『面倒倒な事になる』
自分はそう確信している。
シャワーで汗と返り血を流して、身体のどこかに禁手の影響が無いかを確認・・・・この数年で時折やっている事、自分はともかく周りに影響が出た部分を見られたら面倒。
自分の左手にある『赤龍帝の籠手』は神滅具とか言うものだ。初めて起動させた時から意識が通じ合ってしまった『ドライグ』に粗方の事情は聞いた。
俺・・・・シオン・アネガザキ・・・・日本名にしたら姉ヶ崎詩音は転生者とか言う類いだ。
流産を繰り返した夫婦の何度目かの胎児に融合した・・・・物心ついた時に前世の記憶と感性があるのは厄介だった。
動こうにも赤子の身体で、立って歩こうとするのも難儀したし、食事は粉のミルクやら・・・・その、この世界の母の・・・・アレやら・・・・某国民的アニメの兎に起こされる亀になる眼鏡みたいに『コーラが飲みたい』なんて言えたら楽なんて思ってしまった・・・・漸く、離乳食に移れてからも妙な気分だったさ、中身が一応は大人のまま赤ん坊として扱われて・・・・それだけで消え入りたい気分だったもんだ。
嗚呼、漸く自力で歩けるようになって鏡を見たら複雑だったのも思い出した。
後に女みたいと散々に言われた自分の前世での年齢の時の顔そのものだった。
それからは、自分なりに幼児や園児みたいに振る舞えるか不安だった。只・・・・近所に住んでたヤンチャ娘の化身みたいなのに振り回されてる日々になってから馴染めた・・・・と言うより、そっちが目立つから、目眩ましになったんだろうさ。
そうしてる内に、俺は『はぐれ』とやらに襲われた。連中からしたら、この世界で言う魔力が高い俺は絶好の餌だったのだろう。
前世の俺そのものだ・・・・思い出したくない事が頭に過った・・・・が、気付いたら左手に何か違和感があり、理解出来た。衝動のままに拳を振るい、悪魔の腹をぶち抜いてた・・・・ビビッたのか落ち着く間を与えないよう俺はそいつらを二十体ほど始末して、気が付いたら返り血に負けないくらい赤い鎧を纏って、残り三十体を片付けた。
そんな俺に呆れたように語りかけて来たドライグは俺の記憶を見たようだ・・・・御大層な力を今みたいにしか使えなかった奴には呆れるのが正しい・・・・けど、何故かこいつは・・・・。
ピピピ。
回想とやらを中断させてくれたのは手持ちの特注スマホ・・・・相手は・・・・まあ、一人?しか、いないんだが。
『はーい♪今日もご活躍だったね♪』
此方の力が抜けるような陽気さだ。
だが、声の主の力を知る者にはそうはならないだろう。
「ええ、まんまと火中の何かを拾わされました」
『あらら♪♪お見通し?大丈夫大丈夫、私の妹の親友だよ?悪いようにはならないよ、ああ?私も仮にもトップ級?だし♪♪イザって時は揉み消すもん♪♪君との契約は問題無しだよ♪♪』
「契約以外は程々にお願いしますよ?」
『うんうん♪じゃ、またねん♪』
スマホの着信が切られる。天を仰ぐしか無かった・・・・奇縁にも程がある相手、だが今の自分には必要だ。彼女の力が・・・・。
「呑気にして・・・・この辺りを魔王級のが当たり前に来る場にはしないで欲しいですよ・・・・『セラフォルー・レヴィアタン様』」
サーゼクスの賭けは、前提が既に的外れであった・・・・最も知られたくない者が件の赤龍帝に先に接触していた・・・・自分達なりの善意、他者の陰謀が絡み合い、事態は回り出す・・・・くるくる・・・・狂狂と。
何故、サーゼクスが最も知られたくない相手が彼女かはご察しな回。