ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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視点毎が多いな。


残されたもの

 ビナーと朱乃が首から下だけになったディオドラに遺体の処理をしに外へ出ていた一方で、唐突にあのような光景を見てしまいショックの抜けないアーシアとギャスパーを抱き締めてあげながら落ち着かせていたリアスは、ある疑問を抱いていた。

 

 人間爆弾、正確には悪魔爆弾と言うべき形にして、どのような形にせよ此方に接触させた。咄嗟にビナーが・・・・彼女曰く『きたねぇ花火』にしたが、誰が仕組んだかと同時に抱いた疑問がある。

 

 相手が自分達の事をある程度把握した場合ではあるが、ディオドラを爆発させて自分達を害しようとするのはともかく?知っている可能性があるからの考えとして、ビナー=魔王級に数えられる存在がいるし、神通力染みた勘を持つシオンが部室に居た場合に有効打になると考えるだろうか?と、自分が敵の立場になったとした考えを出しても片方でも居た場合、ディオドラを上手く処理される可能性の方が高い、それをやって何になるか?元々、やって来た事で断罪されていた為に処断しても後処理が面倒な程度であると考え時、リアスは引っ掛かった単語からの考えに至った

 

『後処理』

 

「成る程・・・・考えたわね」

 

 ディオドラをあっさり殺してもらう・・・・その後が肝心だ。現魔王の血筋であり最近は急激に力を付けた事を感心されていた矢先のアーシアを含む人種に行った非道が発覚したばかりなのだ。事情を知らないまま当のディオドラが死人に口無しでは関係を持つ家等がある程度揺さぶれる・・・・有効打には遠いにしても僅かな隙が出来るハズ・・・・リアスは、このような事に察しが良いのは、僅かな油断や隙がどれ程の痛手を被るかを思い知ったからであろう皮肉を実感していた。

 

 

 

 

 

『やはり、飲んでいましたね』

 

 朱乃はビナーの言葉を反芻していた。

 

 ディオドラの首から下を冥界に送ったビナーが言った事、更には?

 

『グレモリー眷属は赤龍帝たるシオン君を何故か一員に迎え入れてしまったからには将来、避ける事が出来ない存在と早期に関わる可能性が高くなっています。しかし、本来のシオン君ですらまだ知るには早く、最近の彼にすら及ばない程度な貴女達には到底詳しくは教えられません』

 

 そう言い切られた。

 

(シオン・・・・君・・・・姉ヶ崎詩音)

 

 あの日、暴走したリアスを元に戻してくれた後輩。アーシアの治療で意識を取り戻した朱乃が見たのは暴走したリアスより、リアスの全裸姿の方に驚異を感じていたと、妙に微笑ましい部分があった後輩。

 

 それが、リアスが何故か眷属にしてしていただけでも問題だが、最近付き合い出した同級生が『堕天使』だったのが朱乃には大きい。

 

 天野夕麻の偽名で学園に滞在する堕天使レイナーレは偽装作戦であってもシオンに対する想いが実際はどうなのか火を見るより明らかなのだ。『私情』でどうにかする訳にはいかない、それでは『あの時』に母と自分を襲った者達と同じになると堪えていた。

 

 そもそも、自分が見たシオンには他種族に対する偏見が一切無い、踏み入る隙が無いとはこの事。

 

(・・・・私なりに、シオン君と話して・・・・)

 

『話して』

 

 話してどうするのだろうと、朱乃は私情と疑念からの鬱屈を晴らす為に関わろうとしているに過ぎない自分に気付いた。結果としてリアスやアーシアに悪い影響が出ては本末転倒なので今は耐えるしかないのだとして踏み留まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・・ギャー君もああなりかねない)

 

 小猫は目は前の光景を見て思った。昨夜の予定通りに、予めシオンが何処からか調べたサイラオーグ・バアルの居場所へ向かっている団体の中、日除けを兼ねた帽子を被りながら車椅子に座るイングヴィルド、車椅子を押すのはシオンを頼って来たロスヴァイセである。

 

 封印を解かれてると知らない眷属の僧侶も長い間に太陽の光を浴びていない、だからいきなり日射病にでもなりかねないから、場合によっては?と、ギャスパーは吸血鬼系にしても規格外級ではあるが、その事を忘れそうな性格であるのだ。

 

 イングヴィルドは車椅子に乗りながら、去年に足元がおぼつかないまま歩いて以来の外の光景を楽しんでいた。百年の間にどれだけ周りが変わっていたのかは意識が多少ハッキリしてからは本で読んだくらいでしか知らなかったからだ。いつか自分でまた歩き回りたいと何度も思いながら、シオンに匿ってもらいながらリハビリを少しずつ始めていたのだ。

 

「平和ですねぇ、人間世界の大戦で一度焼け野原になったと聞いてますが」

 

 ロスヴァイセなりの感想を述べた。

 

 車椅子に乗る側も押す側も勉強はしている。日本『も』過去に敗戦後に焼け野原になった国だ。戦争に負ける事程辛いものはない、但し今危惧するべきは人間間の戦いではなく、他種族の戦いの果てに首脳陣が迂闊に出向いて起きる戦いの巻き添えで日本が壊滅しかねない事態が起き得る事だ。それを避ける為に自分達が動くのだと考えている少年が自分達を先導していた。少し離れた先には私服を購入した教会の二人と服代を立て替えたシオンが歩いていた。白昼堂々の襲撃を考慮しての事である。

 

「済まないな、服代まで出してもらって」

 

「あのローブ姿だと目立つからな、仕事上で金は出してもらってるから気にするな」

 

「て言うか、シオン君が一番ホワイトな職場環境よねぇ?ロスヴァイセさんなんか聞いただけで哀れじゃない」

 

 三名は、聞いた限りでの福利厚生から上司のいい加減さから地元での物価から売り出されている品物の質、立ち寄った衣服店のワゴンセール品の幾つかを見て驚愕していたロスヴァイセの姿が思い浮かんだ。シオンは、これで百均とかにでも連れて行ったらどうなるだろ?と思っていたのだ。

 

「まあまあ、次はどこだ?」

 

「この先の公園を予定しているんだが・・・・何かおかしい、邪気以前に気配が無い」

 

「気配が無い?誰もいないとかじゃなくて?」

 

「ああ、不自然なくらいにな・・・・」

 

(・・・・る)

 

「!?」

 

(ここ・・・・来る)

 

「・・・・(呼ばれてる?)」

 

(大丈夫、話・・・・だけ、皆で・・・・来る)

 

「皆、行くぞ・・・・何かしようなんて思うな?」

 

 シオンは逃げたりしたら逆効果だとして脳に語り掛けてくるような声に従って、要求通り皆で中に向かった。

 

「公園よね・・・・誰も・・・・っ!?」

 

 入り口を通った瞬間であった。全員が異次元に入り込んだように錯覚させられていた。小猫には覚えがある感覚、シオンがリアスを初めて助けてくれた日に、リアスがはぐれの群れを迎え打つべくギャスパー以外の眷属全員で待ち伏せ先に向かい、予定地に着く寸前に感じた感覚に似ているが、肌でわかる強さが比べ物にならないと感じた。

 

「結界だな、わかりやすくしてくれたらしい」

 

「中央に誰かいるぞっ!小さな子だが?」

 

 黒い髪にワンピース、世俗からは掛け離れた雰囲気だ。だが、全員が感じていた。アレはいけない・・・・決して、自分達から関わってはいけない存在だ。そう感じられるのは少女が自分達に何か関心を向けているからだった。

 

「久しい・・・・ドライグ」

 

 ドライグを知っている?全員がそう思った瞬間にシオンの左手が変化し、声を出して会話を始めていた。

 

『ほう・・・・『今回』は人間界で言うとこの?確か『ゴスロリ少女』の姿か、大分世俗に興味でも持ったか?』

 

「ドライグ・・・・何を宿主にした?」

 

『言ってやらんでくれると助かるな、多分お前の為にもだ』

 

「・・・・『あの女』の為にも?」

 

『そうだ』

 

「わかる。ドライグの宿主がやるべき・・・・『あの女・・・・殺す』」

 

「な、何を言っているの、で・・すっ!?」

 

 内容が内容な為に思わず口を挟んでしまった小猫は身体の自由を奪われてしまった。少女の僅かな一睨みで心臓の機能が限り無く奪われてしまったような感覚だ・・・・だが、シオンが背後から、小猫の心臓に当たる部分に指を当て、次の瞬間には小猫は地に膝を付き汗を吹き出しながらも身体の自由を一応は取り戻した。

 

「何かしようなんて思うなって言ったろ?尤も、物騒で紛らわしい事は言わないで欲しいですが?」

 

「哀れ・・・・」

 

「?」

 

「奪われている。転生悪魔になった人間・・・・名前・・・・シオン、シオン・・・・もう、シオンじゃない・・・・」

 

『奪われている』

 

『もう、シオンじゃない』

 

 それは、少女と向き合う側の皆が程度は違えど認識し始めている事。イリナは堪らずに口を出した。

 

「貴女、何か知っているの!?シオン君の何か」

 

「駄目!」

 

 イングヴィルドは咄嗟に車椅子に座りながらイリナの服を掴んで制止した。わかっている・・・・この女にその気になられたら全てが終わりになる。

 

「?ドラゴンの天敵になれる女・・・・でも、その男と・・・・シオンと一緒にいたい?」

 

「そう・・・・私、シオンと一緒にいたい・・・・だから『貴女達』には関われない!」

 

「わかった。だけど・・・・我以外はどうするか知らない・・・・レヴィアタンの女、我に必要かもしれない・・・・頑張れ」

 

 イングヴィルドを見据える少女は納得したように頷いて、姿だけでなくその場に居た余韻すらも消えた。真昼の幽霊程度では済まされない存在である程度はわかっている。イングヴィルドがレヴィアタン絡みの女とも看破している。ワケがわからずに先ずはゼノヴィアがするべき質問を始めた。

 

「ドライグとイングヴィルド・・・・あの少女は何なんだ?恐らく、戦いを仕掛けられたら私達はとっくに全滅させられていたぞ!」

 

 ゼノヴィアの意見に否定出来る者はいなかった。それだけ先程の少女から感じたものは次元が違っていた。

 

「私は・・・・何となくわかっただけ、ドライグは良く知ってるよね?」

 

『おう、知ってる。けどよ・・・・もしもだが?あいつと会った事を知られたら、ここにいる全員は各勢力以前に自分の所属してる組織の上の連中から反逆者とかの方がマシな扱いをされかねねえぞ、覚悟はあるか?』

 

「わ、私は元から扱いがアレですけど・・・・少なくとも、他の皆は忘れようが無いから、知って対策を考えた方が良いと思います」

 

 ロスヴァイセが自分なりの結論を述べ、ドライグは仕方ないとして『彼女』の名を告げた。

 

『わかった。あの少女は『オーフィス』無限の龍神と呼ばれ、恐らく最近の事件を起こしている奴等の首魁でもある女・・・・平たく言えば現魔王達ですら手出し出来ない最強のラスボス様って奴だ』




二次じゃ早期登場が珍しくない御方もやはりで、何気にディオドラ爆弾どこじゃないものを残して行ったな回。
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