ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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原作知識有りきな回?


語る者達

 イングヴィルドから自己紹介をされた三名が驚愕していた。

 

 正当なる魔王の血統、しかも人間との混血。冥界に起きた乱から純血悪魔の少なさ迄を考えればそれがどれ程の重要さを持つかはわかる。

 

 そんな重要人物がシオンの同居人だった?

 

 困惑する面々だが?元々、シオンの事は把握は出来てはいなかった。何故かリアスが眷属にしてしまったが、その前までは慈善事業とも唄われる有り様で戦い続け、歴代『最恐』とまで言われた赤龍帝として各勢力から注目されていたのだ。

 

「驚いてるようだが、先ずはこうなった事情から聞いてくれ・・・・簡単に言うと、去年の春の事だ。今日、イリナとゼノヴィアを探す為に搭城と最初に寄った公園の噴水の近くで俺達は出会った。多分はぐれと思う奴等に襲われそうになってたから助けた・・・・と思ったら、姿が消えてて、次は違う場所で・・・・同じような流れを三度繰り返した。そしたら、疲れ果てて眠ってたから介抱して?調べたら新規の神滅具持ちで先程語った身の上だとわかった。何故、そんなのがこの辺りを彷徨っていたのか?と聞いたら、イングヴィルドは冥界で言う『眠りの病』に掛かって、当人の記憶している事から推測したら百年も眠っていたんだ」

 

「ひゃ、百年?」

 

「噂にだけは聞いていたが・・・・」

 

 眠りの病の事は聞いていたが、百年も眠ったままだった実例に二人は驚いていた。小猫も目を丸くしている。

 

「しかも、イングヴィルドの神滅器は特徴が二つもあってな?一つは海を操る力、言うまでも無いが地球の七割は海だ。魔王クラスの魔力の持ち主が下手に荒れさせたらどうなるかなんて言うまでも無い。もう一つは俺のようにドラゴンの関連に入る者達からしたら、非常に厄介なものなんだ。無力化させ、使役出来るようにしてしまう力がある」

 

 説明に絶句するが、ここである疑念があるので、ゼノヴィアが質問した。

 

「待て、それでは君はどうなのだ?言うなれば赤龍帝にとっても天敵ではないか?去年の春に出会ったと言う事は付き合いが約一年になるハズだが?」

 

『そこは俺が話そう』

 

 シオンの左腕が光り、赤龍帝の籠手が具現化する。教会側は初めて見たが小猫は籠手が声を発したのに驚かされた。

 

『驚かせてすまんな、俺が赤龍帝ドライグだ。今は見た通り、相棒の左腕の神滅具となっている』

 

「表に出て、声を出せるの?」

 

『まあな、とにかく話を進めるぞ?俺も驚かさてしまったんだが、相棒には対魔力とかの問題も含めて直接的な攻撃以外の術・・・・例えば、幻術だの精神操作系だのな類いの間接的な効果の術の大半が全く通用しないんだよ、お陰で戦った奴等が心底ビビったりしちまってなあ?いつの間にか歴代で『最恐』なんて言われるようになってたんだ。その女は『歌う事』で神滅器の力を具現化させてるんだが、寝惚けて半ば本能的に歌ってたイングヴィルドが?相棒が赤龍帝と気付いた後に自分の歌から出る神滅器の力を全く意に介してないのに大層驚いた後に、状況を話したり教えてもらったりしてる内に、こんな関係になってた』

 

 ドライグは決して嘘は言ってない物言いで説明していた。あくまでイングヴィルドと出会った前後の時期の話である。

 

「成る程!だからシオン君は『最恐』なんて言われてた訳ね!てっきり悪い子になっちゃったのかな?って思ってたけど、納得納得♪♪・・・・じゃあ次よ!イングヴィルドさんを保護してたのは何故!?年頃の男女が同居ってのも大事だけど。下手したら日本なんか簡単に壊滅するくらいの火種になるじゃないの!?」

 

 イリナの言い分は正しい、シオンはいわば各勢力の均衡を崩す爆弾になり得る存分を匿っているのだ。

 

「契約者に頼まれた。それだけだ」

 

「契約者?誰?・・・・って、守秘義務よね・・・・」

 

「お前にしては、妙にものわかりが良いな?」

 

「舐めないでよ?シオン君の噂は聞いてたけど、自分が思ってる以上に派手にやらかしてるって自覚した方が良いわよ?」

 

「そうだ。君個人でやるにしてはあまりにも活躍の場が広い、悪く言うと好き勝手してると言えるからな?それなりの大物が背後にいると考えるのが自然だ。私達も仮にも組織に使われている身だ。それくらいは考えられるさ」

 

 若干、シオンは気まずくなった。そもそもセラフォルーに見初められたから上手くやれてた自覚はあったつもりだが、考えの幅が足りてなかったのだと痛感した。

 

 それを見て取ったイングヴィルドと小猫は複雑な心境であった。自分達やレイナーレにアーシア、シオンが救った。又は救った存在の恩恵を受けている者達に含まれている自覚があるからだ。

 

「じゃあ、先輩?次です。イングヴィルドさんが気になる事を言ってましたね?『旧魔王派の狙いはわかった』『先輩はこのままじゃあの女に完全に取り込まれてしまう』と・・・・イングヴィルドさんに、それを説明してもらいたいのですが・・・・」

 

「イングヴィルド、話してもらえるか?」

 

「うん・・・・私の把握した限りだけど、旧魔王派の狙いは簡単に言うと、イリナさん達が言うような流れでシオンの学園にいる現魔王の身内を害したりして、各勢力の均衡を崩してまた大戦を引き起こす事・・・・今の勢力間には平和を望むのも多いけど、乱が終わってしまった不満を持つ派が多い・・・・それが戦争の現実ってわかるでしょ?」

 

 有りがちな話だとするシオンは、この場にいるのは、ある程度知識はあるから納得はしていると理解しながら、正直アーシアがこの場にいないで良かったと思っていた。出来れば無縁でいて欲しいからだ。

 

「じゃあ、次よ!『シオン君があの女に完全に取り込まれてしまう』これはどう言う事?そこの搭城小猫さんだったわね?その子を『あの女の眷属』と言ってたから?『あの女』ってのは、リアス・グレモリーの事ね?」

 

 イングヴィルドはイリナの言葉に頷いた。肯定の意だ。そして、意を決して皆に告げた。

 

「私、わかったの・・・・シオンがあの女の眷属になって帰って来た日に・・・・今のシオンは・・・・普通なら居なくなってしまう、死んでしまってもおかしくないんだって」

 

 三名がイングヴィルドの語る内容に驚かされていた。小猫とイリナは自分の考えが想像以上に当たっていたのだと納得した。今のシオンはやはり以前のままではないのだと。当のシオンが別に気にしてないのがイングヴィルドには悲しかった。

 

「そして、何日か前に・・・・あの女がこの部屋に届け物で訪ねて来た事があったから、近くにいた私には・・・・あの女の気を感じたから、わかった・・・・シオンはね?あの女に・・・・魂を・・・・生命の根元とか、そういうものを限界寸前まで奪われてしまっているの!」




徐々に第3者ならではな視点で真相に近付くな回。

途中にあるようにアーシアには刺激が強すぎだから、取り敢えずこの場に居ないのは幸いだったな話題。

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