ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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 前哨戦開始。


魔獣の爪痕

『曹操』

 

 三国志で有名な武将の子孫・・・・私の考えが正しければとした時、ゼノヴィアが何となく歩みだしていたから止めた。けど、私も何か・・・・とした時に、ロスヴァイセさんに引き戻された?

 

「二人共?あの槍を信仰に縁のある者は、強く見つめては駄目ですっ!どうや・・・・らっ?」

 

 ロスヴァイセさんが、ハッとなっている?初見で無意識にあの槍について見抜けたようだけど、もしかして、もしかすると?

 

『ロスヴァイセさんも?』

 

 私やゼノヴィアも聞いた事を含めて、何となくだけど、わかっていたわよ。イザベラさんとイングヴィルドさんが?自分がワケわからない形で妙に強くなったり鋭くなってたり、いきなり身体が動かせるようになった理由は?としたけど、それは考えては駄目な気がする。それよりも曹操は一体?

 

「宜しいかな?」

 

「な、何よ・・・・?」

 

「先ずは、赤龍帝と話したいのだが?見た限りで?何やら、君やそこの銀髪の女性に指揮を任せてるようだな?京都で思い出したが?基本的に、嘗てはこの地で『悪・即・斬』の正義を貫いていた組織に近い立ち位置だったと聞いた男が何やら様子がおかしいな?もしや、君達は赤龍帝に何か『暗示』でも掛けているのか?そもそも、リアス・グレモリーの眷属になっている身ではないかな?」

 

「『暗示』?何言ってんの?そんなのが全く通用しないから『最恐』なんて言われてるんじゃないの!それに、そんな悪戯したら何されるかわかったもんじゃないわ!」

 

 暗示なんて言い出したのは何かの探り?それに、何されるかは?正確には紫乃お母さんにだけどね?本当に怖いのよ?私は、紫乃お母さんに怒られるくらいならシスター・グリゼルダにだって逆らうのを選ぶわよ本当!としたら、何か此方の真剣さを感じたようね。シオン君が記憶無くしてるのを悟られたら不味いからね。

 

「では、改めて赤龍帝?此方の話を聞いてくれないか?」

 

「その前に、槍をしまってもらえませんか?その槍・・・・イリナさんとゼノヴィアさんには良くない影響があるようです」

 

「大切な物で、護身用として持っていたいのだが・・・・駄目かな?」

 

「はい、話しをしたいなら?その姿勢を見せるべきです」

 

「よかろう、手離した瞬間に騙し討ちをするようには見えんしな」

 

 そう言って、従者か誰か?が槍を受け取って後方に下がった。一体、何を言い出す気?

 

「では、突然だが?君達に此方の用件を伝えよう?『手合わせ』を申し込む」

 

 ガクッ!と来たわ、何か理不尽と言うかしっちゃかめっちゃかと言うか?問答無用で襲い掛かるようなのよりはマシなんだけど?とした瞬間に私は溜め込んだものを出してしまった。

 

「何よっ!?紳士振って交渉始めるような流れで結局は戦いを仕掛けるんじゃないの!それなら、九重さんのお母さんを何故誘拐したか、どうする気なのか答えなさい!この霧の関連で、貴方達の仕業って理解してるのよ!?」

 

「彼女には実験に付き合ってもらうつもりだ」

 

「な、何じゃと、実験!?母上に何をさせる気なのじゃっ!」

 

「詳細を話す程に親切にはなれない、予定変更せざるを得なくなったスポンサーの要望だ。何しろ?つい先程・・・・『旧魔王の一角がリアス・グレモリーに殺された』と通達が来てな、大慌てなのさ」

 

「え?」

 

 つい、皆が身構えてしまった。リアスさんの関係者って程度は説明してる以上に九重さんも多少は情勢を勉強してたようで言葉に詰まっていた。旧魔王の一角が自分達に属さない者に殺される事の意味は大きい、何しろ?例えば大戦の継続を唱えてたような者がいるらしいから、それをキッカケに何をするかわからない。私は九重さんの手を握って落ち着かせようとしてるけど、正直?先に冷静さを崩しちゃったから、応えてくれるのが複雑ね。

 

「全く・・・・冥界の大人は節穴な者ばかりなようだな?現ルシファーを排出した名家に生まれた凡庸な姫君と揶揄されていたが、赤龍帝を眷属とし、あのアーシア・アルジェントを手元に置いてるだけでなく、旧魔王の一人を倒すとは・・・・彼女が特に比較されていた従兄弟もびっくりではないか?」

 

 冷静になるように努めたけど、言われてみれば赤龍帝のシオン君を手段はどうあれ眷属にしただけで特筆ものなのよね、それに稀少極まる回復系神器持ちなアーシアさんを傍目には手元に置いてる。現ルシファーの妹じゃなければ冥界にすら下手な介入される身よね、けど今は後回しと言う空気に変わった。

 

「では、ご挨拶と行こうかな?・・・・『レオナルド』」

 

 いつの間にか曹操の傍にいた小さな子が呼び掛けに頷くと影が広がって、男の子は消えた?

 

 その内に、影が橋全域を包む?いえ、凄い怖気を感じた時に、盛り上がった影が一つ二つ、更に増えて十どころか百を越える人形のモンスター?となった!

 

「ーーあ、アレは・・・・?」

 

 イベラさんが何か震えている?確かに、強そうだけど・・・・私達が知るイザベラさんなら、震える程じゃないハズ。

 

「むっ、その顔半分な仮面?最近注目されているフェニックス眷属の女性悪魔か?と言う事は覚えがあるか」

 

「ま、まさか・・・・?」

 

「そうだ。二年前に冥界に出没した魔獣は、このレオナルドの神滅具『魔獣創造』(アナイアレイション・メーカー)で生み出した試作品だよ、さあどうする?この魔獣達は、二年前に君達が全滅寸前にまで追い込まれた者達より更に強化されている『ドゴッ』・・・・ぞっ?」

 

「貴様・・・・等・・・・ぁぁあっ!貴様等、がぁぁああっ!!」

 

 曹操も私達も呆気に取られていた。単純なストレートやフック、アッパーにキックでイザベラさんは人型の魔獣達の首から上を飛ばし、胴体を貫き始めた?と、漸く認識出来た時だった。

 

「な、何じゃ?何故、目を覆うのじゃ?」

 

 シオン君が、九重さんの両目を塞いでた?そうね・・・・アレを見せるワケにはいかない、そうよ。見た目で多少はだけど?

 

 

『どっちが悪人だかわからない』

 

 

 ひたすら、ひたすらに、ただ単純な力のみの攻撃で魔獣達を撲殺するイザベラさんには、イングヴィルドさんとロスヴァイセさんすら迂闊に近付けないから、イザベラさんを避けて此方に来ようとしたり?何処かから近付く標準サイズの敵を攻撃魔法や水龍で倒していた。とにかく?私達は、シオン君と九重さんを守らないといけない、としていたら?

 

「イ、イザベラさんを止めてあげないと」

 

「え、でも・・・・ぁっ!」

 

 シオン君が何故かそう言い出した理由が理解出来た。イザベラさんの身体を見たら、両手から多数の出血があった。魔力の流れのせいか、身体の方も悲鳴をあげてるのが何となくわかる。

 

「怒りで・・・・限界を超えた動きをしてしまっているのか、船旅中に聞いた事は、やはりそこまでヒドい戦いだったのか」

 

 確かに、以前に私とゼノヴィアが駒王学園に最初に来る直前に、詳細は話せない事をグレモリー眷属に話していたらしいから念の為に聞いた時に、何か違和感があった。言い出せない部分を必死に隠していたような語り方にも聞こえたから、ゼノヴィアが言うような内容だったと薄々思っていたわ。

 

 けど、イザベラさんを止めようにも?迂闊に動けないし近付けないから呼び掛けた程度で止まりそうにない。次々と出てくる魔獣が消えれば・・・・あの類いは呼び出しているのを叩くのが正解なハズだけど、あの男の子はどこに隠れたか?

 

「イリナさん?『クリスタル』を一つ・・・・ゼノヴィアさんは代わりに九重さんの目を塞いでおいて下さい」

 

「「え?」」

 

 思わず言われた通りにしたわ。ポーチの中からシオン君のマンションの地下から大量に頂いた掌サイズなマジックアイテムの一つを出して、それを受け取ったシオン君は曹操の傍、魔獣創造を使った男の子がいた場所に意識を集中させたら、クリスタルから発生した無数のマジックミサイルが撃ち込まれた。ロスヴァイセさんの飴玉サイズのが使い勝手の良い爆弾なら、これは持ち主の魔力に反応して魔法の類いを撃ち出せるアイテム、いつの間にか槍を手にしていた曹操がミサイルを全て払い切った後、余波で男の子の姿が現れた?

 

「消えたと思わせて、実はその場に留まってました?・・・・やるわね」

 

「目を塞がれたままでも、話してる内容で何が起きたかわかったが、シオン?お前は何故わかるのじゃ?」

 

「さあ?」

 

「さあ?とは・・・・」

 

「守秘義務よ、有りがちよね?」

 

 まあ、シオン君も何となくくらいの感覚なのかもね・・・・今は、話を合わせる。そうしたら、魔獣が消えたと言うより退散して、漸くイザベラさんが止まった?後ろ姿見るだけでも鬼の形相をしているのが見てわかるけど、曹操は意に介してないわ。

 

「上々と言うより、規定外だな?前哨戦のつもりが思わぬ結果だ。では、次の提案をしよう?我々は二日後の夜、そこの九重さんの母を使い、二条城で一つ大きな実験を開始する!制止する為に是非とも来てくれ、言うまでも無いが?外に助力を頼むなら、相応の手段を取ろう」

 

 いつの間にか霧が晴れたら、曹操達は消えていた。イングヴィルドさんとロスヴァイセさんがいたから、此方には新手は来れなかったから助かったわ、いえ・・・・それより。

 

「・・・・」

 

 魔獣達の返り血と、自分が限界以上の力を出していた負荷のせいで流れた血に全身を染めたイザベラさんが、尚も収まらない怒りを漂わせている。そんなイザベラさんに物怖じしないでシオン君は近付く。

 

「一旦、ホテルに戻りましょう?二日後、また会う事になる」

 

「ああ・・・・そうだな」

 

 

 

ーーーーーーーーーーー。

 

 

 

 その夜、一息ついて私達はホテルの部屋に集まり、九重さんにシオン君は赤龍帝だけど、記憶喪失だと説明した。幸い、最初が最初だからか信用は出来るとしてもらえたわね。

 

 次にイザベラさんに事情を聞く事にしたわ。二日後に再戦する迄に放っておける事じゃない。

 

「あの、二年前に何が起きたんですか?」

 

 事も無げにシオン君は聞いた。遠慮無しと言うより・・・・今は、昼間同様に考えてないだけかもしれない。そして、詳細は守秘義務とされた部分を話し始めてくれた。隠しておく方が不味いと判断したからかしら?

 

 そこから話してくれた事は、九重さんが青ざめていたわね、二年前に突如冥界のフェニックス家の領地付近に現れた正体不明の敵の迎撃に出て、シオン君に助けられたのは聞いていたけど、詳細は守秘義務だった。

 

 そして、守秘義務とされた敵の在り方が異常だったと説明された。攻撃が通用しないし、属性や種族毎のアンチモンスター、天敵とされる相手が混ざっているだけじゃなくて?相手を殺すのは勿論、自分達が殺されるのにすら喜びを感じる狂信者のような在り方、何に従っているのかは定かではなかったらしい、そいつ等の中に今日イザベラさんが倒しまくった魔獣の試作品がいたのは曹操も明言してた。そして、震えながら今日のような戦いを始めた理由を語ってくれたわ。

 

「私は・・・・逃げたんだ」

 

 そこから聞いたのは、迎撃に出たフェニックス眷属が分断された直後の事、実はレイヴェルさんと最初から二人だったのではなく、イザベラさんは孤立させられて戦っていたけど、幻惑の類いに翻弄されて倒した敵が・・・・守るべき領民が操られたり、敵に見えるようにされていたり、してやられて何人かを殺してしまったショックを受けて、戦うのを避けながら命からがら逃げ出した先で見たのは戦場では良く聞く光景・・・・民間人も戦闘員も殺されて、生き延びても?囚われて、嬲り物にされた果てに、魔獣に生きたまま喰われる光景、そして?恐慌状態に陥ったイザベラさんはかなりの痛手を負わされ、欲望のままに食い物にされている領民を見捨てて逃げ出してしまったと、嗚咽しながら言った。昼間は、その時の記憶が甦っていたのね。

 

「幸い、逃げた先で満身創痍なレイヴェル様と合流してな?せめて、意地を見せたかった・・・・追撃して来たのが何とか倒せるくらいのだったから、ひたすら殴り殺して・・・・だが、魔獣共の爪を避けきれなくなって深手を負い、覚悟をするしか無かった。そこをシオンに助けられたのだ」

 

 掛ける言葉が無かった。そうまでして生き延びてでも戦わないといけない時もある。けど、イザベラさんの性格では死ぬより辛かったのかもしれない。

 

「民は皆、私達には好意的だったんだ。悪魔の社会にしてはな・・・・レディ・フェニックスの人徳の賜物であろうがな・・・・なの、に・・・・私、は逃げた・・・・ん、だよ。だからこそ、あの後に私は・・・・シオン、君のようになれば・・・・だから、その?そうなりたくて?偶然を装って、会う度に戦いを挑んで・・・・」

 

 何か言い淀んでいる。多分、私達には聞かせたくない事を避けて話しているからよね・・・・例えば、会う度に積み重ねたものとか・・・・それに、イザベラさんは聞いた限りで、何故か異常なパワーアップをする前までに、主で王である悪魔すら家の特性が無ければ勝てないとされるくらいの強さになっていたとも聞いていたけど、それは誇れるものではなかったのね。途中から、意識が違う部分に移ったのも私にはわかる。

 

「それでもな・・・・消えんのだ。私が見捨てて逃げた民の顔も声も・・・・私は、フェニックス眷属となってから、悪くは扱われてない・・・・いや、好意的だった・・・・何処まで本気かわからんが、体術くらいしかない悪魔にな・・・・なのに見捨ててしまった。私は・・・・私は、本当なら死んで償わっていなければならんのだ・・・・っ!」

 

 痛々しい表情、サイラオーグさんの例があるし、ただ体術くらいしか得意分野が無い悪魔は肩身狭かったんでしょうね・・・・更に言えば冥界じゃない陣営にはヴァスコ・ストラーダ猊下みたいなのがいるし、そんな身で好意的にしてくれた領民達を見捨てて生き延びた。だから・・・・でも。

 

「なら、尚更に連中を止めましょう?見捨てた方々には恨まれてるに決まってる。謝ったって許されない、なら塞ぎ込むより他が同じ目に遭うのを阻止する方が幾らかマシです」

 

「君は・・・・そんなになっても変わらんな・・・・」

 

「そ、そうじゃぞ?言ってる事は尤もじゃがのう?せめて男なら、仲良い女が落ち込んでたら抱き締めてあげて慰めるべきじゃ、俺の胸で泣けとやらじゃ」

 

 直球過ぎるシオン君の言い分に、少し安心したけど?流石に辛口だからとして九重さんは一理ある事を言った。まあ、それは無理ね。元がそんな事はしないキャラだし、としてたら?

 

「こうですか?」

 

「~~~っ!?」

 

 皆、あんぐりとなった。九重さんは、自分はまだ母を救える機会があるんだからと強がりをしているからな提案したんだと思う。けど?いや・・・・真っ白々だからにしても、仮にも武闘派気質の女性にそんな事をして・・・・あ、アレ?

 

「違う・・・・君は、もっと冷徹に・・・・突き放すよう・・・・な」

 

 震えながら、両手で突き飛ばしたりするじゃなくて自分も抱き締めて?甘えたいし慰めて欲しいな動き・・・・ぬぐぐっ、としたら?

 

「~~っ!?」

 

 な、何?シオン君の『左胸』・・・・何かおかしくない?何か、妙な気が・・・・って、穴が開いてる!?そう見てたらイングヴィルドさんとロスヴァイセさんが私とゼノヴィアと九重さんを引っ張って退室した。ドアを閉める瞬間にイザベラさんが大声で泣き出した・・・・それは、良いわよ・・・・けど、本当に・・・・九重さんの言ったような事をしてもらえたからなだけなの?いえ、駄目ね・・・・今は気の済むまで、悔しいけど・・・・頼むわよシオン君。




 イリナ、危険域を見たの回でもある。
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