ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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サブタイ通りなイングヴィルド回。


イングヴィルドは語る

 前略 セラフォルー様?

 

 貴女は、初対面の時から自分も他も一括りにしてソーナちゃんに迷惑掛けなきゃ悪い子じゃないよん♪♪とか言ってましたが?

 

「イングヴィルド様!正当なる魔王の血筋を引きし御方を集め、現魔王を詐称せし不届き千万な者共を駆逐する日を心待ちにして戦い続けておりました!さあ、我等の元にお越しを!」

 

 こいつらみたいのはどうなんです?

 

 貴女も新魔王派の一角になるまで、こんなのと戦っていたのですか?とか聞きたい。

 

 予め聞かされたり、血筋だ伝統だのでこんな自己陶酔に入ってしまうのは人類の方の歴史上でも珍しくないって知識はあったりにせよ目の当たりにすると複雑です。見るのと聞くのでは天地の差があるです。

 

 イングヴィルドが正当な魔王の血筋だと知らないでいたサイラオーグさんと木場は驚いていたが、あの悪意無しにイングヴィルドに対して膝をついて崇めてるのには面食らってるなあ?バレるならバレるでとか思ってたが、比較的マシかもしれないのが複雑だ。因みに、女性陣は顔を見合わせたりして困惑しているふりをしてます。これは予め決めてた事だが、何故か知らないでいた側なイザベラさんが特に気にしてない素振りだ。

 

 当のイングヴィルドはと言うと?

 

「私、眠りの病に掛かって?百年間眠っていたの・・・・眠る前の事は殆ど覚えていない」

 

 そう、当初の予定通りサイラオーグさん達に語ったように記憶が不完全な振りをしている。魔王の血筋な悪魔なら、百年くらいとか言うだろうが?

 

「それに、何となくわかる。思い出さない方が良いって」

 

「それは・・・・貴女は人間との混血!その身の上のせいかと思われます!」

 

 俺も聞いていた。イングヴィルドは人間との混血な身の上で?それを使って記憶の不備を始めとした多少の事はそう誤魔化す手段を取っていたのだ。

 

「イングヴィルド様!貴女は人間との混血故に我等が知る限り心許ない誹謗中傷に晒された生い立ちであり、それを恐らく本能的に思い出したくはないのだと思われます!その事から貴女を救えなかった我等の罪は万死に値しましょう!ですが、だからこそ!この機に我等がイングヴィルド様をお守りして、その罪を償う事をお許し頂きたく存じます!」

 

 言う必要あるのかな事実について良くしゃべるなあ?だが、イングヴィルドを見上げる方々の目には全く曇りが無い、本気だ。本気で言ってる。アレは自分達なりの善意と信念から出された言葉だ。

 

 けど?基本的に過激派で純血悪魔史上主義であろう面子ばかりであろう旧魔王派でそんなの通じるか?後方の方々と来たら、自分達が旧魔王派とバラされただけで怒り心頭だろ?現に目が良いのからしたら、今にも後ろから自己陶酔組を撃ちそうとわかるから正解だろうな、だが?どうも躊躇いガチだな?駒不足なのか?あんなでも実力は認められてますなのか?若しくは両方?

 

 そう言えば、イリナも所構わず自分の信仰深さに酔いがちだと此処に来る道中理解したが、アレを見て多少は考えて欲しい。いや待て!それは昔一緒にいた時からか?いかんいかん、先ず考え直さなくてはならんのは俺だった。

 

 ともかく、実はイングヴィルドはこの類いの対応を考えているらしい・・・・あの類いのは何度か目の当たりにした経験あると聞いたから、この場はイングヴィルドに任せてみようと此方側の周りに目配りしたら、皆は了承したとわかる反応をしてくれた。

 

「私は今の世の魔王の事はまだ知らない、だから・・・・本当に今の魔王達と戦う必要あるのかどうかは、私が直接会って確かめたい」

 

「そ、それは危険です!問答無用で抹殺される恐れもあります!そもそも、どうやって会いに行くのです!?」

 

「それは、私はシオンや周りの悪魔の皆が現魔王派に属するから相談してから決める。たまたまお話を聞いてもらえる相手だっただけかもしれないからそう言えるのかもしれないけど、話しをするには先ずは武力じゃなくて話しをしようとする姿勢が必要だと思うの」

 

 まあ、無難だな?話し合いをしたいなら武力なんか用いるより身一つで誠意を見せるべきだ。その類いから生じる危険についても一つ一つ冷静に考えなければならない、これはイングヴィルドがその身だけで千軍に勝る力を秘めてるとかの利点があるこそな言い分と言われるだろうけど、テロなんかやるよりは絶対に良い、イングヴィルドは自分なりに考えを語ったが?

 

「お、おのれ赤龍帝!!よもやと思ってはいたが!イングヴィルド様を誑かしたか!?』

 

「何ですと?」

 

「黙れ!調べはついているぞ!!赤龍帝は女性への邪欲の権化であり、特に胸絡みの邪欲だけで魔王級すら恐れる力を発揮するのは知れ渡っているのだ!!イングヴィルド様がこのような言い分を始めるのは貴様の仕業であろう!」

 

 嗚呼・・・・何度かあった事だったが、まさかこんな奴等にまでかよ?

   

『相手も相手だが?イングヴィルドは、俺の名を出したのが失敗だった』

 

 例の胸好きドラゴン?だったか?な赤龍帝はどこまで有名だったんだい!?とにかく、騒ぎだした連中に関しては・・あの手合い『も』自分の思い通りにいかないと直ぐに他に責任転嫁をしたがるんだよはともかく、この言い分は勘弁だとか嘆いてたら。

 

「駄目!」

 

「イ、イングヴィルド様!?」

 

「それは、何代か前の赤龍帝のお話!シオンは、邪欲の権化どころか・・・・え~と?・・・・スケベですらないわ!」

 

 イングヴィルド・・・・俺は、この方向での話題で初めて庇ってもらった気がするよ・・・・と嬉しく思って、気を抜いてしまったのが不覚だった。

 

「な、何故そのような?」

 

「お風呂も着替えも手伝ってもらうのを三ヶ月も続けてもらってた私に間違いはないの!」

 

 その場が凍り付いた。何を言い出してますか?

 

「私が病から目覚めたばかりで録に身体動かせないから、ずっとそうしてもらってたの!シオンはね?スケベどころか女性の胸は勿論、それっぽい場所のどこもまともに見れはしないの!だから、私の世話を目隠ししながらずっとしてくれてたから、絶対にスケベじゃないの!」

 

 真剣な声色、俺をスケベじゃないって説明してくれてるんだろうけど、周りを見渡したら?

 

 木場にサイラオーグさんからは笑みを浮かべながらどこか仕方ない奴を見る目。

 

 イリナから汚いものを見る目。

 

 ゼノヴィアにロスヴァイセさんは何か合点が言った目。

 

(後日、聞いた境遇でどうやって過ごしてたかの疑問の一つが解けたからと聞いた)

 

 イザベラさんは、顔をそむけるのみ。

 

 搭城は近付いて来て肩に手を置いて、どこか憐れみ、身長が同じか俺が崩れ落ちてたら頭なでなでして慰めてたような目を向けられた。

 

 とにかく、自己陶酔組が何か怒りに燃え上がってたが?もう好きにしてくれとする他は無かったのだ。




任せっきりにせざるを得ない状況で、糠床の世話とかをリハビリ兼ねて頑張るイングヴィルド女史は私生活がマシな類いだから多少の暴発は大目に見てやるべきよのう。

そんな事を言うくらいなら普段の家事とかで、こっちをちったあ手伝えよお前も!!

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