時々やり取りする人の送ってくれた題名文の語尾で、もしかして、今回明かすのはバレてたか?って気分。
「ど、どうやって来たの?魔力の類いが働いた気配は無いから移送系のものは使ってないようだけど?」
突然に空から降って来てフリードを瀕死に追いやって拘束したシオンに対してレイナーレからの尤もな疑問だが、今のシオンの気を引くのは資料でしか見た事が無い男だ。見ただけでバラキエルの生気が無くなっているのがわかる。
「それは後だ。それより、資料で見ただけだがバラキエルさんだな?何でこうなったのか聞かせろ」
「わ、わかったわ」
シオンは経緯が経緯なので平静を装いながら事情を聞いたが、やはり先程迄の事が頭によぎってしまう。
・・・・・・・・そう、それはつい数分前。
サイラオーグの居住地近くに集まった大部隊はバルパーを始めとした主要メンバーを殺害か拘束され、残りも投降した。
後方から合流してきたサイラオーグの眷属の何名かを始めとしたメンバーに後を任せてシオン達は次の行動を一番の経験者であるロイガンが場を纏めながら検討していた。
「さて、次の問題ね?リアス・グレモリーの側がどうなってるか不明だけど、お互い連絡は着かないから、彼方も何かあったとすべきよね?兎に角、誰か行ってあげた方が良いわ?でも、問題は移動手段よ?」
「転送系使うのは最近の状況からして危険、イザベラさんのは一発限りなものでしたし、走って行こうにも待ち伏せがあるかもしれない、市街地とかで仕掛けられたら厄介ですね」
「うむ、俺やシオンが全速力で走って行って感知されないとまでは保証は出来んしな」
視認されなければ良いという程度の認識で事を進められる程に甘い相手ではないとは、この場の全員理解してはいる。あくまでイングヴィルドにロイガンと言う想定外が存在したからこそ、この場は完勝で終わっていたのだ。
「宛になるかわからないけど、一応は情報があるわ?」
ロイガンが出した道具、魔力で記録した映像を移す類いのもので日本の地図と近海が示され、約二千キロ程の海域に印がしてあった。
「実は、この辺りに?最近悪さをしてる者達のと思わしき船があるらしいの、まあ仮指令部ってやつかしら?この位置に遠距離攻撃でも出来れば奴等が混乱して虚を突いたり出来るかもしれないけど、手段が問題よ?魔力の類いは流石に感知されるだろうし」
「海・・・・」
「イングヴィルド?悪いが、却下だ」
シオンはイングヴィルドが考えを提案する前に止めた。イングヴィルドの神滅器で海を荒れさせたりは足がつくし、そこまで求めるのは酷で下手したら大惨事なので却下とした。流石にイングヴィルドもシオンの為にとは言え、最悪の展開を招く事は避けたいので素直に却下を受け入れた。
「良いアイデアがあるわ!」
「イリナ?」
「距離が大体二千キロくらいとか、途中位置に駒王町があるとかで良い事を思い付いたわよ!子供の頃の思い出万歳よ!要するに?魔力無しのをお見舞いして、それのついでを狙っちゃえば良いのよ♪♪」
・・・・・・・・。
(・・・・あ、主・・・・)
「これは冥界の危機に使うと決めていたが、まあ良い・・・・今こそ鍛えた力を振るう時だ!」
(そ、そうではないのですが・・・・)
主であるサイラオーグが作戦を確実に実行する為に黄金の鎧となった自分自身を纏った事にバアル眷属の『兵士』レグルスは複雑微妙な心境である。
表向き、自分の能力は秘密事項であるのだが?今はそれを明かしてでもシオン達の助力をするべきだという意図はわかるが、仮にも下手な上級悪魔程度は敵ではないと自他共に認める実力を有する自分の本領発揮の初陣が、これとはと・・・・このような事を思い付く側も実行する側にも、どう思えば良いのだろう?と。
「サイラオーグさん、兎に角方向がある程度間違いなければ良いですから」
「いや、俺もやるからには最善な結果を求めたい」
先程の戦闘の余波で折れた木をサイラオーグが持ち上げ、木の上にはシオンが頓挫している。流石にアイデア元のように投げた者が飛び乗るのは難しいし、途中にあるシオンの駒王町には距離の噛み合わせが悪いからこその構図。
真面目にやろうとするサイラオーグとマイペースの極みなイリナの構図にサイラオーグが構えた木の上に位置するシオンは無表情になるよう努めた。
「シオン君?」
「何だ?」
「協力したり途中で降りたりするから、アイデア元のとはかなり違っちゃってるけど?着いた時に敵がいたら、ちゃんとこう言うのよ?『アロ~ハ~~♪♪』って♪♪」
「む?この手段の決まりなのか?」
「真面目に聞かないで下さい、全く・・・・アニメオリジナルで再登場したのが折れた木を使ったからって、良く思い付いたもんだよ、兎に角?やって下さい」
「承知した・・・・むんっ!」
そして、サイラオーグはシオンが乗った木を目標に向けて放り投げた。算段通りに音速の十数倍の速度で飛んで行く、十秒経たずに乗っていたシオンは空中に放り出されたが、そのまま空中前転である程度姿勢を整えた。遥か上空から自分の住むマンションと悪意の位置を感知したシオンは一瞬だけ悪魔の翼と魔力で角度を調整して降下、フリードを瀕死に追い込んだのである。この辺りはイリナにしても完全にシオンの勘任せであったが、レグルスが思ったように提案する側も実行してしまう側も問題だ。
後にサイラオーグが投擲した木は見事にロイガンの伝えた船に直撃し、乗っていたテロリスト達はワケもわからずに四散したと判明、その結果にサイラオーグはイリナに吹き込まれて真顔でこう言った。
『我ながら、素晴らしいコントロールだ』
更に後に?木どころか、小山すら投擲する『戦車』が存在せるチームと激闘を繰り広げたサイラオーグだが、この時の情報を得ていたが為に向上心を煽られたその者はサイラオーグをして『恐るべき脅威』と言わしめたのである。
・・・・・・・・。
「そうか、不味いな?この術式を知ってる新手が来て妙な事されたらバラキエルさんが敵になりかねない、早く元に戻さないとな」
事情を聞いたシオンがまとめた当面の問題に、確かにそうなったら最悪だと皆が同意した。ロマンスで聞くサーゼクスのような暴走等をされたら一溜りも無い、グレイフィアがどのような方法で戻したかはロマンスで脚色されているから信憑性が無いのだが、この段階での対処はあるのだろうか?と、全員が表情を暗くしていた。
「とにかく、念を送ってみる。周りを警戒してくれ」
「わかった」
そうして、シオンは眼を閉じ、意識を集中させてバラキエルに第6勘から発せられる声を送った。尤もセラフォルーから時々魔力の類いの警鐘や遠回しな指示を送られているので、その時の感覚を自己流で再現した程度なのだが。
(これは?自責の念か?心を閉ざして、自我を失わせているのは・・・・)
シオンは原理を理解出来た。単純だからこそ恐ろしいものだった。レイナーレ達には言わなかったが、セラフォルーから聞いた限りと実際目の当たりにした結果、これの解決策に最適な存在がいる。
「姫島先輩!手を貸して下さい」
「え?」
「今から、バラキエルさんの内面に呼び掛けます」
「・・・・」
シオンからの提案に朱乃は目を逸らして返答を控えた。
「先輩?」
「シオン君?私達の事情は知っているみたいね?私・・・・私は・・・・っ!」
先程の反動もあるのであろうが、この期に及んで父との確執を克服出来ない、そんな朱乃にレイナーレ達の堪忍袋の緒が切れた・・・・が?
「うるせえ」
シオンはいつの間にか朱乃の背後に回っていて後ろ襟を掴むと、問答無用に朱乃の顔をバラキエルの胸元に押し付けた。唐突な仕打ちに朱乃が我に帰った時はシオンから何やら荘厳な気が立ち上って三名を包み込んだ。強引過ぎはしませんか?とか言う暇すら無いレイナーレ達であった。
理論と条件さえ揃えば、やるかどうかだけだ。つまらない事を言う大人にはならぬように。
尤もらしい事を言うな!某サッカーゲームの説明書みたいに出てくる技は怪我するから真似しないで下さいと書かれるような事態になるだろ!