(切り札を使うわ)
旧校舎の一階を歩くリアス達、事情を知らないアーシアは他と違い、見ればわかるとしか伝えられていないが、流石に不安そうなので朱乃とビナーから説明された。
「事情があって、封印されていますが?封印された部屋の中からパソコンでお仕事を進めてグレモリー眷属だけでなく悪魔の眷属で屈指の稼ぎ手となっているのですわよ」
「そうなんですか・・・・」
「深夜に来たのは、効力が無くなるから簡単に剥がせる類いの封印だからです。アーシアさんには、夜の学校は少々怖いようですね?人間界では『肝試し』とやらに向いた場ですからね」
肝試しについてはわからないとするアーシアは、言われたように夜の学校は怖いと思っている。雰囲気もだが?『あの日』を思い出してしまうからだ。
リアスが暴走して、それを止めようとしたシオンさんを何故か眷属としてしまった日を思い出すからだが、それが一因で関係者から封印を解く許可が出たとも聞いているので、今日は余計に複雑に思っている内に目的地に着いた。
『KEEP OUT!!』
そう記され、呪術的な刻印も刻まれたテープが幾重にも貼られている部屋、リアスがテープを取って、扉を開いた時に?
「イヤァァァァァァァアアアアアアっっ!」
物凄い音量の悲鳴が発せられました。アーシア以外は驚く事もなく部屋に入って行った。
可愛らしく装飾されてて何故か棺桶がある部屋にへたり込んでいた存在・・・・予め聞いていたアーシアも驚いていた。シオンとは違った意味で女性のような外見、金髪で赤い双眸で人形のような可憐さの小柄な美少女と見間違う男子である。震える口からは少々キラッと犬歯辺りが目立っているように見えた。
何故、女生徒の服を着ているか?。逃げ出そうとする気満々な有り様で、アーシアも少々気まずくなった。
「久しぶりねギャスパー?封印を解く許可が降りたわ・・・・貴方に是非・・・・」
「い、イヤですぅぅうう!ぼ、僕のせいで部長は・・・・」
「『僕のせい?』ど、どう言う事です?」
「ひぃっ!?知らない人ぉぉ?嫌ですぅぅうううっ!?」
悲鳴の中に聞き捨てならない部分が出た為にアーシアは思わず声を出してしまった時、対人恐怖症からの衝動でギャスパーは思わず発動させてしまった。
『停止世界の邪眼』
こうも自他共に恐れてしまう原因である自分の神器『停止世界の邪眼』を。
「あうう・・・・ま、また・・・・や、やっぱり僕なんか・・・・」
神器を発動させてしまったのを自覚し、更に悲嘆にくれ始めたギャスパー・・・・だが?
「ごめんなさいね、落ち込ませに来たワケでは無いのよ」
「え?」
ギャスパーは信じられないものを見る顔で固まった。他の時間は止まっているのに?と。
「ぶ、部長?何で・・・・動け?・・・・っ?・・・・ッ」
「やっぱり・・・・わかるのね?」
ギャスパーは気付いた。自分が見上げる女性が以前と変わってしまっている事を。その理由を感知してしまえる理由もだ。
リアスは自分の考え通りになった事に一先ず安心した。ビナーは恐らく、敢えて無抵抗だったと思った方が良いとして話を始めた。
「ギャスパー?お願いよ・・・・力を貸して、もうわかったでしょ?神器を発動させてしまっても、私と?この場には居ないシオン、新しい私の・・・・眷属・・・・には心配ないわ・・・・だから、ね?私は、シオンに・・・・私がこうなってしまうキッカケ・・・・にしてしまった子に・・・・ね?せめて、一番実現させたら駄目な事だけは、起きないようにしたいの」
精一杯優しく微笑みながら、リアスの両目からは涙が溢れていた。それがギャスパーの自分なりの意思を良い意味で揺さぶり始めた。
時間が動き出した後、リアスはギャスパーを優しく落ち着けてあげるよう抱き締めたが、他の三名の目を欺く為の行為だとギャスパーは理解してしまったのだ。
リアスの方も、ああしたからには今までのままなワケが無いな展開。