『子供を産む』
それがイングヴィルドさんの望みだとも考えないといけない、シオン君との子供を産む・・・・初対面の時からわかりやすかったけど、まさかそこまで考えてたなんて。
けど、それをやるには恐ろしい難題がある。それを理解しているかどうかだけど。
「むう、やはり普段の部分も只者ではなかったか。私もやる事を決めかねていたからシオンのような強い因子持ちとの・・・・そうだ。日本人は以前シオンにご馳走になったような毎日飲みたいと思う程に旨い味噌汁を作ってくれる者と結婚したいと思うらしいな、子供を作って・・・・」
「待つニャ!天龍の因子は私も欲しいから先に私!それに赤龍帝君と子作りする仲になれば、あの先生がお義父さんなのよ・・・・ね、しっかり者だから丁度良いかニャ?」
「何考えているんですか姉様っ!?」
「良いじゃニャいの。迷惑掛けた身としての批判は後にして、私達が拾い主ガチャ外ししたロクデナシじゃなくて。あんな風に普通の猫が休日に膝の上を狙いたがる真っ当なのが義理の両親になる方が白音だって幸せでしょ」
「そ、それはそうですが・・・・」
何処まで考えてるかはまだしも、ゼノヴィアと黒歌さんが気持ちはわかるけど空気を変えてくれる事を言い出してるわね、お陰でつい危険な事を考えてしまってたとこを助けられたけど。まあ、それは後にして当面の相手をとしたら向こうも空気が変わって来た。
「黙れ痴れ者共がっ!我が愛しの・・・・戦いからは身を引いたカテレアをむざむざ殺害した者と関わる連中が何と身勝手な!」
え、もしかしてリアスさんが殺したらしいカテレアってのと恋仲だったの?
戦いから身を引いたとか、むざむざとかは気になるし確かにだけど、恋仲かもから身勝手呼ばわりな部分に関しては。
【放っておこう】
あんな事を言いながら自分が好き勝手してる連中に対して、そっちも好き勝手やって他を殺したりしてたとか言うと。
【よくも自分の大事な何たらをドブ臭いのと一緒にしてくれたなとか言い出すのがヲチ】
不愉快だし暴れ出されると厄介かもしれないからこのままで行くわ。他も何となくそれ系で考えてるわね、私達は最近は怖い事に関わり続けてるからそう考えられるんだけど。
「リアス・グレモリーは私が懲らしめるから安心して、私には・・・・シオンが全てよ・・・・」
不味いわ、シオン君第一思考は良いわよ。そうなるのわかるし、私も責められる身じゃないんだけどやり過ぎて・・・・この辺り=幼稚園跡地を覆った結界壊すような凄いパワー出されたらいけない、ここは。
「はい、ご馳走様!キョーレツな決意ありがとね!けど、ここは私がやるわよ」
唖然としてくれてるわ。不味い感じな魔力が引っ込んでくれたから行動開始よ。
「何だ。聖剣の気配があるから、見るからに教会の下っ端女か・・・・私がやるとは?」
「イリナさん。待って、相手は旧魔王の末裔よ」
「わかってるわよ、それくらい認識しない程にアホの子じゃないのよ!忘れてた?仮にも私はコカビエル相手に向けられた女なのよ!それなりにやるのを見せてあげるわ」
「ぬっ、堕天使幹部に・・・・なる程。言われてみれば捨て石だったと見せかけるのもありだったかな」
「そうよ!で、やる前に一つ確認をしときたいの。十数年前から貴方達はこの辺りで悪さをしていた。そうよね?」
「ほう、気付いたか・・・・我等が崇める御方は気付いていたのだ。この辺りにまだ目覚めていない赤龍帝と思わしき人間の子供がいる可能性があるので特定する為の揺さぶりとして、当時この幼稚園で飼っていたウサギ共を殺してばらまいたりもした。何かの反応があるかもとしてな」
当たり・・・・私の予感が当たりよ!
調べによるとわざと匂わせるようにしたのがあるの含めて相当に悪辣なのがいるとは思ったけど、これだけわかれば良いわ!
「ねえ、イングヴィルドさん。やっぱりコイツは私にやらせて・・・・この私の聖剣。エクスカリバー・ミミックで成敗して殺されたウサギ達に謝らせるわ、貴女からしたら低レベルな争いに映るだろうけど、当時シオン君と一緒だった私がやらないと駄目なの!てなワケで良いわね、一対一よ?」
「ほほう、この私に一騎討ちを挑むか・・・・よかろう。受けて立つぞ娘よ、地獄へ誘う前に正当な魔王の血筋としてその思い上がりを正してくれる!」
「成立ね、皆は少し下がっててね。さあ、幼稚園の園庭の端と端で向き合って一騎討ちの開始よ」
思わず味方が下がってくれたり、相手は気まぐれに言われた通りにしてる。
ゼノヴィアは何となくだけどスニオンピラーみたいな勝算があるからとしてるわね。相手も何か用意してると思ってる。
ふっ、ふふふふふふ・・・・甘いわね、便利アイテムとは違う勝算あるし私にだって流れくらい読めるのよ、飽くまで私が対決で勝てばな場合だけど当面の問題を二つ解決したわよ!
一つ!
あのまま戦ったらイングヴィルドさんが何か危険な事になっていた!悔しいけどシオン君には彼女が必要なのよ、大怪我されたら後が更に危険よ。
二つ!
潜んでいたのと知ってた事からして、相手は何かイングヴィルドさん対策をしている!任せるのは危険、敵からしたらノーマークな私が相手して勝つのが安全でベスト!
さあ、勝負よ!として、聖剣を構えたら向こうも臨戦態勢、では。
「じゃあ、始めましょうか・・・・いざウサギちゃん達の仇ぃぃっ!」
「正面からとは、愚か者めっ!」
相手は突撃して来た私に両手から出した魔力を放つ、この類いに有りがちな対応ね。普通なら避けるしかないレベルの差があるの含めて、逆にここがチャンス!
「秘剣、シオン君の剣技擬態!」
ネーミングがそのままだけど、スピード任せに聖なる力を高めて右下から左上に振るった剣から発した聖属性付きなソニックブームを出した。それが攻撃を斬り裂いてクルゼレイの身体もかなりダメージ喰らわせるくらいに斬り裂いた。
「な、あ・・・・っ!」
「もらっ、たあぁぁっ!」
思わぬ苦痛に呻くクルゼレイに、そのまま振り抜いた剣に全パワーを注ぎ込んで剣先を八つ首の光の龍に変化させて再度振るった。飛び出した光龍に弾き飛ばされ、叩き潰されて、一体に魔力を撃ち込んで離散させたけど余波に吹き飛ばされて必死に体勢を整えているクルゼレイを密度を固めて細くした龍を巻き付けさせて。
【首から下を縛り潰した】
「ぬぐああああああああああああっ!!」
悪魔相手に有効な属性含むものだから骨も内臓もかなり潰れたわね、コカビエルみたいに地力は歯が立たないくらいに上だけど此方を侮ってる相手に有効な手を考えに考えた手段よ!今回のはイングヴィルドさんの水龍も参考にしたけどね、長年考えて密かにものにした技が何とか通じたわ!
「拘束して!」
「わかったわ、手伝って!」
「は、はいっ!」
エルシャさんとロスヴァイセさんが光龍が消えて崩れるクルゼレイを雁字搦めにした。
ふふふふ、私も捨てた物じゃないわね。
やった・・・・やった。やったわよ!ウサギちゃん達の仇は討った。
【命はあるけど、人間なんかに不覚を取る屈辱をお見舞いしたわ】
「イリナ!」
「ば、馬鹿者っ!無茶をし過ぎだ!」
ゼノヴィアとイザベラさんが慌てて駆け寄って来た。あら、私の両腕が・・・・完っ全に駄目になってるわね。血塗れで感覚無いわよ・・・・ロスヴァイセさんが預かってたフェニックス家の涙の密造品の・・・・只し、一番出来が悪いので何とかあのまま粉々にならずに済んだ程度だわ、エルシャさんが何か念入りな処置をしてくれているわ。
「暫くは安静ね、しかし無茶をしたわねえ。シオン君の剣技とかでピンと来たわ。超スピードの剣撃が出す真空波で火や風を斬る技使ってたけど、それを聖剣の力と組み合わせて悪魔の力を切り裂く攻撃ね、相手の攻撃を特定すれば強力なカウンターになる。今回のクルゼレイみたいに貴女を舐めて掛かる相手には最適な攻撃」
「はい、シオン君が赤龍帝だと判明した時期にその類い使ってた情報聞いたんです。それからセラフォルー様がマンション地下に残した資料に今回使った技の負荷をこの程度に出来る術式の資料があったので全力でやっ・・・・」
「バカね・・・・【私情で】身体を壊したらシオン君が怒るわよ」
「だって・・・・シオン君だって、落ち込んでたわよ・・・・ぅ、うう・・・・」
そうよ、私は結局はあんなのを見せたヤツをやっつけてやりたかっただけ、エルシャさんに抱き締めてもらいながら私はやっぱり・・・・。
「う、うぇぇぇ・・・・んっ!」
泣くしかなかった。あの時、自分も堪えて私を励ましてくれたシオン君に縋るしかなかった時のように。皆で世話したウサギちゃん達の無惨な姿を改めて思い出した・・・・でも、今の私を見せるのは駄目だったかもしれない。
「・・・・イングヴィルドさん。倒壊した建物を見てどうしたんです?」
「思わずやっちゃったけど、敵が旧魔王なら何かあるかもしれない、猫ショウの感性で搭城さんは何か感じない?」
「や、やってみます」
何かやってるようだけど、私は暫く休んでなさいと言われた。ゼノヴィアが近くで待機する形になったからお言葉に甘えさせてもらうわ。
ーーーーーー。
そんなこんなで暫くエルシャさんにあやして貰ったお陰で落ち着いた。もう夜中ね・・・・事情を聞いて、確かに旧魔王でも一人で潜伏してたのかと疑問だったけど。
「あ~、私も猫ショウの力使えば現魔王には及ばないにしても歴代の中で並な魔王級とか評されたけど。何も感知出来ニャい」
「おかしいわね、私も赤龍帝の力で探ったり倒壊した建物の残骸浮かせて調べたけど、何も無いみたいね。もしかして・・・・【一人、虚しくこの場に留まってただけ】・・・・?」
一人で虚しく・・・・何かおかしい、一人で・・・・一人、で。何か気位高いのがそんな風にしていたって事は。
「さっきクルゼレイはこう言ってたわよ【我等の崇める御方】・・・・つまり、一人でいたじゃなくてその御方を待っていたとかじゃない?」
「それは皆も考えてたわ・・・・崇める御方とやらには心当たりはあるけど、いけないわね。仮に考えが当たりだとしたら私達じゃ勝てないわ、クルゼレイはまだ死にはしないから拘束して撤収!良いわね?」
何か嫌な予感する!曹操のようなのから魔王級以上とか、極端に言えばオーフィスとか。ドライグが京都で言ってたグレート・レッド・・・・いや待って、エルシャさんが勝てないとか言うようなんじゃ、先ずは撤収!進退は風のごとくが基本で私達は車に乗って撤退したわ。
ーーーーーー。
「あ~、成る程。私が始末したイタズラお爺さんな自称大魔王を待ってたのね」
紫乃は自宅から見透していた。イリナの無茶はわからなくない、あの時。夫が周りと協力しながら幼稚園のウサギ達を惨殺した不良達を一人残らず自首させた程の事件。無抵抗主義を通し抜いた智恵の腫れ上がった顔は今でも覚えている・・・・リゼヴィムがいなくても同じ事だったとしながら、自分があの時にこの力を手にしたら穏便には済まさなかっただろうとしていた。
自分と家族の事だけを考えるなら、それも悪くは無かったとした時。
「し、紫乃さん。湯葉グラタンを作ったから」
「おう、ご苦労」
敢えて崩した言い分、数時間でも寝込んでしまっていた自分を泣きながら気遣う幼馴染みで弟分で、誰よりも強い旦那様がいる。大事な息子がいる。それだけで良い。その二人が紫乃が身体を壊した時期に元気を出せる物を必死で考えて作ってくれていた料理の一つを食べた。
(体力・・・・早く取り戻したい、エルシャさんには悪い事になる手段はあるにはあるけど)
ミルクと湯葉の優しい味わいに顔を綻ばせながらも、紫乃は自分なりの緊急手段を夫が傍にいる段階で整えざるを得ない事に嫌悪した。そう、まだ解決すべき災厄が残っているのだ。
まさかの大金星なイリナの技。
一つ目は、要は某勇者流刀殺法の海を斬る技に聖剣の力を組み合わせたもの、今回のクルゼレイみたいに相手を見下したがる悪魔からコカビエルみたいのには相性を合わせて初見殺しになる。只し、相手の攻撃を特定する状況あってこそ。
二つ目、剣の先から聖属性の鞭みたいの出す技を強化したもので不意討ちによろめいた相手には有効。
只し、一回ずつやれば人間のイリナでは秘策込みでも両腕駄目になるくらい負荷が出る。
もしもイリナが冒頭で正論言い出した場合、イングヴィルドの絶対零度の怒りでクルゼレイは命を無くしてます。