ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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削除した『異名』回の後半をリアス視点のにして、投稿し直しました。

敢えて言いますが、保険程度のアンチと言うか皮肉を多少混ぜてますが、何についてかは暇あったら適当に考えてもらえたらありがたいです程度の感覚です。


螺旋の中で

どれだけ眠っているのだろう?

 

どのようにして、『堕天使陣営の横流し品』を破ってしまったのかを思い出してリアスは曖昧な意識の中で全身を振るわせた。駄目だとして堪えようとした・・・・だが、無理だ。決壊を止められずに夢の中で何度も見た光景が思い起こされた。

 

リアスにマンション内で仕掛けた者達にとっての問題は、リアスの根底についてだ。洗脳するにはある程度対象への理解が必要だ。

 

そう、フリードがバラキエルに仕掛けた際にはバラキエルの心や記憶を揺さぶる要素が言うまでもなく、亡き妻。自分を拒絶した娘だから、適当に言うだけで周りに危害を及ぼせる程度にはなるだろう。過去にサーゼクスがしてやられた時は不注意と無理解が一因とされている。

 

シオンと出会う前ならば身内についてで充分であったろう、だが今のリアスの根底を占めるものはシオンにした仕打ちと学園の日常、幸いな事に彼等のリーダーはそれに気付いていたのが時間を稼げた理由である。仕掛けた者に流れる記憶からそれを揺さぶりを掛ける機会を慎重に伺っていたのだ。そして、シオンがバラキエルの精神世界内で放とうとした『炎』・・・・あれを結界越しに感知したリーダーは理解したのである。シオンが放とうとしていた『炎』の重大な要素を。その僅かな時間が致命的であった。

 

リアスが敬意を抱いた五人組、特にリーダーの洞察力こそが裏目に出てくれたのだ。

 

そうなるまで、現実と異なる時間帯でリアスは内部で何度も何度も致命的な間違いをした。

 

『言ってしまっていた』のだ。シオンに『具体的な事を』だ。

 

例えば、サイラオーグに真相をかなりの度合いで見抜かれた時、シオンに逃げるよう呼び掛けてしまった。そうして自我を無くして言われるがままに姿を消したシオン。あの時点で最悪に近い結末、この件でリアスは自分が周りから糾弾され、冥界に連行されて投獄されたのは良いが、その後、人前に姿を現さなくなったとしか教えてもらえなかったシオンの事しか頭に無かった。彼の帰りを待つ  と、自分のせいでその事すら考えられなくなってそのままか、ドライグの存在を考慮に入れていつかは自力で何とかするかもしれないシオンに反して何もしてあげられない結末、そして表向きはドライグが不干渉を貫く理由でリアスが把握出来ている事を考えた結果、せめてシオンに自分なりの償いをしたいだけでもしたい望みの終わりを悟った。

 

これだけでリアスの心は折れた。

 

そして、また学園の日常に戻り、どこかでシオンの力を宛にしてしまっていた事に気付いた。庇ってくれた時のように直前に違和感に気付けば半分程の確率で抗える事が可能ではある。だが、結局は自分が失敗したせいで・・・・それが最悪に数えられる結果に繋がる確率が、やはり半々での繰り返しでリアスの精神はズタズタであった。これが意識が戻った際に皆に全てを打ち明けようとした理由の一つ。

 

(けど、こんなのも見てしまった・・・・違う、違うの・・・・私には・・・・こんなの見る資格なんか、資格・・・・なん、か・・・・ありは・・・・)

 

自分は失敗したとしても少しは救いがある場合もあった。例えば?

 

夜、寝る時に自分がアーシアにすがらなければならなくなった事。そのような日々では人間のアーシアは勿論、悪魔である私も考えてみれば初めてシオンに助けられた時の傷が完治してないまま暴走した時から、自業自得と言ってもそれなりに疲労は溜まる日々、充分に睡眠が取れない時もあるせいで、隠しきれずにいた末にシオンに知られた。思わず許しと助けを求めてしまう・・・・結果的にシオンは自分とアーシアを無条件で慰めてくれるようになった展開。睡眠が足りない自分達をどう寝かし付けるかアーシアでさえ期待と不安が混ざる心境になっていたが、その手法は?

 

「むかし、むかし・・・・えんぴつくんとけしごむくんがいました・・・・」

 

何と、自分とアーシアをベッドに寝かせて、寝るまでに絵本を読んであげる事、内容はホッとする種類の定番をシオンなりに選んでくれた。何度目かに聞かされたのは囚われた姫を助ける為に魔王に挑む勇者の図の物語、悪魔には複雑だった構図だが、魔王の口調が丁寧で、特に。

 

『いいですとも!』

 

・・・・人間界での創作物とは一体・・・・?

 

年齢にそぐわないとはこの事ではあるが何故か感じる安心感のままに二人して眠りに入ってしまった。思えば、このように誰かの好意に甘えるままの事はいつ以来だったであろう?・・・・年下の少年に母性・・訂正!父性を感じる事を恥とは思いつつも受け入れてしまう。

 

何故、どこか手慣れているのか・・・・リアスがまだ知らない要素・・・・イングヴィルドにしてあげた事で経験があるからとは知る由もない。次第に、何故こうなっているかすらわからなくなるリアスは、このような光景が続く事を願い始めてしまったのだが、夢の中でのアーシアが状況が続く内に違和感を通り越して恐怖を感じ始めた。だが、リアス同様にどこかで望んでいた状況を甘受したい欲求に負けてしまう。

 

徐々に展開の幅が広がりながら繰り返される螺旋の世界において、それなりの期待と願望を抱いてしまい始めた自分がいた。それを満たす事も洗脳への段階だが、それこそが自分相手には致命的だったのだ。『この世界』の誰にも予想不能であった要素が問題なのだ。

 

洗脳の仕上げにおいて何が来るか?例えば、思春期の欲求のままに関係の進展を迫るとする。普段のシオンならば呆れられるだけ、しかしリアスにはあるのだ・・・・シオンをそのようにしてしまう手段、何よりも仮に夢の中でそう迫られても最終的に抗える可能性がある絶対的な要素が。

 

そして、その時は来た・・・・自分がソーナ達からコメディと揶揄される日々の中であり得た流れが。これこそが惨劇の始まり・・・・後に、この時の自分を遠目から目撃した者達からと、味方からの証言等を合わせて・・・・ある異名が付けられた。

 

 

 

 

『紅髪の滅殺姫』と。

 

 

 

・・・・・・・・。

 

 

 

それはシオンクラスメートが持ち込んだ成人用雑誌に端を発した騒動、自分の最悪の弁明で益々事態を混迷させてしまった日の放課後。

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

リアスとシオンは部室で正座して向き合って二人だけの反省会を開いていた。キッカケがキッカケとは言え、人前で挑むようにそのような雑誌を見つめてしまったシオンもだが、その弁護に自分の裸を見た事がキッカケと高らかに言い切るリアスはどっちもどっちの抜けっぷりである。事情をお互いに言って切り上げ時を悟ったリアスがまとめを始めた。

 

「シオン?・・・・苦手を克服したくても、今回のは焦ると逆効果なパターンで・・・・」

 

『いや、お前はどうなんだ?相棒がお前の裸を見た云々な話が広まっちまったせいで面倒なんだが、それをどうする気だ?』

 

何とかシオンに影響を与えてない形で切り上げようとしたリアス、本来ならそれで終わりであったのだが、ドライグが表に出て声を出す。ここからが自分の記憶と違った展開である。

 

『おぉ、元凶に数えられる一旦なだけにな?ついご招待して口を挟みたくなっちまったんだ』

 

気付けば、悪夢の中で高確率で出会う場に何故かいたリアスは在りし日の姿で鎮座するドライグと向き合っていた。違和感を感じないのは、こうなる以前に夢の中で何度も邂逅し、赤龍帝ならばこれくらいは可能と考えていたからであろう。リアスはそう判断してドライグの問いに答え始めた。

 

「わ、私が責任取るわ!」

 

『どうやって?』

 

そう・・・・『どうやって』?

 

そう思ったのが始まりである。償いたいと同時に自分なりにシオンの力になりたいと思ったリアスの気骨が最悪の方向に動き出した。

 

「そ、それは・・・・私が周りに弁明するのは勿論、シオンの苦手意識も解消してみせるわ!この身体くらいなら訓練材料に使わせても良い!」

 

『ほう・・・・そりゃ良い心掛けだなあ?だが、お前の事だから、相棒に例の件が無くてもそう言えやしねえだろが、俺を相棒に見立てたって言えるかも怪しいぜ、そうだろ腑抜け姫?』

 

あんまりな言い分、目線を合わすくらい屈んで自分の顔を覗き見るドライグの態度にリアスが元来持っていた負けん気が出てしまった。それが罠であった。外部から襲撃組のリーダーが根気よくゆるがす要因が作用するように念を送った成果でもある。加えて混雑してるとは言え、繰り返される日常の中でリアスに出来た隙が大きかったからであろう。

 

「う、うぅぅ・・・・それくらいは、言って・・・・みせる・・・・シオン!雑誌なんかじゃなくて、私の身体を使いなさい!私の裸で・・・・」

 

『お前の裸で?何を?・・・・見るだけじゃ簡単には克服出来ねえかもしれねえぞ、外見が極上なお前を?アッチの意味でものにしちまえるくらいにならねえと、万が一に相棒が女に弱いなんて知れた場合に?色仕掛けで来る敵に襲われてあんまりな不覚を取らされるかもなあ?』

 

「わ、わかっているわ!シオン?私の身体を使いなさい!雑誌に書いてあったり載ってるような事なんかをやりつくして女の身体を勉強して貴方の苦手を克服なさい!」

 

赤面し、目を閉じながらもドライグのいた方向を指差して叫ぶリアスは消え入りたくなる羞恥心に身を焼かれた。そのような事を迫るのは許されないと知りつつ、それくらいの事をしてまでシオンへの償いをしたいと思っていたのは偽り無い事実であった。

 

『ははは♪♪上出来だぜ姫様・・・・じゃあ、じっくり楽しむんだな・・・・能無しが!』

 

突然声色が変わった事に不吉な予感を感じたリアスは目を開けた・・・・そして、リアスは頭を殴り付けられたような衝撃を受け、全身を震わせた。先程の正座してシオンと向き合っていた部室内に場面が移っていた。目を瞑りながらシオンと向き合っているつもりできっぱり言い切ってしまったのだ・・・・つまり?

 

「はい・・・・部長の身体で・・・・」

 

偽悪的なドライグに煽られ、誘導された結果である。現実でもリアスに割り切れない要素が多い故に場合によってはドライグもこの程度の事はやったであろうからこその展開だ。自我を無くしているのが明らかなシオンの色を失ったような瞳が現状を物語っていた。正座のまま上半身を起こし、自分に迫ろうとするシオン、待ったを掛けようと手を伸ばしたリアスの右手がシオンの左胸に触れてしまった瞬間である。

 

「あ、あ・・・・ああ・・・・っ」

 

リアスは顔面蒼白となり、ガタガタと全身を震わせていた。そう、左胸・・・・自分が、あの日にシオンの左胸を・・・・この右手で貫いて心臓を奪い取った光景を思い起こしてしまったのだ。そうしている内に弱々しい抵抗にすらならない右手を押し退けてシオンはリアスを抱き寄せていた。

 

(こ、これも・・・・)

 

今度は左胸を貫き、心臓を奪った後の事を思い起こしてしまった。自分がシオンを抱き寄せて・・・・何をしていたかも把握している。自分を助けようとしてくれた相手にあの仕打ち・・・・そう、あのディオドラ・アスタロトと何ら変わらない、いや・・・・それ以下の最低な行為に耽る中でシオンが施してくれた術で徐々に正気を取り戻し・・・・途中からは、普通に行為に酔いしれて、深い深い口付けの形から送り込まれるものを甘受し、吸い付くしながら、密着した身体を更に擦り寄せ続ける感触に歓喜で震わせ、この時間が続く事と、この後に及ぶ行為に期待を及ばす痴れ狂った思考に溺れ、気付いた時には最悪の事態を招いてしまった。

 

抵抗出来ない・・・・自分の最大の過ちを思い起こした震えだけでなく、どこかで望んだ事が実現しつつある事にリアスの身体の自由は完全に奪われてしまった。この後にどうなるかは自分が言い放った内容・・・・だが、それを予期してもリアスには成す術が無い、力で抗えないだけではない・・・・震える身体を抱き寄せてくれた少年に何もかも委ね、甘えたくなってしまう、このまま自分は・・・・。




ま、せっせと励んだれや。

何を呑気に傍観してんだよ!?止めてよぉコレェっ!何たら禁にする気かぁっ!?



最後のはどちらかと言えばアニオリっぽい場面の要素があるんかな。

つか、私作のドライグ=リアスの過ちにそれなりに頭に来ていた者からの有り得た一時的な洗脳と二名の秘密の穴を逆に利用する一例なお仕置き炸裂開始回。

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