ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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 イザベラさん回。


警鐘

 私、イザベラにとって、シオン・アネガザキは強いだけではなく異端な力の持ち主だ。命の恩人であり、主を立ち直らせた男・・・・レイヴェル様のようにわかりやすい思いを持っているか?と言われたら、何かがあるかもとしか言えない・・・・顔を合わせる度に手合わせを申し込み、事も無げに叩き伏せられた。

 

 自分なりの向上心を煽られて鍛練に励んだものだ。

 

 そんなある日の事、陳腐だが?手合わせの場に近付いてしまった一般悪魔が巻き添えを喰らうと気付いて敢えて自分の全力の拳を受けたシオンに対して罪悪感を抱いた。

 

 気にもしない以前に虚無的な態度で何となくわかった。この少年には何もない、自分が欲しいものも守りたいものも・・・・こんなに強いのに、何故?

 

 興味を持っても、対等でも無い限りは理解出来ない。

 

 ならば、私のようなものには力しかない・・・・知る為には力しか無い、脳筋と言われたらそれまでだが。私はそれを恥とは思わなかった・・・・ただ。目的が出来たのは間違いない、何故か感情的になってしまうのが気になって仕方が無いが。

 

 

 

 

 

 そして、冷静に考えたら二人でゆっくり話をするのは初めての機会を得たが?正直、戸惑っていた。

 

 レイヴェル様がリアス・グレモリーと話す一方で、シオンと二人で話す機会を得ていたが・・・・嘗て、彼から感じた『光』が陰りを見せていたのだ。

 

 予感はしていた・・・・何故か悪魔として転生した少年は踏み行ってはいけない域に入ってしまったようだ。いや・・・・そうではない、寧ろ・・・・何故かわからない考えを振り切るように、事前に聞かなければならないと考えてた事を聞いた。

 

「君は、死んだのか?」

 

 そう、誘いを受けて悪魔になるとは考えにくい以上?考えられるのはソレだ。その質問に彼は?

 

「はい」

 

 平然と答えた。全く、意に介していない・・・・何故?何故だ?死んだ理由はわからない、何故か全くと言って良い程に感情がこもっていない声を聞いて、私は。

 

「無茶はするなと忠告しただろ!」

 

 共闘した時の無茶振りに思わず言った事を叫び、イザベラは震える手でシオンの頬に両手を添えて覗き込んだ。まるでこれから唇を奪おうとするかのような姿勢だが、その類いは考えにないシオンはイザベラの真摯な表情の前にされるがままであったのだ。

 

「悪魔・・・・なんだな、悪魔・・・・に、なって・・・・しまったんだな、君は」

 

「はい・・・・っ!?な、何・・・・を?」

 

 シオンをそのまま抱きしめてしまった。そして考えるより先に。

 

「馬鹿、者・・・・」

 

「・・・・」

 

「馬鹿者!馬鹿、者・・・・馬、鹿もの・・・・ばか、ものぉ・・・・おおお・・・・っ!」

 

 ひたすら罵り、泣き出してしまった。そう、シオンは死んだ・・・・死んだのだ。悪魔になったから良い等で割り切れるものではない。私達を・・・・私を救ってくれた者が死んだのだ。それが私には耐えられなかった。ただシオンと言う個人に起きた現実にこうするしか出来なかった。

 

 そうして、どれだけ時間が過ぎたか?少し冷静になれたようで一旦離れて、シオンから顔を逸らした。こんな事をしてしまって何を言えば良いか?

 

 とにかく、露出した部分と仮面の下の涙を拭った私は落ち着きを取り戻そうとして目を閉じ、呼吸を整えて閉じた目を開いたその時だった。

 

「っ!?ぬ、なぁぁっ・・・・」

 

 私の周囲は一変していた。

 

 建物は朽ち果て、周囲は枯れ果てつつ凍り付いて色を無くした。そして隣にいた少年の左胸は空洞となり、全てを飲み込むようなドス黒いオーラが溢れていたのだ。

 

「あ、ああ・・・・」

 

 青ざめる私に、シオンが近付く。

 

 身体が動かない、これから私は・・・・私はどうなる?

 

 まるで、話に聞くところの・・・・吸血鬼に捕らわれ、血を吸い付くされる者が恐怖ではなくソレを期待してしまうような魔魅を感じるようになった心境だった。

 

「どうしました?」

 

「あ・・・・シ、シオン?私は・・・・」

 

 

 気付いたら、周りもシオンもいつものままだ。

 

 シオンの目は私が知るより、更に澄んだものだ・・・・。

 

「そろそろ、部長やレイヴェル様の話も終わるハズだ。戻りましょう」

 

そうして、部室に戻ろとするシオンの手を掴んで引き寄せた。

 

「?」

 

 何故、そうしてしまうかわからない。

 

 ダメだ!

 

 行くな!

 

 この少年を行かせてはダメだ!

 

 やれるかではない!手段はともかく、連れ去って自分の元に置いてでもシオンを止めるべきだ!

 

 何故か自分の中で、そんな考えが次々と出るように警鐘が鳴り響いていたのだ。




 とにかく、イザベラさん回。
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