ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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ご察し下さい要素が多いか?な回。


先への種

冥界

 

 ビナーから送られてたディオドラ・アスタロトの首から下だけの遺体を即刻調べた結果。報告にあった通り『蛇』を飲んでいたと判明された。只でさえ発覚したディオドラの歪んだ行為で波風が立っていた矢先の出来事である。

 

 恐らく『あの組織』にまんまと利用されて爆弾とされて送られてた先にビナーが居合わせたとは言え無様極る最期を迎えた不祥事はリアスが推測した通りに現魔王の一角にして、悪魔の駒の開発者であり、サーゼクスに並ぶ実力者にして超越者である『アジュカ・ベルゼブブ』を排出したアスタロト家関連の不祥事としてはかなりのものだが、致命打には幾つか遠いだろう・・・・只し、別にそれだけで致命打にしようとしてはいないと考えた場合は仕掛けた相手からは有益であろう。

 

 そして、アスタロト家と言うよりアジュカ・ベルゼブブと聞けば思い浮かぶ悪魔の駒に関わりがある事に関しては・・・・冥界における重要な要素であるレーティング・ゲームの上位に位置する上級以上の悪魔の中で、レーティング・ゲームの闇を知る一部に大きな揺さぶりが掛かる事になる。

 

 特に、それに心を痛めている事この上ない事を争っているであろう『ある女性悪魔』には。

 

 

 そして、場所は変わり人間界。

 

 

「男子、三日会わざれば刮目して見よとは?この日本の言葉だが・・・・それは女性達にも言える言葉のようだな・・・・」

 

 

・・・・・。

 

 

 木場祐斗は正直驚いていた。

 

 レイナーレに教えてもらった住所にある駒王町から離れた場にある森林地、つまりグレモリーの管轄地の隣の町外れにある小さ目な城に一時滞在していたサイラオーグ・バアル様を訪ねた。城の最上階にある客間に通されて面会が叶った。

 

 様付けは別に良いと言われて、さん付けで呼び始めた相手に聖剣絡みで起きる可能性のある闘いに協力を願いに訪れていたのだ。そして、木場は自分の身の上を語った。

 

 不遇な身の上と言う部分に関し、サイラオーグは思うところがあったようで、前向きな空気だった。

 

 そして、少し遅れてシオンが小猫に教会の二人、そして初めて見る顔の女性を二名連れて訪ねて来たので新たに加わって話をする事になり、初対面の者の自己紹介から始まった。

 

 北欧の主神オーディン様の付き人・・・・とは言っても置いてけぼりを喰らってシオンを頼った哀れなヴァルキリーのロスヴァイセ。

 

 そして、もう一名はサイラオーグも驚愕した身の上・・・・彼の母と同じ眠りの病に百年掛かっていたと言うイングヴィルド。

 

 詳細は機密扱いとしたシオンが持って来た書類を見せた後で話が進み、サイラオーグはイングヴィルド絡みで母の治療に光明が差したのを喜んだが、見返りとしてシオンへ達に協力をと言う流れ・・・・これは悪く言えば病床の身内を引き合いにした取り引きだ。サイラオーグは警戒心以上のものを持って、シオン達を試すように見据えたが、シオンはともかく、新顔の二人と特に他の三名も殆ど臆していない様子。先日、リアスに向けた怒気に震え上がった面影が無くなっていたのだ。確かにサイラオーグが述べたように数日で何があったのか刮目すべきだと、木場は改めて思っていた。

 

「わかった。まだ時間はあるから聖剣絡みには手を貸そう・・・・母の件は、ただ感謝する!」

 

 そう、サイラオーグは、相手の意図は気になるが、母の為にと言う部分に偽りが無いのは感じて率直に感謝をしていた。

 

「だが、シオン・アネガザキ?一つだけ、聞きたい・・・・何故こうしてくれるのだ?」

 

「仕事です」

 

「そう、それだ。気になっていたのだが、お前は何故仕事として戦いから今回のような事をしている?」

 

 それはイングヴィルド以外が気になっていた事だ。シオンの活動の幅はあまりにも広い、強力なスポンサーが付いているのは知っているが、それだけでは無いのは明白だ。

 

「何故かは?俺が初めて、神滅具を目覚めせたのは七歳の頃です。それ以来・・契約者様に出会う迄は好き勝手やってしまいましたから、自分一人で物騒な事に巻き込まれかねない事になるのは面倒な気がしまして、上手い取り引きを持ち掛けられたから乗りました。それだけです」

 

「それだけでこうも幅広く活動していると?」

 

「はい」

 

 淡々と答えるシオンだが、機密扱い云々を察しているから周りは何も言わない、だがイリナだけは何かを言いたそうにしていた。

 

 そして、この後の方針をサイラオーグの事情と意見優先と言う形で取り決める事となった。シオン達からしたら主導権に拘るつもりはない、下手に制約掛ける必要はなく、そのような事をして不和を生じさせたくはない、あくまでサイラオーグの『生きた拳』が必要なのだ。

 

「では、方針だが?固まり過ぎては相手に妙に思われるかもしれんから、俺はお前達とは別に行動しよう、準備が出来次第にシトリー眷属に会いに行って、そこから計画を立てるとしよう・・丁度、以前からの打ち合わせがまだ済んではいなかったのでな」

 

「打ち合わせですか?ソーナ・シトリー様と何を進めているのです」

 

「うむ、学校の計画だ」

 

 学校、ソーナ・シトリーは冥界に学校を作りたいと言う目標があるのを説明されたのだが、それに関しての疑問がある。

 

「それは・・冥界の基準では・・っ!?ああ・・失礼を・・・・」

 

「構わん、そもそも簡単な身体の動かし方程度のものだ。俺にもその程度は出来るハズだと信じたいのでな」

 

 ロスヴァイセは失言に気付いて謝罪したが、サイラオーグは気にしていなかった。冥界においての風潮はフランクな現魔王達を見れば誤解しがちであるが、その実は言うに絶えない要素で凝り固まった部分がある。特にサイラオーグの身の上を考えれば悪い意味でわかりやすい、最もどの世界も五十歩百歩であるのだが。不味い部分に触れてしまったようで全く気にしていないサイラオーグの人柄を目の当たりにして・・訪ねた面々はやはり気まずかった。

 

 サイラオーグと言う頼もしい味方を得たシオン達は当面の目的は果たせた事に満足し、退室して駒王町に帰るべく階段を下りて行ったが、同時に?これは『オーフィス』と出会ってしまったのが皮肉な方向に作用している成果の賜物である要素を実感していた。




何気に後の展開についての爆弾が多めに仕掛けられた回。

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