ハイスクールD×D 見初められし『赤』   作:くまたいよう

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冥界側の動き回。


序曲は始まっている

 冥界、セラフォルー・レヴィアタンは割り切れない思いを抱えていた。

 

 それなりに気にかけた秘蔵っ子なシオンが、リアスにどんな目に遭わされたかを九割方理解した瞬間、周りに誰もいなかった事が幸いだと思っていた。仮に真剣勝負の大怪我を負わされたとかなら相手がソーナでも文句は無い、モンスターペアレントも辞さない姉呼ばわりされたりしてもその程度は弁えているつもりだが実際なった時にどうなってしまうか自信は無かった。

 

『ひどい事が現実になった時に思っているような対応は出来ないものだ』

 

 その考えは違う問題で実証された。

 

「・・・・何のかんの言ったり思ったりしたにしても・・・・こりゃ無いんじゃないのっ!?」

 

「全く、僕も珍しく出向いたのにねえ?」

 

 冥界には犯罪者を転送される場は多々あり、近くにいた現魔王がたまたま出向く程度はあるが、送られて来たのが問題だった。

 

げんなりしながらセラフォルーに同意しているのは?

 

『ファルビウム・アスモデウス』

 

『働いたら負けを心情にするにしても軍事担当な現魔王の一角』

 

 あろう事か聖剣を盗んだ堕天使幹部が転送されて来たと聞いて出向いたのだが、唐突に入り込んだ隔離場のコカビエルは周りの空間ごと固めて転送されて来たのはともかく?その姿は股間を抑えて尻だけを掲げて倒れ付していたと言う凄まじいもの、聞くところによるとビナーが厄介な特注ローブをどうにかする為に例の技を使った結果、隠そうともしないが故の図が出来てついやってしまったらしいのだ。更に、二名が目にしたのは後ろ姿だったのでそれはそれはな姿。

 

 流石に、リアスに対して溜め込んだものに加えてやるせなさ全開になったセラフォルーが氷の魔力を放ち、施設すら半壊させながらコカビエルを醜い醜いオブジェにしてしまったのだが『零と雫の霧雪』を使わなかっただけマシではある。

 

 ファルビウムは花も恥じらう何とやらに唐突に醜い菊の花は目に毒だったとして今回の件は済ませる事にした。

 

(あ~~、駄目だこりゃだよぉ・・・・やっぱりイザって時は・・・・リアスちゃんがいきなり目の前に来たりしたら不味そう・・・・近い内に例の場所に行くけど・・・・当然イングヴィルドちゃんに同行してくるよねシオンくん・・・・どうしよっかなあ・・・・間近で見たら、多分想像以上のが?)

 

「セラフォルー!」

 

「へ?」

 

 魔力が漏れたのか周囲が凍結していた。完全に危険域だと自覚せざるを得ない、隣にいたのが現魔王じゃなければどうなっていたのかとセラフォルーは自分なりに失敗を悔いた。

 

「・・・・何に苛立ってるか知らないけど、この際は原因に向き合うか思い切った気晴らしでもしたら?周りの危険が危ないよ?」

 

「うん・・・・ごめんね」

 

『原因』

 

 セラフォルーは、気遣いしてくれ悪いが、自分からは話せないし結果が物騒にしかなりそうにないと自覚したばかりだとして、益々気まずくなった。とは言っても確かにこのままだでは不味い、取り返しが付かない事態になりかねないが向き合うのは早いし、何か気晴らしをと考えた。やるべき事は決まっているから、その時にとした時。

 

「あ、そっか♪♪」

 

「?」

 

(明暗明暗♪♪ある意味で、ぶっ飛んだものだけど?材料が揃ってるし、面白いのがあるじゃないの♪♪リアスちゃんだけに対して飛びっきりの『お仕置き』になる展開、それを、本当にやってしまえば良いんだ)

 

 そうまとめ、次の算段を始めたセラフォルーの目には危険な光が宿っていた。

 

 

 

 

 一方、現魔王の中ではある意味で一番フラストレーションを募らせている者もそれなりに考えていた。

 

 

 

 

「身内の恥とはこの事か・・・・」

 

 セラフォルーとファルビウムがコカビエルを担当した一方で、二名と同じく現魔王なアジュカ・ベルゼブブは『生家の元期待の若手』であるディオドラの首無しの遺体が送られた為に義理で向かった。義理、何度繰り返しても徹頭徹尾に『義理』である。

 

 遺体に対面した時には既に発覚したオーフィスの蛇を飲んでいた事以前にディオドラの『性癖』から発したアスタロト家の不祥事に東奔西走する事となっていた為にフラストレーションが募っていた。

 

 かのバラキエルに向けられたような旧態依然とした思想と立場上から生じる出鱈目より悪辣な事を本当にやるのが家絡みから出ていた。

 

 代役がいないから自分が魔王から降ろされるような事は無いのだが、ビナーからの報告によるとディオドラは自分の所業を『冤罪』と主張していて、まんまと悪魔爆弾として送られた末に、このザマと・・・・短いが密度のある醜態である。

 

「また無駄な時間を取らされる羽目になるのは明らかだ。いっそ、グレモリー眷属にだ?練習試合感覚なレーティング・ゲームをアスタロト眷属、否?ディオドラとやるよう仕組んでみたかったなあ・・・・例の赤龍帝にディオドラを死なない程度に殺せよと依頼しながらな・・・・サーゼクスがリアスの光明として目を掛けているから面倒は掛けたくなかったが・・・・」

 

 実はアジュカには間近で赤龍帝の戦いを見たい願望があった。『当面の敵』の技術にも心引かれているが、実は短期間だがアジュカにはシトリーやグレモリー眷属達が『病人の動き』としているシオンの現状にこそ興味を引かれていたのだ。

 

「病人の動きと映る・・・・それは良い、違和感がある程度見抜けるのは及第点をやれる若手達とすべきなのだが・・・・私には『馴染んでない』に思えるのだがね」

 

 アジュカの頭からはディオドラの事はさっぱりと消えていた。セラフォルーとは違った方向で新たな方向性を見出だしたのだ。

 

 

 

 

 そして、シオン絡みで比較的マトモな意図を持っていた側も思わぬ事態に直面していた。

 

 

 

 フェニックス家において、レディ・フェニックスは送られて来た報告書と映像に驚愕していた。レイヴェルには悪いが、今回の件ではイザベラの方が有利だと思っていた。最近のイザベラは性根を入れ替えたライザーですらフェニックス家の特性が無ければ恐らく勝てないとしていた。レイヴェルも得意分野の鍛練で成果を出してはいたが、シオンが関心を持つとしたらわかりやすいイザベラであろうとしていた。

 

 だが、今回の戦いで確認されたイザベラの戦闘力は自分が把握していたそれを遥かに凌駕していた。ただ単純な身体能力と体術だけでこれでは今後にレーティング・ゲームでイザベラと戦う悪魔達は極端に言えばサイラオーグ・バアルに敗れて再起不能になった者達のようになりかねない。

 

「何があったのか聞きたいですが、これは以前からのレイヴェルの申し出を進めた方が良いかもしれませんね・・・・彼方がイザベラ程の飛躍を見せるかは未知数ですが」

 

 強ち間違ってない夫人の考えは既に現実とは逸脱してしまっていた。レイヴェルも実はシオンの秘密に関して最も危険な事に数えられる部分に触れ始めていたからだ。これがイザベラではなくレイヴェルだからこその利点もある。

 

 冥界では能力だけではなく、厳しくも比較的良識?な大人達が動き出していた。駒王町に集結した者達には既に次への段階が整い始めているのだ。




若手主体の場合、大人達がしっかりしてる事だけで意味深にハードモードとは思わないか?

他への布石兼ねてるような言い分だな。
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