・・シオン君?・・・・君、君は・・・・私の事をもう・・・・『わからなくなっちゃったんだね』」
目の前の女性の『悪魔』が、何を言っているのか、何で・・・・泣いてるのかわからない。只者じゃないのもわかってる・・・・けど、考えようとすると頭が割れそうで、意識も曖昧になって来る・・・・そして、額に指を当てられた?と理解した時、俺の意識・・・・は、途絶えた。
「よっ、と・・・・」
この後に?リアスちゃんと入れ替わるのも確認して、倒れそうになったのを支えてあげたけど、私も自分の泣き顔なんて、長く見られたくは無かった。グレモリーの始祖、ルネアスだからなんて関係無くね?でも、違う意味だとあるんだよ・・・・。
(・・・・ねえ、会いたかった・・・・んだよ?リアスちゃんを悪く言えないくらいね?『打算的』なキッカケで、君をね?気に入った・・・・けどね?『ルーネス』じゃなくて、本当の?名前で呼んで欲しかったんだよ?)
リアスちゃんの身体を支えながら、廊下にある椅子に座らせて、これで一分もすれば入れ替わる事になるだろう。シオン君にしか見えなくなったから、お仕置きは後にしてあげようとして退散した。
(けど、流石だね・・・・昨日までなら『誰?』で終わるハズが、昨夜のアレだけで大分『リアスちゃんからの呪縛』が解け始めたなんて、これで『望み』は出来たよ、自力で元に戻ってくれるまで我慢するからさ?また・・・・昔みたいに、私と遊んでね?)
四名の内、一名は最後のでだが?他も比較的にわかりやすかろう。
おい、その妙な数値突き抜ける計測器はやめいや。